147 / 157
第147話 話し合い
しおりを挟む
やがて心が決まったのか目を開けエリオットを見た。
「分かりました。それで、お願いします。」
それを聞きホッと息をついたリアを見て、アルフォンスは複雑そうな表情を浮かべた。
「リア。私が君に求婚したのは継承争いのこともあるが、一番の理由は学院で君と過ごした時間が楽しかったからだ。本気で君が欲しいと思っていたんだ。」
真っ直ぐな視線を受け、リアは頷いた。
「私もとても楽しかったです。学院で先生と一緒に過ごした日々は穏やかでホッとできる時間でした。」
心からの言葉をアルフォンスに伝えた。
アルフォンスはその言葉に淡く微笑んだ。
そして視線をジークフェルドに向けた。
「ジークフェルド殿下。リアを幸せにしてやってください。」
「はい、必ず。お約束いたします。」
力強くうなづくジークフェルドにアルフォンスは笑顔になった。
「リアを泣かすようなことがあれば、遠慮なく私が彼女を貰いますよ。」
「絶対泣かせません。」
ジークフェルドは挑むような眼でアルフォンスに告げたのだった。
話が一段落し、エリオットとアルフォンスが条約の締結に向けて話を詰めることになった。
部屋を出るよう促されたリアが焦ったようにアルフォンスを見た。
「あの、先生。これ・・・。」
自分の耳を指さした。
「ああ。もともとリアをグラシアスに連れて帰るつもりだったからね。外す工具は本国にしかないんだよ。工具は今度書簡と一緒に送るから、それまで付けておいてくれるかな。それを見て時々僕を思い出してくれたら嬉しいよ。」
アルフォンスは驚くリアに優しく笑いかけた後、ジークフェルドに意地の悪い視線を送った。
このヤロウ・・・
キレそうになるのを抑え、ジークフェルドは引きつった笑みを返したのだった。
※
その後聞いたところによると、グラシアスとの条約とは農作物の輸出入の話だったそうだ。
昨今の異常気象の進行で、どんどん寒冷化が進み北方の国であるグラシアスの農作物の出来高はものすごい勢いで減少していた。
グラシアスは人口の多い大国なので、食料不足は国の存続の危機である。
アルノーのモーリス教授に寒さに強い作物の品種改良を要請したが、成果が出てくるのに数年はかかる。
それまで、リンドブルムの農作物の輸出のうち一定量をグラシアスにまわして欲しいという希望をアルフォンスが事前に伝えていたそうだ。
他の国との関係もあるため急にグラシアスにだけ輸出を増やすことは難しいが、そこはエリオットがどうにかしてくれるようだ。
アルフォンスは差し迫った国の危機に対応するため、リアを欲しいという自分の望みを諦めたのだ。
”彼は立派な皇帝になるだろう”
エリオットがそう言っていた。
交渉はスムーズにまとまり、話し合いから2日後にはアルフォンスはグラシアスに帰ることになった。
ジークフェルドと共に見送りに出たリアをアルフォンスは軽く抱きしめ、おでこに触れるようなキスをした。
「リア。幸せに。」
慕っていた先生との別れに、リアの目に涙が浮かんでいる。
アルフォンスはそんなリアを見て優しい笑みを浮かべた後、ジークフェルドに軽く会釈をしてその場を離れた。
そしてその後、エリオットたちと別れの挨拶をし帰国の途についたのだった。
「分かりました。それで、お願いします。」
それを聞きホッと息をついたリアを見て、アルフォンスは複雑そうな表情を浮かべた。
「リア。私が君に求婚したのは継承争いのこともあるが、一番の理由は学院で君と過ごした時間が楽しかったからだ。本気で君が欲しいと思っていたんだ。」
真っ直ぐな視線を受け、リアは頷いた。
「私もとても楽しかったです。学院で先生と一緒に過ごした日々は穏やかでホッとできる時間でした。」
心からの言葉をアルフォンスに伝えた。
アルフォンスはその言葉に淡く微笑んだ。
そして視線をジークフェルドに向けた。
「ジークフェルド殿下。リアを幸せにしてやってください。」
「はい、必ず。お約束いたします。」
力強くうなづくジークフェルドにアルフォンスは笑顔になった。
「リアを泣かすようなことがあれば、遠慮なく私が彼女を貰いますよ。」
「絶対泣かせません。」
ジークフェルドは挑むような眼でアルフォンスに告げたのだった。
話が一段落し、エリオットとアルフォンスが条約の締結に向けて話を詰めることになった。
部屋を出るよう促されたリアが焦ったようにアルフォンスを見た。
「あの、先生。これ・・・。」
自分の耳を指さした。
「ああ。もともとリアをグラシアスに連れて帰るつもりだったからね。外す工具は本国にしかないんだよ。工具は今度書簡と一緒に送るから、それまで付けておいてくれるかな。それを見て時々僕を思い出してくれたら嬉しいよ。」
アルフォンスは驚くリアに優しく笑いかけた後、ジークフェルドに意地の悪い視線を送った。
このヤロウ・・・
キレそうになるのを抑え、ジークフェルドは引きつった笑みを返したのだった。
※
その後聞いたところによると、グラシアスとの条約とは農作物の輸出入の話だったそうだ。
