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腐男子坂本くんの○○なお話
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しおりを挟むなぜ腐男子になったのか。そこにボーイズとラブがあったから。
どうしてボーイズとラブが好きなのか。そこに萌えがあったから。
どうして萌えを求めるのか。それは僕が腐男子になったから。
僕がハマってしまったのは、周りが呆れ返ってしまうような、そんな腐った底なし沼なのです。
「ねぇねぇ、タカちゃん。明日本屋に行かない? 日向先生の新刊が出るの~!」
「行く行く~!」
「最近はね、志穂先生の美人攻め強気受けにもハマっちゃって~。もうどうしようって!」
「わかります! 非王道ですね!」
「でもでもぉ! 勝気男子が女装っ子受けなんて禿げ萌えるよね!」
「わかります! 王道ですね!」
「はあ~、明日が楽しみ~!」
「僕も楽しみ~!」
友人宅の妹、沙耶ちゃんと仲良くなったのは、僕こと坂本貴雄が好きだった少女漫画家の好みが一緒だったから。
元々、姉が多い僕の家にはものすごい数の少女漫画が置いてあって。その環境下で育った所為か、僕の思考回路はものすごい乙女チックなものとなっていた。乙女回路ってやつかな。
可愛いもの。甘いもの。ゆるふわ。純愛。ハッピー。
それら全ては当然のごとく僕の好物。大好きな物。素敵な物。
そして現在、激がつくほどハマっているのは。
「タカちゃんは私のソウルメイトね! こんなにBLの萌えツボが一緒なお友だち、タカちゃん以外にいないよ!」
ボーイズラブ。
僕がその道に踏み込むきっかけは、大好きな少女漫画にちょろっと載ってた男の子同士の些細な絡みだったと思うけど、今じゃその少女漫画よりも激ハマリの萌えロード。
棺桶には、僕が今持っている全てのBL本を敷き詰めて一緒に燃やして欲しいくらい。いや、萌やして欲しいくらい。お姉ちゃんたちに頼んだら順序が逆だとぶん殴られたけど。
あ、それなら年下の沙耶ちゃんに頼もうっと。
とはいえ、僕は至って普通の、どこにでもいるような腐のつく男子。それに加えて、男の子よりも女の子と仲良くする方が大好きな、やや健全な男子高校生。
どうして「やや」がつくのかって? それは僕の、外出する時の服装と恰好にちょこっとばかし問題があったから。ううん。問題ってほどのことじゃないのかもしれない。今じゃメディアでも取り上げられるほど、メジャーになりつつある男の子たちのドリームスタイル。
それが僕にはすでに定着してしまっていたからなのです。
「キャー! もう、タカちゃんってば可愛い~! ホントの女の子よりも可愛いなんて私……私、ちょっと女辞めてくるわ」
「沙耶ちゃん、顔が恐いです」
純白のレースがついたブラウスにピンクのふわふわワンピース、頭にはビーズをあしらったメガリボン。猫がプリントされたニーハイソックスに、カツカツとコンクリートを鳴らすロリータ靴。
本物の女の子である沙耶ちゃんに冷やかな視線を向けられるくらい、可愛い物に包まれた姿の僕は、どこからどう見ても女の子に見えるらしいです。ちょこっとお化粧をしてるのがポイントですかね。僕、顔立ちは普通ですもん。
別に、女装が趣味ってわけではないんです。ただ、女の子の好きな物が売っているお店って、男の子の姿じゃ目立ちますし、単に抵抗ありまくりなだけです。そして、下手な女装っ子じゃ、かえって不審がられるだけだから、男の娘を極めただけです。
お姉ちゃんや沙耶ちゃんという、心強い理解者もいてくれたおかげで、僕はこうしてドン引かれることもなく、萌えに囲まれて生きていけるわけなのです。
「あ、タカちゃん! 新刊あったよ!」
はい、と渡されたのは、僕の大好物。不良君×平凡君がカップリングのBL コミック。僕はまだ会計にも通されていないそれをぎゅっと胸に抱きます。
僕、とっても幸せ。
僕は沙耶ちゃんと一緒に、他のお宝を探し始めました。時間にして一時間くらいでしょうか。本日の戦利品は合計で七冊。コツコツと貯めているお小遣いも、この一瞬でほとんど無くなってしまいます。だから、僕はリア充という単語とは無縁の存在なのです。
でも、沙耶ちゃんは。
「私、今から彼氏とデートだから! タカちゃん、また今度のお休みに語り合おうね!」
お兄ちゃんに内緒で彼氏さんがいます。お兄ちゃん、この事実を知ったら泣いてしまうでしょうね。あの人、シスコンですから。
僕はお店の前で、沙耶ちゃんと別れました。沙耶ちゃんはリアルも充実しています。腐女子であることも、彼氏さんは理解済みなのです。なんと理想的なリア充でしょう。
僕? 僕はいいんです。僕、女の子は大好きですけれど、今は二次元にしかハマっていませんし。リアルもボーイズで囲まれた男子校という腐男子にとってはなんとも嬉しい萌え学園にいますし。しかも普段は寮生活です!
今度は包装されたお宝を抱えて、もう一度ぎゅっと抱き締めました。
僕、ほんとに幸せ。
特に今は、僕の友人が学園の憧れである美形生徒会長と同室になり、あんなことやこんなことになってしまうという、会長×平凡スキーな僕にはなんとも禿げ萌えな展開が……
「ねえ、君。可愛いね。すごく可愛い」
は?
どこからともなく声を掛けられた気がしました。いや、気がしただけかも。だって僕は男の子ですし。あ、違いますね。僕、今は男の娘でした。
ぐるりと一周するように辺りを見渡しました。同時に、片足を軸に周ったため、ふわっとスカートが舞うように浮きます。
そしてピタリと。僕の足は止まりました。そして同時に。
視線もある一点に、止まりました。
人。人がいました。それも、僕よりも少しだけ背の高い、なんともイケメンな男の子。
ジーンズにジャケットスタイルというカジュアルな、どこにでもあるようでどこにでもないようなスタイルのその人は、僕をニコニコと笑いながら見ていました。
ふわぁ。恰好いい人です。眼鏡をかけていますが、年恰好からして、僕と同じくらいでしょうか? とっても若い。でも、全く知らない人です。そんな人が、いったい僕に何の用?
僕が首を傾げると。その人は「ごめんね」と一言置いてから。
「君、恋人とかいる?」
ずばり聞かれましたけど、初対面でこんなこと聞かれるなんて初めてです。けれど、そんな不躾なことを聞かれて引かなかったのは、この人がとんでもなくイケメンだったから。この一つにつきます。
首を横に振ると、その人はほっとしたように息をついて、僕の手を取りながら、さらにとんでもないことを言ってきたのです。
「じゃあ、突然で悪いんだけどね。僕は君に一目惚れしました。僕と付き合ってください」
ちなみに僕、三次元BLは、第三者だからこそ萌える派です。
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