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第138話 アルフォンスの事情
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そんなある日、教授との契約書をはさんだファイルを持って歩いていると、校舎の裏手でばったりリアに会った。
「あ、先生!こんにちは。」
リアが笑顔で駆け寄ってきた。
その瞬間、強い突風が吹いた。
「きゃあ」
リアのスカートがはためき、アルフォンスの持っていた書類が飛ばされた。
慌てて2人で書類を拾い集めたが、1枚足りなかった。
「先生。あそこ。」
リアが指差した方を見ると、背の高い木の上の方にひっかかっているのが見えた。
大事な契約書だ。
生物学教室には高い枝を切ることのできる特殊なハサミがあり、それで枝を掴むことができるのだ。
あれを取って来るか・・・
そう思い、リアに声をかけた。
「リア。あの紙が飛ばされないか、少しの間見ていてくれるか?」
「先生、私が取ってきます。木登りは得意なんです。」
「えっ?」
リアはそう言うと、スルスルと木を登り始めた。
貴族の令嬢が木登りって・・・
アルフォンスは、どんどん木を登っていくリアを唖然と下から見つめた。
書類の挟まった枝まで行き着くと、リアはそれを手でつかみアルフォンスに向かって大声で叫んだ。
「先生ー。取れました!」
満面の笑みだった。
それを見てアルフォンスも笑顔になった。
どうして自分は、こんな天真爛漫な子供に何かあると思ったんだろう。
きっとくじ引きの件は自分の思い過ごしだったのだ。
もう、この件からは手をひこう。
リアが木を降りてきたら、学院を去ると伝えよう、そう決意したのだった。
書類を片手に持ちながら木を降りてくるリアを下で待ち構えた。
しかし、下の方まで来た時に不意にリアが足を滑らせてしまった。
「危ない!」
思わず駆け寄りリアを受け止めたところまでは良かったが、勢い余って2人して地面に転がり落ちることになってしまった。
「いたたた・・・。」
倒れ込んだアルフォンスは後頭部の辺りをおさえた。
「先生、大丈夫ですか?」
その声に目を開けると、リアの顔が目の前にあった。
落ちた勢いでメガネは外れ、至近距離で心配そうにアルフォンスの顔を覗き込んでいた。
リンドブルムゴールド・・・
その美しく金色に輝く瞳を見て、アルフォンスは自分の勘が正しかったことを悟った。
王子たちがリアを生徒会に入れたのはこのためか。
もう一度リアの瞳を見つめた後、アルフォンスは口を開いた。
「ちょっとぶつけただけだから大丈夫だよ。どいてくれるかい?」
「あっ、すみません!」
アルフォンスはリアの下敷きになる形で倒れたため、リアがアルフォンスの上にまたがる体勢になっていたのだ。
リアは顔を真っ赤にして慌ててアルフォンスから離れた。
「よいしょ。」
地面にぶつけた頭と腰は少し痛かったが、気持ちは晴れやかだった。
事情は分からないが、おそらくリアはリンドブルム王家の血を引いているのだろう。
メガネを外せば顔立ちが似ているし、もしかしたらあの人の血縁かもしれない。
祖父の部屋に大切に飾られていたアルフォンスの初恋でもある女性の絵。
それを思い浮かべ、アルフォンスは今まで経験したことのない高揚を感じたのだった。
「あ、先生!こんにちは。」
リアが笑顔で駆け寄ってきた。
その瞬間、強い突風が吹いた。
「きゃあ」
リアのスカートがはためき、アルフォンスの持っていた書類が飛ばされた。
慌てて2人で書類を拾い集めたが、1枚足りなかった。
「先生。あそこ。」
リアが指差した方を見ると、背の高い木の上の方にひっかかっているのが見えた。
大事な契約書だ。
生物学教室には高い枝を切ることのできる特殊なハサミがあり、それで枝を掴むことができるのだ。
あれを取って来るか・・・
そう思い、リアに声をかけた。
「リア。あの紙が飛ばされないか、少しの間見ていてくれるか?」
「先生、私が取ってきます。木登りは得意なんです。」
「えっ?」
リアはそう言うと、スルスルと木を登り始めた。
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アルフォンスは、どんどん木を登っていくリアを唖然と下から見つめた。
書類の挟まった枝まで行き着くと、リアはそれを手でつかみアルフォンスに向かって大声で叫んだ。
「先生ー。取れました!」
満面の笑みだった。
それを見てアルフォンスも笑顔になった。
どうして自分は、こんな天真爛漫な子供に何かあると思ったんだろう。
きっとくじ引きの件は自分の思い過ごしだったのだ。
もう、この件からは手をひこう。
リアが木を降りてきたら、学院を去ると伝えよう、そう決意したのだった。
書類を片手に持ちながら木を降りてくるリアを下で待ち構えた。
しかし、下の方まで来た時に不意にリアが足を滑らせてしまった。
「危ない!」
思わず駆け寄りリアを受け止めたところまでは良かったが、勢い余って2人して地面に転がり落ちることになってしまった。
「いたたた・・・。」
倒れ込んだアルフォンスは後頭部の辺りをおさえた。
「先生、大丈夫ですか?」
その声に目を開けると、リアの顔が目の前にあった。
落ちた勢いでメガネは外れ、至近距離で心配そうにアルフォンスの顔を覗き込んでいた。
リンドブルムゴールド・・・
その美しく金色に輝く瞳を見て、アルフォンスは自分の勘が正しかったことを悟った。
王子たちがリアを生徒会に入れたのはこのためか。
もう一度リアの瞳を見つめた後、アルフォンスは口を開いた。
「ちょっとぶつけただけだから大丈夫だよ。どいてくれるかい?」
「あっ、すみません!」
アルフォンスはリアの下敷きになる形で倒れたため、リアがアルフォンスの上にまたがる体勢になっていたのだ。
リアは顔を真っ赤にして慌ててアルフォンスから離れた。
「よいしょ。」
地面にぶつけた頭と腰は少し痛かったが、気持ちは晴れやかだった。
事情は分からないが、おそらくリアはリンドブルム王家の血を引いているのだろう。
メガネを外せば顔立ちが似ているし、もしかしたらあの人の血縁かもしれない。
祖父の部屋に大切に飾られていたアルフォンスの初恋でもある女性の絵。
それを思い浮かべ、アルフォンスは今まで経験したことのない高揚を感じたのだった。
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