昨今の異常気象の進行で、どんどん寒冷化が進み北方の国であるグラシアスの農作物の出来高はものすごい勢いで減少していた。
グラシアスは人口の多い大国なので、食料不足は国の存続の危機である。
アルノーのモーリス教授に寒さに強い作物の品種改良を要請したが、成果が出てくるのに数年はかかる。
それまで、リンドブルムの農作物の輸出のうち一定量をグラシアスにまわして欲しいという希望をアルフォンスが事前に伝えていたそうだ。
他の国との関係もあるため急にグラシアスにだけ輸出を増やすことは難しいが、そこはエリオットがどうにかしてくれるようだ。
アルフォンスは差し迫った国の危機に対応するため、リアを欲しいという自分の望みを諦めたのだ。
”彼は立派な皇帝になるだろう”
エリオットがそう言っていた。
交渉はスムーズにまとまり、話し合いから2日後にはアルフォンスはグラシアスに帰ることになった。
ジークフェルドと共に見送りに出たリアをアルフォンスは軽く抱きしめ、おでこに触れるようなキスをした。
「リア。幸せに。」
慕っていた先生との別れに、リアの目に涙が浮かんでいる。
アルフォンスはそんなリアを見て優しい笑みを浮かべた後、ジークフェルドに軽く会釈をしてその場を離れた。
そしてその後、エリオットたちと別れの挨拶をし帰国の途についたのだった。
4
あなたにおすすめの小説
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
モブ令嬢は脳筋が嫌い
斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
恋愛
イーディスは海のように真っ青な瞳を持つ少年、リガロに一瞬で心を奪われた。彼の婚約者になれるのが嬉しくて「祖父のようになりたい」と夢を語る彼を支えたいと思った。リガロと婚約者になってからの日々は夢のようだった。けれど彼はいつからか全く笑わなくなった。剣を振るい続ける彼を見守ることこそが自分の役目だと思っていたイーディスだったが、彼女の考えは前世の記憶を取り戻したことで一変する。※執筆中のため感想返信までお時間を頂くことがあります。また今後の展開に関わる感想や攻撃的な感想に関しましては返信や掲載を控えさせていただくことがあります。あらかじめご了承ください。
せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?
志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。
父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。
多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。
オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。
それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。
この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています
ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない
斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。
襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……!
この人本当に旦那さま?
って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!
【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。
櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。
夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。
ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。
あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ?
子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。
「わたくしが代表して修道院へ参ります!」
野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。
この娘、誰!?
王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。
主人公は猫を被っているだけでお転婆です。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる