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3.やっかいな出会い
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翌朝、ウィノラは朝方に帰ってきたアデリータとマイノの姿をこっそりと見つけると、マイノが食堂に来るのを今か今かと待ち侘びていた。
マイノが大あくびをしながら食堂に入ると、一瞬ギョッとした表情を浮かべたがすぐに不機嫌そうな顔に変わる。ウィノラはすぐに自分の食器をマイノの隣に持っていくと、あからさまにマイノの眉間に皺が寄った。
「なんでわざわざ隣りに来るんだよ。向こうに行け」
「あの暴力男は警備隊に捕まったのよね? 出禁名簿には載せた? どんな仕返しをしてきたの?」
「知らん! しかもなんだその仕返しってのは」
「それじゃあどうしてマイノおじさんも一緒に帰って来たのよ。アディは報復して来たんでしょう?」
「物騒な事ばかり言いやがって。もしかしてお前寝ないで待ってたのか?」
「少し寝たけど目が覚めちゃって。それで? どうだったの?」
ウィノラが擦り寄りながら笑うと、マイノは溜息を吐いて頭を抱えた。
「俺から聞いたって言うなよ。絶対だからな!」
「私こう見えても口は堅いの。それで、ちゃんと仕返しはしてくれたのよね?」
マイノはまだまばらな食堂の中で、更に声を潜めて言った。
「あの追い出した客はそこそこデカい商会の息子だったのさ。だから昨晩の内に父親が金を積んで牢からは出られたんだ。怒られていた内容を聞く限りでは今までもちょくちょく娼館には出入りしていたらしい。で、どうにかこうにかコネを使ってここに潜り込んだって訳だな」
「でもお金を積まれて釈放って事は警備隊も結局お金で動くって事なのね。ちょっとがっかりだわ」
「まあな、向こうさんにも色々事情があるのさ。警備隊は元々街の自警団から派生したものだから、国からの援助もあるにはあるが、たかが知れているんだよ」
「あんな奴はもう二度とどこの娼館にも出入り出来ないようにしたらいいのよ!」
昨日のディアンヌの怪我を思い出すと今でも腹が立ってきてしまう。しかしマイノはニヤニヤと笑いながら言った。
「まあそんな訳で、女将は釈放されたあの男のあそこの毛を燃やしちまったのさ」
「ブッ! あそこの毛を? まさかツルツル?」
「そういう訳だ。突然股間が燃え出した時のあいつの顔ときたらもうッ! ありゃしばらくは生えてこないだろうから大人しくしてるさ。元に戻るまではしばらく掛かるだろうから、これに懲りて今後も静かにしてくれたらいいんだけどな」
想像しただけでもおかしい……もとい、酷い。笑いを堪えているとマイノはそっと耳打ちしてきた。
「女将の力も結構きついよな?」
「フェッチの力をそんな風に使うなんてさすがね」
そう言いながらもウィノラはアデリータのフェッチを思うと気の毒で笑う事は出来なかった。
魔女は自らの力を具現化する事が出来る。その最たるものがフェッチだった。フェッチの姿は力に比例しており、そもそも形を成す事自体が難しいとされている。大抵の者は出来ても揺らめく光やキラキラと光る物、もしくはウニョウニョと動く物、程度にしか具現化出来ない。それでも十分に凄いのだが、力がある者はそれらを好きな形にする事が出来た。好きなと言っても、力には特性があるからそれを反映した上で力自体が一番好ましいと思う姿を取って現れる。その姿は力の持ち主でさえ現れてみないと分からないものだった。
『気の毒だよね。オエッ』
「確かにね。ウエッ」
ウィノラの肩に現れたのは、透明な箇所と金色の入り混じった小さな狐の姿をして現れた。
毛に見える先端はユラユラと揺らめく光で、目も鼻も口もそれらしく動いてはいるが、じっと視ていると何もない光のようにも視えてくる。肩に乗る程の狐自体がいないのだから誰が見ても異様な光景ではある。しかしそれは視えればの話だった。
フェッチ、もとい“レン”はマイノに視えていないのをいい事にウィノラの肩で寛ぎ始めた。レンという名前自体、力の源である主人しか知らない。だから他の者達は力の化身の全てをフェッチと呼んでいた。
「もしかしてフェッチがいるのか? 今何かを話しているみたいだったからさ」
ウィノラが肩を指すと、マイノは目一杯背伸びをした。
