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第3章「決戦、未来は拳で切り開かれる」
27:聖女は、神を殴る
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私の一方的な宣戦布告に、魔神は一瞬きょとんとした顔をした。いかにも悪魔っぽい造形をしていても、不意を突かれた時はそんな顔をするんだ、と思わぬ知見を得てしまった。
けれど、無理もない。
あの魔神とやらが本当に、長い神話の時代から続く存在なのだとしたら。これまで、私のような小娘から不遜な物言いをされたことは一度もなかっただろう。
だが、その驚きはすぐに、純粋な怒りへと変わったようだ。
「――人間ノ、分際デ……コノ、我ニ、向カッテ……!」
地響きと共に、魔神の声が響き渡る。
それはもはや言葉ではなく、怒りの波動そのものだった。
周囲の空気がビリビリと震える。
意識のある騎士たちが、その神威の前に膝をつく。
しかし私には、その威圧はまったく効かなかった。
私は前世で、パワハラ上司の三時間に及ぶ説教に耐え抜いたのだ。その精神力は、神の怒りごときでは揺らがない。神なのに沸点低いな、としか思わない。
「フンッ!」
魔神が鼻息荒く、鋭い爪のついた巨大な腕を、私に向かって振り下ろした。
それはもはや、攻撃というよりは、ただの蹂躙。
城壁すら容易に粉砕するであろうその一撃は、私という小さな存在を塵芥のごとく消し飛ばすのに、十分すぎる威力を持っている。
だが。
「――遅い」
その振り下ろされる腕を見上げながら、静かに呟いた。
私の動体視力は、その超高速の一撃を、スローモーションのように捉えている。
風を切り、迫りくる爪の軌道。
その先端が、私の頭上に到達する寸前。
私は地面を蹴った。
後方に、ではない。
――前方へ。
魔神の懐へと、潜り込むように踏み込む。
振り下ろされた腕を紙一重でかわすと、その勢いを利用して跳躍。魔神の腕の上に着地。そして、巨大な腕を坂道に見立てて駆け上がり、肩口まで一気に到達する。
「ナッ!?」
魔神が、驚愕の声を上げる。まさか、自分の腕に乗って駆け上がってくる人間がいるなど、想像もしていなかったのだろう。
私はその巨大な肩の上で仁王立ちになり、魔神を見下ろす。
「お返しですっ!」
魔神の頭の、螺旋状の角の一本を両手で鷲掴みにした。
ミシミシ、と、私の全身の筋肉が軋む。
これは、ただの力比べではない。
私の存在そのものを賭けた、戦いだ。
「――おりゃあああああっ!」
気合一閃。
私は、その巨大な角を、根元からへし折った。
ゴッ、という、鈍い破壊音。
それは、神の肉体を構成する超常的な物質が、物理法則を超越して、私の純粋な腕力の前に屈した瞬間だった。
「グギャアアアアアアアアアッッ!!」
魔神が、初めて苦痛の絶叫を上げた。
叫喚。咆哮。その音は恐るべき衝撃波を生み、玉座の間を通り越して王城のすべてのものに襲い掛かった。天地を震わせ、王城のガラスというガラスを粉々に砕け散らせる。
だが、目の前の魔神に集中している私は、周囲への影響など気付かない。
私は、へし折った角を戦利品であるかのように掲げる。そして、槍のように構えると、そのまま魔神の巨大な眼球に突き立てた。
ブスリ、と肉を貫く生々しい感触が、角を持つ手に伝わってくる。
「ギィィィィィィッ!」
さらなる、絶叫が響く。
魔神は片目を押さえ、苦痛にのたうち回った。
その巨体が暴れるだけで、玉座の間はその衝撃に耐えきれないかのように、次々と崩壊していく。
私は、魔神が暴れる反動で振り落とされた。
だが、空中で軽やかに体勢を立て直し、華麗に地面へ着地を果たす。
「……コノ……コノ、虫ケラガァァァッ!」
片目を失い逆上した魔神は、もはや理性を失っていた。
その全身から、黒い炎がさらに激しく噴き上がる。
さらに、残った片目が私を捉える。
なんと、そこから極太の破壊光線が放たれた。
「うわっ、とっ」
辛うじて、魔神ビームの回避に成功する。ちょっと、びっくりした。
破壊光線の射線、ごんぶとな光が通り過ぎた先は、すべてが破壊されて塵と化していた。
先ほどのブレスとも比較にならない、純粋な破壊のエネルギー。
触れたものすべてを原子レベルで分解する、消滅の光だった。
驚く暇もなく、魔神は第二射の構えに入っていた。
我ながら迂闊。私はそれに気付くのにやや遅れてしまった。
敵はそんなわずかな隙も見逃してはくれない。
「グオオオオオアアアアアア!!」
魔神は躊躇いなく、新たな破壊光線を私に向けて放った。
光線は大地をえぐり、一直線に、私に向かって襲い掛かる。
タイミングを逸した。もはや回避は不可能。
私たちの戦いを見守っていた騎士たちが、息を呑むのが分かった。
だが、私は逃げない。
その場で両足を踏みしめる。まるで大地に深く食い込ませるように。
そして、迫りくる絶対的な死の光に向かって。
気合を込めた拳を突き出す!
