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こんなところに異世界 ―俺は勇者じゃないとそろそろ気づいてほしい―
グールの襲撃
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オーウェンは襲撃者を辿ることのできる何かを探したいようだが、調査を行うには周囲が暗すぎるように思われた。
「ふむっ、あの森からここに向かって歩いてきたのか……」
彼は独り言をつぶやきながら、何かを確かめている。
「皆、これを見てくれ」
オーウェンは松明の炎で足元を照らした。
「……足跡」
「大きさからして人のものだな」
目にした者たちの口から感想がもれた。
たしかに俺の目にも人間の足跡のように見える。
しかし、一つ疑問が生じた。
「裸足で歩き回るなんて変ですね」
戦士の一人が俺の感想を代弁するように言葉にした。
「ああっ、たしかにそうだ。犠牲になった者たちがわざわざ裸足で出入りするのは不自然だろう。砦の中はまだしも、木立の中を歩けば足に傷がつく」
それでは、何者が裸足でこんなところを何度も行き来していたのか。
測り知れない状況に背筋が冷えるような思いだった。
「ここは暗い上に安全とは言いがたい。一度、イアンたちのところへ戻ろう」
オーウェンがそう指示を出した後、何かが唸るような声が聞こえた気がした。
「……何か聞こえなかったか?」
「はい、たしかに」
他の仲間も同じように聞き取ったようだ。
「……んっ、気をつけろ! 向こうからだ!」
リュートが林の方を指差した。
薄暗い木々の間に人影が見て取れた。
「な、なんだ!?」
一人の戦士が怯えるような声を上げた。
俺も同じようにすくみ上がりそうな恐怖を覚えていた。
全員に見えているということは幽霊の類ではないだろう。
木の陰に同化するようにたたずむ幽鬼のような存在。
こちらが出方を伺っていると、さらにそれは数を増した。
「皆、剣を抜け! 中の惨状は目の前の奴らが犯人かもしれん」
オーウェンも恐ろしくはないはずだが、果敢に指示を飛ばした。
「そ、そうだ」
自分は剣ではなく、魔術で応戦すべきだと判断したところで、肝心なことを忘れていたことに気づいた。
――全身を流れるマナに意識を向ける。
周囲の暗闇をかき消すように右手の先に大きな火の玉を浮かべた。
すると、謎の存在の正体が判明した。
「グ、グールだと!?」
俺がゾンビと言いかけたところで、仲間の一人がグールと呼んだ。
グールは一体だけではなく、数体のグループになっていた。
「まさか、実在するとは」
俺や仲間が怯んでいるうちに、グールたちは間合いを詰めていた。
林の中を抜けて、十メートルほどの距離に迫っている。
できることなら戦いたくはないが、この状況で無視するわけにもいかない。
俺は魔術を放つべく、迫る脅威に向けて片手を掲げた。
それと同時に全ての仲間が武器を構えた。
「こういう時はおれの出番だな」
リュートはそう口にして、素早い動作で前に踏み出した。
そして、彼は勢いをつけたまま槍で一体のグールを突いた。
「すごい早さだ……」
俺は思わず感心していた。
リュートの攻撃を受けたグールはその場に倒れこんだ。
「意外と手応えなかったな。次だ、次」
彼は拍子抜けした様子で他のグールに向き直った。
巻き添えにするわけにはいかないので、彼が下がるまでは魔術が使えない。
俺が助勢できずにいると、オーウェンや他の戦士たちが加わった。
――それから数分に満たない時間で決着がついた。
全てのグールが倒れ伏して、動かなくなっている。
「それにしても、こいつらひでえ見た目だな」
リュートがうんざりするように言った。
「これがグールか……実物を目にするのは初めてだ」
オーウェンは興味深そうな様子を見せている。
青と灰色を混ぜたような皮膚と鋭い爪のある手足。
黒目のない瞳は薄気味悪い印象を与える。
構造が人間に近いように見えるだけで、完全に別の種類に思えた。