「魔女ってのはなんで女にしか力が伝わらなかったのかなぁ。俺も欲しかったな、フェッチ!」
「女に生まれたとしてもフェッチは現れなかったかもしれないよ?」
「言ったなこの野郎!」
大きな手で肩を揺すられていると、次第に食堂も騒がしくなっていく。マイノは慌てて一気にシチューとパンをかき込むと立ち上がりながら言った。
「寝てないのはマイノおじさんの方でしょう? 少し休んでから仕事に行ったら?」
「そんな事したら女将に叱られちまう。そうそう女将といえば、今日はデリカとイリーゼの買い物に付き合えって言ってたぞ」
「え、なんで?!」
露骨に嫌そうにするとマイノは気の毒そうに笑ってきた。
「気晴らしだろ。滅多にあの人達が行く場所には行けないんだから楽しんで来い。きっと女将もそれを望んでるんじゃないか?」
こくりと頷くと、冷めたシチューを口に運んだ。
「遅いわよウィノラ。女将から頼まれているから連れて行くけれど良い子にしているのよ? くれぐれも問題を起こさないようにね」
「酷い言い方。私がいつ問題を起こしたっていうのよ」
「昨晩起こしたばっかりでしょ!」
娼館の前に止まっていた馬車の中では、仕事でもないというのに着飾って直視出来ない程の輝きを放っている高級娼婦の二人がすでに座っていた。
ヒュー娼館の中でも、上位の高級娼婦は現在二名のみ。高級娼婦だけは店には出ず、決まった上流階級の貴族達を相手に仕事をしていた。その仕事は多岐に渡り、夜会や舞踏会の同伴、男性貴族同士の食事会への参加、それに加え呼ばれた場では多少なりとも会話に参加し、政治や世間話は知らな過ぎてもいけないし知り過ぎてもいけない。男性陣から無知で面白みがない女だと呆れられない程度の知識が求められた。ただ綺麗なだけではなれないのが高級娼婦で、その地位をもう何年も維持しているこの二人は、正直ウィノラの苦手とする女達だった。
「恥ずかしいからそんな風にキョロキョロしないの。周りからはこの馬車を見るだけでもヒュー娼館だと分かるのよ」
「それとウィノラはもう少し言葉遣いを気を付けた方がいいわねぇ。女将さんにそっくりなんだもの。ディアンヌから昨晩の事を聞いたけれど、暴言を吐いた上に椅子を持ち上げたんですって? うちの椅子は特注品ですごく重いはずなのに、あなたったらどんな腕をしているのよ。ちょっと見せてみなさいよ」
そう、この二人は女将やマイノにも増して多干渉姉さん達だったのだ。
薄茶色で肩までの髪を思い切り巻いている方がデリカ。大きな胸はドレスから零れそうだし、垂れた大きな瞳も、口元の黒子も女から見ても庇護欲を掻き立てる妖艶さだった。そして黒髪に知的に見えるスッキリとした目元、そしてさらりと長い髪からは常にいい匂いが漂っているイリーゼは、背も高くすらりとした体型で、男に媚びない接客だと物珍しさから夜会などでは唯一無二の存在になっていると有名だった。
「聞いているの? ウィノラ?」
「聞いているわよちゃんと」
「それじゃあ教育を受けるわね?」
きょとんとしていると、二人は顔を見合わせてから神妙な面持ちになった。
「だからあなたも高級娼婦になれるように勉強をしなさいと言っているのよ」
「誰が?」
「ウィノラが」
「何を勉強するの?」
「高級娼婦よ、高級娼婦になる為の勉強!」
「無理無理! どうしてそんな話になったの!」
「前々から話は出ていたのよ。そろそろ私達も後継者を育てなくちゃいけないし、そもそも二人というのは少な過ぎるからね。かと言ってうちは特殊だから他から引き抜く事もないし、その容姿を活かしなさい」
「そうよ、ウィノラは見目はいいんだからあとは教育次第ね。私達には及ばないだろうけれど。大丈夫、ちゃんと女将さんは説得してあげるから」
「アディが反対しているならきっと絶対に無理よ!」
「反対しているのはウィノラの日頃の言動のせいだから、改めればきっと承諾してくれるわ。良かったわね」
二人が怒涛のように話してくるものだから、呆気に取られてうっかり聞き手になってしまっていたと、気がついた時にはもう遅かった。馬車は帝都一番の高級店が並ぶ道の入り口で止まり、護衛が扉を開けた瞬間、二人を纏う空気が一気に引き締まったのが分かった。
「取り敢えずは買い物をしましょうか。丁度頼んでいたドレスが仕上がったみたいだから、まずはそれを取りに行くわよ。その後は恋人達への贈り物を買ってから食事よ」
