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いくら王道といえど、決してふざけてはいけないこともあるのです
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しおりを挟む放課後になると、僕は購買でゼリーやプリン、それからスポーツ飲料を購入し、それらを持って寮へと帰りました。おかゆとかは寮母さんに頼めば作ってもらえるので、皇君の食欲次第ですね。まずは今の彼の様子を見なければ。大人しく寝てればそれでいいんだけど。
ん?
僕は立ち止まりました。いや、だってね? 僕と皇君の部屋の前が、すごい人だかりになっているんですよ。それもこんもりと。
一体何事? と思いながら、ゆっくりと近づいてみると。
「会長っ、大丈夫ですか? これ、お見舞いの果物です。食べてくださいねっ」
「ありがとうございます。ゴホゴホ。受け取ります」
「会長~! 大丈夫ですかぁ!?」
「ばか! 食欲のないときに食べ物なんて勧めるんじゃねぇよ! 会長、着替えのときは僕を呼んでくださいね。お手伝いします!」
「いえ、それは大丈……ケホケホ」
「あ~、抜け駆け!? そんなの許さないんだから! 会長! それなら僕を呼んでください! お手伝いしますから!」
「それなら僕は一晩中看病をしますから!」
「皆さん、落ちついてください」
な、なんじゃこりゃ。
会長の親衛隊ことチワワ軍団がどこからか事の次第を聞きつけたんでしょう。束になって部屋の前でぎゃあぎゃあと喚いています。しかも皇君の世話をするのだとか言いつつ、他のチワワと張り合って喧嘩しています。そして皇君もいつからこの子たちの相手をしているのか。扉の前で具合悪そうにしながら、生徒会用の猫を何十匹も被って相手しているんですよ。
すげぇな、アンタ!
おおっと。少しだけ感心してしまいました。いえ、出てこなければやってられなかったんでしょう。放っておけば、外でガヤガヤと煩いだけですし、あまつさえ部屋にまで入ってこられたら堪ったもんじゃないでしょうからね。
しかしこれはいくらなんでも……病人のことを考えてなさすぎです。
若干どころでなくこの現状に引きつつも、僕は自分の部屋でもあるそのカオスの中へと勇気をふり絞りながら突っ込んで行きました。遠慮することなどないのです。だってそこは僕の部屋なんだから。
「ちょ、ちょっと、通してくださいっ。うわわっ」
「会長~!」
「ちょ、痛いっ! あだだだっ!?」
「きゃああああ!」
「み、耳元で悲鳴上げるなっ……うるさ……」
「会長~!!」
ぶちっ。
「るっせぇ! チワワ! 病人相手にぎゃあぎゃあ喚くんじゃねぇ! 散れー!!」
れー。れー。れー……。
エコー。
元コーラス部。ぶち切れて叫びました。
つか、叫ばずにいられるかっての! なんだこの現状は!? どいつもこいつも自分のことばかりでぎゃあぎゃあ喚きやがって! 馬鹿じゃねえのか!
しん、と一気に静かになった辺り一帯。ぽかんと口を開けて腰を抜かす奴らも出ましたが、その中でも幹部らしきチワワがギッと睨んできやがりました。でも、僕も負けていません。ぶち切れていた僕もギッと睨み返してやりましたよ。ええ。チワワが怖くて生徒会長のルームメイトなんかやってられるか!
ぜーはーと息を咳切らせながらも、僕はずんずんと前に進み、僕の部屋の前、もとい皇君の前で立ち止まりました。なぜか呆気にとられたかのように僕を見下ろす皇君ですが……て・め・え・も・て・め・え・だ!
「病人がこんな薄着で何ボケっと突っ立ってんですか! こんなチワワ、さっさと片付けてベッドで大人しく横になってろ! わかったか!」
「ええ。そうですね。ケホケホ」
ったく。一つ一つにトラブル起こしやがって……ん? この人、総長だったよね? 生徒会長以前に、どっかのチームのヘッドだったよね? ちょっと弱ってたから忘れかけてたけど。
しまった! また僕、やらかした!
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