愛されて、愛されて、愛されて

野村にれ

文字の大きさ
8 / 42

本当の顔合わせ1

しおりを挟む
「おじ様たちも、一度結婚すれば納得するかなって言っていたでしょう?とりあえず会ってみて、内容もしっかり聞いて、それで良ければ契約結婚してみたら?爵位も同じなんだから、嫌なら断れるわ」
「カサリアはいいと思う?」
「胸を張っていいとは言えないけど、経験としてはいいんじゃないかな」
「会ってみようかな、カサリアも結婚するんだものね」
「そうね」

 カサリアは婚約中で、二つ年上のアルファール・メアリード侯爵令息と、一年後に結婚を控えている。

「期間限定だけど、カサリアと夫人って呼び合うのもいいわね」
「そんなこと?」
「だって経験でしょう?」
「そうねぇ」

 カサリアは会うというところまで、納得してもらったのだが、フランアールの思考はカサリアもすべて分かっていない。

 と言うよりは、特殊過ぎて分かりようがない。

 リートルとルキュア、ケーシュアとラバエミールに了承したと話すと、複雑な思いがありながらも、日程を調整しようということになった。

 ルジエールにも、ようやく縁談の相手がフランアールだと知ることになった。

「ヴァッサム公爵令嬢……の次女」
「そう、あの幼い頃からお可愛らしい。国王陛下があまりの可愛さに、飲み込んでしまいたいとおっしゃられたフランアール嬢だ」
「え?飲み込んで?」
「目に入れるくらい容易い、飲み込んで、誰にも見せずに育てたいと言い放った可愛さなの」
「え?」

 ジスラットもマーガレットも、冗談を言う質ではなく、表情も真剣であった。

「王妃陛下も、私の娘になってと縋りつき、いえ、私の娘じゃないかしらと泣き出したそうよ。私も幾度となく、見とれてしまいましたわ……」
「は、はあ……」
「粗相のないようにするのですよ?」
「ですが、そのような令嬢が、契約結婚を受け入れたのですか?」
「まだ受け入れたのではありません!話を聞いてからです。なぜそのような自分が当然選ばれる立場だと思っているのか……」
「は、はい……」

 ルジエールもマーガレットの呆れたような言葉に、恥ずかしくなった。

 そして、いよいよ、ルジエールとフランアールが顔合わせをする日となった。

 ビードルトラン公爵家で行われることになり、リートルとルキュアに付き添われることにはなったが、庭で行われているお茶会の席を、邸内から見守ることになった。

 お互い顔は知っているルジエールとフアンアールは、美しい顔を向き合わせた。

「美人だな……」
「まあ、お褒めいただき光栄です」

 フランアールがにっこりと笑うと、ルジエールはなぜ自分がそんなことを挨拶をする前に言ってしまったのかと、自身に驚いた。

「ビードルトラン公爵令息様も美しいですわよ?」

 再び、フランアールがにっこりと笑うと、ルジエールの胸はドキリとした。

「魅了か?いや、違うな」

 ルジエールが魅了を感じないはずがない。

「失礼ですわね、魅了なら物心つく前から調べております」
「そう、なのか?」
「ええ、もしかしたらと思ったそうですが、ずーっと否ですわ」
「いや、すまない、失礼した」

 魅了など禁忌とされる魔術を疑ったのは、魔術師としても、人としても、失礼であったと素直に反省した。

「だが、君は本当に契約結婚してもいいのか?こんな馬鹿な契約にヴァッサム家が許すのか?」

 窓に張り付いていると言っても過言ではない、二人の両親の様子に視線を向けると、ジスラットとマーガレットは視線を外したが、リードルとルキュアはルジエールというより、フランアールに釘付けである。

「そこは上手くやりましょう。私は一度結婚したという事実と、いくらでもお金が欲しいのです」
「正直者だな」
「契約ですもの。正直な方がよろしいでしょう?」
「契約結婚と家族が知っているのなら……大丈夫か……」
「それもありますわね、契約結婚だと二人しか知らないのであれば、色々と細工が必要ですけど、欺くのは周りだけでいいのです」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

【完結】あなたの愛は今どこにありますか

野村にれ
恋愛
頭では理由を付けて分かった振りをしても、理屈ではない。 分かりたくないことは、受け入れられない。 どうしても、叶わないことはある。 それならば、私はどうするべきか。どう生きて行くべきか。 (ひどく捻くれた話になっております)