護衛の手を取りデリカがステップに足を掛けた瞬間、普段から貴族婦人や令嬢で美しい人を見慣れているであろう男性達でも足を止める程に、デリカの容姿は人の目を釘付けにしていた。
「全く、あの子ったら楽しんでいるわね」
次に出たイリーゼには、男性だけでなく女性も目を奪われているようだった。そして続くウィノラはと言えば、現実に戻ったのか止まっていた人々の足が動き出すきっかけになったようだった。悶々とした気持ちを抱えて二人の後を付いていくと護衛が囁くように声を掛けてきた。
「気落ちするなよ。あの二人に続けば誰だって霞むもんさ」
「それって励ましているの? というかなんでウェスが護衛なのよ。あんた調理場の下働きじゃない」
護衛という名目で名乗りを上げたのは調理場担当のウィノラより一歳年下のウェスだった。確かに見た目だけで言えば護衛として申し分ない。身長は見上げる程にあり、無駄に付いた筋肉はマイノと同等と言ってもいい程に鍛えてある。それもこれも調理場は思っているよりもずっと力仕事だからな訳だが、とても年下とは見えないその風貌に溜息を付いていると、先を歩いていた二人が先にある高級衣装店に入って行ってしまった所だった。
「申し訳ありませんが只今のお時間はご予約のお客様のみとなります」
「でも私達今入って行った人達の連れなんですが」
すると店の前に立っていた警備の二人は、ウィノラとウェスを見比べて小さく鼻で笑った。
「お客様、嘘はいけませんよ。あのお二人は当店の上顧客様で……」
「ウィノラ? 何しているの? 早く入りなさい」
イリーゼが声を掛けてくると、警備の者達は慌てたように重厚な硝子扉を押し開いた。
「フフフ、ハハッ」
小さな笑い声がずっと聞こえている。デリカはソファに座りながら小さく震えるようにして笑いを堪えているようだった。
「やめさないよみっともない。ウィノラのせいよ、なんとかしなさい」
淡々と無表情のまま出された紅茶に口を付けながら、イリーゼは呆れたようにデリカを見ていた。デリカもさすがに声を出して笑う事は堪えているようだったが、それでも堪えきれずに耐えているその顔は真っ赤になっていた。
「クラウゼ伯爵がご覧になったらきっと幻滅なさるわよ。良いお客様なのだから逃されたら迷惑だわ」
「イリーゼ姉さんが言うとなぜか恐ろしく感じるのは何故?」
「だってだって、私達の後を追って入ろうとしたのに止められるなんて……フフッ」
「デリカ、黙りなさい! ウィノラは本当にそれでいいの? ヒュー娼館の人間としてそれで恥ずかしくないの?」
「だって別に人前に出る訳じゃないし、仕事はちゃんと持っているし……」
もちろん人並みに女を磨こうと努力した時期もある。その為に必要な物はむしろ充実していた。綺麗なドレスに化粧品、あらゆる香りの香油に、遠くの国からの輸入品だという香炉。食べ物はしっかり栄養が取れるようにと、毎日料理人達が美味しくて健康的な食事を作ってくれている。それでも毎日男性を相手に仕事をしている者達には叶わない。ウィノラがどれだけ着飾っても娼婦の真似をして遊んでいるとしか思われず、誰も本気にはしてくれなかった。それにウィノラには治療師としての仕事がある。娼館で起きる大小様々な怪我や病気を治療し、産婆の真似事もしている。今更ウィノラが娼婦になるなど誰も思っていないし、望んでいないのだ。
――まあ、あそこはほとんどが女性だしね。
「やっぱり私には無理よ」
するといつもは細いイリーゼの目がくわっと開いた。
「ちょっとあなた、お願いがあるのだけどいいかしら?」
すると女性店員が慌てたように近付いてきた。女性店員の方がウィノラよりも綺麗に着飾っている事に若干の衝撃を受けながら今度は何をするのかと見守っていると、何やら耳打ちをしているイリーゼと、にやりと笑った女性店員と目が合った。
「イリーゼ様のお頼み事であれば、ぜひとも私にお任せ下さい」
意味深な微笑みと言葉に及び腰になっていたウィノラは、あっという間に奥の試着室へと連れて行かれてしまったのだった。
「遅いですよ三人共! 俺腹ペコで、何の為に付いてきたと思っているんですか」
