【完結】ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません

野村にれ

文字の大きさ
28 / 131

力になりたい

しおりを挟む
 エルドールはヨルレアンに頼られたと感じていることで、かつてないほどのやる気を漲らせていた。

 時間があれば、王家にある書物を読み更けていた。閲覧禁止以外は、全て閲覧することが出来る。馬鹿息子扱いでも王族である特権である。

 ヨルレアンも、この国で使っても心が痛まず、力を持った人間であるために、特権を期待して頼むことにした。

 両親も兄も妹も、さすがに奇行ともいうべき行動に、始めは何をしているのかと思ったが、ヨルレアンに頼られて、やる気になっていると聞けば、それならしっかりやらせようと見守ることにした。

 ちなみに兄・ローレルと、妹・メイランにも謝罪をしたが、『お前(お兄様)がそんなに愚かだと思わなかった』と、同じ台詞を言われている。

 エルドールはかつてないほど頑張っていたが、オールエドリレット、もしくはオールドリゥドレットという名前はなかなか見付からない。

 ヨルレアンがあればと言ったことから、ない可能性も高いことは、解読に触れたエルドールにも分かっていた。

 学園でも図書館に行き、歴史が書いてあるような本を借りて来ては読んでいた。

 エルドールの様子をオマリーは、今でもとても気にしていた。

 既に手伝いを断られているので、さすがに再び手伝いたいと申し出ることはしなかったが、エルドールたちが席を外した隙に、机にあったメモを盗み見た。

 エルドールが何か調べているのは、これだったのだと思い、オマリーは勝手に調べ始めることにした。

 そして、エルドールは何も見付けられないまま数日が過ぎ、生徒会室で満面の笑みのオマリーが、エルドールに声を掛けた。

「殿下、こちらを」

 オマリーはエルドールに向かって、書類を差し出した。エルドールは何かの書類かと思い、ああと言いながら受け取ったが、書いてある内容が理解が出来なかった。

「これは?渡す書類を間違えていないか?」
「勝手に申し訳ないとは思ったのですが、どうしても力になりたくて…」

 エルドールは言葉の意味と、書類の意味がさっぱり分からなかった。

「何の話だい?」
「あの、本当に偶然なのですが、殿下の机にメモ書きのようなものが見えて、私も調べてみたのです」
「メモ…?」

 エルドールは勝手に見たのかと不快に思ったが、机に置いてあったならば、目に入ることもあり、責めるほどでもないかと冷静になった。

「何を見たのか知らないが、そのようなことはしなくていい」
「ですが、お忙しそうにしていらしたので、私もお役に立ちたかったのです」

 オマリーは駄目でしたかと言わんばかりに、潤んだ瞳で見つめた。

「心意気だけは受け取って置くが、今後はこのようなことはしなくていい。君には君のやることがあるだろう?」
「きちんとやっておりますので、大丈夫です」
「それなら、私は大丈夫だから他の者を手伝ってやってくれ。誰か、手伝って欲しい者はいるか?」

 エルドールは、ジュニパー以外のメンバーが生徒会室にいたので、見渡しながら声を掛けた。

「では計算を手伝って貰いたいです!」

 声を上げたのは、ローズマリーであった。

「ローズマリー嬢を手伝ってくれ」
「は、はい。ですが、殿下もいつでも言ってください」
「ああ、分かった」

 オマリーは大人しく机に戻って行き、ローズマリーから計算を頼まれていた。エルドールはカイロスと目を合わせたが、二人とも怪訝な表情をしていた。

 しかも、オマリーの持って来た資料は、なぜか楽器のヴァイオリンについてであった。エルドールはヴァイオリンなどと書いた記憶もなく、何のメモを見たのだろうかと思ったが、時間の無駄だと追及する気もなかった。

 夕食の席で、家族に今日のことを話すと、ローレルとメイランも怪訝な表情をしながら、首を傾けた。

「手伝って、手柄が欲しいのか?」
「自分は優秀だと知らしめたいのかしら?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです ※表紙 AIアプリ作成

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

何も決めなかった王国は、静かに席を失う』

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、 表には立たず、裏で国を支えてきた公爵令嬢ネフェリア。 だが―― 彼女が追い出されたのは、嫉妬でも陰謀でもなかった。 ただ一つ、「決める役割」を、国が彼女一人に押しつけていたからだ。 婚約破棄の後、ネフェリアを失った王国は変わろうとする。 制度を整え、会議を重ね、慎重に、正しく―― けれどその“正しさ”は、何一つ決断を生まなかった。 一方、帝国は違った。 完璧ではなくとも、期限内に返事をする。 責任を分け、判断を止めない。 その差は、やがて「呼ばれない会議」「残らない席」「知らされない決定」となって現れる。 王国は滅びない。 だが、何も決めない国は、静かに舞台の外へ追いやられていく。 ――そして迎える、最後の選択。 これは、 剣も魔法も振るわない“静かなざまぁ”。 何も決めなかった過去に、国そのものが向き合う物語。

【完結】結婚しておりませんけど?

との
恋愛
「アリーシャ⋯⋯愛してる」 「私も愛してるわ、イーサン」 真実の愛復活で盛り上がる2人ですが、イーサン・ボクスと私サラ・モーガンは今日婚約したばかりなんですけどね。 しかもこの2人、結婚式やら愛の巣やらの準備をはじめた上に私にその費用を負担させようとしはじめました。頭大丈夫ですかね〜。 盛大なるざまぁ⋯⋯いえ、バリエーション豊かなざまぁを楽しんでいただきます。 だって、私の友達が張り切っていまして⋯⋯。どうせならみんなで盛り上がろうと、これはもう『ざまぁパーティー』ですかね。 「俺の苺ちゃんがあ〜」 「早い者勝ち」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結しました。HOT2位感謝です\(//∇//)\ R15は念の為・・

【完結】え、別れましょう?

須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」 「は?え?別れましょう?」 何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。  ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?  だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。   ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

手放してみたら、けっこう平気でした。

朝山みどり
恋愛
エリザ・シスレーは伯爵家の後継として、勉強、父の手伝いと努力していた。父の親戚の婚約者との仲も良好で、結婚する日を楽しみしていた。 そんなある日、父が急死してしまう。エリザは学院をやめて、領主の仕事に専念した。 だが、領主として努力するエリザを家族は理解してくれない。彼女は家族のなかで孤立していく。

処理中です...