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揺れる異世界 ―戦乱のフォンス編―
いつか歴史になる戦い その2
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「見たところ、この者たちがカルマンの重鎮だろう」
「うーん、確認のためにオラシオに見てもらいましょう」
「うむ、その方がいいな。彼に見てもらおう」
そんなやりとりが聞こえた後、オラシオが呼ばれた。
彼は小走りで二人のところに向かった。
「間違いない。王にその側近たちだ。我らドワーフを虐げ続けた憎い顔を忘れるはずがない。お前たち、覚悟するんだな!」
長年の鬱積したものがあるようで、オラシオが興奮気味に話していた。
「君たちの主要な戦力は、ここにたどり着くまでにあらかた倒してきた。抵抗するのも構わないが、今度はフォンスから増援がくる。それにウィリデの魔術師たちも協力的だ」
「……くっ、何たる屈辱」
それなりに身分が高そうな顔ぶれが揃っているが、日に焼けて白い髭を生やし、小太りな体型をしている男が親玉に見えた。
この場にいる敵たちは一様に悔しそうにしており、その男が顕著だった。
「王よ、彼に抵抗するのは勝手だがな。ドワーフはフォンスに味方するぞ。徹底抗戦だ。そうなれば、武器防具の供給はどうするつもりなんだ?」
オラシオが決め手になる言葉をいった。
ここからドワーフたちの工房まで遠くはない。
彼らの反乱があっては、まともに戦えるわけがないだろう。
この期に及んでも、王と呼ばれた男は敵意を感じさせる目をしていた
ただ、状況が状況だけに、時間の経過と共に弱々しいものに変化しているように見えた。
「無益な戦いは好まないが、抵抗するつもりなら容赦はしない。カルマンのこれまでの行いを踏まえれば、フォンスの総力を上げて押さえこむことも躊躇わない」
クルトは淡々とした口調ながらも、明確に意思を表明した。
「おれも同じ気持ちです。他にも腕の立つ兵士がいたら、安心できませんから。あと、あんたらの切り札なら期待しない方がいいってもんです」
シモンが冷淡な態度でいった。
「ぐっ、兵士長を討ち取ったというのか。そんな、まさか……」
「美学に反しますけど、ご所望なら首でも持ってきましょうか」
「シモン、そのへんにしてくれ」
「ああっ、そうですね。趨勢は決しましたから、もういいでしょう」
シモンが引き下がり、クルトが説得を続けた。
「そろそろ、終わりにしよう。ここで降伏すれば、フォンス側から条件を提示する際、君たちの処刑が行われないように最善の努力をすると誓う」
「王様、どうかご決断を。フォンスが間に入らなければ、ドワーフ共になぶり殺しにされるかもしれませぬ。兵士長をも打ち倒してきたのならば、我々に抵抗の余地は……」
家臣と思われる男が悲痛な訴えをした。
敵ながら憐れに思えてしまった。
「……まさか、ここまでの反撃を受けるとは」
カルマンの王から敵意は消え失せて、放心状態になっていた。
「この次があるとしても、僕たちは何度でも同じように戦う」
「承知した。フォンスの勇士よ、カルマンは貴殿らの軍門に降(くだ)ろう」
「この場限りの言い逃れは認めない」
「全て今すぐにというわけにはいかぬが、宝物庫の宝を譲り、ドワーフたちの技術を好きにしてかまわん。その代わり、民と家臣の命は保証してくれ」
カルマンの王は敗北を認めたようだ。
抵抗しようとする意思が感じられなくなっている。
「容易には信じられぬだろう。己の命を担保にしてもよいが、子や孫を残して死ぬのは心苦しい。この王の証を譲り渡す故、容赦してくれ」
そう言い終えると躊躇するような手付きで、王は金の羽飾りがついた白い布製の帽子をクルトに手渡した。
俺はシモンと共に警戒して見ていたが、不審な動作はなかった。
「……お、王よ、ああっ、何てことだ」
「カルマンの歴史がこんな簡単に……」
家臣たちは人目もはばからずに泣き出していた。
それだけ、重要な意味のあることなのだろう。
「そうか、これで決着がついたか」
「クルト、それを被ってみたらどうです?」
「いや、さすがにカルマン王の前で不敬だ」
クルトは自重して、それを大事そうに掴んでいた。
「貴殿のような人物は生まれて初めて見た。どうか、カルマンを頼む」
