The アフターゲーム 〜色映ゆる恋〜

一 千之助

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 〜悪戯〜

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「少年、今日も綺麗だね。どうかな? 私と一晩…… いや、三十分でも良い。個室で愉しまないか? 百本出すよ?」

「相変わらずむちゃくちゃだな。悪いけどブギーマンが頓死するんでね。……んむ」

 唇を指先で撫でられ、毅は相手を睨みつけた。しかし目隠しをされていて、その眼は見えない。

「オプションかな? 高いよ?」

「……もちろん。言い値を払おう。口づけても?」

「だぁめ。見るだけって約束だ……っ、んんんっ?!」

 毅は壁に設えられた椅子に座り、身動き出来ぬよう拘束されていた。

 全裸にドレスシャツをはおっただけの姿。頭上に上げた両手は革の枷をつけて鎖で吊られ、座らされた椅子はU字型で、その双丘の奥に隠れた蕾が見えるよう片足を膝で高く吊られている。
 そんな淫らな姿の毅の正面には鉄の格子が半球状にぐるりと張り巡らされ、多くの客が彼を乱れさそうと格子の隙間から手を突っ込んでいた。
 伸ばせば掌で触れられる程度の距離。身動き出来ない少年に伸ばされた多くの手が、毅の身体を悪戯をする。

「うく……っ、ん、あ、あっ!」

「堪らないね…… ここ? こっち?」

 乳輪ごと乳首を摘み、くにくにと捏ね回す男性。

「ひっ? あ……っ、ぁ……んっ」

「………くそっ、もう少しっ」

 そそり勃つ毅のモノを握ろうと、指を伸ばして撫でる男性。かすめる指先が、少年を甘く喘がせる。
 あらゆる場所を刺激され、少しずつ毅の身体が火照りだした。
 仄かな桜色に染まる少年の艶かしさに、顧客達は息を呑む。

 そんな中、毅が不敵に口角を歪め宙に向かって声をあげた。

「ブギーマン、玩具を解禁するぞ?」

《……………》

 それに答えないブギーマン。

「おい、俺にショーをしろって言ったのは、お前だろ?」

 たしかに。だがそれは、こんな眼に刺さるようなモノを望んだわけではないと、ブギーマンは奥歯を噛み締めた。
 見せつけているのだと。ブギーマンの神経を逆撫でているのだと分かる、自らを投げ出した毅のショー。
 いつも大枚を貢いでくれる太客のみに参加を許し、毅は自由に触らせていた。さらには玩具まで使わせるという。
 撮影を頼まれた時は、まさか、ここまでやると思っていなかったブギーマンだ。
 
《……やです》

「おいっ!」

《こんなの嫌ですっ! なんてことやらかすんですか、君はっ!!》

 檻の中の獲物を愛でて触れるソフトプレイ。いたぶりたくて仕方なくなるまで客を煽り、その卑猥な妄想を叶えさせるために道具を与え、もてあそばせる淫靡な見世物。
 オプションは、届かない距離を補わせて代わりに毅を悪戯する玩具。どれも破格な料金に設定してある。

 この見世物を毅に提案された時、てっきり彼は、少年に触れられない距離で愛でさせるだけだと思っていた。
 だが始まってみれば、そこそこ届く距離。しかもオプションを使ったら、ばんばん悪戯可能な仕様。これは許しがたい。

 ……ああああっ!! なんで素直に撫でられてるんですかっ! 頬や唇までっ!! そこっ! わたくしの毅君の逞しい一物に触れないっ!! ……いつもおっ勃たないくせに、なんでこんな時だけ勃ってんですかぁぁーーっ!!

 ブギーマンが見ているせいである。彼に見られているというだけで、慣らされた毅の身体は淫らに高まるのだ。

 ……嫉妬丸だし。可愛いねぇ? ふふ。あっ! ……やべ、こいつら上手いな。

 猛る一物の先端を悪戯されながら、蕩けた吐息を堪える毅。ぷくりと浮き出る透明な雫に目の色を変え、顧客らがこぞってソレを撫で回していた。
 ふ……っ、はぁ……、と甘い喘ぎがマイクに拾われる。それが鼓膜を舐めるようで、ブギーマンは怒りに身体を震わせた。

