【完結】ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません

野村にれ

文字の大きさ
85 / 131

分不相応な侯爵令嬢

しおりを挟む
 グルダイヤ侯爵は当たり前だが、ヨルレアンの立場も、解読を行っていることも知っており、休んでいるのも病気ではないだろうと考えている。

 重い病などだったら、大騒ぎになって、ルエルフ王国からも動きがあるはずだ。

 解読については責任感の強いヨルレアンに付け込んで、王子の婚約者なのだから、役に立たないといけませんよと言って、上手く使おうとはしたが、他の者も押し付けていたことでバレてしまい、使えなくなってしまった。

 グルダイヤ侯爵は『振り返る女』のモデルの解読には関わっていないにも関わらず、おかげで関わらせて貰えなかったと思っていた。

 だが、偶然にもルスデン王国の聖女のことを聞き、神は私に力を与えてくれたのだと思った。

 勿論、事実なのかはきちんと確認をしにルスデン王国へ向かった。

 すると、アリナ・ハッソはどこでもいそうな令嬢で、派手さはないが可愛らしい令嬢であった。だが、文字を読むことには長けていた。古代語も読めるところも、しっかりと確認した。

「クリスティーナ嬢は、エルドール殿下と親しくしているのですか?」
「ええ、そうなの。何度もお話をした間柄なの」

 どうにかお見舞いに行きたいクリスティーナは、必死であった。

 お見舞いに行き、その姿を見せつけ、エルドールの弱った心を私が癒すのだと、私が聖女と呼ばれるのではないかしらとすら想像していた。

 婚約者は公爵令嬢らしいが、私も侯爵令嬢で、ルスデン王国では裕福な家なのだから、そう変わりはしないと判断もしていた。

 グルダイヤ侯爵はクリスティーナの言うことが事実なのかは分からないが、確かにエルドールとヨルレアンが上手くいっているとは思えない状況であった。

 それでも王家は、ヨルレアンを手放すわけにはいかないだろうと思っている。

 だが、聖女アリナの力を見せ、息子と結婚すれば、グルダイヤ侯爵家は王家から無視が出来ない存在、いや重用される、願われる立場となる。

 そのことを考えるだけで、頬が緩む。

 正直、グルダイヤ侯爵にはクリスティーナがエルドールと懇意にしても、旨味はない。

 むしろ、王家とオズラール公爵家やルエルフ王国を敵に回して、今の時点で勝てるとはさすがに思っていない。

「私には何も出来ませんよ、婚約者のいる殿下にあなたを向かわせでもしたら、私は婚約を破談にしようと企んだなんて言われたら困りますからね」
「でも!」
「婚約者がいるのですから、侯爵令嬢なら分かりますでしょう?」

 ルスデン王国でも、婚約者がいれば、言い寄ってはならないのは同じというよりは、一般的な常識である。

「それはそうだけど…」
「そもそも、お具合の悪いところに会わせては貰えないでしょう」
「では、お花だけでも」
「私には出来ません。親しいとしても、何をしても、あなたが横恋慕しているように取られてしまいますよ?まさか、婚約者のいる王子殿下に、好意を抱いているとでもおっしゃるのですか?」
「そこまでではないけど…仲良くして置いて良い相手じゃない」

 グルダイヤ侯爵は、もしかしたらクリスティーナは婚約者を探そうとでも思って、短期留学に付いて来たのかもしれないと察した。

 クリスティーナもだが、アリナもファミラも婚約者はいないと聞いていた。

 ペーラー侯爵家がルスデン王国で、どのような立ち位置なのかは知らないが、性格も気位が高く、見た目の良いとは言えないクリスティーナは、金や地位で婚約をするのだろうなとしか思えなかった。

 それをよりにもよって、王子に目を付けるなんて、分不相応としか思えない。

「私は王家に盾突くことは出来ませんから、ご協力は出来ません」
「もう!分かったわ」

 ぷりぷりしながら、クリスティーナは去って行き、グルダイヤ侯爵はあれがアリナではなくて、良かったとすら思った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

本日もお読みいただきありがとうございます。

本日は急遽1日2話、投稿させていただきます。
17時にもう1話、投稿します。

どうぞよろしくお願いいたします。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです ※表紙 AIアプリ作成

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

何も決めなかった王国は、静かに席を失う』

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、 表には立たず、裏で国を支えてきた公爵令嬢ネフェリア。 だが―― 彼女が追い出されたのは、嫉妬でも陰謀でもなかった。 ただ一つ、「決める役割」を、国が彼女一人に押しつけていたからだ。 婚約破棄の後、ネフェリアを失った王国は変わろうとする。 制度を整え、会議を重ね、慎重に、正しく―― けれどその“正しさ”は、何一つ決断を生まなかった。 一方、帝国は違った。 完璧ではなくとも、期限内に返事をする。 責任を分け、判断を止めない。 その差は、やがて「呼ばれない会議」「残らない席」「知らされない決定」となって現れる。 王国は滅びない。 だが、何も決めない国は、静かに舞台の外へ追いやられていく。 ――そして迎える、最後の選択。 これは、 剣も魔法も振るわない“静かなざまぁ”。 何も決めなかった過去に、国そのものが向き合う物語。

【完結】結婚しておりませんけど?

との
恋愛
「アリーシャ⋯⋯愛してる」 「私も愛してるわ、イーサン」 真実の愛復活で盛り上がる2人ですが、イーサン・ボクスと私サラ・モーガンは今日婚約したばかりなんですけどね。 しかもこの2人、結婚式やら愛の巣やらの準備をはじめた上に私にその費用を負担させようとしはじめました。頭大丈夫ですかね〜。 盛大なるざまぁ⋯⋯いえ、バリエーション豊かなざまぁを楽しんでいただきます。 だって、私の友達が張り切っていまして⋯⋯。どうせならみんなで盛り上がろうと、これはもう『ざまぁパーティー』ですかね。 「俺の苺ちゃんがあ〜」 「早い者勝ち」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結しました。HOT2位感謝です\(//∇//)\ R15は念の為・・

【完結】え、別れましょう?

須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」 「は?え?別れましょう?」 何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。  ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?  だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。   ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

手放してみたら、けっこう平気でした。

朝山みどり
恋愛
エリザ・シスレーは伯爵家の後継として、勉強、父の手伝いと努力していた。父の親戚の婚約者との仲も良好で、結婚する日を楽しみしていた。 そんなある日、父が急死してしまう。エリザは学院をやめて、領主の仕事に専念した。 だが、領主として努力するエリザを家族は理解してくれない。彼女は家族のなかで孤立していく。

処理中です...