私を追い出したければどうぞご自由に

睡蓮
恋愛
伯爵としての立場を有しているグルームは、自身の婚約者として同じく貴族令嬢であるメレーナの事を迎え入れた。しかし、グルームはその関係を築いていながらソフィアという女性に夢中になってしまい、メレーナに適当な理由を突き付けてその婚約を破棄してしまう。自分は貴族の中でも高い地位を持っているため、誰も自分に逆らうことはできない。これで自分の計画通りになったと言うグルームであったが、メレーナの後ろには貴族会の統括であるカサルがおり、二人は実の親子のような深い絆で結ばれているという事に気づかなかった。本気を出したカサルの前にグルームは一方的に立場を失っていくこととなり、婚約破棄を後悔した時にはすべてが手遅れなのだった…。

溺愛されていると信じておりました──が。もう、どうでもいいです。

ふまさ
恋愛
 いつものように屋敷まで迎えにきてくれた、幼馴染みであり、婚約者でもある伯爵令息──ミックに、フィオナが微笑む。 「おはよう、ミック。毎朝迎えに来なくても、学園ですぐに会えるのに」 「駄目だよ。もし学園に向かう途中できみに何かあったら、ぼくは悔やんでも悔やみきれない。傍にいれば、いつでも守ってあげられるからね」  ミックがフィオナを抱き締める。それはそれは、愛おしそうに。その様子に、フィオナの両親が見守るように穏やかに笑う。  ──対して。  傍に控える使用人たちに、笑顔はなかった。

妹なんだから助けて? お断りします

たくわん
恋愛
美しく聡明な令嬢エリーゼ。だが、母の死後に迎えられた継母マルグリットによって、彼女の人生は一変する。実母が残した財産は継母に奪われ、華やかなドレスは義姉たちに着られ、エリーゼ自身は使用人同然の扱いを受ける。そんなある日――。

[完結]裏切りの果てに……

青空一夏
恋愛
王都に本邸を構える大商会、アルマード男爵家の一人娘リリアは、父の勧めで王立近衛騎士団から引き抜かれた青年カイルと婚約する。 彼は公爵家の分家筋の出身で、政争で没落したものの、誇り高く優秀な騎士だった。 穏やかで誠実な彼に惹かれていくリリア。 だが、学園の同級生レオンのささやいた一言が、彼女の心を揺らす。 「カイルは優しい人なんだろ? 君が望めば、何でもしてくれるはずさ。 でも、それは――仕事だからだよ。結婚も仕事のうちさ。 だって、雇い主の命令に逆らえないでしょ? 君に好意がなくても、義務でそうするんだ」 その言葉が頭から離れないリリアは、カイルの同僚たちに聞き込み、彼に病気の家族がいると知った。「治療費のために自分と結婚するの?」 そう思い込んだリリアに、父母がそろって事故死するという不幸が襲う。 レオンはリリアを惑わし、孤立させ、莫大な持参金を持って自分の元へ嫁ぐように仕向けるのだった。 だが、待っていたのは愛ではなく、孤独と裏切り。 日差しの差さない部屋に閉じ込められ、心身を衰弱させていくリリア。 「……カイル、助けて……」 そう呟いたとき。動き出したのは、かつて彼女を守ると誓った男――カイル・グランベルだった。そしてリリアも自らここを抜けだし、レオンを懲らしめてやろうと決意するようになり…… 今、失われた愛と誇りを取り戻す物語が始まる。

最近彼氏の様子がおかしい!私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。

佐藤 美奈
恋愛
ソフィア・フランチェスカ男爵令嬢はロナウド・オスバッカス子爵令息に結婚を申し込まれた。 幼馴染で恋人の二人は学園を卒業したら夫婦になる永遠の愛を誓う。超名門校のフォージャー学園に入学し恋愛と楽しい学園生活を送っていたが、学年が上がると愛する彼女の様子がおかしい事に気がつきました。 一緒に下校している時ロナウドにはソフィアが不安そうな顔をしているように見えて、心配そうな視線を向けて話しかけた。 ソフィアは彼を心配させないように無理に笑顔を作って、何でもないと答えますが本当は学園の経営者である理事長の娘アイリーン・クロフォード公爵令嬢に精神的に追い詰められていた。

彼女の離縁とその波紋

豆狸
恋愛
夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。 ※子どもに関するセンシティブな内容があります。

処理中です...