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国王と第一王女1
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言い合いで、話し合いとも呼べないような場はようやく解散となり、アウラージュとディエンス陛下だけとなった。アウラージュはいずれ、陛下と今後について話をしようと思っており、陛下も分かっていた。
「リラ・ブラインの件は任せていただき、ありがとうございました」
「いや、ご苦労だった」
アウラージュはリラ・ブラインの件は未遂だったため、自身に任せてもらうようにブラックア公爵家を通して、陛下に頼んだのである。
「マレリアと仲が良かったんだな」
「あの頃はお忙しそうでしたからね」
「マレリアがいれば、シュアリーもあんな風にはならなかっただろうな」
「そうですね、でも離縁されていた可能性はありますよね?」
「っえ」
「マレリア様は、離縁したかったとおっしゃっていましたよ。妊娠中に浮気しようとしたんでしょう?」
「誤解だ、浮気はしていないんだ」
「したではなく、しようとしていたとおっしゃっていたわ。自分が妊婦で辛いのに、許せないと」
「あああ…」
メイドに口付けされそうになったところを、悪阻でげっそりしていたマレリアに見付かり、箒でどつき回された。
「私の両親が亡くなってしまったから、有耶無耶にされてしまったのよね。私も責任を感じましたけど、あなたのせいでは、これぽっちもありませんからねと何度も言われましたわ。悪いのは陛下だけだと。クソ野郎、絶対に許さない、禿げ散らかったところをむしり取ってやると」
「…そんな」
「私の代わりに敵を取って頂戴と、むしり取る厳命まで受けたの。根菜を抜くように思い切りやるように言われたわ」
「マレリア…彼女なら言いそうだ」
ディエンスは口の悪い、気の強いマレリアが大好きであった。メイドのことも、マレリアの悪阻の相談をしていた際にうっかり隙を作ってしまっただけだった。
「陛下はなぜそんなにしがみ付いているのですか?マレリア様からなりたくないと聞いていたのに」
「マレリアと絶対に別れたくなかったんだ」
「陛下も父と同じで、利用したんですね。父も母を娶るために王位を継いだと言っていましたわ」
「似たもの兄弟だな。王妃となればなかなか離縁は難しいだろうと思ってな。それでもしがみ付いたのは、成果を残したいと…思ってだな」
「残しているではありませんか」
「だが、あれはほとんど兄上が」
「それでも実現させたのは陛下じゃないですか」
「…ああ、でも、そうだな」
始めに和睦交渉をしていたのは兄のシュールズだった。自身はただ引き継いだだけだと、自信がなかった。でもきっと兄ならアウラージュと同じことを言っただろう。
アウラージュはシエン皇女に似ているが、時折見せる表情や言葉は『任せろ、ディエンス』と、いつも私の前を行く逞しいシュールズを彷彿とさせる。
「でも私に戻さなかったのは、逆に良かったと言えますわ」
「いつからホワイトア公爵家に戻そうと思っていたんだ?」
「父から聞いていたのもあるけど、ホワイトア公爵家はずっと王太子教育をしていると聞いた時かしら?一生続いていてしまうのではないかとね」
ホワイトア公爵家は叙爵されてからずっと王太子教育を子に続けている。
「生まれだけで言えば、私にホワイトアは敵わないのも分かっていたわ。だから、婚約を解消した時に、やっと動けると思ったの。リオンでもマーガレットでもいい王太子になると思えましたからね」
「シュアリーには無理だと」
「陛下も分かっていたでしょう?責任を取れるような子ではないわ。今まで誰かにやって貰って当たり前の人間なのよ。現実を知るいい機会だと思ったの、陛下にも納得してホワイトアに移して欲しかったですからね」
「だが、アウラージュは頑張って」
「与えられた勉強くらいするわ。当たり前じゃない?誰かさんじゃないんだから」
「そうだな…」
「リラ・ブラインの件は任せていただき、ありがとうございました」
「いや、ご苦労だった」
アウラージュはリラ・ブラインの件は未遂だったため、自身に任せてもらうようにブラックア公爵家を通して、陛下に頼んだのである。
「マレリアと仲が良かったんだな」
「あの頃はお忙しそうでしたからね」
「マレリアがいれば、シュアリーもあんな風にはならなかっただろうな」
「そうですね、でも離縁されていた可能性はありますよね?」
「っえ」
「マレリア様は、離縁したかったとおっしゃっていましたよ。妊娠中に浮気しようとしたんでしょう?」
「誤解だ、浮気はしていないんだ」
「したではなく、しようとしていたとおっしゃっていたわ。自分が妊婦で辛いのに、許せないと」
「あああ…」
メイドに口付けされそうになったところを、悪阻でげっそりしていたマレリアに見付かり、箒でどつき回された。
「私の両親が亡くなってしまったから、有耶無耶にされてしまったのよね。私も責任を感じましたけど、あなたのせいでは、これぽっちもありませんからねと何度も言われましたわ。悪いのは陛下だけだと。クソ野郎、絶対に許さない、禿げ散らかったところをむしり取ってやると」
「…そんな」
「私の代わりに敵を取って頂戴と、むしり取る厳命まで受けたの。根菜を抜くように思い切りやるように言われたわ」
「マレリア…彼女なら言いそうだ」
ディエンスは口の悪い、気の強いマレリアが大好きであった。メイドのことも、マレリアの悪阻の相談をしていた際にうっかり隙を作ってしまっただけだった。
「陛下はなぜそんなにしがみ付いているのですか?マレリア様からなりたくないと聞いていたのに」
「マレリアと絶対に別れたくなかったんだ」
「陛下も父と同じで、利用したんですね。父も母を娶るために王位を継いだと言っていましたわ」
「似たもの兄弟だな。王妃となればなかなか離縁は難しいだろうと思ってな。それでもしがみ付いたのは、成果を残したいと…思ってだな」
「残しているではありませんか」
「だが、あれはほとんど兄上が」
「それでも実現させたのは陛下じゃないですか」
「…ああ、でも、そうだな」
始めに和睦交渉をしていたのは兄のシュールズだった。自身はただ引き継いだだけだと、自信がなかった。でもきっと兄ならアウラージュと同じことを言っただろう。
アウラージュはシエン皇女に似ているが、時折見せる表情や言葉は『任せろ、ディエンス』と、いつも私の前を行く逞しいシュールズを彷彿とさせる。
「でも私に戻さなかったのは、逆に良かったと言えますわ」
「いつからホワイトア公爵家に戻そうと思っていたんだ?」
「父から聞いていたのもあるけど、ホワイトア公爵家はずっと王太子教育をしていると聞いた時かしら?一生続いていてしまうのではないかとね」
ホワイトア公爵家は叙爵されてからずっと王太子教育を子に続けている。
「生まれだけで言えば、私にホワイトアは敵わないのも分かっていたわ。だから、婚約を解消した時に、やっと動けると思ったの。リオンでもマーガレットでもいい王太子になると思えましたからね」
「シュアリーには無理だと」
「陛下も分かっていたでしょう?責任を取れるような子ではないわ。今まで誰かにやって貰って当たり前の人間なのよ。現実を知るいい機会だと思ったの、陛下にも納得してホワイトアに移して欲しかったですからね」
「だが、アウラージュは頑張って」
「与えられた勉強くらいするわ。当たり前じゃない?誰かさんじゃないんだから」
「そうだな…」
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