【完結】生まれ変わってもΩの俺は二度目の人生でキセキを起こす!

天白

文字の大きさ
22 / 49
これが噂の倦怠期?

しおりを挟む
 ――――…



「夢だ……」

 またも前世の夢を見た。恵の記憶が戻ってからというもの、度々これがある。

 パチパチと瞬きをすると、見慣れた白の天井が視界に入った。ああ、良かった。あの寒くて暗い倉の中ではない。ここはいつもの寝室だ。

「おはよう、圭介」

 なんとなく、朝の自分へと挨拶を口にする。

 すごく幸せな夢だった。正臣と恵が出会ってすぐの頃のだから、当然か。夢とはいえこうして客観的に見てみると、甘酸っぱい思い出だ。セックスの内容まで事細かに見てしまったものだから、朝だというのに尻の奥がもぞもぞする。

「ん……しょ」

 俺は身体を少しだけ起こすと、隣で静かに眠る人物に覆い被さるようにした。幸せな夢を見るのは、今の自分が幸せだからだろうか? 夢の中のあの人と同じ顔をする彼の頬にそっと触れつつ、俺は口を大きく開けてあるものを咥えた。

「ぱくっ」

 すると、ピクッと口の中でそれが動いた。ふわふわとした灰色の毛に弾力のあるそれを食みながら、尖った先に音を立てて吸いついた。食べ物ではないとわかっているのに美味しいものだから、つい口に含んでしまう。

「はもはも」

 しかし決して遊んでいるわけではない。俺にはこの人を起こすという大事な使命があるのだ。決して遊んでいるわけではない。

「ほぅふふぇ……はもはも。おひふぇ……」

 咥えながら声をかける。そしてれろっとその内側を舐めてやると、俺は唐突に両肩を抱えられた。

「うひゃっ?」

「こら。私の耳は食べ物ではないよ」

 夢の中でも聞いた同じ音色のバリトンが、俺に笑って嗜める。ドサッとベッドへ戻されると、あっという間に立場は逆転する。

 俺は悪戯がバレた子供のように、控えめに舌先を彼に見せた。

「おはよう。宗佑」

「おはよう、圭介」

 ピンと立つ二つの狼の耳が、同時に動いた。音をつけるとしたら、ピコピコと鳴ることだろう。

 そしてアンバーの両眼が優しく俺を見据えながら、音を立てて額に触れるだけのキスを落とす。

「ん……宗佑」

 甘えた声を出しながら宗佑の首に両腕を巻きつけると、俺は僅かに身体を捩った。そんな俺の様子を目の当たりにして、宗佑は微苦笑しつつ俺の首筋に啄むようなキスをする。それまでしていたチョーカーも、宗佑の前では外すようになったから、直に彼の唇が触れて擽ったい。

 もっと強く吸ってとねだると、そうしながら宗佑は俺の寝間着の中に手を挿し込み、腹から胸へと滑らせた。密着する身体をさらに近づけようと腰を擦りつけると、楽しそうに耳元で囁く。

「朝から随分と積極的だな」

「ううん。ちが、って……あっ……その……夢が……んっ……」

「夢?」

 胸の上にある突起をコリコリと指の腹で転がされると声が震えた。元々敏感だったそこは宗佑の手でより感じるようになったからか、彼によって弄られることがすっかり好きになってしまっていた。

