【完結】ルームメイト〜僕と彼の関係〜

天白

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これぞ王道? 眼鏡転校生が現れました

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 王道眼鏡転校生といえば。

 ボサボサ鳥の巣頭に、黒縁鼈甲眼鏡。ぎゃーぎゃー喚く、超ド級のお馬鹿ちゃん。得体の知れない人物なのに、なぜか生徒会に好かれる人気者で、生徒会の親衛隊からは激しく嫌われる可哀想な子。しかしその実態は、どこやらの不良グループのヘッドで、眼鏡を外せばあら不思議と、驚くばかりのサラサラ金髪の美形ちゃんってのが、坂本君が僕に植えつけた王道眼鏡転校生。

 しかし。

 教室に入り、先生が新学期の挨拶を手短に済ませましたが、僕のクラスにそんな転校生がやってくることはありませんでした。坂本君は悔しがっていましたが、その噂の転校生、なんと皇君や七海君のクラスに編入したそうです。

 しかも二人も。坂本君の情報はいつも間違いのないものでしたが、今回はなんと、転校生が二人だったそうです。その転校生が王道眼鏡っ子だったのかどうかはわかりませんが、突然クラス中がとんでもなくやかましくなったのは、その転校生の所為でしょう。

 三学期早々、僕の学校は授業を開始します。といっても、二学期の復習を兼ねての学力テストなのですが。お昼休憩を跨いで丸っと一日がそれのため、早々に寮に戻ることができません。進学校が故ですね。

 十二時のお昼休憩を知らせる鐘が鳴ると、僕はひゃっほう! と内心喜びながら購買へ向かいました。しょうがないので、坂本君を誘ってやりましたよ。ええ。

 財布を持って廊下を出ると、疲れた~とやけにげっそりしている生徒達で溢れかえっていました。悲しいかな。気持ちがわかってしまう僕です。

「手ごたえはどうでしたか? 平凡君はこの冬休み、皇会長に手取り足取り腰取り勉強を教えてもらったんでしょう?」

「聞かないでください。この冬休みだけでなんとかなるような頭なら、何も勉学は皇君じゃなくともいいのです……つうか下ネタ挟んでくんな」

「またまた~!」

「あの~……」

「この腐男子。その頭かち割って……」

「あの~、もしも~し」

 はい?

 はて。今、背後から可愛らしい声が聞こえてきましたが。気のせいですかね?

 でも、呼ばれたような気がしたので、ぐるりと背後を振り返ると、真っ黒なお頭がありました。そしてそのまま視線を下にやれば、同じ学生服を着た知らない男の子が一人。ちなみに眼鏡を掛けています。

「えへへ」

 赤の他人である僕に向かって、屈託のない笑顔を向ける男の子。なんだか小動物みたいです。僕より身体が一回りも小さいその子は、あの皇君の親衛隊であるチワワ軍団と相違ない体躯をしていました。

 で、誰?

「何か用ですか?」

 僕に声を掛けてきたのは明らかでしょう。僕は尋ね返しました。

 すると、この小動物系眼鏡君はニコニコと笑顔のまま、僕に道を尋ねたのです。

「突然でごめんなさい。この学校に購買ってありますよね? よければ僕に教えてもらえませんか?」

「購買、ですか? それなら、今からこの腐男……坂本君と一緒に行くので、案内しますよ」

 そう答えると、彼はぱあっと、お花が咲いたように喜んでお礼を言ったのです。

「ありがとう!」

 わ。満面の笑み。こんなに素直で無邪気な笑顔を見せる高校生なんてそうそういません。チワワ軍団もよく、生徒会の人たちに可愛い笑顔を見せますけど、こんなに無邪気な笑顔は見たことがないです。

 で、誰?

「廊下を出たらびっくりだね。なんだか僕のクラスと全然雰囲気が違うんだもん。声を掛けても気づいてくれないし。ようやくお話を聞いてくれる人に出会えたよ~」

 なんということでしょう。これはいわゆるイジメというやつでしょうか? 誰も気に留めてくれないなんてとんでもないことです。忌々しき事態です。

 一度は校舎裏まで連れて行かれ、同じ学び舎の生徒達から蔑まれたことのある僕です。少しかもしれませんが、虐められる者の気持ちはわかります。

 それにこんなに可愛らしい子が困っているというのにお話を聞いてやらないなんて男じゃないです!

「僕でよければ相談に乗りましょう。アドバイスとまではいきませんが、お話ぐらいなら聞いてあげられます」

「お話? ああ、そっか! 自己紹介がまだだった……」

 いけない、いけない、と。小動物系眼鏡君は首を少しだけ振りながら、僕に照れたような笑みを浮かべて見せました。

 そして丁寧に、それも深々と頭を下げてから「はじめまして」と挨拶をして、僕に右手を差し出しました。

「僕は紫瞠しどう。紫瞠りゅうって言います。今日からこの学校に転校してきました。よろしくね」

 そう言って、コテンと首を横に傾けたのです。ああ、もう。何なのこの可愛い子。
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