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問1 パターンを解明せよ
答1-2
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シークバーをぐっと動かしてだいぶ最初の方に戻ると、俺とみずちが向日葵畑を燃やしながら攻防するシーンが現れる。
「あー、ここで決めきれば良かったんだねぇ私は」
「まあそりゃそうだけど、俺は逃げる気まんまんだったからな」
向日葵畑はどんどんと延焼し、黒い煙が全てを覆い隠す。画面では煙の中でも見えるようにプレイヤーの輪郭がハイライトされ、俺が低い姿勢でその場を離れていくのが見えた。
その背後で、みずちのアバターが適当に攻撃を振りまく姿が映し出される。
「この適当に撃つの、結構アホっぽいからやめろよ」
「良いじゃん別に。当たったらラッキーだし」
俺は小さくため息を吐く。
「だから何度も言ってるけど、必要なカードが必要なときに手札にあるように考えてだな……」
「あーもう! ゲームで説教はやめてって!」
みずちは耳を塞いで頭をぶんぶん振った。
俺と彼女はこういうところはいつまで経っても相容れないようだ。
とにかく先を見ようと早送りで映像を進めると、彼女が止めて、と言ったので早送りから等速に戻す。
「なんでここでもうさっきの雷打ってるの?」
ゲーム開始から10分程度。俺は森の中に逃げ込み距離を取ると、適当な場所で【鳴神:萬】を一発撃っているのだ。
当然近くにみずちはいない状況なので、当たるはずのない攻撃。
「このためにこのフィールドにしたんだよね」
この【鳴神:萬】は「周囲にランダムに雷を落とす」攻撃だ。
だが、俺はこのランダム性に疑問を抱いた。もしかしてパターンがあるのでは?ということに。
気づいたのは、以前このカードを使って「湖に対戦相手を叩き落としてからその湖に撃てば全弾分のダメージが入るのでは?」というコンセプトで使用していた時のことだ。
効果範囲の確認で何度も同じ場所から撃っていると、雷の着弾位置が同じところに複数回重なっていることがあった。興味を持った俺はさらにそこから百回以上撃ちまくり、雷の落ちた位置のデータを取り、ついにパターンを解明したのだ。
「実は、雷が落ちる位置は89箇所しかないんだよ」
「へ? 何の話?」
「このスペルカードの効果の話。【鳴神:萬】が落とす雷の位置って、候補が決まってるってこと」
「ふーん。でも落ちる雷の数より全然多いじゃん」
「そう。でもそれにもパターンがあったってわけ。89箇所の中で、落ちる雷の組み合わせは25通り。その25通りの組み合わせで、38回のループを作ってんの」
「???」
彼女はあまり理解出来ていないようだ。
「うーん、どう説明すりゃいいんだ? ……じゃあ例えば、Aっていうパターンで雷が落ちる20箇所があると、次に【鳴神:萬】を撃つと今度は全然違う場所に雷が落ちるパターンB、次のパターンCって続く。でもその順番がずっとランダムに続く訳じゃなくて、Cの次にまたAが来たりするんだよ」
ディスプレイを操作して画面内の俺を拡大する。
手元で何かをいじっている姿が見える。
「そのパターンが25種類。で、A、B、C、A、D、Eみたいにそのパターンを数えていくと、また同じA、B、C、A、D、Eとつながるパターンの順番が現れて、そこから先は計測……いや予測した通りの順番で落ちる。つまりパターンはループしてる」
「うん、なんとなくわかってきた。じゃ、そのパターンのループの数が……」
「38回だったってこと」
「ほえー! それ全部調べたの?」
「暇だったし、面白かったから、つい。んで、38回のループの中で唯一3回現れるパターンを見つけた。俺はそのパターン『アルファ』を相手に叩き込むためにこのデッキを組んだわけだ」
驚いた顔のみずち。そうだろうそうだろう。俺ってばそんな面倒なことしたんだぜ、と俺はどや顔をキメる。
「前から思ってたけど……ほんっとうにアホなことに時間かけるねぇ、りょーちんは。そのエネルギー、もっと別のことに向ければ?」
まさかの辛辣なお言葉。俺はさすがに悲しくなって顔をひしゃげると、彼女はあわてて「ごめん、りょーちんすごい! 続けて!」とフォローを入れてくれた。
「……うん、そんでさ。落ちる場所がわかるなら、なんか面白い事できないかなって探して【卑弥呼の銅鏡】の存在に行き着いた」
「あのうっとおしい反射するやつかー」
「あれ、設置もできるから角度を調整して置いておけば攻撃の方向を変えられるじゃん? それで雷の落ちる場所全部に鏡を先置きして狙いを統一させれば、適当に降らせてその中の一発が当たるか当たらないか運に任せるカードじゃなくて、意図的に相手のライフをゴリッと削って最高のフィニッシュを迎える『ロマン砲』になるわけだ」
「なるほどなー」
みずちがわかった風に頭をうんうん頷かせる。
「で、それがなんで誰もいないとこで雷を撃つことに繋がるん?」
「パターン『アルファ』にたどり着くためには何度も【鳴神:萬】を撃つ必要があるんだよね。パターンはループしてるけど、そのループの起点は毎ゲーム違うんだよ。幸い今回は4発後に『アルファ』が落ちる順番だったけどね」
「ほうほう」
「だから、パターンを調べるために森の中で撃ったってわけ。あの森、着弾地点を調べるためには最適なんだよね、なんせ頭上が全部木の葉で塞がれてるから、下から見上げるだけで落ちた雷によって空いた穴がすぐわかるんだよ」
「あー! それでか! それは頭いい! すごい! 良く見つけた!」
