【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】ミリオン王国5

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 シュアリアも疑似番のことを秘匿して、アイルーンが血を抜かれて殺されたとなっていたとしたら、なぜ血を抜く方法を選んだのかと思ったことだろう。

 血が原因でなどと表現されていたら、ミリオン王国もレッドブラウンの瞳の方で、動かなくてはならなかったかもしれないと考えていた。

 だが、デリア侯爵も分かっていなかったように、アイルーンはレッドブラウンの瞳のことは伝えておらず、さらにはアイルーンの血によって、苦しむことになることを聞いた時には、ざまあみろとしか思えなかった。

「二度とこのようなことがないように、きちんと防ぐつもりだ。ミリオン王国にはあまり関係ないかもしれないが、こちらでも気を付けてくれ」
「承知いたしました」

 ミリオン王国は純血種はいないために、番ではなくても子どもは出来るために、疑似番など危険なことをわざわざする必要はないと思うが、子どもを求める者は何をするか分からないのも現実である。

 こちらでも疑似番のことを、整備する必要があると気を引き締めた。

「私からもよろしいでしょうか」

 次に手を上げたのは、デリア侯爵であった。

「勿論だ」
「テイラー嬢から質問を預かっております」

 その言葉に、ディオエルの胸の鼓動はドクドクと動いた。

「妃ではなく、妾だったことはどうして発表されないのでしょうか、という質問を預かっています」

 ルーベンスはテイラー嬢にディオエルが来ること、同席するか、しないとしても何か言いたいことはあるかと、連絡をしていた。

 平民である自分が、同席する必要はないこと。だが、預けた質問だけは聞いて置いて欲しいという返事を貰っていた。

「それは…すまないとは思っているが、こちらの都合で訂正しなかった」
「意図的にということですね?」

 可能性は低いと思ったが、発表するタイミングがなかった、もしくは後日発表される可能性も考えていた。

「妾だったと言えば、混乱を招くという判断であった」
「ディオエル様は、公表した方がいいとおっしゃったのですが、番なのに妾などにしているから、周りが付け上がって、殺されたのだという声も上がるだろうということになりまして、これ以上の混乱を避けるために公表は控えることになりました…大変申し訳ございません」

 すかさずライシードが頭を下げながら、説明を追加した。

 妊娠していたことと一緒に、本人が望んだことではあるが、実際は妃ではなく妾だったことも発表することを相談した際に、このまま妃だったことにした方がいい。

 彼女が殺されず、子どもを無事に産んでいれば、正妃になっており、むしろ妊娠した時点で妃にするべきだったことも指摘されることになった。

「分かりました、テイラー嬢にはそのままを伝えます」
「発表が出来ず、妃となっていることに不満だとは思うが、大変申し訳ないと伝えて置いて貰えるだろうか」
「承知いたしました」

 皆はやり取りを静かに聞いていたが、ギリシスだけは疑問を持ちながら、シュアリアやエレサーレを見たりしていたが、誰も同じように慌てたりすることはなかった。

「お待ちください!彼女は番なのでしょう?妃になるのですよね?」

 ディオエルはその言葉に、力なく小さく首を振ったが、ギリシスの質問はルーベンスへ向かうことになった。

「侯爵、なぜ今日は呼んでいないんだ?」
「皇帝陛下にテイラー嬢の意向を優先して、構わないと言われているからです」
「それでも呼ぶべきだろう!どうしてそんなことも分からないんだ!」
「なぜでしょうか?」
「何を言っているんだ、番だからだろう!今からでも連れて来るように言え…まったく、そんなことも分からないのか」

 ギリシスは自分は手配などはしていなかったが、当然のようにテイラーも同席すると思っていた。
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