【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】ミリオン王国2

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「無理もないわ…そうだったら、アイルーンは今でも生きていたでしょう?そこで笑っていたはずなのよ」
「笑って?そうよね、笑っていたのよね…失われて諦めたはずのあの笑顔を…本当は奪われていたなんて…」

 アイルーンの微笑む姿が、ミラニューには見えたような気がした。

「なかなか4人で会うことが出来なくなると思ったけど、一生会えなくなるなんて思わないでしょう」
「そうよ、どうしてこんなことになったのかとばかり考えているわ」
「犯人やアイルーンを利用しようとした人が、悪いに決まっているじゃない!のうのうと生きていたことも許せないわ!」

 ミラニューの言葉にナビナとレイエンヌも、何度も頷いた。

「ええ、デリア侯爵もお辛かったでしょうね…」
「いくら処刑されて、罰を与えられても、アイルーンが戻ってくるわけではないもの…お孫様もね」
「そうね、本当に…」
「子どもが生まれていたら、もう18歳に近かったはずよね」
「結婚だってしていたかもしれないわね」
「二人の人生を奪って…ご家族や私たちからアイルーンを奪って」
「アイルーンに会いたい…」

 三人の気持ちは、ただ一つ。アイルーンに会いたかった。また他愛もない話をして、笑ったり、怒ったり、悲しんだりして、またねと別れたかった。

 ただ、それだけだった。

 ルーベンス・デリア侯爵も、テイラーのことがあるために、許すといったことや、犯人を捕まえてくれた感謝などという言葉は一切省き、声明を出した。

 テイラーがいる以上、使っていいのはテイラーだけだと思ったからである。

 ミリオン王国に戻ってから、テイラーとは執事の名前で、必要な手紙のやり取りはしているが、それ以外に接触するようなことはしていなかった。

 それは帰りの馬車で、テイラーに何か望みはないかと訊ねると、今の生活だと言われたためである。

 ルーベンス自身も、アイルーンのことで聞きたいことは色々まだあったが、全てが終わってからにしようと決めていた。

 ゆえに、テイラーは何もなかったかのような顔をして、働いている。

 ミリオン王国王家にも、アイルーン・デリア殺害の報告と、殺害を行ったローズミー、ペジリー、ラオイや関与していた者たちのことが報告されていた。

「本当に殺されていたとは…」
「そう言っていたのでしょう、信じていなかったのですか」

 シュアリアは、ギリシスを眉間に皺を寄せて見つめた。

「いや、そうではないが…」
「殺されたということが分かった以上、全て良かったとは言えませんが、殺されたのに病死にされていたことが分かったことは良かったでしょう」
「あの娘が、事実だったということか…」
「犯人もですが、関与していた者がこんなにいたなんて…疑似番なんて初めて聞きましたわ」

 アイルーンも、テイラーも知らなかったように、ミリオン王国では王妃であるシュアリアですら聞いたこともなかった。

「あなた、聞いたことがありまして?」

 ギリシスに問い掛けたが、何か考えている様子で反応がない。

「あなた!」
「な、何だ?」
「疑似番を聞いたことがありまして?」
「いや、ないさ」
「アイルーン・デリアは完全なる被害者です。同時にテイラー嬢も同じです。デリア侯爵は、テイラーの思う人生を歩ませてあげたいとお考えですから、妙なことはしないでくださいね」

 シュアリアはデリア侯爵に、テイラーのことを聞いていた。だからこそ、ギリシスが今度はテイラーを嫁がせようなどと考えないように、釘を刺すことにした。

「妙な事とは何だ!片付いたら、テイラーだったか、あの娘をデリア侯爵家に入れて、嫁がせる手続きをしなくてはならぬだろう」
「片付いた?片付いてなどおりません!」

 シュアリアは片付いたなどという言葉を使うギリシスに、怒りが湧いた。
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