【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

文字の大きさ
82 / 344

【テイラー】ドアソア公爵家1

しおりを挟む
 認める者もいるかもしれないが、全員がそんなつもりはなかったと言い出すことは目に見えており、主犯の三人はいくら言い訳をしても言い逃れも出来ない。

 しかも、それに加えメロディとロウス、その家族も抵抗をしている。

 イリッタオ侯爵家は全てを仰せのままにと言う立場であったが、生家のベースレイ伯爵家は違う。何も知らない関与していないと、認めなかった。

 ロウスのドアソア公爵家も、認めはしたものの、無事に生まれたか分からないと、テイラーが言ったように高らかに訴えているという。

 ローズミー、ペジリー、ラオイは無事に自白剤は抜けたが、犯行は認めなかった。

 だが、ラオイのカルテも見付かり、証拠も揃っている状態であったために、ローズミーの様態を見ながら、騎士団に任せることにした。

 それよりも、ドアソア公爵家とベースレイ伯爵家の方にディオエルが対応することになった。

 まずはドアソア公爵家。デアン・ドアソアは、皇族殺しになれば処刑されると必死であった。

「娘は殺したわけではありません」
「だが、危険だと分かった上で、利用したのは事実である。そんなことをしなければ、アイルーン・デリアは亡くならなかったことは変わらない」
「血を抜いていたとは聞きましたが、ロウスが行ったわけではないでしょう」

 犯人たちは何をしていたかは伝えているが、ローズミー、ペジリー、ラオイの名前が出れば、関与を疑うことが出来るために、誰であるかは教えていない。

 ロウスは知っているが、家族とは接触させていない。

「失礼ですが、番の子が無事に生まれたとも限らないではありませんか」
「殺されたことは、関係ないというのだな?」
「そうではありませんが…無事に生まれてこそ、皇族ではありませんか」
「ならば、そなたはこれからは皇族を殺すなら妊娠中だと、知らしめたいのだな?」
「そう、ではありません…」
「歴史として、胎児も皇族と認められている」

 正妃は子どもが生まれてからではあるが、皇族というのは妊娠中でも認められた過去に文献として残っている。

「それは…」

 デアンは、過去に認められているとは思っていなかった。

「ロウスは犯人たちが、何をしていたか知っていたと自白している」
「…っ、ですが、殺そうと思っていたわけではありません」
「そんなことは分かっている」
「ならば!」

 デアンは大きな声を出して、机に両手をついた。

「ロウスも家族は知らなかったと自白している。ドアソア公爵家には受け入れ、真摯に反省する姿を見せて欲しかった。そうあれば、考えようと思っていた」
「申し訳ございません!一郎処刑だと思い、訴えなければと思っておりました」
「申し訳ございません」
「申し訳ございません」

 同席していた現公爵と前夫人も、深く頭を下げた。

 テイラーの想像した通りの言葉を述べたデアンではあったが、皇族殺しを重く受け止めている証拠であった。

「我々はともかく、息子や孫はまだ幼い子もおりますので…」
「反省はしているのだな?ロウスについて、どう思っている?」
「反省しております。まさかロウスがそんなことをしていたとは驚いたのです」

 助かるかもしれないと分かったデアンはペラペラと話を始め、上手く使うことが出来ただろうと感じていた。

「公爵は疑似番のことは知っていたか?」
「はい、成功することのない存在という程度ではありますが…」
「ロウスは知っていたか?」
「おそらくですが…知っていたと思います」
「聞かれたことがあったのか?」
「いえ、番について調べていたことがありましたので、知っていてもおかしくはないと思います」

 公爵令嬢ならば、ローズミーのようにメロディに知らされなくても、自分でも、誰かに調べさせることも、簡単に出来ただろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜

雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。 彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。 自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。 「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」 異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。 異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。

間違えられた番様は、消えました。

夕立悠理
恋愛
※小説家になろう様でも投稿を始めました!お好きなサイトでお読みください※ 竜王の治める国ソフームには、運命の番という存在がある。 運命の番――前世で深く愛しあい、来世も恋人になろうと誓い合った相手のことをさす。特に竜王にとっての「運命の番」は特別で、国に繁栄を与える存在でもある。 「ロイゼ、君は私の運命の番じゃない。だから、選べない」 ずっと慕っていた竜王にそう告げられた、ロイゼ・イーデン。しかし、ロイゼは、知っていた。 ロイゼこそが、竜王の『運命の番』だと。 「エルマ、私の愛しい番」 けれどそれを知らない竜王は、今日もロイゼの親友に愛を囁く。 いつの間にか、ロイゼの呼び名は、ロイゼから番の親友、そして最後は嘘つきに変わっていた。 名前を失くしたロイゼは、消えることにした。

結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?

ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十年目。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。 ※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

処理中です...