映画に出てくるようなゾンビが実在するのなら、きっとこんな見た目だろう。
他にも林の中から出てこないことを祈りながら、オーウェンたちと周辺の調査を続けた。
「ふむっ、あの森からここに向かって歩いてきたのか……」
彼は独り言をつぶやきながら、何かを確かめている。
「皆、これを見てくれ」
オーウェンは松明の炎で足元を照らした。
「……足跡」
「大きさからして人のものだな」
目にした者たちの口から感想がもれた。
たしかに俺の目にも人間の足跡のように見える。
しかし、一つ疑問が生じた。
「裸足で歩き回るなんて変ですね」
戦士の一人が俺の感想を代弁するように言葉にした。
「ああっ、たしかにそうだ。犠牲になった者たちがわざわざ裸足で出入りするのは不自然だろう。砦の中はまだしも、木立の中を歩けば足に傷がつく」
それでは、何者が裸足でこんなところを何度も行き来していたのか。
測り知れない状況に背筋が冷えるような思いだった。
「ここは暗い上に安全とは言いがたい。一度、イアンたちのところへ戻ろう」
オーウェンがそう指示を出した後、何かが唸るような声が聞こえた気がした。
「……何か聞こえなかったか?」
「はい、たしかに」
他の仲間も同じように聞き取ったようだ。
「……んっ、気をつけろ! 向こうからだ!」
リュートが林の方を指差した。
薄暗い木々の間に人影が見て取れた。
「な、なんだ!?」
一人の戦士が怯えるような声を上げた。
俺も同じようにすくみ上がりそうな恐怖を覚えていた。
全員に見えているということは幽霊の類ではないだろう。
木の陰に同化するようにたたずむ幽鬼のような存在。
こちらが出方を伺っていると、さらにそれは数を増した。
「皆、剣を抜け! 中の惨状は目の前の奴らが犯人かもしれん」
オーウェンも恐ろしくはないはずだが、果敢に指示を飛ばした。
「そ、そうだ」
自分は剣ではなく、魔術で応戦すべきだと判断したところで、肝心なことを忘れていたことに気づいた。
――全身を流れるマナに意識を向ける。
周囲の暗闇をかき消すように右手の先に大きな火の玉を浮かべた。
すると、謎の存在の正体が判明した。
「グ、グールだと!?」
俺がゾンビと言いかけたところで、仲間の一人がグールと呼んだ。
グールは一体だけではなく、数体のグループになっていた。
「まさか、実在するとは」
俺や仲間が怯んでいるうちに、グールたちは間合いを詰めていた。
林の中を抜けて、十メートルほどの距離に迫っている。
できることなら戦いたくはないが、この状況で無視するわけにもいかない。
俺は魔術を放つべく、迫る脅威に向けて片手を掲げた。
それと同時に全ての仲間が武器を構えた。
「こういう時はおれの出番だな」
リュートはそう口にして、素早い動作で前に踏み出した。
そして、彼は勢いをつけたまま槍で一体のグールを突いた。
「すごい早さだ……」
俺は思わず感心していた。
リュートの攻撃を受けたグールはその場に倒れこんだ。
「意外と手応えなかったな。次だ、次」
彼は拍子抜けした様子で他のグールに向き直った。
巻き添えにするわけにはいかないので、彼が下がるまでは魔術が使えない。
俺が助勢できずにいると、オーウェンや他の戦士たちが加わった。
――それから数分に満たない時間で決着がついた。
全てのグールが倒れ伏して、動かなくなっている。
「それにしても、こいつらひでえ見た目だな」
リュートがうんざりするように言った。
「これがグールか……実物を目にするのは初めてだ」
オーウェンは興味深そうな様子を見せている。
青と灰色を混ぜたような皮膚と鋭い爪のある手足。
黒目のない瞳は薄気味悪い印象を与える。
構造が人間に近いように見えるだけで、完全に別の種類に思えた。
映画に出てくるようなゾンビが実在するのなら、きっとこんな見た目だろう。
他にも林の中から出てこないことを祈りながら、オーウェンたちと周辺の調査を続けた。
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