結局男で護衛の入室は許可できないと、店の中に入れてもらえなかったウェスはずっと外で待たされ、ようやく出てきた三人に振り返った時だった。三人を、厳密にはウィノラを見るなり固まって動かない。何を話しかけても腕を掴んで振ってみても反応はなかった。店の警備の者達もウィノラを二度見したまま固まっていた。
「見惚れちゃってやらしい子ね」
デリカがからかってみせるとウェスは顔を真っ赤にして年相応らしく、似合ってないだの、ドレスが勿体ないだの言いながら先をズンズン歩いて行ってしまう。ウィノラはその後に続こうとしたが、着慣れないドレスとヒールのある靴のせいでうまく歩けなかった。せっかく二人が買ってくれた物だから傷など付けられないと慎重に歩いていた時、やりがちな、ドレスの裾を踏むという失態を犯してしまった。誰かに思い切りぶつかり、それと同時に短く甲高い悲鳴が上がる。恐る恐る目を開けた先にいたのは、ウィノラが着ているドレスに引けを取らない麗美なドレスを着た来た女性だった。
「ちょっと、あなた早くどけないさい!」
「ご、ごめんなさいッ」
立ち上がりたくても長ったるく、襞の多い裾が邪魔をして起き上がれない。その時、後ろから腰を掴まれて軽々持ち上げられた。
「ウェス?」
振り返った瞬間、見知らぬ男性の顔が目の前にある。固まってしまっていると、相手の顔が見る見る赤くなっていくのが分かった。
「レナード様! 私にはお手を貸しては下さらないの?!」
「あの、すみませんでした。私の不注意で……」
しかしウィノラが差し出した手は細く白い手に弾かれてしまう。そして強請るように隣にあった腕を掴んでいた。
「マーサ様もお怪我はありませんか?」
「背中を打ってしまったみたいで歩けないわ」
「それでは僕が抱き上げて行きますから……」
ウィノラはそのまま二人の間に割って入っていた。
「それは大変です! 本当に申し訳ありませんでした。すぐにお医者様にお連れしますから少しだけ失礼しますね」
「やめて、離して!」
「大丈夫です、私こう見えて意外と力持ちなので」
立ち上がれないという女性の腕を持ち上げて抱き上げようとした時だった。
「もう立てるわよ! なんなのよ、この人! 私を誰だと思っているの?」
「マーサ様、お召し物が汚れてしまっています。今日はもうお帰りになられた方が宜しいのでは? 代わりのドレスをぜひ僕から送らせて下さい」
「レナード様が私にドレスを? もちろん喜んで!」
「ありがとうございます。念の為お医者様にお見せしましょう。それでは僕はこの方と少し話がありますので先に馬車に戻っていて下さい」
「離れるのは嫌よ! それにこの者にはちゃんと賠償をしてもらわないと……」
「僕がお話しておきますのでマーサ様を煩わせるまでもありませんよ。どうか私にマーサ様のお役に立つお役目を下さい」
「私の為にレナード様が? あの、あまり叱らないであげて頂戴ね、可哀想だもの」
マーサはニヤけるのが我慢できないのか目元で悲しそうにし口元を緩めるという器用な技を発揮しながら、従者と共に通りの入り口の方へ歩いて行った。
さて、とレナードが振り向くと、ウィノラは反射的にびくりと身体を跳ねさせてしまった。
「ああ、すみません。先程は友人の前でしたのでああ言いましたが、僕は別にあなたを責めるつもりはありませんよ」
朗らかにニコリと笑われ、ウィノラは胸を撫で下ろした。
「あのお方、腰は大丈夫なんでしょうか。それにドレスを汚してしまいました」
「きっと大丈夫です。今もお元気に歩いて行かれましたしお互い様ではないですか。あの御方も前を見てはいなかったですし、ドレスも新しい物を用意するのでご心配には及びません」
「でもそのドレスは私が準備するべきですよね?」
「あなたが気に病む事ではありませんよ。むしろ助けて頂いたのでお礼をしたいくらいです。もし宜しければ……」
「恐れながら、高貴なお方にうちの者が何かご無礼を働きましたでしょうか?」
後ろから現れたイリーゼはウィノラを後ろに庇うとレナードとの間に立った。
「無礼だなんてとんでもない。むしろ助けられたと言っていたんです」
「そうでしたか。それでしたら私どもはこれで失礼致します」
「待って下さい、お礼をさせて欲しいんです! それとお名前も……」
「結構でございます。それでは先を急ぎますのでこれで失礼致します」
