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問3 条件による分岐を辿れ
答3-7
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目を開いてからのカグツチの動きは、飛び道具を使わずその巨体を活かした格闘術に変わった。
5mはあろうかというカグツチはそれだけで小さな建物くらいの大きさだ。いくらこちらもゲーム内で身体性能が大きく上がっているとはいえ、機敏に動かれてはなかなか対応は難しい。
「空飛んでない相手は楽だねぇー!」
「あー! でも攻撃当たらね―!! あとライフミリだろこいつ!?」
チョッキはみずちに振りかぶられたカグツチの腕を狙って斬撃を飛ばすが、カグツチは全身を傾けて斬撃から逃れながらも腕は振り切る。
みずちは壁も走りながら立体的な機動でなんとか回避するが、攻撃が当たった壁がえぐれ、木材の破片が散弾のように飛び散りいくらか被弾している。
足に当たったらしく、アバターの操作が狂ったのかみずちは床に倒れこんだ。
「あいたっ!! あ、やば――」
その隙を逃さずカグツチが足を上げ踏みつけようとしたが、殴りから予測して動いていた俺がギリギリでその間に体を滑り込ませ、踏み降ろす場所からみずちを引っ張り上げる事に成功した。
危ない、あれを食らったらみずちは落ちるところだった。
「ごめん、油断した! ありがと!」
体勢を立て直したみずちは、すぐに攻撃に移った。
両手を身体の横からスローイングするように動かすと、黒色の塊が2つカグツチに投擲された。
赤く発光しながらカグツチに当たりかけた【ジャグリングボム】は、身体に触れる寸前でカグツチが指でやさしくつまみ、あろうことか投げ返してきた。
「へっ!?」
「そんなのアリかよ!!!」
みずちと方向が重なっている俺の方にも【ジャグリングボム】が弧を描いて降ってくる。
慌てて回避を試みるが、爆風に飲まれてライフを削られた。
これで俺も次被弾したらアウトだ。
「気をつけて下さい! 多分『投擲反射』持ちです!」
「降りてから耐性も変わったってことか。食らう前に気づきたかったけど、仕方ない! 俺は一旦引く!」
「はい! 私が前に出ます!」
パターン化していた空中での戦闘と違い、今のカグツチはかなり反応的に動く。
当然攻撃も回避も読みにくく、4人の怒涛の攻撃も先読みされたかのように避けられ反撃される。
これ、あれだ。空中でのダメージ蓄積で地上でのアクションにブーストがかかるやつだ。
消えたように見える激しい炎は、全て身体の内に戻しただけだということだろう。
空中判定の間にギリギリまで削ってしまったので、地上戦では設定されたほぼ最強クラスになっているという事。あと数ミリのライフを削るのが遠い。
「カスダメじゃまだ落ちないし、攻撃のタイミング合わせよう! 後は……誰か範囲撃てない!?」
「範囲来ました! 【スターレイン】です!」
スペルカード【スターレイン】は【レイルドスター】【フォーリンスター】から連なるスターシリーズの最強格だ。
「ナイスドロー! 【スターレイン】はこのシーンなら最高の選択肢だろ!」
「ミューミューちゃんを守ればいいって事だな!?」
「ひゃー、あと1分かな!?」
■□ スペルカード □■
スペルカードはアクティブ化させてから攻撃の発生まで長いタイムラグがある。その時間は「詠唱」と呼ばれ、プレイヤーは視界ディスプレイ上に出る立体パズルのようなものを高速で組み上げる必要があり、他に意識がほとんど回せなくなる。
他のカードのアクティブ化などは出来なくなるが、移動くらいなら出来る。アクティブ化してから完成させるまでに制限時間もあるため、相手の攻撃をきちんと回避しながら組み立てようとするとなかなかに大変だ。
対人戦で相手が正面にいる状態だとまず発動することすら難しいが、パーティープレイならば砲台役がデッキに1枚は入れている。
「45秒あれば行けます!」
「さすがっ! 最後は任せた!」
残った3人で目を合わせて頷くと、チョッキが被弾覚悟の最前衛、みずちが間に入り、俺がミューミューの壁になった。
「来るぞっ!!」
チョッキが叫ぶ。カグツチが両手を重ねて体の横に引いた。
げげ、あのポーズは……。
「【老師の秘奥義】っすか……」
こいつからドロップするんだから、そりゃ撃てるに決まってるか。
ソロでは見たことなかったけど、パーティだとこういうシーンで使ってくるわけね。
しかも、みずちが使っていた光弾のサイズとは本体の大きさの差の分、初めから馬鹿デカイ。
あれじゃあこの本堂は埋め尽くしそうだ。一直線になった俺達をまとめて吹き飛ばそうとしているのだろう。
ここまで来て全落ちの未来が見える。
……いや、諦めるな!
