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【テイラー】最期4
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「お兄様?」
「分かるか」
「ええ、分かるわ。私ね、何だか粗末な場所にいるのよ?おかしいでしょう?ディオエル様も会いに来てくれないし、どうしてしまったのかしら」
ローズミーは鉄格子に入れた方が望ましかったが、発狂すると面倒なので独房に入れ、ラオイも反省が見られたために、同じく独房に入れている。姿が見える鉄格子の中にいるのは、ペジリーだけである。
「何をしたか理解していないのか?」
「何?」
「番様を殺したことだ」
「殺すつもりなんてなかったし、やったのは私じゃないわ」
「ちゃんと覚えているんだな、せめてもの救いだな」
「覚えているわ!だから、私は関係ないのよ!ここで反省したら出られるってことでしょう?」
ローズミーに説明してくれる人はおらず、食事と水と、盥に入った体を拭く布が届くだけであった。だから、反省するために入れられているのだろうと、考えていた。
「出られることはない」
「どうしてよ!」
「番様もだが、皇族を殺したからだ」
「皇族?あの女は、妾よ?本人が私がディオエル様に愛されているから、妾でいいって言ったのだから」
ローズミーは当時のことは、ちゃんと覚えている。曖昧になっているのは、出産後からになる。だからこそ、自分は寵妃だと思い込むことが出来ているのである。
「妊娠されていただろう」
「一緒に死んだじゃない」
「だからだろう!お前が殺したのではないか!」
「でも、生まれていないわ」
「生まれていなくとも、皇族と判断されるのだ」
ローズミーは説明は関係ないと聞いていなかったので、説明も受けていたが、聞き流して、覚えてもいなかった。
「でも、私、私、私、だって、子、どもを産んだわ」
恐る恐るという形ではあったが、ローズミーは子どもを思い出して口にした。
「そんなことは関係ない。お前が問われているのは、番様と胎児である皇族を殺したと言うことだ!お前が子どもを産んでいようが、産んでいまいが関係ない!」
「…殺したかったわけじゃないわ」
ローズミーはアイルーンを好ましく思うことはなかったが、疑似番のことで、自分に妊娠する機会を与えてくれたという意味では必要な存在であった。
彼女のお腹が少し膨らむと、私が育むべき子どもが間違った場所にいると、どうしてそんなところにいるの、ディオエル様の子どもは私だけのものでしょうと、叩き付けたい衝動にも駆られた。
だが、そんなことはしていない。
死んで血がもう奪えないことは分かって、残念には思ったが、自分が妊娠した時に死んでくれて良かったと、枕に顔をうずめて笑ったくらいだ。
「そうだとしても、事実は変わらない」
「でも殺す気なんてなかったの!」
殺す気がないのだから、事故のようなものじゃないか。私がやったわけではないし、私は妃なのだから、別の者が責任を取ればいい。
「お前が番様の立場だったら、許せるか?」
「私が番?」
「ああ、お前が番で、妃に殺されたらどう思う?」
「そんなこと許せるはずがないじゃない!」
「ならば、答えは出ているではないか」
「っで、でも、私は妃なのよ!ディオエル様が困るじゃない」
ディオエルに言われたことなのに、それでも今でもディオエルはローズミーがいないと困ると信じている。
「そんなことはないと、分かるだろう。妃なら他にもいる」
「私は違うの!」
「…もういい。お前も母上も、こんなことになって、父上は亡くなっていて良かったかもしれないな。こんなもの、私も見たくはなかった」
「何てことを言うのよ…お兄様は私が可愛くないの!」
「可愛くないよ…私も責任を取って、自害するつもりだ」
ペジリーと話し、ローズミーと会話が成り立っているのはいいが、疲弊していたクラードはどうしても口にしたくなってしまった。
「分かるか」
「ええ、分かるわ。私ね、何だか粗末な場所にいるのよ?おかしいでしょう?ディオエル様も会いに来てくれないし、どうしてしまったのかしら」
ローズミーは鉄格子に入れた方が望ましかったが、発狂すると面倒なので独房に入れ、ラオイも反省が見られたために、同じく独房に入れている。姿が見える鉄格子の中にいるのは、ペジリーだけである。
「何をしたか理解していないのか?」
「何?」
「番様を殺したことだ」
「殺すつもりなんてなかったし、やったのは私じゃないわ」
「ちゃんと覚えているんだな、せめてもの救いだな」
「覚えているわ!だから、私は関係ないのよ!ここで反省したら出られるってことでしょう?」
ローズミーに説明してくれる人はおらず、食事と水と、盥に入った体を拭く布が届くだけであった。だから、反省するために入れられているのだろうと、考えていた。
「出られることはない」
「どうしてよ!」
「番様もだが、皇族を殺したからだ」
「皇族?あの女は、妾よ?本人が私がディオエル様に愛されているから、妾でいいって言ったのだから」
ローズミーは当時のことは、ちゃんと覚えている。曖昧になっているのは、出産後からになる。だからこそ、自分は寵妃だと思い込むことが出来ているのである。
「妊娠されていただろう」
「一緒に死んだじゃない」
「だからだろう!お前が殺したのではないか!」
「でも、生まれていないわ」
「生まれていなくとも、皇族と判断されるのだ」
ローズミーは説明は関係ないと聞いていなかったので、説明も受けていたが、聞き流して、覚えてもいなかった。
「でも、私、私、私、だって、子、どもを産んだわ」
恐る恐るという形ではあったが、ローズミーは子どもを思い出して口にした。
「そんなことは関係ない。お前が問われているのは、番様と胎児である皇族を殺したと言うことだ!お前が子どもを産んでいようが、産んでいまいが関係ない!」
「…殺したかったわけじゃないわ」
ローズミーはアイルーンを好ましく思うことはなかったが、疑似番のことで、自分に妊娠する機会を与えてくれたという意味では必要な存在であった。
彼女のお腹が少し膨らむと、私が育むべき子どもが間違った場所にいると、どうしてそんなところにいるの、ディオエル様の子どもは私だけのものでしょうと、叩き付けたい衝動にも駆られた。
だが、そんなことはしていない。
死んで血がもう奪えないことは分かって、残念には思ったが、自分が妊娠した時に死んでくれて良かったと、枕に顔をうずめて笑ったくらいだ。
「そうだとしても、事実は変わらない」
「でも殺す気なんてなかったの!」
殺す気がないのだから、事故のようなものじゃないか。私がやったわけではないし、私は妃なのだから、別の者が責任を取ればいい。
「お前が番様の立場だったら、許せるか?」
「私が番?」
「ああ、お前が番で、妃に殺されたらどう思う?」
「そんなこと許せるはずがないじゃない!」
「ならば、答えは出ているではないか」
「っで、でも、私は妃なのよ!ディオエル様が困るじゃない」
ディオエルに言われたことなのに、それでも今でもディオエルはローズミーがいないと困ると信じている。
「そんなことはないと、分かるだろう。妃なら他にもいる」
「私は違うの!」
「…もういい。お前も母上も、こんなことになって、父上は亡くなっていて良かったかもしれないな。こんなもの、私も見たくはなかった」
「何てことを言うのよ…お兄様は私が可愛くないの!」
「可愛くないよ…私も責任を取って、自害するつもりだ」
ペジリーと話し、ローズミーと会話が成り立っているのはいいが、疲弊していたクラードはどうしても口にしたくなってしまった。
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