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問1 パターンを解明せよ
問1-1
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一筋の光が、周りを包む深緑の群れの中から差し込む。
「ここが1」
光の筋は少し離れた場所にもきらり、きらりと煌めかせていた。
「あれが2、3、4……」
俺はその光の数を淡々と数え、視界ディスプレイに表示されたマップに書き込んでいく。
このフィールド「調色の森林」は鬱蒼と茂る森を模して作られている。
頭上は生い茂る木々の緑に囲まれているが、足元や木の根には多彩な花やキノコで覆われ、名の通りさながら絵の具を流し入れた調色板のような極彩色になっている。
このフィールドは頭上を全て葉の天井にふさがれているため薄暗く、身を隠しながら戦うのにはうってつけな戦場だ。
「あそこで20。オッケー」
慎重に体を森に溶け込ませるように潜めながら走り、周囲への警戒をしながらも視界の端に注視する。
視界に重なるように表示されているディスプレイの下部には、横に並ぶ4枚のカード。今の手札だ。
その中で黄色い斬撃のイラストが入ったカードを手元のコントローラーで選択し、アクティブ状態にさせる。
ターゲットは数メートル前に立つ木。
強く息を吐きながら、左手を手刀の形にして斜めに振る。今アクティブにした【斜斬:弐の型】の起動アクションだ。
弐の型は中距離へ飛ぶそこそこの威力の斬撃で、このフィールドの普通の木なら一発で切り倒せる。
思惑通り斜斬の形に沿ってきれいに両断され、大きな音を立ててズレ落ちた上部を横目に、残った切り株を足場にして大きくジャンプする。走っている間にアクティブにした【空中跳躍】で更に高くジャンプ。木々の上に飛び上がった。
ごぉ、と風が吹く。
このフィールドを覆うのは殆どが背の高い樹林だが、何箇所か開けた場所もある。
フィールドの中心にある乳白色の池がまずひとつ。
6、7メートルの高さの傾いた鉄塔の周辺がひとつ。
あとは黒ずんだ広場。ゲーム開始時は大輪のひまわりが並ぶ壮観な花畑だったが、奴が開幕で燃やしやがったので、今はただの味気ない黒い焼け跡になってしまった場所だ。
俺はジャンプ中に周囲を確認しながら空中で姿勢を整え、少し高い木の枝に捕まり、そのまま腕力で体を持ち上げ枝の上に立った。
ふむ。奴の姿は無し。
まあほとんどは今の自分の立つ木と同じような高さの木々で視界が塞がれているため、その開けた3箇所にいない=相手も高所から自分を視認できる場所にいない、ということがわかっただけではあるが……。
と、思考を巡らせた直後。鉄塔の方から光が瞬いたかと思うと右腕にピリッとした刺激と共に右手が引っ張られるような感覚で後ろに弾かれる。
――ダメージ判定だ。
さらに続けて周囲からはパチパチと何かが爆ぜるような音。
驚いたのは一瞬。身体は即座に反応し、木から素早く飛び降り慌ててうつ伏せになり両手で頭を覆う。
と、同時にパァンッと頭上で爆発音が響き、バラバラと木の破片や枝葉が降ってきた。
光線による攻撃と小規模な爆発。奴の攻撃で間違いない。
思い当たるカードは遠距離型のショット【レイルドスター】だ。
自らの姿は巧妙に隠しながらこちらを的確に撃ち抜いてきたテクニカルな攻撃に俺は少し動揺しつつ画面上のライフゲージを確認した。
タイムラグのある爆発は回避したためさほどではないが、今の攻撃でまた少し削られている。
序盤の攻防ではお互い半分ほど削りあったので、これでまた俺の方が少し不利になった。
今のをモロにくらっていたらヤバかった。
奴の攻撃は既にある程度打ってくれていたのでデッキは想像がつく。いや、想像がついたと思っていた。
近距離、中距離の攻撃カードを中心として無難に強いカードで揃えた「グッドスタッフバレット」。いつも多少のカード選択は違うものの奴の好きなデッキだ。
ただ、今の攻撃で定番の構成とは違うデッキであることが判明した。
奴は自らの身を隠すような防御的なカードを普段は使わない。
新しいデッキを組んだのか?
