愛されて、愛されて、愛されて

野村にれ

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作戦

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「待て、こちらに相手が出来たら公爵家は怒らないか?」

 フランアールにできるのはいいが、ルジエールにできた場合は、娘を蔑ろにしてということにならないか?

「そこはフランがどうにかするわよ」
「危険すぎやしないか」
「でも上手くすれば、ご家族も彼女も、この提案に乗ると思うわよ?」
「本当か?」

 カサリアはビードルトラン公爵家側は分からないが、フアンアールもご家族も絶対ではないが、高い確率で勝算があった。

「フランはせめて一度くらい結婚しなさいと言われていて、ご家族も溺愛はしているけど結婚はして欲しいの。だから、可能性はあると思うわ」
「納得してもらえばいいということか……だが、愛のある結婚ではないのだぞ?」
「だから、愛がないのはお互い様でしょう?」
「それはそうだけど」
「どちらかが愛して愛されないよりも、始めからない方がいいじゃない」

 エバンファストはそれでも相手がフアンアールであるために、本当にいいのかと首を傾げたが、親友のカサリアが言うのならば、任せてみるのもいいかと考えた。

「会わせてみるか?」
「待って、ルジエール様は納得しているのよね?」
「ああ、もちろんだ」

 ルジエールは両親の気迫によって、渋々ではあるが、納得はしている。

 おかしな女でなければいいと言っており、おかしいどころか、最上級の令嬢を宛がうことになるが、話がまとまれば、見た目だけはお似合いの二人だと思った。

「先に両家の両親たちを会わせるのはどう?ヴァッサム公爵家は、おそらくお兄様とお姉様もいらっしゃるとは思うけど」
「それは構わないと思うけど」
「では、本人たちにはその後ってことで、大丈夫よ。私も立ち会うから」
「よろしく頼む」

 そして、エバンファストはビードルトラン公爵夫妻へ、カサリアはヴァッサム公爵家に話を持ち掛けることにした。

 ビードルトラン公爵夫妻は、目をぱちくりして、何度か瞬きをした。

「お金に、いや、困っているはずがない」
「そうよ、失礼だわ。でも、本当に?あの可愛らしい、美しいお嬢様でしょう?」
「はい。微笑まれただけで、胸が苦しくなる。何も手につかなくなると、言われているフランアール嬢でございます」

 ルジエールの父・ジスラット、母・マーガレットもフアンアールのことを知らないはずがなく、むしろ幼い頃から目を引く存在であったた。

「だが、彼女ならいくらでも縁談があるだろう」

 サジューモア王国では、昔は10代の結婚が当たり前だったが、現在は20代になってからと推奨されている。

 アカデミーで出会って婚約しても、卒業後すぐに結婚するのではなく、働きに行ったり、婚家に慣れるために学びに行ったりと、ゆっくり育んでいく。

 いくら貴族でも、これから一生のことなのだから、慌ててもいいことはない。これが多く破綻したり、悲劇を少しでも減らそうと考えられた対策であった。

 ルジエールは既に23歳ではあるが、フアンアールは19歳である。

「結婚したくないそうなのです」
「え?」
「えっ?いえ、でもルジエールと違って、あんな素敵なお嬢さんに婚約者がいないこと自体がおかしいものね。そういうことだったのね」
「理由を聞くことは、失礼だよな」
「はい、それは私も存じ上げません」
「でも、本当に契約結婚など受けていただけるのか?」

 いくら理由があっても、ジスラットもマーガレットも、フランアールに契約結婚を持ち掛けることに、及び腰になっていた。

「私の従兄妹であるカサリア・リングスが、フランアール嬢の親友なのです。上手くいけば、ご家族も本人も受け入れると言うのです」
「リングスのお嬢さんが、そうなのか」

 息子が変わり者のルジエールであるために、友人を連れて来ることもなく、子ども世代の交友関係までは詳しくなかった。
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