パターンの解明は馬鹿にされたのに、なぜかそんなところでお褒めの言葉を頂いた。
釈然としない気分だ。
「あー、ここで決めきれば良かったんだねぇ私は」
「まあそりゃそうだけど、俺は逃げる気まんまんだったからな」
向日葵畑はどんどんと延焼し、黒い煙が全てを覆い隠す。画面では煙の中でも見えるようにプレイヤーの輪郭がハイライトされ、俺が低い姿勢でその場を離れていくのが見えた。
その背後で、みずちのアバターが適当に攻撃を振りまく姿が映し出される。
「この適当に撃つの、結構アホっぽいからやめろよ」
「良いじゃん別に。当たったらラッキーだし」
俺は小さくため息を吐く。
「だから何度も言ってるけど、必要なカードが必要なときに手札にあるように考えてだな……」
「あーもう! ゲームで説教はやめてって!」
みずちは耳を塞いで頭をぶんぶん振った。
俺と彼女はこういうところはいつまで経っても相容れないようだ。
とにかく先を見ようと早送りで映像を進めると、彼女が止めて、と言ったので早送りから等速に戻す。
「なんでここでもうさっきの雷打ってるの?」
ゲーム開始から10分程度。俺は森の中に逃げ込み距離を取ると、適当な場所で【鳴神:萬】を一発撃っているのだ。
当然近くにみずちはいない状況なので、当たるはずのない攻撃。
「このためにこのフィールドにしたんだよね」
この【鳴神:萬】は「周囲にランダムに雷を落とす」攻撃だ。
だが、俺はこのランダム性に疑問を抱いた。もしかしてパターンがあるのでは?ということに。
気づいたのは、以前このカードを使って「湖に対戦相手を叩き落としてからその湖に撃てば全弾分のダメージが入るのでは?」というコンセプトで使用していた時のことだ。
効果範囲の確認で何度も同じ場所から撃っていると、雷の着弾位置が同じところに複数回重なっていることがあった。興味を持った俺はさらにそこから百回以上撃ちまくり、雷の落ちた位置のデータを取り、ついにパターンを解明したのだ。
「実は、雷が落ちる位置は89箇所しかないんだよ」
「へ? 何の話?」
「このスペルカードの効果の話。【鳴神:萬】が落とす雷の位置って、候補が決まってるってこと」
「ふーん。でも落ちる雷の数より全然多いじゃん」
「そう。でもそれにもパターンがあったってわけ。89箇所の中で、落ちる雷の組み合わせは25通り。その25通りの組み合わせで、38回のループを作ってんの」
「???」
彼女はあまり理解出来ていないようだ。
「うーん、どう説明すりゃいいんだ? ……じゃあ例えば、Aっていうパターンで雷が落ちる20箇所があると、次に【鳴神:萬】を撃つと今度は全然違う場所に雷が落ちるパターンB、次のパターンCって続く。でもその順番がずっとランダムに続く訳じゃなくて、Cの次にまたAが来たりするんだよ」
ディスプレイを操作して画面内の俺を拡大する。
手元で何かをいじっている姿が見える。
「そのパターンが25種類。で、A、B、C、A、D、Eみたいにそのパターンを数えていくと、また同じA、B、C、A、D、Eとつながるパターンの順番が現れて、そこから先は計測……いや予測した通りの順番で落ちる。つまりパターンはループしてる」
「うん、なんとなくわかってきた。じゃ、そのパターンのループの数が……」
「38回だったってこと」
「ほえー! それ全部調べたの?」
「暇だったし、面白かったから、つい。んで、38回のループの中で唯一3回現れるパターンを見つけた。俺はそのパターン『アルファ』を相手に叩き込むためにこのデッキを組んだわけだ」
驚いた顔のみずち。そうだろうそうだろう。俺ってばそんな面倒なことしたんだぜ、と俺はどや顔をキメる。
「前から思ってたけど……ほんっとうにアホなことに時間かけるねぇ、りょーちんは。そのエネルギー、もっと別のことに向ければ?」
まさかの辛辣なお言葉。俺はさすがに悲しくなって顔をひしゃげると、彼女はあわてて「ごめん、りょーちんすごい! 続けて!」とフォローを入れてくれた。
「……うん、そんでさ。落ちる場所がわかるなら、なんか面白い事できないかなって探して【卑弥呼の銅鏡】の存在に行き着いた」
「あのうっとおしい反射するやつかー」
「あれ、設置もできるから角度を調整して置いておけば攻撃の方向を変えられるじゃん? それで雷の落ちる場所全部に鏡を先置きして狙いを統一させれば、適当に降らせてその中の一発が当たるか当たらないか運に任せるカードじゃなくて、意図的に相手のライフをゴリッと削って最高のフィニッシュを迎える『ロマン砲』になるわけだ」
「なるほどなー」
みずちがわかった風に頭をうんうん頷かせる。
「で、それがなんで誰もいないとこで雷を撃つことに繋がるん?」
「パターン『アルファ』にたどり着くためには何度も【鳴神:萬】を撃つ必要があるんだよね。パターンはループしてるけど、そのループの起点は毎ゲーム違うんだよ。幸い今回は4発後に『アルファ』が落ちる順番だったけどね」
「ほうほう」
「だから、パターンを調べるために森の中で撃ったってわけ。あの森、着弾地点を調べるためには最適なんだよね、なんせ頭上が全部木の葉で塞がれてるから、下から見上げるだけで落ちた雷によって空いた穴がすぐわかるんだよ」
「あー! それでか! それは頭いい! すごい! 良く見つけた!」
パターンの解明は馬鹿にされたのに、なぜかそんなところでお褒めの言葉を頂いた。
釈然としない気分だ。
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