「――無駄だと、言っているでしょうがっ!!」
私の拳と、破壊光線が、激突した。
――ズウウウウウウウウウウウウウウウンッ!!
世界から、音が、消えた。
凄まじい衝撃波が、放射状に広がる。
崩れ落ちた瓦礫の数々すらも、吹き飛ばしていく。
私の小さな拳が、魔神が放つ消滅の光を、真っ向から受け止めている。
バチバチと、私の腕の周りで、空間が歪む。
皮膚が裂け、骨が軋む音がする。
だが、私は引かなかった。
ここで引けば、私の後ろにいる名も知らぬ騎士たちが消し飛んでしまう。そして、この国で暮らす、すべての人々の日常も。
なにより、私のスローライフが永遠に失われてしまう。
それだけは、絶対に許せない。
「……私の、平穏を……」
私は歯を食いしばり、さらに、腕に力を込める。
「――邪魔、するなぁぁぁっ!!」
私の拳から、黄金の聖なる力が、螺旋を描くように迸った。
それは、祈りの力ではない。
私の、純粋な生命エネルギー。
世の理不尽に抗う、魂の輝きそのものだった。
黄金の光は、破壊光線を押し返した。
反転したそれは学方向へと、魔神も向かって突き進んでいく。
そして。
――ドッッッッガァァァァァァァァンッッッ!!!
光線は、魔神の顔面で、大爆発を起こした。
魔神は今度こそ、致命的なダメージを受けたらしい。
その巨大な身体が、ぐらりと傾ぎ、膝から崩れ落ちた。
「……はあ……はあ……」
さすがの私も、今の一撃でかなりの体力を消耗した。
腕は焼け爛れたように熱く、全身の筋肉がきしむように悲鳴を上げている。
だが、まだだ。
まだ、終わっていない。
魔神は膝をつきながらも、生きていた。
その身体から、黒い瘴気が霧のように立ち上る。
そして、傷ついた身体を修復しようとしている。
なんという、驚異的な再生能力。
このままでは、また復活してしまう。
とどめを、刺さなければ。
「……祈りが、届かないなら……」
私は、ふらつく足で立ち上がった。
そして、膝をつく魔神に向かって、ゆっくりと歩み寄る。
私の脳裏に、かつて自分がたどり着いた、単純明快な結論が蘇っていた。
「――直接、神を殴って、言うことを聞かせれば、いいんですよねっ!」
私は、地面を蹴った。
最後の力を振り絞り、天高く、舞い上がる。
太陽を背に、私の身体はひとつのシルエットと化す。
そして、眼下にある巨大な魔神の頭頂部に向かって、渾身の拳を振り下ろした。
それは、もはやただのパンチではない。
私のすべての怒り。
すべての理不尽への抵抗。
そして何より、平穏なスローライフへの渇望を込めた、一撃。
聖女の鉄槌。
神殺しの、一撃だった。
「――これで、終わりだぁぁぁっ!!」
私の拳が、魔神の頭蓋を捉える。
世界が、白く、染まった。
轟音すら、聞こえない。
ただ、純粋な破壊の光だけが、そこにあった。
古の魔神の巨体は、その一撃で、内側から崩壊を始めた。
黒い瘴気と共に、その身体が、粒子となって霧散していく。
断末魔の悲鳴すら、上げる間もなかっただろう。
やがて、光が収まった時。
そこにはもはや、何も残ってはいなかった。
ただ、巨大なクレーターと、呆然と立ち尽くす騎士たち。
そして、空から舞い降りてくる、豪快聖女の姿だけがあった。
「……ふう。これで、残業も終わり、ですかね……」
私は地面に着地すると、その場にへたり込んだ。
全身の力が、抜けていく。
さすがに、疲れた。
もう、指一本、動かせそうにない。
だが、私の心は不思議と晴れやかだった。
私は、勝ったのだ。
神に。
そして何より、私の平穏を脅かす、すべての理不尽に。
これでようやく、私のスローライフが始まる。
私は、そんな甘い期待を胸に、ゆっくりと意識を手放すのだった。
-つづく-
けれど、無理もない。
あの魔神とやらが本当に、長い神話の時代から続く存在なのだとしたら。これまで、私のような小娘から不遜な物言いをされたことは一度もなかっただろう。
だが、その驚きはすぐに、純粋な怒りへと変わったようだ。
「――人間ノ、分際デ……コノ、我ニ、向カッテ……!」
地響きと共に、魔神の声が響き渡る。