背の高いイリーゼに隠されてしまえばもうこの姿など見えないだろう。ウィノラは連れて行かれるままに馬車に乗り込んだ。ふと窓に掛かったカーテンの隙間から、レナードが馬車の方をじっと見つめている気がした。
マイノが大あくびをしながら食堂に入ると、一瞬ギョッとした表情を浮かべたがすぐに不機嫌そうな顔に変わる。ウィノラはすぐに自分の食器をマイノの隣に持っていくと、あからさまにマイノの眉間に皺が寄った。
「なんでわざわざ隣りに来るんだよ。向こうに行け」
「あの暴力男は警備隊に捕まったのよね? 出禁名簿には載せた? どんな仕返しをしてきたの?」
「知らん! しかもなんだその仕返しってのは」
「それじゃあどうしてマイノおじさんも一緒に帰って来たのよ。アディは報復して来たんでしょう?」
「物騒な事ばかり言いやがって。もしかしてお前寝ないで待ってたのか?」
「少し寝たけど目が覚めちゃって。それで? どうだったの?」
ウィノラが擦り寄りながら笑うと、マイノは溜息を吐いて頭を抱えた。
「俺から聞いたって言うなよ。絶対だからな!」
「私こう見えても口は堅いの。それで、ちゃんと仕返しはしてくれたのよね?」
マイノはまだまばらな食堂の中で、更に声を潜めて言った。
「あの追い出した客はそこそこデカい商会の息子だったのさ。だから昨晩の内に父親が金を積んで牢からは出られたんだ。怒られていた内容を聞く限りでは今までもちょくちょく娼館には出入りしていたらしい。で、どうにかこうにかコネを使ってここに潜り込んだって訳だな」
「でもお金を積まれて釈放って事は警備隊も結局お金で動くって事なのね。ちょっとがっかりだわ」
「まあな、向こうさんにも色々事情があるのさ。警備隊は元々街の自警団から派生したものだから、国からの援助もあるにはあるが、たかが知れているんだよ」
「あんな奴はもう二度とどこの娼館にも出入り出来ないようにしたらいいのよ!」
昨日のディアンヌの怪我を思い出すと今でも腹が立ってきてしまう。しかしマイノはニヤニヤと笑いながら言った。
「まあそんな訳で、女将は釈放されたあの男のあそこの毛を燃やしちまったのさ」
「ブッ! あそこの毛を? まさかツルツル?」
「そういう訳だ。突然股間が燃え出した時のあいつの顔ときたらもうッ! ありゃしばらくは生えてこないだろうから大人しくしてるさ。元に戻るまではしばらく掛かるだろうから、これに懲りて今後も静かにしてくれたらいいんだけどな」
想像しただけでもおかしい……もとい、酷い。笑いを堪えているとマイノはそっと耳打ちしてきた。
「女将の力も結構きついよな?」
「フェッチの力をそんな風に使うなんてさすがね」
そう言いながらもウィノラはアデリータのフェッチを思うと気の毒で笑う事は出来なかった。
魔女は自らの力を具現化する事が出来る。その最たるものがフェッチだった。フェッチの姿は力に比例しており、そもそも形を成す事自体が難しいとされている。大抵の者は出来ても揺らめく光やキラキラと光る物、もしくはウニョウニョと動く物、程度にしか具現化出来ない。それでも十分に凄いのだが、力がある者はそれらを好きな形にする事が出来た。好きなと言っても、力には特性があるからそれを反映した上で力自体が一番好ましいと思う姿を取って現れる。その姿は力の持ち主でさえ現れてみないと分からないものだった。
『気の毒だよね。オエッ』
「確かにね。ウエッ」
ウィノラの肩に現れたのは、透明な箇所と金色の入り混じった小さな狐の姿をして現れた。
毛に見える先端はユラユラと揺らめく光で、目も鼻も口もそれらしく動いてはいるが、じっと視ていると何もない光のようにも視えてくる。肩に乗る程の狐自体がいないのだから誰が見ても異様な光景ではある。しかしそれは視えればの話だった。
フェッチ、もとい“レン”はマイノに視えていないのをいい事にウィノラの肩で寛ぎ始めた。レンという名前自体、力の源である主人しか知らない。だから他の者達は力の化身の全てをフェッチと呼んでいた。
「もしかしてフェッチがいるのか? 今何かを話しているみたいだったからさ」
ウィノラが肩を指すと、マイノは目一杯背伸びをした。
「魔女ってのはなんで女にしか力が伝わらなかったのかなぁ。俺も欲しかったな、フェッチ!」
「女に生まれたとしてもフェッチは現れなかったかもしれないよ?」
「言ったなこの野郎!」