「散開して攻撃!」
俺が声を上げる前かほぼ同時に、判断を下した二人が左右に飛び退き、カグツチの横に回ろうと走る。二人は同時に手札を切って攻撃を試みた。
だがカグツチは溜めたままで器用に攻撃が当たる部位だけを動かしてギリギリで回避する。
まだだっ!!
俺は正面から走り、ジャンプしながら【砲夢乱抜刀】を振るう。外れる。
予測済みだ。俺は【砲夢乱抜刀】をぐるんと回して更に攻撃を重ねるべく動くが、カグツチはそれすらも読んでバックステップして部屋の最奥まで逃げた。
やばい、2撃目が当たってあわよくば撃破を狙っていたのに、やつがあの位置だと全員――!
カグツチの目が赤く揺らめく。
視界がスローモーションのように時間の流れが遅くなったように感じる。
40秒しか稼げなかった。わずかに足りない。
クソッ、ここまで来て終わりか。
「その最後のワンステップで、届きました」
カグツチが手を前へと押し出す動きより僅かに早く、奴の頭上に見えたのは巨大な隕石と無数の小さな流星たち。
【スターレイン】によって生み出されたそれらは、スローの視界の中でも尚高速でカグツチに襲いかかり、残ったライフを一瞬で削り取りながら爆発した。
いや、ほら爆発って俺らも……。あれ?
カグツチが集めていた光の輝きは霧散し、その巨体は炎に包まれて燃え上がる。
この炎は力の根源の流出。ゲームの終わりを告げるイベントボスの断末魔だった。
暗く沈んでいた夜空は朝焼けの橙に塗り替わり、柔らかい光が残った俺達を浮かび上がらせた。
「お疲れ様でした」
ぽかんとする3人を残し、ラストアタックをオーバーキルでかっさらったミューミューは一人晴れやかな笑顔を見せていた。
5mはあろうかというカグツチはそれだけで小さな建物くらいの大きさだ。いくらこちらもゲーム内で身体性能が大きく上がっているとはいえ、機敏に動かれてはなかなか対応は難しい。
「空飛んでない相手は楽だねぇー!」
「あー! でも攻撃当たらね―!! あとライフミリだろこいつ!?」
チョッキはみずちに振りかぶられたカグツチの腕を狙って斬撃を飛ばすが、カグツチは全身を傾けて斬撃から逃れながらも腕は振り切る。
みずちは壁も走りながら立体的な機動でなんとか回避するが、攻撃が当たった壁がえぐれ、木材の破片が散弾のように飛び散りいくらか被弾している。
足に当たったらしく、アバターの操作が狂ったのかみずちは床に倒れこんだ。
「あいたっ!! あ、やば――」
その隙を逃さずカグツチが足を上げ踏みつけようとしたが、殴りから予測して動いていた俺がギリギリでその間に体を滑り込ませ、踏み降ろす場所からみずちを引っ張り上げる事に成功した。
危ない、あれを食らったらみずちは落ちるところだった。
「ごめん、油断した! ありがと!」
体勢を立て直したみずちは、すぐに攻撃に移った。
両手を身体の横からスローイングするように動かすと、黒色の塊が2つカグツチに投擲された。
赤く発光しながらカグツチに当たりかけた【ジャグリングボム】は、身体に触れる寸前でカグツチが指でやさしくつまみ、あろうことか投げ返してきた。
「へっ!?」
「そんなのアリかよ!!!」
みずちと方向が重なっている俺の方にも【ジャグリングボム】が弧を描いて降ってくる。
慌てて回避を試みるが、爆風に飲まれてライフを削られた。
これで俺も次被弾したらアウトだ。
「気をつけて下さい! 多分『投擲反射』持ちです!」
「降りてから耐性も変わったってことか。食らう前に気づきたかったけど、仕方ない! 俺は一旦引く!」
「はい! 私が前に出ます!」
パターン化していた空中での戦闘と違い、今のカグツチはかなり反応的に動く。
当然攻撃も回避も読みにくく、4人の怒涛の攻撃も先読みされたかのように避けられ反撃される。
これ、あれだ。空中でのダメージ蓄積で地上でのアクションにブーストがかかるやつだ。
消えたように見える激しい炎は、全て身体の内に戻しただけだということだろう。
