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こんなところに異世界 ―俺は勇者じゃないとそろそろ気づいてほしい―
サスケの混乱
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「……なるほど、幻術の影響で出口のない通路を歩かされたということか」
オーウェンに少女のことを説明すると納得したようだった。
「それで、その白髪の女の子はどこへ行ったんだ?」
「俺の攻撃で負傷したはずだけど、逃げられたと思う」
「そうか、サスケと同じく、あんまり会いたくない相手だな」
リュートはうんざりするように両手を開いておどけて見せた。
「サスケの行方は分からないままだが、先へ進もう」
「はい、そうしましょう」
オーウェンの言った通り、俺たちは広間から続く通路を進むことにした。
キングオーク、ワーウルフ、白髪の少女。
ここまで三度も強敵との戦いがあった。
そろそろ、魔王のところに着かなければ仲間の消耗が気にかかる。
シモンはけた外れの強さを誇るが、オーウェン、リュート、エレンは精鋭であっても底知れぬ強さとまではいかない。連戦は負担が大きいはずだ。
広間につながる通路はこれまでと同じような構造だった。
オーウェンが先頭を行き、他の仲間が後に続く。
幅はそこまで広くないので、サスケに待ち伏せされたら危険な気がする。
そもそも、彼は幻術を突破することができたのだろうか。
白髪の少女が安易に通らせるとは思えないものの、隠密のような彼ならば気配を察知されずに通過することができるのかもしれない。
複雑な状況のような気もするが、オーウェンはどのように考えているのだろう。
あえて質問するほどではなく、何も問いかけることのないまま通路を進んだ。
しばらく歩いたところで、今度は何事もなく次の広間が見えてきた。
「……どうやら、順調に進めたようだ」
オーウェンがおもむろに口を開いた。
ここまでの道のりは楽ではなく、その声から疲労の色を感じた。
一人ずつ順番に広間に進み、俺も踏み入った。
「……あれは」
仲間の一人が声を上げた。
前方に目を向けると、何度か見かけた玉座のような物があった。
そして、その場所で甲冑を身につけたモンスターが息絶えていた。
「……おそらく、サスケが手を下したのだろう」
オーウェンが低く響く声で言った。
それと同時に仲間たちの間に張り詰めた空気が流れるのを感じた。
状況的にサスケがここにいてもおかしくない。
シモンが狙われる可能性がある。
俺は魔術師なので、護身用の剣を構えることぐらいしかできない。他の四人は武器を構えるだけでなく、不意打ちに備えるだけの技量があることを羨ましく思う。
「シモン、あのモンスターの周りを調べてみよう」
「ええ、了解です」
オーウェンがシモンに提案した。
彼は承諾して、オーウェンと共に玉座の方へ近づいて行った。
サスケがシモンに攻撃を加えるのではと不安がよぎる。
しかし、それは杞憂で済んだようだ。
二人は玉座の周りやモンスターの状態を確認し始めた。
俺やリュート、エレンは少し離れた場所からそれを見守っている。
「投擲武器でやられたようだ。やはり、サスケが行ったように見える」
「……あいつは何がしたいんだ。口数は少なくても、悪いやつじゃなかったのに」
オーウェンが結論づけるように言った後、リュートが声を漏らした。
このまま何もなければと思ったところで、ふいに金属同士がぶつかる音がした。
「おっと、危ない危ない」
シモンが何かの攻撃を防いだようだった。
彼の近くに見覚えのある刀のような武器が落ちている。
「サスケ、姿を見せたらどうだ」
オーウェンが怒気を感じさせる声で言った。
仲間であったとしても許さないという意思表示でもあるように感じた。
「――なぜ、オーウェン殿は理解してくださらぬ」
広間の端の何もないところにサスケが姿を現した。
何らかの手段で気配を遮断していたのだろうか。
「何を理解しろというのだ。シモンが魔王と同類というのは理解しがたい」
「……なぜ、理解してくださらぬ」
サスケは壊れたテープレコーダーのように同じ言葉を繰り返している。
何やら不穏な状況に寒気を覚えた。
「おいっ、何か変じゃないか」
リュートが声を上げて、サスケに向かおうとした。
「――あれ、動けない」
「リュート、大丈夫――」
彼の声に反応して動こうとしたが、足が地面に張りついたように動かない。
「カナタ、リュート、サスケが影縛りをしている。無理に動かないでくれ」
「影縛り? そんな忍者みたいなことが……」
ありえないと思いかけたところで、サスケの風貌から不可能ではない気がした。
「おやっ、おれも動けませんね」
「そんなシモンまで……」
まさかシモンにも効いているとは。
誰も動けなければ全滅ではないか。
「動けるのは私だけだ。サスケから簡単な手ほどきを受けたことが幸いした」
不安を覚えたところで、オーウェンが決意に満ちた声で言った。
「それじゃあ、一つ頼みました」
「シモンを討たせるわけにはいかないからな。サスケが正気に戻るように戦おう」