大きな手で肩を揺すられていると、次第に食堂も騒がしくなっていく。マイノは慌てて一気にシチューとパンをかき込むと立ち上がりながら言った。
「寝てないのはマイノおじさんの方でしょう? 少し休んでから仕事に行ったら?」
「そんな事したら女将に叱られちまう。そうそう女将といえば、今日はデリカとイリーゼの買い物に付き合えって言ってたぞ」
「え、なんで?!」
露骨に嫌そうにするとマイノは気の毒そうに笑ってきた。
「気晴らしだろ。滅多にあの人達が行く場所には行けないんだから楽しんで来い。きっと女将もそれを望んでるんじゃないか?」
こくりと頷くと、冷めたシチューを口に運んだ。
「遅いわよウィノラ。女将から頼まれているから連れて行くけれど良い子にしているのよ? くれぐれも問題を起こさないようにね」
「酷い言い方。私がいつ問題を起こしたっていうのよ」
「昨晩起こしたばっかりでしょ!」
娼館の前に止まっていた馬車の中では、仕事でもないというのに着飾って直視出来ない程の輝きを放っている高級娼婦の二人がすでに座っていた。
ヒュー娼館の中でも、上位の高級娼婦は現在二名のみ。高級娼婦だけは店には出ず、決まった上流階級の貴族達を相手に仕事をしていた。その仕事は多岐に渡り、夜会や舞踏会の同伴、男性貴族同士の食事会への参加、それに加え呼ばれた場では多少なりとも会話に参加し、政治や世間話は知らな過ぎてもいけないし知り過ぎてもいけない。男性陣から無知で面白みがない女だと呆れられない程度の知識が求められた。ただ綺麗なだけではなれないのが高級娼婦で、その地位をもう何年も維持しているこの二人は、正直ウィノラの苦手とする女達だった。
「恥ずかしいからそんな風にキョロキョロしないの。周りからはこの馬車を見るだけでもヒュー娼館だと分かるのよ」
「それとウィノラはもう少し言葉遣いを気を付けた方がいいわねぇ。女将さんにそっくりなんだもの。ディアンヌから昨晩の事を聞いたけれど、暴言を吐いた上に椅子を持ち上げたんですって? うちの椅子は特注品ですごく重いはずなのに、あなたったらどんな腕をしているのよ。ちょっと見せてみなさいよ」
そう、この二人は女将やマイノにも増して多干渉姉さん達だったのだ。
薄茶色で肩までの髪を思い切り巻いている方がデリカ。大きな胸はドレスから零れそうだし、垂れた大きな瞳も、口元の黒子も女から見ても庇護欲を掻き立てる妖艶さだった。そして黒髪に知的に見えるスッキリとした目元、そしてさらりと長い髪からは常にいい匂いが漂っているイリーゼは、背も高くすらりとした体型で、男に媚びない接客だと物珍しさから夜会などでは唯一無二の存在になっていると有名だった。
「聞いているの? ウィノラ?」
「聞いているわよちゃんと」
「それじゃあ教育を受けるわね?」
きょとんとしていると、二人は顔を見合わせてから神妙な面持ちになった。
「だからあなたも高級娼婦になれるように勉強をしなさいと言っているのよ」
「誰が?」
「ウィノラが」
「何を勉強するの?」
「高級娼婦よ、高級娼婦になる為の勉強!」
「無理無理! どうしてそんな話になったの!」
「前々から話は出ていたのよ。そろそろ私達も後継者を育てなくちゃいけないし、そもそも二人というのは少な過ぎるからね。かと言ってうちは特殊だから他から引き抜く事もないし、その容姿を活かしなさい」
「そうよ、ウィノラは見目はいいんだからあとは教育次第ね。私達には及ばないだろうけれど。大丈夫、ちゃんと女将さんは説得してあげるから」
「アディが反対しているならきっと絶対に無理よ!」
「反対しているのはウィノラの日頃の言動のせいだから、改めればきっと承諾してくれるわ。良かったわね」
二人が怒涛のように話してくるものだから、呆気に取られてうっかり聞き手になってしまっていたと、気がついた時にはもう遅かった。馬車は帝都一番の高級店が並ぶ道の入り口で止まり、護衛が扉を開けた瞬間、二人を纏う空気が一気に引き締まったのが分かった。
「取り敢えずは買い物をしましょうか。丁度頼んでいたドレスが仕上がったみたいだから、まずはそれを取りに行くわよ。その後は恋人達への贈り物を買ってから食事よ」
護衛の手を取りデリカがステップに足を掛けた瞬間、普段から貴族婦人や令嬢で美しい人を見慣れているであろう男性達でも足を止める程に、デリカの容姿は人の目を釘付けにしていた。