 でも今回はそこよりも、俺の耳を責めることにご執心なようだ。耳介を舐めたり、キスをしたりと俺の反応を見て楽しんでいる。

「エッチな夢でも見たの?」

 わざとエロティックな声を出して耳たぶを食むのは、おそらくさっきの仕返しだ。乳首をきゅっと摘ままれて、俺の身体はビクンと跳ねた。

「ふあっ……ん、変……?」

「まさか」

 リップ音を響かせながら、宗佑は顔を浮かせてニヤリと口角を持ち上げる。

「可愛い奥さんだ」

 そして胸の上まで寝間着を捲ると、舌を使って俺の乳首を愛撫し始めた。

「ん、はあっ……宗佑ぇ……」

 膨らみのない薄い胸を、宗佑が丹念に愛撫する。乳輪ごと食んで突起を舌の先で転がされると、なんとも言えない刺激が身体中を走った。

「ちゅく……カリ……」

「ふあぁんっ!」

 乳首を潰されるように甘噛みされると、一層高い声が溢れ出た。

「そうすけ……ん、もっと……もっと、して……あんっ……気持ちいい……気持ちいいのっ……」

 俺は淫乱なのか。恥ずかしいことを口走っているのにも関わらず、それが止められない。羞恥よりも快楽を求めて、もっとと宗佑にねだった。

「圭介……ここだけでいいの?」

「ん……んっ……」

 真っ赤に充血した乳首の先をトントンと指でノックしながら、宗佑は俺に尋ねた。

「可愛い乳首だけでいいなら、君が満足するまでたんと愛撫してあげよう。でも本当に望んでいるのは何なのか……言ってごらん」

 ああ、意地悪だ。この人はわかっていてそう言うのだ。

「んっ、んんっ……宗佑、お願い……」

 俺はコクコクと頷くと、おぼつかない手つきで下肢に纏っている寝間着をずり下ろした。宗佑はそれを手伝うように一旦、自身の身体を起こすも、それ以上は加担しない。

 仰向けに寝ながら腰を浮かせ、なんとかそれを下着ごと剥ぎ取ると、俺はカエルのように大きく脚を割り開き、反り立たせた陰茎を彼へと見せつけた。

 正直なところ、この格好はとても恥ずかしい。しかし宗佑は、俺に恥ずかしい思いをさせることが好きな隠れS男だ。はしたないと貶すどころか、舌舐りをしてみせた。

「いい子だ」

 宗佑はパクリと俺のそれを咥えると、たっぷりの唾液を絡めて啜り出した。歯は当てないように注意を払いつつ、口と舌を使って根本から亀頭へと扱くような口淫を始めた。

 頭を動かしてしゃぶるようにするそれはこちらが行うのならともかく、されるのは前世でも慣れなかった。自分が自分でいられなくなるようで嫌だからだ。

 しかし宗佑が俺にそれをするようになってから、麻痺してしまったのか。今ではすっかり快楽に溺れ、ただ喘ぐだけとなっていた。

「はあ、あん……宗佑……んぁ……きもち、いいっ……」

「れろ……圭介。気持ちいいの?」

「うん……んっ、うんっ……」

「可愛いよ。圭介」

 可愛いと言われながら、じゅぷじゅぷとやらしい水音を立てられる。気持ちが良すぎて頭がおかしくなりそうだ。

「やあんっ……宗佑……宗佑ぇ……!」

「いいよ。このまま出しなさい」

「んっ、あっ、あああっ!」

 促されるがまま、俺は宗佑の口の中で達してしまった。熱い体液を放ちながら、背を仰け反らせてビクビクと身体を痙攣させる。

 そして同時に、誰かの喉が鳴る音が微かに聞こえた。

「はあっ……はあ……はあっ……そう、すけぇ……」

「ご馳走さま」

 胸を大きく上下させて喘いでいると、ペロッと下唇を舐める宗佑が、僅かに開いた瞼から垣間見えた。

 俺が放ったものを飲んだのだ。決して顔を歪めず、むしろ微笑みを浮かべて言う宗佑は、俺の頬を愛おしそうにさらりと撫でた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

発情期アルファ貴族にオメガの導きをどうぞ

小池 月
BL
もし発情期がアルファにくるのなら⁉オメガはアルファの発情を抑えるための存在だったら――?  ――貧困国であった砂漠の国アドレアはアルファが誕生するようになり、アルファの功績で豊かな国になった。アドレアに生まれるアルファには獣の発情期があり、番のオメガがいないと発狂する―― ☆発情期が来るアルファ貴族×アルファ貴族によってオメガにされた貧困青年☆  二十歳のウルイ・ハンクはアドレアの地方オアシス都市に住む貧困の民。何とか生活をつなぐ日々に、ウルイは疲れ切っていた。  そんなある日、貴族アルファである二十二歳のライ・ドラールがオアシスの視察に来る。  ウルイはライがアルファであると知らずに親しくなる。金持ちそうなのに気さくなライとの時間は、ウルイの心を優しく癒した。徐々に二人の距離が近くなる中、発情促進剤を使われたライは、ウルイを強制的に番のオメガにしてしまう。そして、ライの発情期を共に過ごす。  発情期が明けると、ウルイは自分がオメガになったことを知る。到底受け入れられない現実に混乱するウルイだが、ライの発情期を抑えられるのは自分しかいないため、義務感でライの傍にいることを決めるがーー。 誰もが憧れる貴族アルファの番オメガ。それに選ばれれば、本当に幸せになれるのか?? 少し変わったオメガバースファンタジーBLです(*^^*)  第13回BL大賞エントリー作品 ぜひぜひ応援お願いします✨ 10月は1日1回8時更新、11月から日に2回更新していきます!!

