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越えてはいけない境界線のその先は、メジャーだったのです。
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しおりを挟む「お帰りなさいませ~♪ ご主人様♪」
「うおお~!!」
やっぱりチワワちゃんたち。どこまでも可愛いです。
ほ~っと感心していると、横腹を突かれました。おおっと、いけない、いけない。
コホン。
「オカエリナサイマセー。ゴシュジンサマー」
「アンドロイド型メイドちゃん、萌える~!!」
そんな設定にした覚えはないんですけれどね。
しかし、こんな恰好で営業スマイルは、僕にはできません。笑顔の練習をしてみましたが、引き攣った笑みしか作れませんでした。愛想のいい声も、可愛くきゃぴきゃぴした声も出せません。ロボットがせいぜいです。
けどまあ、お客さんにはアンドロイドとしてウケてくれたようです。野郎は面白いもの、変わったものが好きですね。さっきから指名されまくりです……可愛いメイドさんチワワたちに睨まれるのはなんでだろうね? なぜだか視線が痛いです。
ガラ空きの背中を矢の方へと向け、お冷を新規のお客さんテーブル席へと運びます。
「お待たせしました。ええっと、ご注文は……」
バシャリ!
「ちょ、撮影は禁止ですよ……って、そっちの人も……」
「「アンドロイド型メイドちゃん、きゃわい~!」」
パシャ! パシャ!!
「皆さん、カメラとスマホは置いてくださ……まぶしっ!?」
『きゃわい~!』とか口元押さえてんじゃねぇよ。他写せよ、チワワとか! って、ちょ! マジでカメラ眩しいわ!
いい加減、ぶち切れそうになったところです。
「あ~も~! いい加減にしやが……誰だ!? 今ケツ触ったの!?」
どさくさに紛れてセクハラか! この野郎!! 犯人出て来いやあ!!
と、心の中で爆発した時でした。
「これは一体何の騒ぎですか。撮影は禁止だと、壁の注意書きが見えませんか?」
聞いたことのある悪魔ボイス。それが背後で発声されました。
お冷を持って来た時のお盆で撮影をガードしていた僕は、その体勢のまま、ギギギ~っとアンドロイドよろしくぎこちなく振り向きましたよ。
皇君へと。
「ドモ」
ペコリと一礼。
すると皇君は珍しくも、大きく目を見開いて、何かを呟きかけました。が、すぐに口を閉じ、唇をきゅっと引き締めると、僕の手を強い力で掴みました。
「え、ちょ……ちょっと?」
戸惑います。つか、痛ぇ! どんだけの力で握ってんの!?
たじろぐ僕。それを見たセクハラ野郎どもが冷やかしに入ったのです。
「皇君! 独占ですか~?」
「いけませんよ~! ただいまアンドロイド型メイドちゃんはオレ達にご奉仕中なんですから~」
「たとえ皇君でも、お持ち帰りは~……ひっ!?」
突如、辺りの空気が凍りつきました。
見れば、僕にセクハラをしやがったテーブル席の人、全員が固っていたのです。え、なぜに? と怪訝に思った僕が皇君を見上げると……って、おいっ!?
目! 目が不良モードに入ってる! いつか見た不良モードにイっちゃってますよ、皇ヘッド!!
やめてね! ここでファイトはしないでね! てかなぜに!? なぜに怒ってらっしゃるの、皇君!?
「す、皇君っ……」
慌てた僕は急いで皇君を呼びました。どうすればいいのかわからなかったけど、名前を呼ぶ他にしようがなかったからです。
でも、僕の声はかろうじて、皇君に届いてくれたようです。皇君のこの不良さんオーラがみるみるうちに霧散していくのがわかりました。ふい~っ。
皇君も現状(件のテーブル席の生徒たちが震えている)を把握したのか、瞳を閉じると、瞬時に皆の憧れ生徒会長モードへと変化しました。なに? スイッチのオンオフって目でできるんですか?
そして。
「黙ってしまってすみません。しかし注意書きにもあるように、ここでの撮影は禁止です。騒ぎになったらせっかく通ったこの企画も、中止せざるを得ないことになります」
コクコクと頷く皆さん。躾けされた犬のように、おとなし~くなりました。会長、すげえ。
感心していると、なぜか僕の身体は引きずられるようにしてクラス外へと出されました。え、なんで? と、手首に視線を落とせば、そうだった皇君に捕われていたのだと思いだしました。やっぱり痛い!?
ズルズルズルズル……。
連行された先は、生徒会室でした。
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