それはもはや言葉ではなく、怒りの波動そのものだった。
周囲の空気がビリビリと震える。
意識のある騎士たちが、その神威の前に膝をつく。
しかし私には、その威圧はまったく効かなかった。
私は前世で、パワハラ上司の三時間に及ぶ説教に耐え抜いたのだ。その精神力は、神の怒りごときでは揺らがない。神なのに沸点低いな、としか思わない。
「フンッ!」
魔神が鼻息荒く、鋭い爪のついた巨大な腕を、私に向かって振り下ろした。
それはもはや、攻撃というよりは、ただの蹂躙。
城壁すら容易に粉砕するであろうその一撃は、私という小さな存在を塵芥のごとく消し飛ばすのに、十分すぎる威力を持っている。
だが。
「――遅い」
その振り下ろされる腕を見上げながら、静かに呟いた。
私の動体視力は、その超高速の一撃を、スローモーションのように捉えている。
風を切り、迫りくる爪の軌道。
その先端が、私の頭上に到達する寸前。
私は地面を蹴った。
後方に、ではない。
――前方へ。
魔神の懐へと、潜り込むように踏み込む。
振り下ろされた腕を紙一重でかわすと、その勢いを利用して跳躍。魔神の腕の上に着地。そして、巨大な腕を坂道に見立てて駆け上がり、肩口まで一気に到達する。
「ナッ!?」
魔神が、驚愕の声を上げる。まさか、自分の腕に乗って駆け上がってくる人間がいるなど、想像もしていなかったのだろう。
私はその巨大な肩の上で仁王立ちになり、魔神を見下ろす。
「お返しですっ!」
魔神の頭の、螺旋状の角の一本を両手で鷲掴みにした。
ミシミシ、と、私の全身の筋肉が軋む。
これは、ただの力比べではない。
私の存在そのものを賭けた、戦いだ。
「――おりゃあああああっ!」
気合一閃。
私は、その巨大な角を、根元からへし折った。
ゴッ、という、鈍い破壊音。
それは、神の肉体を構成する超常的な物質が、物理法則を超越して、私の純粋な腕力の前に屈した瞬間だった。
「グギャアアアアアアアアアッッ!!」
魔神が、初めて苦痛の絶叫を上げた。
叫喚。咆哮。その音は恐るべき衝撃波を生み、玉座の間を通り越して王城のすべてのものに襲い掛かった。天地を震わせ、王城のガラスというガラスを粉々に砕け散らせる。
だが、目の前の魔神に集中している私は、周囲への影響など気付かない。
私は、へし折った角を戦利品であるかのように掲げる。そして、槍のように構えると、そのまま魔神の巨大な眼球に突き立てた。
ブスリ、と肉を貫く生々しい感触が、角を持つ手に伝わってくる。
「ギィィィィィィッ!」
さらなる、絶叫が響く。
魔神は片目を押さえ、苦痛にのたうち回った。
その巨体が暴れるだけで、玉座の間はその衝撃に耐えきれないかのように、次々と崩壊していく。
私は、魔神が暴れる反動で振り落とされた。
だが、空中で軽やかに体勢を立て直し、華麗に地面へ着地を果たす。
「……コノ……コノ、虫ケラガァァァッ!」
片目を失い逆上した魔神は、もはや理性を失っていた。
その全身から、黒い炎がさらに激しく噴き上がる。
さらに、残った片目が私を捉える。
なんと、そこから極太の破壊光線が放たれた。
「うわっ、とっ」
辛うじて、魔神ビームの回避に成功する。ちょっと、びっくりした。
破壊光線の射線、ごんぶとな光が通り過ぎた先は、すべてが破壊されて塵と化していた。
先ほどのブレスとも比較にならない、純粋な破壊のエネルギー。
触れたものすべてを原子レベルで分解する、消滅の光だった。
驚く暇もなく、魔神は第二射の構えに入っていた。
我ながら迂闊。私はそれに気付くのにやや遅れてしまった。
敵はそんなわずかな隙も見逃してはくれない。
「グオオオオオアアアアアア!!」
魔神は躊躇いなく、新たな破壊光線を私に向けて放った。
光線は大地をえぐり、一直線に、私に向かって襲い掛かる。
タイミングを逸した。もはや回避は不可能。
私たちの戦いを見守っていた騎士たちが、息を呑むのが分かった。
だが、私は逃げない。
その場で両足を踏みしめる。まるで大地に深く食い込ませるように。
そして、迫りくる絶対的な死の光に向かって。
気合を込めた拳を突き出す!
