愛されて、愛されて、愛されて

野村にれ

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お相手

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「もしも、こちらに結婚したい方が見付かったら?」
「できれば、二年待って欲しいが、難しいなら、それまでのお金は出す!」

 カサリアでも、愛のない契約結婚ならば、妻に有利な破格の条件である。

「それでどうだろうか!何か要望があれば、追加で増やすことも可能だ!ご両親にも話すし、資産ならあるからな」
「王都に住むの?それとも、領地?」
「都合のいい場所で構わない」
「今の生活を変えないということは可能かしら?」

 とにかく自由に動けることが、重要となる。あの傾国も意図も簡単に起こしそうな親友は、公爵夫人に相応しいと言えば、相応しいのだが、それだけでは済まない。

「どんなことだい?」
「自由な生活という意味なんだけど……」
「お金が掛かる令嬢なのかな?」
「いや、お金は欲しいとは言っているけど、お金はあまり掛からないというか、掛けられ過ぎているだけというか」

 それはもうお金も愛情も、ふんだんに掛けられている令嬢である。

「ん?パーティー好きとか?」
「パーティーはあまり好きではないわね」

 友人はパーティーにどうしても出席する時は、食事をするという目的である。

「手伝いに行ったりは可能かしら?」
「手伝い?どこへ?」
「孤児院とか、母子保護施設とか」
「え?素晴らしいことじゃないか。でも、高位貴族なんだよね?」

 貴族として慈善活動として寄付を行ったり、手伝いに行ったり、バサーに参加したりすることは、当然のことである。

「ええ、お祖母様が王家出身の公爵令嬢よ」
「まさか、フランアール・ヴァッサム公爵令嬢?」
「ええ、そうよ」
「いや、高位貴族過ぎる!」

 カサリアの親友だということは、エバンファストも知っていたが、まさか相手として挙げられるとは思わなかった。

「姉君のラバエミール・ヴァッサム公爵令嬢が結婚した今、彼女は貴族令嬢のトップじゃないか!」

 フランアール・ヴァッサム公爵令嬢、こちらも微笑まれると溶けてしまうと言われるほどの絶世の美女である。

「ええ、そうなのだけど、結婚する気が無いのよ!ご両親もね、幾度となく教育を施したのだけど、そこだけは響かないのよ。かといって不幸になるような結婚はさせたくないじゃない?」
「なぜ結婚したくないのだ?公爵家は仲が良いだろう?」

 上手くいっていない家族であれば、愛人などを持っており、結婚したくないと思うこともあるかもしれないが、ヴァッサム公爵家は絵に描いたように仲が良い。

 そして、その中心にいるのがフアンアールである。

 どこまで本当か分からないが、生まれた時には天使かと思った。あまりにも可愛いから誘拐や、悪魔が連れ去ってしまうかもしれないと言っていたそうだ。

 確かにフアンアールは少し癖のあるくるくるとした、青み掛かったシルバーの髪色に、アンバーの神秘的な大きな瞳に、白い肌。他の家族は父と兄は黒、母と姉はフランアールと比べると暗いシルバーの髪色である。

 瞳の色は青い瞳の母親以外、アンバーの瞳である。

 そして、フランアールの青み掛かったシルバーの髪色は王家から嫁いだ祖母の色、癖毛は祖父の遺伝であった。

 両親も兄と姉も、フアンアールを溺愛しているのは有名である。両親は兄も姉もフアンアールも大事に育てているが、兄と姉がフアンアールが優先と言うために、自ずと皆で溺愛となる。

 兄も姉もそこまで年が離れているわけではないのに、妹自慢はもはや挨拶というレベルである。

「ええ、理由があるけど、友人として差し控えるわ」
「そうだな、こちらも理由がある以上、契約結婚なのに問い詰める訳にはいかないね。彼女なら願ったり叶ったりだが、大丈夫なのか?」
「言ったでしょう?ご両親も心配されているって」
「ああ、なるほど……もしかして、カサリアも相談されているのか?」
「まあね」
「私たち同じじゃないか!」

 エバンファストはカサリアの手を取り、再び目を爛々とした。
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