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お友達
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「アウラ。リラ・ブラインたちがパーティーを行うそうだ」
「パーティー?」
「自由なパーティーだそうだ」
「何それ、妙なパーティーではないでしょうね。あの子は一体誰を狙っているのかしらね」
「数が多くて、分からないな」
リラ・ブラインは男女、身分を問わず、誰でもお友達になってくださいと、声を掛けて、そのお友達を増やした。高位貴族は親世代からも先輩からも風紀を乱す者が現れることは聞いているため、警戒されて、一定の距離を保っている。
それでもリラ・ブラインは何度も何度も、諦めずに話し掛ける。それで話をするようになった者も実際におり、ルカスもその一人である。
「パーティーなら学園外でしょう?そうなれば、貴族ルールとなるけど、学園では罰せられないというところかしら」
「そうだな。どちらにせよ、おそらく年末の夜会で一堂に会することになるかな。アウラはもうドレスも届いているもんな、ステファニーが同じ色にすると言って注文していたよ」
「皆もそろそろ限界ってところね」
「ああ、余計な者が出てきたせいで、計画を狂わされたら堪らないからな。ブルーノ殿下がまた年末の夜会に向けて、来るらしいな」
「そうなのよ、お忍びらしいけど、あれが忍べるのかしら?」
アウラージュはあのナルシストが大人しくしているとは思えないと思っている。アウラージュが次に姿を現すのは年末の王家の夜会となる。
リラ・ブラインはルカスにパーティーの招待状を持って、話し掛けた。どうやらパーティーの招待券を配っているらしい。
「ルカス様、パーティーの件なのですけど、14日なのですがいかがですか」
「申し訳ない、勉強もあるが、婚約者がいない場に行くことは出来ないんだ」
「では、婚約者も一緒にいらっしゃればいいじゃない」
「それは出来ないよ」
「そうですよね、王太子様ですものね。皆さん、不自由で息が詰まらないのかしら。王太子様は特にではありませんか」
ルカスとシュアリーは現在、手詰まりな状態である。シュアリーは不自由だと感じているだろう、だがアウラージュは物心ついた頃からしっかりと教育をされていたが、シュアリーは厳しい教育を始めて1年も経っていない。
「君だって婚約者はいいのか?」
「この前は婚約者と言ってしまいましたが、婚約の約束をしているだけだから、正確には婚約者ではないの」
「誰なのか聞いてもいいのかい?」
「いえ、申し訳ないのですが、婚約をしてはいないから、お互いに明かすことは出来なくて。気になりますか?」
リラは甘い顔をルカスに向け、微笑み、ルカスは思わず顔を逸らした。
「いや、てっきり君は自由を愛する人だから、婚約者はいないものだと思っていたからね。驚いたのだよ」
「私は自由を愛したい者ですから、人生は思い通りに行きませんわ」
「嫌な相手なのか?」
パトリックも驚いていたように、一体誰なのか気になるが、根掘り葉掘り聞いて、変な噂になっても困る。
「嫌という訳ではないですが、自由がなくなるというのは私には辛いことなのです。話したい相手と話し、一緒にいたい相手と時間を過ごし、別にいかがわしい関係ではないのに、そう思われる社会が嫌なのです」
「その相手と婚約したくないということかい?」
「難しいところですわね、いいお相手だとは思うのです。いずれしなければならないことは分かっていますから、折り合いを付けるべきなんでしょうね。だから今だけは自由に生きたいと思っているのです」
「それで同じ気持ちの人を探しているのか」
「同じ気持ではなくても構いません、こんなことを思っている人もいると知ってくれたらいいと思ってのことです」
真っ向から否定することは出来ない内容だが、リラ・ブラインにそこまでの影響力があるとも思えないところである。
「パーティー?」
「自由なパーティーだそうだ」
「何それ、妙なパーティーではないでしょうね。あの子は一体誰を狙っているのかしらね」
「数が多くて、分からないな」
リラ・ブラインは男女、身分を問わず、誰でもお友達になってくださいと、声を掛けて、そのお友達を増やした。高位貴族は親世代からも先輩からも風紀を乱す者が現れることは聞いているため、警戒されて、一定の距離を保っている。
それでもリラ・ブラインは何度も何度も、諦めずに話し掛ける。それで話をするようになった者も実際におり、ルカスもその一人である。
「パーティーなら学園外でしょう?そうなれば、貴族ルールとなるけど、学園では罰せられないというところかしら」
「そうだな。どちらにせよ、おそらく年末の夜会で一堂に会することになるかな。アウラはもうドレスも届いているもんな、ステファニーが同じ色にすると言って注文していたよ」
「皆もそろそろ限界ってところね」
「ああ、余計な者が出てきたせいで、計画を狂わされたら堪らないからな。ブルーノ殿下がまた年末の夜会に向けて、来るらしいな」
「そうなのよ、お忍びらしいけど、あれが忍べるのかしら?」
アウラージュはあのナルシストが大人しくしているとは思えないと思っている。アウラージュが次に姿を現すのは年末の王家の夜会となる。
リラ・ブラインはルカスにパーティーの招待状を持って、話し掛けた。どうやらパーティーの招待券を配っているらしい。
「ルカス様、パーティーの件なのですけど、14日なのですがいかがですか」
「申し訳ない、勉強もあるが、婚約者がいない場に行くことは出来ないんだ」
「では、婚約者も一緒にいらっしゃればいいじゃない」
「それは出来ないよ」
「そうですよね、王太子様ですものね。皆さん、不自由で息が詰まらないのかしら。王太子様は特にではありませんか」
ルカスとシュアリーは現在、手詰まりな状態である。シュアリーは不自由だと感じているだろう、だがアウラージュは物心ついた頃からしっかりと教育をされていたが、シュアリーは厳しい教育を始めて1年も経っていない。
「君だって婚約者はいいのか?」
「この前は婚約者と言ってしまいましたが、婚約の約束をしているだけだから、正確には婚約者ではないの」
「誰なのか聞いてもいいのかい?」
「いえ、申し訳ないのですが、婚約をしてはいないから、お互いに明かすことは出来なくて。気になりますか?」
リラは甘い顔をルカスに向け、微笑み、ルカスは思わず顔を逸らした。
「いや、てっきり君は自由を愛する人だから、婚約者はいないものだと思っていたからね。驚いたのだよ」
「私は自由を愛したい者ですから、人生は思い通りに行きませんわ」
「嫌な相手なのか?」
パトリックも驚いていたように、一体誰なのか気になるが、根掘り葉掘り聞いて、変な噂になっても困る。
「嫌という訳ではないですが、自由がなくなるというのは私には辛いことなのです。話したい相手と話し、一緒にいたい相手と時間を過ごし、別にいかがわしい関係ではないのに、そう思われる社会が嫌なのです」
「その相手と婚約したくないということかい?」
「難しいところですわね、いいお相手だとは思うのです。いずれしなければならないことは分かっていますから、折り合いを付けるべきなんでしょうね。だから今だけは自由に生きたいと思っているのです」
「それで同じ気持ちの人を探しているのか」
「同じ気持ではなくても構いません、こんなことを思っている人もいると知ってくれたらいいと思ってのことです」
真っ向から否定することは出来ない内容だが、リラ・ブラインにそこまでの影響力があるとも思えないところである。
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