黒とオメガの騎士の子育て〜この子確かに俺とお前にそっくりだけど、産んだ覚えないんですけど!?〜

せるせ
BL
王都の騎士団に所属するオメガのセルジュは、ある日なぜか北の若き辺境伯クロードの城で目が覚めた。 しかも隣で泣いているのは、クロードと同じ目を持つ自分にそっくりな赤ん坊で……? 「お前が産んだ、俺の子供だ」 いや、そんなこと言われても、産んだ記憶もあんなことやこんなことをした記憶も無いんですけど!? クロードとは元々険悪な仲だったはずなのに、一体どうしてこんなことに? 一途な黒髪アルファの年下辺境伯×金髪オメガの年上騎士 ※一応オメガバース設定をお借りしています

無能扱いの聖職者は聖女代理に選ばれました

芳一
BL
無能扱いを受けていた聖職者が、聖女代理として瘴気に塗れた地に赴き諦めたものを色々と取り戻していく話。(あらすじ修正あり)***4話に描写のミスがあったので修正させて頂きました(10月11日)

アルファ王子に嫌われるための十の方法

小池 月
BL
攻め:アローラ国王太子アルファ「カロール」 受け:田舎伯爵家次男オメガ「リン・ジャルル」  アローラ国の田舎伯爵家次男リン・ジャルルは二十歳の男性オメガ。リンは幼馴染の恋人セレスがいる。セレスは隣領地の田舎子爵家次男で男性オメガ。恋人と言ってもオメガ同士でありデートするだけのプラトニックな関係。それでも互いに大切に思える関係であり、将来は二人で結婚するつもりでいた。  田舎だけれど何不自由なく幸せな生活を送っていたリンだが、突然、アローラ国王太子からの求婚状が届く。貴族の立場上、リンから断ることが出来ずに顔も知らないアルファ王子に嫁がなくてはならなくなる。リンは『アルファ王子に嫌われて王子側から婚約解消してもらえば、伯爵家に出戻ってセレスと幸せな結婚ができる!』と考え、セレスと共にアルファに嫌われるための作戦を必死で練り上げる。  セレスと涙の別れをし、王城で「アルファ王子に嫌われる作戦」を実行すべく奮闘するリンだがーー。 王太子α×伯爵家ΩのオメガバースBL ☆すれ違い・両想い・権力争いからの冤罪・絶望と愛・オメガの友情を描いたファンタジーBL☆ 性描写の入る話には※をつけます。 11月23日に完結いたしました!! 完結後のショート「セレスの結婚式」を載せていきたいと思っております。また、その後のお話として「番となる」と「リンが妃殿下になる」ストーリーを考えています。ぜひぜひ気長にお待ちいただけると嬉しいです!

上手に啼いて

紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。 ■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。

Ωの花嫁に指名されたけど、αのアイツは俺にだけ発情するらしい

春夜夢
BL
この世界では、生まれつき【α】【β】【Ω】という性の区分が存在する。 俺――緋月 透真(ひづき とうま)は、どれにも属さない“未分化体(ノンラベル)”。存在すら認められていないイレギュラーだった。 ひっそりと生きていたはずのある日、学園一のαで次期統領候補・天瀬 陽翔(あませ はると)に突然「俺の番になれ」と迫られ、なぜか正式なΩ候補に指名されてしまう。 「俺にだけ、お前の匂いがする」──それは、αにとって最大の禁忌だった。

オメガパンダの獣人は麒麟皇帝の運命の番

兎騎かなで
BL
 パンダ族の白露は成人を迎え、生まれ育った里を出た。白露は里で唯一のオメガだ。将来は父や母のように、のんびりとした生活を営めるアルファと結ばれたいと思っていたのに、実は白露は皇帝の番だったらしい。  美味しい笹の葉を分けあって二人で食べるような、鳥を見つけて一緒に眺めて楽しむような、そんな穏やかな時を、激務に追われる皇帝と共に過ごすことはできるのか?   さらに白露には、発情期が来たことがないという悩みもあって……理想の番関係に向かって奮闘する物語。

何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない

てんつぶ
BL
 連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。  その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。  弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。  むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。  だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。  人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

処理中です...