オーウェンは抜き身の剣を携えて、サスケのところへと近づいて行った。
「――オーウェン殿、お相手仕(つかまる)る」
サスケは正気を失っているように見えたが、オーウェンの戦意に反応して臨戦態勢に入った。
オーウェンに少女のことを説明すると納得したようだった。
「それで、その白髪の女の子はどこへ行ったんだ?」
「俺の攻撃で負傷したはずだけど、逃げられたと思う」
「そうか、サスケと同じく、あんまり会いたくない相手だな」
リュートはうんざりするように両手を開いておどけて見せた。
「サスケの行方は分からないままだが、先へ進もう」
「はい、そうしましょう」
オーウェンの言った通り、俺たちは広間から続く通路を進むことにした。
キングオーク、ワーウルフ、白髪の少女。
ここまで三度も強敵との戦いがあった。
そろそろ、魔王のところに着かなければ仲間の消耗が気にかかる。
シモンはけた外れの強さを誇るが、オーウェン、リュート、エレンは精鋭であっても底知れぬ強さとまではいかない。連戦は負担が大きいはずだ。
広間につながる通路はこれまでと同じような構造だった。
オーウェンが先頭を行き、他の仲間が後に続く。
幅はそこまで広くないので、サスケに待ち伏せされたら危険な気がする。
そもそも、彼は幻術を突破することができたのだろうか。
白髪の少女が安易に通らせるとは思えないものの、隠密のような彼ならば気配を察知されずに通過することができるのかもしれない。
複雑な状況のような気もするが、オーウェンはどのように考えているのだろう。
あえて質問するほどではなく、何も問いかけることのないまま通路を進んだ。
しばらく歩いたところで、今度は何事もなく次の広間が見えてきた。
「……どうやら、順調に進めたようだ」
オーウェンがおもむろに口を開いた。
ここまでの道のりは楽ではなく、その声から疲労の色を感じた。
一人ずつ順番に広間に進み、俺も踏み入った。
「……あれは」
仲間の一人が声を上げた。
前方に目を向けると、何度か見かけた玉座のような物があった。
そして、その場所で甲冑を身につけたモンスターが息絶えていた。
「……おそらく、サスケが手を下したのだろう」
オーウェンが低く響く声で言った。
それと同時に仲間たちの間に張り詰めた空気が流れるのを感じた。
状況的にサスケがここにいてもおかしくない。
シモンが狙われる可能性がある。
俺は魔術師なので、護身用の剣を構えることぐらいしかできない。他の四人は武器を構えるだけでなく、不意打ちに備えるだけの技量があることを羨ましく思う。
「シモン、あのモンスターの周りを調べてみよう」
「ええ、了解です」
オーウェンがシモンに提案した。
彼は承諾して、オーウェンと共に玉座の方へ近づいて行った。
サスケがシモンに攻撃を加えるのではと不安がよぎる。
しかし、それは杞憂で済んだようだ。
二人は玉座の周りやモンスターの状態を確認し始めた。
俺やリュート、エレンは少し離れた場所からそれを見守っている。
「投擲武器でやられたようだ。やはり、サスケが行ったように見える」
「……あいつは何がしたいんだ。口数は少なくても、悪いやつじゃなかったのに」
オーウェンが結論づけるように言った後、リュートが声を漏らした。
このまま何もなければと思ったところで、ふいに金属同士がぶつかる音がした。
「おっと、危ない危ない」
シモンが何かの攻撃を防いだようだった。
彼の近くに見覚えのある刀のような武器が落ちている。
「サスケ、姿を見せたらどうだ」
オーウェンが怒気を感じさせる声で言った。
仲間であったとしても許さないという意思表示でもあるように感じた。
「――なぜ、オーウェン殿は理解してくださらぬ」
広間の端の何もないところにサスケが姿を現した。
何らかの手段で気配を遮断していたのだろうか。
「何を理解しろというのだ。シモンが魔王と同類というのは理解しがたい」
「……なぜ、理解してくださらぬ」
サスケは壊れたテープレコーダーのように同じ言葉を繰り返している。
何やら不穏な状況に寒気を覚えた。
「おいっ、何か変じゃないか」
リュートが声を上げて、サスケに向かおうとした。
「――あれ、動けない」
「リュート、大丈夫――」
彼の声に反応して動こうとしたが、足が地面に張りついたように動かない。
「カナタ、リュート、サスケが影縛りをしている。無理に動かないでくれ」
「影縛り? そんな忍者みたいなことが……」
ありえないと思いかけたところで、サスケの風貌から不可能ではない気がした。
「おやっ、おれも動けませんね」
「そんなシモンまで……」
まさかシモンにも効いているとは。
誰も動けなければ全滅ではないか。
「動けるのは私だけだ。サスケから簡単な手ほどきを受けたことが幸いした」
不安を覚えたところで、オーウェンが決意に満ちた声で言った。
「それじゃあ、一つ頼みました」
「シモンを討たせるわけにはいかないからな。サスケが正気に戻るように戦おう」
オーウェンは抜き身の剣を携えて、サスケのところへと近づいて行った。
「――オーウェン殿、お相手仕(つかまる)る」
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