空中判定の間にギリギリまで削ってしまったので、地上戦では設定されたほぼ最強クラスになっているという事。あと数ミリのライフを削るのが遠い。
「カスダメじゃまだ落ちないし、攻撃のタイミング合わせよう! 後は……誰か範囲撃てない!?」
「範囲来ました! 【スターレイン】です!」
スペルカード【スターレイン】は【レイルドスター】【フォーリンスター】から連なるスターシリーズの最強格だ。
「ナイスドロー! 【スターレイン】はこのシーンなら最高の選択肢だろ!」
「ミューミューちゃんを守ればいいって事だな!?」
「ひゃー、あと1分かな!?」
■□ スペルカード □■
スペルカードはアクティブ化させてから攻撃の発生まで長いタイムラグがある。その時間は「詠唱」と呼ばれ、プレイヤーは視界ディスプレイ上に出る立体パズルのようなものを高速で組み上げる必要があり、他に意識がほとんど回せなくなる。
他のカードのアクティブ化などは出来なくなるが、移動くらいなら出来る。アクティブ化してから完成させるまでに制限時間もあるため、相手の攻撃をきちんと回避しながら組み立てようとするとなかなかに大変だ。
対人戦で相手が正面にいる状態だとまず発動することすら難しいが、パーティープレイならば砲台役がデッキに1枚は入れている。
「45秒あれば行けます!」
「さすがっ! 最後は任せた!」
残った3人で目を合わせて頷くと、チョッキが被弾覚悟の最前衛、みずちが間に入り、俺がミューミューの壁になった。
「来るぞっ!!」
チョッキが叫ぶ。カグツチが両手を重ねて体の横に引いた。
げげ、あのポーズは……。
「【老師の秘奥義】っすか……」
こいつからドロップするんだから、そりゃ撃てるに決まってるか。
ソロでは見たことなかったけど、パーティだとこういうシーンで使ってくるわけね。
しかも、みずちが使っていた光弾のサイズとは本体の大きさの差の分、初めから馬鹿デカイ。
あれじゃあこの本堂は埋め尽くしそうだ。一直線になった俺達をまとめて吹き飛ばそうとしているのだろう。
ここまで来て全落ちの未来が見える。
……いや、諦めるな!
「散開して攻撃!」
俺が声を上げる前かほぼ同時に、判断を下した二人が左右に飛び退き、カグツチの横に回ろうと走る。二人は同時に手札を切って攻撃を試みた。
だがカグツチは溜めたままで器用に攻撃が当たる部位だけを動かしてギリギリで回避する。
まだだっ!!
俺は正面から走り、ジャンプしながら【砲夢乱抜刀】を振るう。外れる。
予測済みだ。俺は【砲夢乱抜刀】をぐるんと回して更に攻撃を重ねるべく動くが、カグツチはそれすらも読んでバックステップして部屋の最奥まで逃げた。
やばい、2撃目が当たってあわよくば撃破を狙っていたのに、やつがあの位置だと全員――!
カグツチの目が赤く揺らめく。
視界がスローモーションのように時間の流れが遅くなったように感じる。
40秒しか稼げなかった。わずかに足りない。
クソッ、ここまで来て終わりか。
「その最後のワンステップで、届きました」
カグツチが手を前へと押し出す動きより僅かに早く、奴の頭上に見えたのは巨大な隕石と無数の小さな流星たち。
【スターレイン】によって生み出されたそれらは、スローの視界の中でも尚高速でカグツチに襲いかかり、残ったライフを一瞬で削り取りながら爆発した。
いや、ほら爆発って俺らも……。あれ?
カグツチが集めていた光の輝きは霧散し、その巨体は炎に包まれて燃え上がる。
この炎は力の根源の流出。ゲームの終わりを告げるイベントボスの断末魔だった。
暗く沈んでいた夜空は朝焼けの橙に塗り替わり、柔らかい光が残った俺達を浮かび上がらせた。
「お疲れ様でした」
ぽかんとする3人を残し、ラストアタックをオーバーキルでかっさらったミューミューは一人晴れやかな笑顔を見せていた。
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