考えられるのは攻撃手段が豊富で、なおかつ奇襲を狙う「ニンジャスタイル」だろうか。
俺は相手のデッキ内容を想像しながら、奴がいたと思しき鉄塔に向かって走る。居場所を探るための跳躍だったのだから、攻撃を食らったのは予想外とはいえ目的は果たしたと言えよう。
道中、手札を調整するために数枚のバレットカードを使い捨てる。
【涙の散弾】
足元に向かって打ったので小さく地面が弾けるのみ。本来は水滴を散弾のように飛ばすバレットカードだが、今回は発射音と着弾音が小さいことから採用している。
【斜斬:弐の型】
これもまた地面に打つ。悪気は無いが斬撃によって花は散り、地面が少しえぐれる。
【我力の叩き伏せ】
大きな手のひらの形をした半透明のエフェクトが空中に出るが、右から左へ空を切るように手を振ると何も起こらずにエフェクトは霧散する。
本来は手を振り下ろし、相手を地面に叩きつける対空用のカードだが、これも空打ちで何も起こらないことを利用して隠密性を得ている。
どれも最低限の威力でエフェクトが目立ちにくいバレットカードたちだ。彼らも今回のデッキでは縁の下の力持ちとして活躍してくれている。
■□ バレットカード □■
このゲームには7つのカードタイプがある。
一つは今連打したバレットカード。銃弾の名の通り、アクティブ後に即使用できるが使い捨てで近・中距離に攻撃し、ドロータイムが短いのが特徴だ。
ドロータイムとは、手札を使用して次の手札が補充されるまでの待機時間のことだ。つまり、バレットカードはすぐに打ててすぐに次が補充される。
近距離戦闘では主に使用することになる要のカードタイプなので、これが1枚も入っていないデッキで近距離戦闘を行うのは不可能ということになる。
バレットカードを空打ち、新たにドロー。また不必要なバレットカードならば空打ち、ドロー。
そうして手札を回し、ようやくお目当ての【卑弥呼の銅鏡】にたどり着いた。
使用回数は6と大幅に増やしたこのカードが今回のキーカードだ。
準備は整った。あとは実践あるのみ。
森を走り抜けた先、鉄塔の足元でパッと視界が開けた。
「おまたせ」
「いいよ、私もいま来たとこ」
白々しく奴――杵島みずちは答えた。
「ここが1」
光の筋は少し離れた場所にもきらり、きらりと煌めかせていた。
「あれが2、3、4……」
俺はその光の数を淡々と数え、視界ディスプレイに表示されたマップに書き込んでいく。
このフィールド「調色の森林」は鬱蒼と茂る森を模して作られている。
頭上は生い茂る木々の緑に囲まれているが、足元や木の根には多彩な花やキノコで覆われ、名の通りさながら絵の具を流し入れた調色板のような極彩色になっている。
このフィールドは頭上を全て葉の天井にふさがれているため薄暗く、身を隠しながら戦うのにはうってつけな戦場だ。
「あそこで20。オッケー」
慎重に体を森に溶け込ませるように潜めながら走り、周囲への警戒をしながらも視界の端に注視する。
視界に重なるように表示されているディスプレイの下部には、横に並ぶ4枚のカード。今の手札だ。
その中で黄色い斬撃のイラストが入ったカードを手元のコントローラーで選択し、アクティブ状態にさせる。
ターゲットは数メートル前に立つ木。
強く息を吐きながら、左手を手刀の形にして斜めに振る。今アクティブにした【斜斬:弐の型】の起動アクションだ。
弐の型は中距離へ飛ぶそこそこの威力の斬撃で、このフィールドの普通の木なら一発で切り倒せる。
思惑通り斜斬の形に沿ってきれいに両断され、大きな音を立ててズレ落ちた上部を横目に、残った切り株を足場にして大きくジャンプする。走っている間にアクティブにした【空中跳躍】で更に高くジャンプ。木々の上に飛び上がった。
ごぉ、と風が吹く。
このフィールドを覆うのは殆どが背の高い樹林だが、何箇所か開けた場所もある。
フィールドの中心にある乳白色の池がまずひとつ。
6、7メートルの高さの傾いた鉄塔の周辺がひとつ。
あとは黒ずんだ広場。ゲーム開始時は大輪のひまわりが並ぶ壮観な花畑だったが、奴が開幕で燃やしやがったので、今はただの味気ない黒い焼け跡になってしまった場所だ。