「全く、あの子ったら楽しんでいるわね」
次に出たイリーゼには、男性だけでなく女性も目を奪われているようだった。そして続くウィノラはと言えば、現実に戻ったのか止まっていた人々の足が動き出すきっかけになったようだった。悶々とした気持ちを抱えて二人の後を付いていくと護衛が囁くように声を掛けてきた。
「気落ちするなよ。あの二人に続けば誰だって霞むもんさ」
「それって励ましているの? というかなんでウェスが護衛なのよ。あんた調理場の下働きじゃない」
護衛という名目で名乗りを上げたのは調理場担当のウィノラより一歳年下のウェスだった。確かに見た目だけで言えば護衛として申し分ない。身長は見上げる程にあり、無駄に付いた筋肉はマイノと同等と言ってもいい程に鍛えてある。それもこれも調理場は思っているよりもずっと力仕事だからな訳だが、とても年下とは見えないその風貌に溜息を付いていると、先を歩いていた二人が先にある高級衣装店に入って行ってしまった所だった。
「申し訳ありませんが只今のお時間はご予約のお客様のみとなります」
「でも私達今入って行った人達の連れなんですが」
すると店の前に立っていた警備の二人は、ウィノラとウェスを見比べて小さく鼻で笑った。
「お客様、嘘はいけませんよ。あのお二人は当店の上顧客様で……」
「ウィノラ? 何しているの? 早く入りなさい」
イリーゼが声を掛けてくると、警備の者達は慌てたように重厚な硝子扉を押し開いた。
「フフフ、ハハッ」
小さな笑い声がずっと聞こえている。デリカはソファに座りながら小さく震えるようにして笑いを堪えているようだった。
「やめさないよみっともない。ウィノラのせいよ、なんとかしなさい」
淡々と無表情のまま出された紅茶に口を付けながら、イリーゼは呆れたようにデリカを見ていた。デリカもさすがに声を出して笑う事は堪えているようだったが、それでも堪えきれずに耐えているその顔は真っ赤になっていた。
「クラウゼ伯爵がご覧になったらきっと幻滅なさるわよ。良いお客様なのだから逃されたら迷惑だわ」
「イリーゼ姉さんが言うとなぜか恐ろしく感じるのは何故?」
「だってだって、私達の後を追って入ろうとしたのに止められるなんて……フフッ」
「デリカ、黙りなさい! ウィノラは本当にそれでいいの? ヒュー娼館の人間としてそれで恥ずかしくないの?」
「だって別に人前に出る訳じゃないし、仕事はちゃんと持っているし……」
もちろん人並みに女を磨こうと努力した時期もある。その為に必要な物はむしろ充実していた。綺麗なドレスに化粧品、あらゆる香りの香油に、遠くの国からの輸入品だという香炉。食べ物はしっかり栄養が取れるようにと、毎日料理人達が美味しくて健康的な食事を作ってくれている。それでも毎日男性を相手に仕事をしている者達には叶わない。ウィノラがどれだけ着飾っても娼婦の真似をして遊んでいるとしか思われず、誰も本気にはしてくれなかった。それにウィノラには治療師としての仕事がある。娼館で起きる大小様々な怪我や病気を治療し、産婆の真似事もしている。今更ウィノラが娼婦になるなど誰も思っていないし、望んでいないのだ。
――まあ、あそこはほとんどが女性だしね。
「やっぱり私には無理よ」
するといつもは細いイリーゼの目がくわっと開いた。
「ちょっとあなた、お願いがあるのだけどいいかしら?」
すると女性店員が慌てたように近付いてきた。女性店員の方がウィノラよりも綺麗に着飾っている事に若干の衝撃を受けながら今度は何をするのかと見守っていると、何やら耳打ちをしているイリーゼと、にやりと笑った女性店員と目が合った。
「イリーゼ様のお頼み事であれば、ぜひとも私にお任せ下さい」
意味深な微笑みと言葉に及び腰になっていたウィノラは、あっという間に奥の試着室へと連れて行かれてしまったのだった。
「遅いですよ三人共! 俺腹ペコで、何の為に付いてきたと思っているんですか」
結局男で護衛の入室は許可できないと、店の中に入れてもらえなかったウェスはずっと外で待たされ、ようやく出てきた三人に振り返った時だった。三人を、厳密にはウィノラを見るなり固まって動かない。何を話しかけても腕を掴んで振ってみても反応はなかった。店の警備の者達もウィノラを二度見したまま固まっていた。
「見惚れちゃってやらしい子ね」