《もう、やめなさいっ! ショーは中止ですっ!!》

「はあっ? ……ぁっ! んぅ…… か、勝手抜かしてんじゃねぇ……よっ!」

 やれ、やらないと、キャンキャン言い合う二人を尻目に、毅の雌犬達がオプションを客に配りだした。

《ちょっとおぉぉっ!! 君達、何してんですかぁーっ!!》

「御主人様の命令ですので」

「一つ十本ですわ。ご入り用の方は?」

 千鶴と七海の持つ籠へ飛びつく顧客達。

《やめなさいってぇーっ!! 誰かっ! あの部屋の鍵を解除してっ! 早くぅぅーっ!!》

 マイクの向こうで慌てふためくブギーマン。
  
 ……へっ、ざまぁ。少しは思い知りやがれ。

 最近、ブギーマンの束縛が激しい。前は毅が奴隷を食い散らかしていても何も言わなかったのに、今は物申してくる。

『……発情ですか? わたくし、手が空いておりますよ?』

 にっこり笑って毅を奴隷達から引っ剥がし、ベッドへ引き込む鮮やかな手並み。そして、翌日腰が立たなくなるほど抱き潰される。

『おま……っ! 俺には円香を抱き潰すなっていうくせにっ!!』

『あなたは毎日でしたでしょう? わたくしはたまにしか抱き潰しておりませんよ? ……これで三日くらいは発情しないのでは?』

 くふりと細まるブギーマンの眼。

 三日どころの話ではない。ユートピアでは道具責めがデフォなのだ。おっ勃った御立派様の奥の奥まで嬲り尽くされた毅は、しばらく用足が辛くなる。さらには胸の頂も、ブギーマンといたしたあとはぷっくり腫れ上がり、服の摩擦ですらイきそうになるほど過敏になってしまう。

 ……なんでぇ? くそっ!

 狼狽え悩む毅だが、それはユートピア特性の媚薬の効果。お客様に夢のようなひと時を提供するため、奴隷達を佳がり狂わせる薬だ。
 それをブギーマンは毅使っている。丹念に丹念に乳首へ塗り込め、玩具を使って一物の奥の奥にも塗りつけ、悦いところ全てに染み渡らせる。
 とどめはブギーマンの一物に。たっぷりと媚薬を塗った剛直で、毅の最奥を穿ちまくるのだからたまったものではない。
 免疫のあるブギーマンは平気でも、まだ慣れていない毅には覿面だ。しかも、毅が薬に免疫をつけぬよう、ブギーマンは絶妙に調整して使っていた。

 それが毅の身体を疼かせ、こんな卑猥なショーを開くことになるとは思いもせずに。

 素直に抱いて欲しいと言えない毅は、ブギーマンを妬かせるために顧客を利用したのである。ことあるごとに甘く囁くくせ、実際に抱くのは三日に一度ていど。
 絶倫な毅が、それで満足出来るわけがない。
 円香を抱き潰せないわ、ブギーマンは抱き潰してくれないわで、欲求不満になった毅は暴挙に出たのだ。

 案の定、泡を食ったかのように狼狽え、叫ぶブギーマンに毅は、ほくそ笑む。

《まだ開かないのかっ! 壊しても良いっ! 早くしろーっ!!》

 複数の顧客によって施錠されている部屋の鍵は、なかなか開けられない。さらには毅のブラックカードまでロックに使われているのだ。開くわけがない。

 こうして、爛れた催しは続けられた。



「んぅ……っ、ん、ひあっ?!」

「……悦い声だ。ブギーマンが羨ましい」

 玩具で器用にちゅくちゅくと毅の鈴口を抉じ開ける男性。
 浅く、深く捩じ込まれる細いプジーに、毅は身を捩って身悶えた。
 さらには細いバイブが、少年の丸見えな蕾に突っ込まれる。二本、三本と増えていく玩具は、柔らかな肉を掻き回し毅の悦いところを突き上げた。

「ふあ……っ! ん、んんんっ! ダメぇ!」

「えっろ…… 悦い顔するなぁ…… ここ? それとも、こっち?」

「もっと太いのはないのかっ! まだまだ入るぞ、この可愛い孔にはっ!」

「トロトロだねぇ。気持ち悦い? すごい熟れてるよ、ここぉ…… はあ、胸が痛い……」

 一ミリのプジーと一センチのバイブ。それらが複数挿れられ、さらにはそれぞれ別々に動かされ、毅は止まらぬ愉悦に身震いする。
 玩具は三種。お一人様各一つずつとされていて、大枚叩いて参加した七人にのみ許された遊びだ。もちろん、全員、全種購入して夢中になっている。

「悦ぃ……ぁ、もっと……、くぅ……ぅんっ」

 悪戯心で始めたショーだが、ブギーマンに求めていたモノを別の人間から与えられ、無意識に身体をくねらせる毅。
 自ら腰を振って強請る少年の艶かしさよ。逆巻く劣情に煽られた顧客は、次々と玩具を使って毅を悦ばせようと張り切った。

 ユートピアの年間パスを所持した破格な金持ちらの、手練手管を侮っていた毅。
 普段から奴隷と睦み弄んでいる彼等は、ブギーマンに及ばずとも、それ相応な経験を嗜んでいる。特に並々ならぬ執着を毅に募らせる西園寺は。
 何百という奴隷を調教してきた彼は、毅の大先輩だ。それを生業として巨万の富を稼いでいる。ユートピアの人間牧場のお得意様。
 そこそこな年齢に育ち、値の下がったユートピアの奴隷を彼は沢山買い入れていた。
 新たに調教して付加価値をつけ、高値で売りさばくために。持ちつ持たれつの良い関係。
 そんな西園寺は、唯一、外部でユートピアの媚薬を所持している。

 懐から出したソレを玩具の先端で掬い、彼は毅の中に塗り込んでいく。そして、うっそりと獰猛に嗤った。

 この先に待ち受ける地獄を、今の毅は知らない。
 
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