「――無駄だと、言っているでしょうがっ!!」
私の拳と、破壊光線が、激突した。
――ズウウウウウウウウウウウウウウウンッ!!
世界から、音が、消えた。
凄まじい衝撃波が、放射状に広がる。
崩れ落ちた瓦礫の数々すらも、吹き飛ばしていく。
私の小さな拳が、魔神が放つ消滅の光を、真っ向から受け止めている。
バチバチと、私の腕の周りで、空間が歪む。
皮膚が裂け、骨が軋む音がする。
だが、私は引かなかった。
ここで引けば、私の後ろにいる名も知らぬ騎士たちが消し飛んでしまう。そして、この国で暮らす、すべての人々の日常も。
なにより、私のスローライフが永遠に失われてしまう。
それだけは、絶対に許せない。
「……私の、平穏を……」
私は歯を食いしばり、さらに、腕に力を込める。
「――邪魔、するなぁぁぁっ!!」
私の拳から、黄金の聖なる力が、螺旋を描くように迸った。
それは、祈りの力ではない。
私の、純粋な生命エネルギー。
世の理不尽に抗う、魂の輝きそのものだった。
黄金の光は、破壊光線を押し返した。
反転したそれは学方向へと、魔神も向かって突き進んでいく。
そして。
――ドッッッッガァァァァァァァァンッッッ!!!
光線は、魔神の顔面で、大爆発を起こした。
魔神は今度こそ、致命的なダメージを受けたらしい。
その巨大な身体が、ぐらりと傾ぎ、膝から崩れ落ちた。
「……はあ……はあ……」
さすがの私も、今の一撃でかなりの体力を消耗した。
腕は焼け爛れたように熱く、全身の筋肉がきしむように悲鳴を上げている。
だが、まだだ。
まだ、終わっていない。
魔神は膝をつきながらも、生きていた。
その身体から、黒い瘴気が霧のように立ち上る。
そして、傷ついた身体を修復しようとしている。
なんという、驚異的な再生能力。
このままでは、また復活してしまう。
とどめを、刺さなければ。
「……祈りが、届かないなら……」
私は、ふらつく足で立ち上がった。
そして、膝をつく魔神に向かって、ゆっくりと歩み寄る。
私の脳裏に、かつて自分がたどり着いた、単純明快な結論が蘇っていた。
「――直接、神を殴って、言うことを聞かせれば、いいんですよねっ!」
私は、地面を蹴った。
最後の力を振り絞り、天高く、舞い上がる。
太陽を背に、私の身体はひとつのシルエットと化す。
そして、眼下にある巨大な魔神の頭頂部に向かって、渾身の拳を振り下ろした。
それは、もはやただのパンチではない。
私のすべての怒り。
すべての理不尽への抵抗。
そして何より、平穏なスローライフへの渇望を込めた、一撃。
聖女の鉄槌。
神殺しの、一撃だった。
「――これで、終わりだぁぁぁっ!!」
私の拳が、魔神の頭蓋を捉える。
世界が、白く、染まった。
轟音すら、聞こえない。
ただ、純粋な破壊の光だけが、そこにあった。
古の魔神の巨体は、その一撃で、内側から崩壊を始めた。
黒い瘴気と共に、その身体が、粒子となって霧散していく。
断末魔の悲鳴すら、上げる間もなかっただろう。
やがて、光が収まった時。
そこにはもはや、何も残ってはいなかった。
ただ、巨大なクレーターと、呆然と立ち尽くす騎士たち。
そして、空から舞い降りてくる、豪快聖女の姿だけがあった。
「……ふう。これで、残業も終わり、ですかね……」
私は地面に着地すると、その場にへたり込んだ。
全身の力が、抜けていく。
さすがに、疲れた。
もう、指一本、動かせそうにない。
だが、私の心は不思議と晴れやかだった。
私は、勝ったのだ。
神に。
そして何より、私の平穏を脅かす、すべての理不尽に。
これでようやく、私のスローライフが始まる。
私は、そんな甘い期待を胸に、ゆっくりと意識を手放すのだった。
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