デリカがからかってみせるとウェスは顔を真っ赤にして年相応らしく、似合ってないだの、ドレスが勿体ないだの言いながら先をズンズン歩いて行ってしまう。ウィノラはその後に続こうとしたが、着慣れないドレスとヒールのある靴のせいでうまく歩けなかった。せっかく二人が買ってくれた物だから傷など付けられないと慎重に歩いていた時、やりがちな、ドレスの裾を踏むという失態を犯してしまった。誰かに思い切りぶつかり、それと同時に短く甲高い悲鳴が上がる。恐る恐る目を開けた先にいたのは、ウィノラが着ているドレスに引けを取らない麗美なドレスを着た来た女性だった。
「ちょっと、あなた早くどけないさい!」
「ご、ごめんなさいッ」
立ち上がりたくても長ったるく、襞の多い裾が邪魔をして起き上がれない。その時、後ろから腰を掴まれて軽々持ち上げられた。
「ウェス?」
振り返った瞬間、見知らぬ男性の顔が目の前にある。固まってしまっていると、相手の顔が見る見る赤くなっていくのが分かった。
「レナード様! 私にはお手を貸しては下さらないの?!」
「あの、すみませんでした。私の不注意で……」
しかしウィノラが差し出した手は細く白い手に弾かれてしまう。そして強請るように隣にあった腕を掴んでいた。
「マーサ様もお怪我はありませんか?」
「背中を打ってしまったみたいで歩けないわ」
「それでは僕が抱き上げて行きますから……」
ウィノラはそのまま二人の間に割って入っていた。
「それは大変です! 本当に申し訳ありませんでした。すぐにお医者様にお連れしますから少しだけ失礼しますね」
「やめて、離して!」
「大丈夫です、私こう見えて意外と力持ちなので」
立ち上がれないという女性の腕を持ち上げて抱き上げようとした時だった。
「もう立てるわよ! なんなのよ、この人! 私を誰だと思っているの?」
「マーサ様、お召し物が汚れてしまっています。今日はもうお帰りになられた方が宜しいのでは? 代わりのドレスをぜひ僕から送らせて下さい」
「レナード様が私にドレスを? もちろん喜んで!」
「ありがとうございます。念の為お医者様にお見せしましょう。それでは僕はこの方と少し話がありますので先に馬車に戻っていて下さい」
「離れるのは嫌よ! それにこの者にはちゃんと賠償をしてもらわないと……」
「僕がお話しておきますのでマーサ様を煩わせるまでもありませんよ。どうか私にマーサ様のお役に立つお役目を下さい」
「私の為にレナード様が? あの、あまり叱らないであげて頂戴ね、可哀想だもの」
マーサはニヤけるのが我慢できないのか目元で悲しそうにし口元を緩めるという器用な技を発揮しながら、従者と共に通りの入り口の方へ歩いて行った。
さて、とレナードが振り向くと、ウィノラは反射的にびくりと身体を跳ねさせてしまった。
「ああ、すみません。先程は友人の前でしたのでああ言いましたが、僕は別にあなたを責めるつもりはありませんよ」
朗らかにニコリと笑われ、ウィノラは胸を撫で下ろした。
「あのお方、腰は大丈夫なんでしょうか。それにドレスを汚してしまいました」
「きっと大丈夫です。今もお元気に歩いて行かれましたしお互い様ではないですか。あの御方も前を見てはいなかったですし、ドレスも新しい物を用意するのでご心配には及びません」
「でもそのドレスは私が準備するべきですよね?」
「あなたが気に病む事ではありませんよ。むしろ助けて頂いたのでお礼をしたいくらいです。もし宜しければ……」
「恐れながら、高貴なお方にうちの者が何かご無礼を働きましたでしょうか?」
後ろから現れたイリーゼはウィノラを後ろに庇うとレナードとの間に立った。
「無礼だなんてとんでもない。むしろ助けられたと言っていたんです」
「そうでしたか。それでしたら私どもはこれで失礼致します」
「待って下さい、お礼をさせて欲しいんです! それとお名前も……」
「結構でございます。それでは先を急ぎますのでこれで失礼致します」
背の高いイリーゼに隠されてしまえばもうこの姿など見えないだろう。ウィノラは連れて行かれるままに馬車に乗り込んだ。ふと窓に掛かったカーテンの隙間から、レナードが馬車の方をじっと見つめている気がした。
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