【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】罰4

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「っ」
「どうしてそのような惨いことが出来た?結果は知っていたのだろう?」
「…いえ」
「知らなかったのか?ラオイ、お前も知らなかったのか?答えろ!」

 自白はさせているが、自白剤がない状態で、最後に話を聞いておきたかった。

「私は、何も知りません…」
「はあ…お前たちは残酷なことをしたんだ!自覚しろ!」

 ディオエルの言葉にペジリーとラオイはビクリとしたが、ペジリーは間違っていたなど認めるわけにはいかなかった。

「でも、悪いことなどしていません」
「もし本気で思っているのなら、お前も気が狂っている」
「そんなことはありません」
「疑似番のせいでこうなったのだぞ?こんな風にしたかったのか?」
「…っ、でも、ローズミーは妊娠して、残念なことにたまたまなっただけではありませんか」
「それは先ほど、説明しただろう!」

 何を聞いていたのか、聞いても都合のいいように解釈して、このようなことが起きたのだと、この場にいるほとんどの者が感じていた。

「一度も、疑似番の子が無事に生まれて来たことはない」
「っ!でも、あの子は特別だったはずです…だって、ローズミーが産んだのだから…」
「だが、ローズミーは自白剤を使用した際に、幻覚が見えたのか、私の子ではないと追い払っていたぞ…」
「そんなこと、何かの間違いです」

 ペジリーは可哀想な姿ではあったが、そんなことをローズミーがするなんて絶対にない、デタラメだと思った。

「…ローズミーに自白剤を使ったのですか?」
「当然だろう」
「何かあったどうするのです!」
「皇族殺しに慈悲などあると思っているのか?」
「そんなことはしていないと言っているではありませんか!」
「ローズミーから、アイリーン・デリアの血が検出されている」
「っな…」
「そんなことあり得るのですか?」

 下を向いていたラオイが、初めて疑問の声を上げた。

「疑似番の影響だろうな。輸血をした記録もなく、勝手に輸血をしたという明らかな証拠だろう」
「そう…ですか」

 その言葉にラオイは何かを諦めたように、また下を向いた。

 疑似番のことは、正しく教科書に載っているわけではない。どのようなことが起こるかは、医師でも分かることではないために、何が起きても納得するしかない。

「偶然ではありませんか」
「何が偶然なんだ?」
「偶然、血が付いただけです」
「十八年前に亡くなった者の血がどうやって、偶然を起こすのだ?答えろ!」

 ディオエルは自白剤で自白して置いて、元に戻れば違うと否定していると聞いてはいたが、このようにずっと認めなかったのだろうと、身を持って実感していた。

「…それは、分かりませんけど」
「分かりもしないのに、口にするな!」

 特殊な血でなければ、残っていることはなかっただろう。

 ローズミーは二度と出産は出来なくとも、具合も悪くはならなかっただろう。

 だが、アイルーンが復讐するような形になった。

 アイルーンは特殊な血だと知っていたら、どうしていただろうか。

 こんなことにはならなかったのではないかと思わなくもないが、それは考えても仕方のないことである。

「証拠にはなりません」
「なるんだよ!説明も出来ない癖に、何様だ!そういえば、お前は私の乳母だとデタラメも吹聴していたな」
「…それは」

 アイルーンにはディオエルの乳母だったと話していたが、実際は皇帝宮で働いていただけで、乳母だったことは一度もない。

「嘘ばかりついて、最低だな。息子に申し訳ないとは思わないのか?」
「息子は関係ありません」
「そんなことは分かっている、クラードは関与していない」
「私たちも関与していません」
「クラードは、伯爵家を守って来たというのに、こんなことになり、今にも自害しそうだというのに、お前たちは何を言っているのだ!いい加減にしろ!」

 クラードはこんな家族を持ったことが、不幸だとしか言いようがない。
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