カルマンの王が平伏してクルトにいった。
それは、この戦いの終わりを示すものだった。
「うーん、確認のためにオラシオに見てもらいましょう」
「うむ、その方がいいな。彼に見てもらおう」
そんなやりとりが聞こえた後、オラシオが呼ばれた。
彼は小走りで二人のところに向かった。
「間違いない。王にその側近たちだ。我らドワーフを虐げ続けた憎い顔を忘れるはずがない。お前たち、覚悟するんだな!」
長年の鬱積したものがあるようで、オラシオが興奮気味に話していた。
「君たちの主要な戦力は、ここにたどり着くまでにあらかた倒してきた。抵抗するのも構わないが、今度はフォンスから増援がくる。それにウィリデの魔術師たちも協力的だ」
「……くっ、何たる屈辱」
それなりに身分が高そうな顔ぶれが揃っているが、日に焼けて白い髭を生やし、小太りな体型をしている男が親玉に見えた。
この場にいる敵たちは一様に悔しそうにしており、その男が顕著だった。
「王よ、彼に抵抗するのは勝手だがな。ドワーフはフォンスに味方するぞ。徹底抗戦だ。そうなれば、武器防具の供給はどうするつもりなんだ?」
オラシオが決め手になる言葉をいった。
ここからドワーフたちの工房まで遠くはない。
彼らの反乱があっては、まともに戦えるわけがないだろう。
この期に及んでも、王と呼ばれた男は敵意を感じさせる目をしていた
ただ、状況が状況だけに、時間の経過と共に弱々しいものに変化しているように見えた。
「無益な戦いは好まないが、抵抗するつもりなら容赦はしない。カルマンのこれまでの行いを踏まえれば、フォンスの総力を上げて押さえこむことも躊躇わない」
クルトは淡々とした口調ながらも、明確に意思を表明した。
「おれも同じ気持ちです。他にも腕の立つ兵士がいたら、安心できませんから。あと、あんたらの切り札なら期待しない方がいいってもんです」
シモンが冷淡な態度でいった。
「ぐっ、兵士長を討ち取ったというのか。そんな、まさか……」
「美学に反しますけど、ご所望なら首でも持ってきましょうか」
「シモン、そのへんにしてくれ」
「ああっ、そうですね。趨勢は決しましたから、もういいでしょう」
シモンが引き下がり、クルトが説得を続けた。
「そろそろ、終わりにしよう。ここで降伏すれば、フォンス側から条件を提示する際、君たちの処刑が行われないように最善の努力をすると誓う」
「王様、どうかご決断を。フォンスが間に入らなければ、ドワーフ共になぶり殺しにされるかもしれませぬ。兵士長をも打ち倒してきたのならば、我々に抵抗の余地は……」
家臣と思われる男が悲痛な訴えをした。
敵ながら憐れに思えてしまった。
「……まさか、ここまでの反撃を受けるとは」
カルマンの王から敵意は消え失せて、放心状態になっていた。
「この次があるとしても、僕たちは何度でも同じように戦う」
「承知した。フォンスの勇士よ、カルマンは貴殿らの軍門に降(くだ)ろう」
「この場限りの言い逃れは認めない」
「全て今すぐにというわけにはいかぬが、宝物庫の宝を譲り、ドワーフたちの技術を好きにしてかまわん。その代わり、民と家臣の命は保証してくれ」
カルマンの王は敗北を認めたようだ。
抵抗しようとする意思が感じられなくなっている。
「容易には信じられぬだろう。己の命を担保にしてもよいが、子や孫を残して死ぬのは心苦しい。この王の証を譲り渡す故、容赦してくれ」
そう言い終えると躊躇するような手付きで、王は金の羽飾りがついた白い布製の帽子をクルトに手渡した。
俺はシモンと共に警戒して見ていたが、不審な動作はなかった。
「……お、王よ、ああっ、何てことだ」
「カルマンの歴史がこんな簡単に……」
家臣たちは人目もはばからずに泣き出していた。
それだけ、重要な意味のあることなのだろう。
「そうか、これで決着がついたか」
「クルト、それを被ってみたらどうです?」
「いや、さすがにカルマン王の前で不敬だ」
クルトは自重して、それを大事そうに掴んでいた。
「貴殿のような人物は生まれて初めて見た。どうか、カルマンを頼む」
カルマンの王が平伏してクルトにいった。
それは、この戦いの終わりを示すものだった。
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