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親の顔合わせ3
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「あの令嬢は家のためでもなく、私で自分の価値を上げる、付属物のような扱いだったではあったではないかと……」
会った令嬢は始めこそ大人しかったが、物を強請ったり、観劇に行きたいとか、レストランに行きたいとか、そんな話ばかりだったらしい。
欲しいと言われた物を面倒なので、買い与えたルジエールも悪かったが、どんどん助長していった。
だからこそ、契約結婚でいい。だが、連れて恥ずかしくない、せめてマナーを身に付けている高位貴族と指定したのだが、相手がまさかのヴァッサム公爵家のフランアールであっただけである。
「そういったご令嬢もいるでしょうね」
「はい、そんなことが続きまして……あの子も面倒だからと買い与えたりはしていたようなので、それも良くなかったのだと思います」
「そうでしたか」
お互い子どもの結婚という悩みを持ち、見目の良さという共通点もある。
すべてを話さなくとも、お互い大変ですねという空気が漂っていた。
「あの、無理に聞く気はないのですが、お嬢様はどうして結婚をしたくないのですか?うちの子とは違うと思うのですが……」
その言葉にリートルは、眉間に皺を寄せて、口をすぼめた。
「詳しくは口にしたくもないので、控えますが、あの子は可愛さもありまして、幼い頃から嫌な思いをさせられましてね……」
リートルは拳を握っており、ルキュア、ケーシュアとラバエミールも微笑んでいるが、目が笑っていない。
「外に洩れるような真似はしておりませんよ、ふふっ。あの子に妙な噂でも流させるわけにはいきませんからね」
「っあ、ええ」
薄暗い顔をしたリートルの言葉に、ジスラットとマーガレットは口にしたくないだろうと、生唾をのんだ。
きっと私たちよりも、苦労をされて来たのだろうと思った。
「今は元気ですから、ええ、元気なんです。あの子よりも私たちの方が許せなかったのですが、色んなことがあって、結婚はしない、したくないと言い出しまして……我々も納得はしていたのです」
「はい」
「それでも、元気になったことで、結婚をと親として思ってしまうことでして」
「ええ、よく分かります」
親同士は頷き合い、契約結婚でも結婚に触れさせたいという思いは一緒であった。
「会わせて、みますか」
リートルはルジエールなら、本来ならいい相手だろう。気難しそうだが、フランアールは気にすることもないだろう。
上手くいくとは考えずに、縁談というものに触れさせるのもいいかもしれない。
「よろしいのですか?失礼なことは絶対にないようにいたします」
「失礼なことがあっても、フランアールも黙っていないと思いますので」
「それは心強いです」
同じ爵位であるために、対等に話せるという部分はお互いに利点だと考えていた。
「でもフランは会うっていうかしら?」
今までも吐いて捨てるほど縁談の申し込みはあったが、会ってみるということすらなかった。フランアールは何も言わずに、首を振るだけでいい。
「おば様、私が会ってみるように話をしますわ」
「そう?」
「はい、きっとフランアールが難色を示した時点で、やめてしまうでしょう?」
「そうね、言ってしまうかも」
「うむ、そうだな」
「そうですね。私も渋い顔をされたら、やめようと言ってしまいそうです」
「そうなのよね、弱いのよ」
エバンファストはその様子に、ようやくカサリアが頼られ、これまで縁談の話すら聞かななかった理由が分かった。
日程はまた相談しましょうと約束をして、親の顔合わせは終わった。
「では、私はフランアールが帰ったら、話をしてみます」
「すまないが、頼む」
「よろしくね」
「迷惑を掛けるな」
「ごめんなさいね」
「いいえ、きっと会ってくれると思いますよ」
カサリアはフランアールの部屋で、帰りを待ち構えていた。
会った令嬢は始めこそ大人しかったが、物を強請ったり、観劇に行きたいとか、レストランに行きたいとか、そんな話ばかりだったらしい。
欲しいと言われた物を面倒なので、買い与えたルジエールも悪かったが、どんどん助長していった。
だからこそ、契約結婚でいい。だが、連れて恥ずかしくない、せめてマナーを身に付けている高位貴族と指定したのだが、相手がまさかのヴァッサム公爵家のフランアールであっただけである。
「そういったご令嬢もいるでしょうね」
「はい、そんなことが続きまして……あの子も面倒だからと買い与えたりはしていたようなので、それも良くなかったのだと思います」
「そうでしたか」
お互い子どもの結婚という悩みを持ち、見目の良さという共通点もある。
すべてを話さなくとも、お互い大変ですねという空気が漂っていた。
「あの、無理に聞く気はないのですが、お嬢様はどうして結婚をしたくないのですか?うちの子とは違うと思うのですが……」
その言葉にリートルは、眉間に皺を寄せて、口をすぼめた。
「詳しくは口にしたくもないので、控えますが、あの子は可愛さもありまして、幼い頃から嫌な思いをさせられましてね……」
リートルは拳を握っており、ルキュア、ケーシュアとラバエミールも微笑んでいるが、目が笑っていない。
「外に洩れるような真似はしておりませんよ、ふふっ。あの子に妙な噂でも流させるわけにはいきませんからね」
「っあ、ええ」
薄暗い顔をしたリートルの言葉に、ジスラットとマーガレットは口にしたくないだろうと、生唾をのんだ。
きっと私たちよりも、苦労をされて来たのだろうと思った。
「今は元気ですから、ええ、元気なんです。あの子よりも私たちの方が許せなかったのですが、色んなことがあって、結婚はしない、したくないと言い出しまして……我々も納得はしていたのです」
「はい」
「それでも、元気になったことで、結婚をと親として思ってしまうことでして」
「ええ、よく分かります」
親同士は頷き合い、契約結婚でも結婚に触れさせたいという思いは一緒であった。
「会わせて、みますか」
リートルはルジエールなら、本来ならいい相手だろう。気難しそうだが、フランアールは気にすることもないだろう。
上手くいくとは考えずに、縁談というものに触れさせるのもいいかもしれない。
「よろしいのですか?失礼なことは絶対にないようにいたします」
「失礼なことがあっても、フランアールも黙っていないと思いますので」
「それは心強いです」
同じ爵位であるために、対等に話せるという部分はお互いに利点だと考えていた。
「でもフランは会うっていうかしら?」
今までも吐いて捨てるほど縁談の申し込みはあったが、会ってみるということすらなかった。フランアールは何も言わずに、首を振るだけでいい。
「おば様、私が会ってみるように話をしますわ」
「そう?」
「はい、きっとフランアールが難色を示した時点で、やめてしまうでしょう?」
「そうね、言ってしまうかも」
「うむ、そうだな」
「そうですね。私も渋い顔をされたら、やめようと言ってしまいそうです」
「そうなのよね、弱いのよ」
エバンファストはその様子に、ようやくカサリアが頼られ、これまで縁談の話すら聞かななかった理由が分かった。
日程はまた相談しましょうと約束をして、親の顔合わせは終わった。
「では、私はフランアールが帰ったら、話をしてみます」
「すまないが、頼む」
「よろしくね」
「迷惑を掛けるな」
「ごめんなさいね」
「いいえ、きっと会ってくれると思いますよ」
カサリアはフランアールの部屋で、帰りを待ち構えていた。
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