【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】腹の中1

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 アイルーンとテイラー、二人をどう思っていたのか。

 どうして、アイルーンとテイラーに酷い態度を取ったのか。

 疑似番には関与していないのか。

 ローズミーのことをどう思っていたのか。

 担当をしたのは、前回も担当をしたマイクス・ドーラド伯爵。現在の騎士団員の中で、冷静で、一番の人格者と言われている。

 イオリクよりも年上で、普段は落ち着きのある、孫もいる身である。

 いつもは丁寧な言葉使いで取り調べをするが、イオリクに関しては前回の最初は丁寧だったが、さすがに無理であった。今回は最初から行う気はなかった。

 マイクスのみが問い掛ける形になるが、それでも肩で息をしている場面も多く、ディオエルが行わなくて良かったと、改めて思った。

 そして、再び報告書として聞き取ったことがまとめられた。

 事実を書くことが求められていることではあったが、これをディオエルは読むと思うだけで、何度も書く手が止まり、溜息をつくほどであった。

 本当に最低な取り調べだった―――。

 イオリクが不死身であったなら、何度も切り殺していただろう―――。

 元より、イオエイクは番には否定的であることは分かっていたが、ディオエルの番にはさらに強さであった。

 〈番など吐き気がする。アイルーンも不愉快な存在だったが、テイラーはもっと不愉快であった〉

 〈だが、ディオエル様のために、テイラーを妃にさせて、子どもを産ませなくてはならない。
 テイラーは、皇帝陛下の番なのだから、この身を捧げますと言うべき、子どもを産みたいですと言うべきだ。それなのに、受け入れないなどあり得ない〉

 〈尊き存在があんな女から生まれて来ることは、心の底から不本意ではあるが、仕方ない。
 生まれてしまえば、引き離して、母親に合わせないようにして、関わらない方がいいと吹き込めばいい。
 アイルーンの時も、そうするつもりだった〉

 吐き気がした。

 アイルーンが生きていたら、そんなことをしようとしていたのか。

 亡くなって良かったなど思ったこともなかったが、そんなことにならなくて良かったと思った。

 だが、この男の考えはもっと酷かった。

 〈アイルーンの子どもを、ローズミーの子どもとして扱えばいいと思っていた。だからこそ、アイルーンに立場を分からせて、コントロールしていた。
 何人か産ませて、ディオエル様にに影響がないか確認のために、引き離して様子を見て、邪魔になるようならば処分すればいいと考えていた。
 だが、子どもを産む前に殺されてしまったら、意味がない〉

 再び吐き気がした。

 テイラーを殺しただけでなく、アイルーンを殺そうとまで考えていたのか。

 ディオエルが疑い続けていたのも、ある意味当たっていた。

 イオリクはアイルーンに、テイラーに殺意を持っていた。

「アイルーン様を殺す気だったのか?」

 自白剤の際の記憶はないとされているが、時系列は違うが、アイルーン様までと言いそうになった。

「子どもを、うませ、れば、つがいなど、いらない、だろう」
「っな!そんなわけがないだろう?子どもが生まれていれば、正妃になる方だったのだぞ?その方を殺す?子どもから引き離す?ふざけているのか?」

 理不尽に殺されたアイルーンに肩入れしていることは分かっているが、ディオエルならともかく、子どもをイオリクの権限で引き離すなどあり得ない。

「お前は自分が皇帝にでもなったつもりなのか?」
「ち、ちが、う。そんな、ことは、あり得ない」

 実際に殺されたアイルーンに、殺すことなどできないとは言えず、ローズミーたちでも殺せたのだから、イオリクにも可能だっただろうことが悔しい。

 疑似番で殺されなくても、イオリクが殺す未来があったというのか。

 自白剤を使用しているために、これがこの男の本物の考えなのである。
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