【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】最期5

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「…何を言っているの」
「当然だろう…疑似番など…皇帝陛下の本当の子どもを殺して置いて、反省もしていない…どうかしていると思っていたが、狂っているよ」
「本当の子どもって何よ!私、私、私の子、どもだって」
「あんな子は私の子どもではないのだろう?」

 ローズミーがせめて、死産でも自分の子を大事に思っていたら、まだ救われた。だが、救われるところなど、どこを探してもなかった。

「そんなことを言うような者を妹とは思いたくない…お願いだから、反省をしてくれ。お前は竜帝国の未来を奪ったんだ…」
「お兄様、死ぬの…?」

 ローズミーにも、目の前のクラードが死ぬことには、胸がキュッとした。

「そうだよ、妻と子たちは見逃して貰えないかと、離縁した」
「離縁…どうして…」
「生きていても辛い思いをするかもしれないが、生きて欲しいと願っている…もうそれくらいしか、出来ることがないんだよ」

 妻も子どもたちも、大切に思っていた。

 だから頭を下げて謝罪して、妻の実家にも謝罪に行った。そして、どうかお願いだから生きて欲しいと離縁して貰った。

『私も一緒に償うわ』
『そうだよ』
『お父様のせいじゃない』
『生きて欲しい…お願いだ』

 クラードは妻子にも何か咎があるならば、陛下から連絡があると思っていたが、ないことから妻子は生かして貰えるのではないかと、期待をして縋るしかなかった。

 妻も子どもたちもクラードが死ぬつもりであることを察しており、一緒にいたいと言ってくれたが、それは出来なかった。

 使用人も紹介状が役に立つか分からないが、退職金と共に渡し、もうエウオン伯爵家はクラードと、父の代から仕えてくれていた執事だけである。

 執事は最期まで働かせて欲しいと、後片付けを頼むことにした。

「私のせいだっていうの…」

 今となっては見る影もないが、幼い頃は可愛い妹だった。だが父上が亡くなった頃から、ローズミーはおかしくなった。

 自分が中心でないと気が済まず、邸の中だけなら良かった。妃になったことで、王宮に侵食し、いつか何か起こすのではないかと危惧していた。

 まさか、人を殺して、素知らぬ顔をして生きていたなんて思わなかった。

「本当なら18年前に処刑されていたはずだった」
「…そんなこと」
「事実だよ、処刑されていたんだ」
「どうして、こんなことになったの…18年も前のことを」
「悪いことをすれば、必ず報いがあるということだ」

 クラードは老婆のようなローズミーでも、罪を償うために生きていたことは、被害者の方にとっては良かったことなのかもしれない。

「誰かお前だけを愛してくれる人と、結婚すれば良かったんだ」
「妃にならない方が良かったっていうの…」
「私はそう言っただろう。そうすれば、愛してくれる夫も子どもも、皆、笑っていられたのではないか…」

 クラードもありもしない、なかった未来を考えて、気持ちを落ち着けた。

「でも、ディオエル様に見初められたのよ」
「違う、もう逃避するのは止めてくれ。お前が陛下ではないと嫌だと、どうしても嫁ぎたいと言ったからだろう」
「違うわ、見初められたのよ!私は愛されていたのよ!」
「イオリク様が、陛下にどうしてもと説得したからだろう」
「イオリク様が…」
「誰にも言われなかったのか?それとも、記憶から消したのか?都合のいいように解釈することに、もう否定しても仕方ないが…いい加減にしてくれ」

 せめて自分が何をしたか分かって貰いたいとは思っているが、クラードがローズミーを理解させることが出来るとは思っていなかった。

「お前に自傷行為をさせないために、名ばかりの寵妃だった…そんな優しさ、今となってはお前が死んでいれば、番様の子は産まれていたと思われているだろう」

 実際は他の妃が同じことをした可能性もあるが、実際に行って、死に至らしめたのはローズミーとペジリーとラオイである。

「私がいなければ…?」
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