【完結】ルームメイト〜僕と彼の関係〜

天白

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王道と非王道の違いが未だにわかりません

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 ーーーー…





「はあっ、はあっ……」

「大丈夫っ? ヘーボン君っ」

「す、すたみながっ……僕からログアウトしましたっ……」

 バタバタと全速力で走りまくっていた僕達ですが、意外にも紫瞠君、持久力がありますね。小柄なのに全然息が切れてないです。対してゼーハーと全身で呼吸をする僕はもう駄目です。少し脚を休ませてと、その場で崩れました。

 とても広い学校ですから、やみくもに走っても全校生徒のいる運動場まで距離があります。僕と紫瞠君がいるのは北側の校舎の裏庭でしょうか? 確か、生徒会しか使えないというとても古い校舎で、存在だけは知っていたのですが何せお化けが出そうなビジュアルだったから怖くて近づいたこともなかったんですよね。無駄に広いんだから、んもー!

 僕の代わりに辺りを見渡してくれている紫瞠君は誰も追って来ないのを確認すると、僕の背中を摩ってくれました。え? 坂本君? あの野郎は僕達とは別の明後日の方向へと行ってしまいましたよ。

「あの人たちって寮生だよね? ヘーボン君も寮生だもんね。このこと、先生はもちろんだけど皇君にもお話しなくちゃいけいないね」

「大丈夫です。いつものことなので……大体、あの会長が僕のルームメイトになったことから色々とややこしくなってるんですっ」

 本当に……あの人が只のルームメイトであったなら、僕は平々凡々の高校生活を満喫できるはずだったのに。実際はチワワ軍団に絡まれるは、ゴリラ達に襲われそうになるわ、メイドの格好をさせられるわ、嘘つき双子に頬ずりされるわ、強面三人衆に追いかけられるわ……散々だ!

「ヘーボン君は皇君のことが嫌いなの?」

「嫌いですっ! 大がつくほど嫌いです!」

「そっかあ。仲がいいんだねぇ」

「どこが!?」

 紫瞠君、何を聞いてそう思えたの!?

「僕は紫瞠君と同室が良かったです……」

 キャピキャピしているチワワ軍団と違って本当に可愛いんです。弟みたいな紫瞠君が一緒なら絶対に平穏な生活が送れるはずですし、毎日がマイナスイオンを浴びられる環境になるはずなんです。一緒にゲームを楽しんだり、お勉強もしたり、お喋りしたり。間違っても床を共にするなんてことは無いはずなんです。そんなハッピーライフを望んでいただけなのに……どうして僕のルームメイトが紫瞠君じゃないんでしょう?

 紫瞠君は僕の背中を摩りながら、優しく微笑みかけてくれました。

「ありがとう。でも僕は寮生じゃないし……それに旦那さまがいるから。ごめんね」

 そうです。そうでした。紫瞠君、旦那様とやらがいらっしゃるんでした。

 すっかり息が整った僕は、紫瞠君にお礼を言いつつ向き直ります。今なら煩い坂本君もいませんし、聞いてみてもいいでしょうか?

「えーと……その、旦那様っていうのは?」

 僕にちゃんとボキャブラリーが備わっていれば、他の聞き方が出来たのでしょうか? 紫瞠君、答えにならない答えを返してくれました。

「旦那さまは旦那さまだよ。僕、結婚してるから」

 ごめんなさい。わかりません。

「それってつまりは紫瞠君もホモォってことですか?」

「ほもぉ?」

「えーっとホモォというのはですね、ホモォというのは……」

 そういえば、誰かにそれを説明したことってないですね。むむ。

「男性と男性がこう……お付き合いをされていること? を、言ってですね。だからその、紫瞠君も男性を……好きな人、なのかなって……」

 う。こういうのって、直接聞いてもいいものなんですかね? ホモォ学校にいるせいか、そういった倫理観がごちゃごちゃになってきています。

 でも、紫瞠君は嫌な顔をすることなく、腕組みをしながら考える素振りを見せました。

「僕は確かに男の人と結婚しているけれど、お付き合いをしているわけじゃないから違うのかな? 男の人に対して特別に好きっていう感情を持ったこともないし……どうなんだろうね?」

「どう、なんでしょうね?」

 ますますわけがわからないんですが!? そもそもどういう経緯で結婚になったの!? そもそも高校生が男の人と結婚できるものなの!?

 突っ込みどころ満載な紫瞠君なんですが、これだけははっきりと答えてくれました。

「でもね、旦那さまは僕にとってとても大切な人なんだ」

 とびっきりの笑顔と共に。
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