俺はジャンプ中に周囲を確認しながら空中で姿勢を整え、少し高い木の枝に捕まり、そのまま腕力で体を持ち上げ枝の上に立った。
ふむ。奴の姿は無し。
まあほとんどは今の自分の立つ木と同じような高さの木々で視界が塞がれているため、その開けた3箇所にいない=相手も高所から自分を視認できる場所にいない、ということがわかっただけではあるが……。
と、思考を巡らせた直後。鉄塔の方から光が瞬いたかと思うと右腕にピリッとした刺激と共に右手が引っ張られるような感覚で後ろに弾かれる。
――ダメージ判定だ。
さらに続けて周囲からはパチパチと何かが爆ぜるような音。
驚いたのは一瞬。身体は即座に反応し、木から素早く飛び降り慌ててうつ伏せになり両手で頭を覆う。
と、同時にパァンッと頭上で爆発音が響き、バラバラと木の破片や枝葉が降ってきた。
光線による攻撃と小規模な爆発。奴の攻撃で間違いない。
思い当たるカードは遠距離型のショット【レイルドスター】だ。
自らの姿は巧妙に隠しながらこちらを的確に撃ち抜いてきたテクニカルな攻撃に俺は少し動揺しつつ画面上のライフゲージを確認した。
タイムラグのある爆発は回避したためさほどではないが、今の攻撃でまた少し削られている。
序盤の攻防ではお互い半分ほど削りあったので、これでまた俺の方が少し不利になった。
今のをモロにくらっていたらヤバかった。
奴の攻撃は既にある程度打ってくれていたのでデッキは想像がつく。いや、想像がついたと思っていた。
近距離、中距離の攻撃カードを中心として無難に強いカードで揃えた「グッドスタッフバレット」。いつも多少のカード選択は違うものの奴の好きなデッキだ。
ただ、今の攻撃で定番の構成とは違うデッキであることが判明した。
奴は自らの身を隠すような防御的なカードを普段は使わない。
新しいデッキを組んだのか?
考えられるのは攻撃手段が豊富で、なおかつ奇襲を狙う「ニンジャスタイル」だろうか。
俺は相手のデッキ内容を想像しながら、奴がいたと思しき鉄塔に向かって走る。居場所を探るための跳躍だったのだから、攻撃を食らったのは予想外とはいえ目的は果たしたと言えよう。
道中、手札を調整するために数枚のバレットカードを使い捨てる。
【涙の散弾】
足元に向かって打ったので小さく地面が弾けるのみ。本来は水滴を散弾のように飛ばすバレットカードだが、今回は発射音と着弾音が小さいことから採用している。
【斜斬:弐の型】
これもまた地面に打つ。悪気は無いが斬撃によって花は散り、地面が少しえぐれる。
【我力の叩き伏せ】
大きな手のひらの形をした半透明のエフェクトが空中に出るが、右から左へ空を切るように手を振ると何も起こらずにエフェクトは霧散する。
本来は手を振り下ろし、相手を地面に叩きつける対空用のカードだが、これも空打ちで何も起こらないことを利用して隠密性を得ている。
どれも最低限の威力でエフェクトが目立ちにくいバレットカードたちだ。彼らも今回のデッキでは縁の下の力持ちとして活躍してくれている。
■□ バレットカード □■
このゲームには7つのカードタイプがある。
一つは今連打したバレットカード。銃弾の名の通り、アクティブ後に即使用できるが使い捨てで近・中距離に攻撃し、ドロータイムが短いのが特徴だ。
ドロータイムとは、手札を使用して次の手札が補充されるまでの待機時間のことだ。つまり、バレットカードはすぐに打ててすぐに次が補充される。
近距離戦闘では主に使用することになる要のカードタイプなので、これが1枚も入っていないデッキで近距離戦闘を行うのは不可能ということになる。
バレットカードを空打ち、新たにドロー。また不必要なバレットカードならば空打ち、ドロー。
そうして手札を回し、ようやくお目当ての【卑弥呼の銅鏡】にたどり着いた。
使用回数は6と大幅に増やしたこのカードが今回のキーカードだ。
準備は整った。あとは実践あるのみ。
森を走り抜けた先、鉄塔の足元でパッと視界が開けた。
「おまたせ」
「いいよ、私もいま来たとこ」
白々しく奴――杵島みずちは答えた。
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