【完結】ルームメイト〜僕と彼の関係〜

天白

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王道と非王道の違いが未だにわかりません

END.

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 そんな僕を冷めた目付きで捉えながら、説教でもするかのように皇君は話し始めました。

「人の気持ちなど、誰もが思う通りに出来るものではないでしょう。例えば、お前はテレビに出るような人気俳優から突如告白されたとして、それを素直に受け入れられますか? いくらその人間が世間では有名で、見目も良い聡明な者であったとしても所詮は他人でしょう? お前の慕う紫瞠君にしたってそうです。彼をどんなに可愛がったとしても、貴方を慕いこそすれ靡くことは無いでしょう。片岡葉月や橘兄弟は貴方と出会うよりも前に彼の近くで好意を抱いているにも関わらず、彼は彼らのものになっていないでしょう?」

「それは……むむ」

 確かに一理あるといえばありますが、何故に例題の相手が男なの? アイドルの女の子にしてよ、せめて。

 しかし、紫瞠君の場合は旦那様とやらがいるはずです。関係性はよくわかりませんが、その旦那様が特別な存在であるなら片岡君達がどんなに紫瞠君を慕っていようとも彼らの気持ちには答えられません。それはそうだとわかるのですが……

 皇君はこの学校の生徒会長です。皆から慕われています。親衛隊なんてものが出来るくらいの憧れの存在なのです。僕だって、皇君のルームメイトになんぞならなければ憧れの存在のままで終わっていたことでしょう。こんな歪な関係にさえならなければ、もっと上手くやれていたのかもしれない。

 例え皇君の好きな人が他の誰かを好きであったとしても、平凡な僕とは違って良好な関係くらいは望めるんじゃないでしょうか?

「だから……思っていることを口にするなと言っている」

「いだっ!?」

 デ、デコピン!? 指だけなのにすんげえ痛ぇ! ずーっと口に出ていた僕も僕かもしれませんが、もっと止めようがあるだろ!!

 全身黒尽くめのいつものお召し物とジャラジャラ装飾も装備し終えた皇君は、無駄にカッコいい黒の革ジャンを手にしました。いよいよ出掛けるようです。

「もうこの話は終わりです。これ以上、低能と話していても不毛なだけですし」

「ちぇっ、皇君の好きな人を知って弱味でも握れるかと思ったのに……」

 僕は一人、この部屋でゲームでも楽しむことにします。自分のベッドへ身体をごろんと寝転ばせると、仰向けになって携帯ゲーム機の電源を入れました。

 その時、皇君がポツリと呟いたのです。

「片思いの相手ならいますよ」

「えっ、ほんとに!? 誰なんです?」

 ガバッと身体を起こして皇君に尋ねました。誰、誰!? ちょっと知りたい!

 ワクワクする僕に皇君は少しだけ目を瞠ると、コツコツとブーツの底の音を立てて近寄り、顔をこれでもかと言うほど近付けてきて……

「お前」

 …………へ?

 え、何? 何て言った? おまえ? おまえさん、っていう人?

 今、僕は何て話をしてましたっけ? 皇君の、片想いの相手の話ですよね?

 それが何……おまえ?

 お前?

「…………は?」

 間抜けた声しか返せませんでした。だって人の名前じゃなかったんですもん。

 それをこの人……

「と、言ったら……お前は私を受け入れられますか?」

 って、シニカルに笑うもんだから無駄に格好良くて……

「え……え!?」

 何? え、どゆこと? へ? は?

 は……?

「バーカ」

「ん、んぐう!?」

 馬鹿と言われたと同時に、皇君が僕の口をてめえの口で覆うように噛みついてきやがりました。こうバクッと。バクッと!

 僕の口回りにはきっと綺麗な歯形がついていることでしょう。皇君は口から離れると、意地悪な笑みを浮かべながら革ジャンを持って窓の方へと歩いていきました。そしてその広い背を向けながら……

「そんなこと、あるわけないでしょう? お前がいつまでもくだらないことばかりを言うから、少しからかってみただけです。ああ、馬鹿らしかった」

 そんだけ!? そんだけのことで口回りを噛んでくんの!? この野郎、ベッドの下に剣山でも仕込んでおいたろか!

 あー、びっくりした……そうですよね。そんなの、冗談に決まってるんです。だって、それがもしも本当なのだとしたら……

「では、私はこれから外に出ます。お前、帰って来るまでちゃんと起きていなさいね? 今夜は抱きます」

 もっと優しく扱ってくださるんでしょうからねぇ……ははは。









 この野郎、本当に捕まらねえかな。




 END.

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