愛されて、愛されて、愛されて

野村にれ

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禁術

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 禁術を使用していないことを証明する水晶が置かれている部屋に着き、カロンが鍵を開け、フランアールは水晶に手を置いた。

 ピカーッと光ったが、すぐに消滅して、透明の水晶に戻った。

「異常ございません」
「はい」
「ビードルトラン様、いかがですか?」
「ああ、しっかり見届けた。神官長、私も調べてはもらえますか」
「ええ、どうぞ」

 ルジエールも水晶に手を置くと、同じようにピカーッと光ったが、すぐに消滅して、透明の水晶に戻った。

「異常ございません」
「ありがとうございます、私も調べないとフェアではないからな」
「そうでございますね、カロン様ありがとうございました」
「いえいえ」

 カロンはフランアールににこにこと微笑み、優しい空気が流れた。

「では、帰りましょうか」
「あっ、もういいのか……?」
「ええ、今日は予定外ですから、長居は良くありませんわ」
「そうか」
「カロン様、また来ますわね」
「お待ちしております」

 二人は馬車に戻り、揺られながら、フランアールは外を見ているだけで絵になっていた。実際はフランアールを見つめるルジエールを含めても、絵になっている。

「来週のパーティーをエスコートさせてもらえるか」
「まあ」
「それで、私と一緒にいることが嫌でなければ、契約結婚に向けて、婚約をして欲しいと考えている」

 胸がドキリとすることは気になるが、フランアールほどの相手はなかなかいないだろう。両親も周りも、納得することは間違いない。

 だが、互いに苦痛がないようにしなくてはならない。

「承知いたしました、ドレスは何でもよろしいかしら?」
「そうか、ドレス……私が贈ろう」
「いいえ、沢山ありますので、希望があればと思ったのですが、特にないですか?」
「特にはない」
「分かりました、また時間など教えてくださいませ」

 そんな話をしていると、ヴァッサム公爵邸に着き、フランアールはあっさりと帰って行った。

 帰りの馬車で、ようやくエバンファストが口を開いた。

「いかがでしたか?」
「問題があるわけはないだろうが、噂は少なからず本当だったんだな」
「噂ですか?」
「微笑まれると溶けてしまうと」

 フランアールを見たことがなかったわけではないが、目の前に座って話すようなことはなかった。ゆえに解けるなど比喩だと思ったが、自身で実感したことで、国王夫妻のことも大袈裟ではなかったのだろうと思ったくらいである。

「溶けそうだったのですか?」
「いや、そうではないが、美しいとは思った」

 美しい女を美しいという美しい男に、エバンファストは美しいしかないじゃないかと考えていた。

「エバンも思っただろう?」
「はい、令嬢の友人がいとこなのですが、ずっと一緒にいる彼女ですら思うそうですから」
「だが、魅了などではない」
「はい、証明もされましたし、そういった力ではないのでしょう」
「不思議だな……」
「はい……」

 家族の溺愛もそうだが、ルジエールも水晶も否とするならば、疑う余地はない。

 そして、本人も自覚があるようで、慣れている様子であった。

 何かあるのなら、カサリアが言わないわけがない。

 一方、邸に帰ったフランアールはリートルとルキュアとケーシュアとラバエミールに囲まれていた。

「どうだったの?嫌な思いはしなかった?」
「しなかったわ、教会もいつも通りだったわ」
「そう……」
「フランに貶すようなところがあるわけないんだから」
「来週のパーティーに同行して、お互い嫌ではなかったら、話を進めようってことになったわ」

 皆は駄目なら駄目でいい、むしろその方がいいかもしれないとは考えていた。

 だが、契約結婚の相手として、ルジエールならフランアールに無体なことをすることはない安心感があるために、受け入れてくれるのなら、価値はあるのではないかと期待もしていた。

 すべては結婚を諦めてしまったフアンアールのためが、前提である。
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