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光あれ
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シモンの言葉を反芻し、その意味を咀嚼するための時間を要した面々であったが、その状態から立ち直り真っ先に口を開いたのは国王マリウスだった。
「ちょっと待て。さすがに信じがたい」
柔軟な思考を持ち、ここに居る誰よりも広い視野を持っているマリウスだったが、催眠術で五感を奪ったとする医師の仮定には懐疑的な目を向けた。
「催眠術ごときで、ひとの五感が奪えるものか」
断言する長兄の気持ちも、ユリウスにはよく理解できた。
メルドルフの医師団からそれを告げられたときの自分も、まったく同じ反応を返したからだ。
五感に乏しいがゆえにあんなに苦しんでいたリヒトの、その原因が催眠術と言われても、そうだったのかとは頷けない。
しかし。
「兄上。僕はメルドルフでとある実験の報告書を見せてもらいました。ひとの脳についての研究の一環で行われたものです。その研究では被験者にまず最初に、熱した油を見せていました。ぐつぐつと煮えたぎった油です。それをしっかり自身の目で確認させたあと、被験者に目隠しをし、あたかも油がこぼれてしまったかのような演技をして、その腕に水をかける。……そうすると、どうなると思いますか?」
「ただの水だろう。冷たいと叫ぶ以外になにかあるのか」
「はい。その被験者の腕には、熱傷ができたと記されていました」
「火傷しただと?」
マリウスの目が丸くなった。
ユリウスと行動をともにしていたクラウス、ロンバードは既知のことで特に反応を見せなかったが、エミールとテオバルドはマリウスと同じく、ぎょっとしたような表情を浮かべていた。
ユリウスの話を受けて、シモンが「はいな」と頷く。
「我々の間でもよくあることですなぁ。薬効のないただの丸いデンプンの粒を、頭痛によく効くと言って患者に飲ませると、本当に痛みがなくなることがある。偽薬、といいます。要は脳に錯覚させるんですなぁ。脳が思い込めば、偽の薬でも病はなくなる。逆に、まったく健康な人間であっても思い込みで病気になることもある」
頷きながら、シモンはそう語った。
彼の言葉を引き継いで、今度はユリウスが口を開いた。
「檸檬は甘い、と脳に錯覚させるのが催眠術です。洗脳と言い換えてもいい。檸檬は甘い。真実そう思い込ませることができれば、檸檬は甘くなるのです。それと同じことが、リヒトにも行われた」
リヒトが教皇ヨハネスにより『秘術』を施されたのは、たった二歳のときだ。
自我ですら、確立しきっていない、そんな年頃である。
声のかけ方ひとつ、教え方ひとつ、褒め方ひとつ、叱り方ひとつでどのようにでも転がってゆく可能性のある、ほんの幼児の時期に。
リヒトは『妙薬』を飲んで意識を混濁させられ、強制的な催眠状態に陥れられた。
教皇は朦朧となった子どもに、言い聞かせ続けたことだろう。
リヒトの目が、くっきりと風景を映せないように。
リヒトの耳が、音をよく拾えないように。
リヒトの鼻が、匂いを嗅ぎ分けられないように。
リヒトの舌が、味を感じられないように。
リヒトの肌が、感触を伝えないように。
教皇は強烈な暗示を掛けたのだ。
「大人でも、催眠術にかかる者はかかります。要は脳にどう錯覚させるかなのです。薬物の力を得て行われる秘術は、煮えたぎった油を見せ、あたかもそれが皮膚に降りかかったかのように思わせるよりもより容易で、確実だったことでしょう。ましてや相手は二歳の子ども。暗示にかからないほうが難しい」
ユリウスは無意識に手を固く握りしめていた。
関節が白く浮いている。制御のできない怒りが震えとなって、こぶしに宿っていた。
ユリウスの怒気に気おされて、テオバルドが身を引いた。
アルファの発する匂いに敏感なオメガのエミールは、なおひどかった。彼は蒼白になり、反射的に立ち上がっていた。すかさずクラウスの腕がエミールを抱きとめ、おのれの背に隠してユリウスに注意を促してくる。
「ユーリ。落ち着きなさい。感情が制御できないならエミールを下がらせなければならない」
次兄に窘められたユリウスは、両手で顔を覆い、深く息を吸った。
「……すみません。大丈夫です」
「クラウス様、オレも大丈夫です。ここに居させてください」
つがいの腕に縋り付きながらもエミールはそう言って、ユリウスを真っ直ぐに見つめてきた。
「ユーリ様。お話はわかりました。催眠術でリヒトの五感が奪われたというのは、知識のないオレにとっては信じられない話ですが、あなたがそう仰るのでしたらそうなのでしょう。ですが、病気や生まれつきのものでないのなら、治りますよね?」
エミールの声音は祈るようでもあり、そう信じ切っているようでもあった。
ユリウスは唇を軽く引き結んだ。
視線を医師へ向けると、シモンは片眼鏡のつるを指先でもてあそびながら、ふむ、と頷いた。
「ユリウス殿下が最初に仰られた通りですなぁ」
曖昧な物言いに、エミールが首を傾げる。
彼に手を貸して再び椅子に座らせながら、クラウスが口を開いた。
「わからない、ということがわかった」
「はいな。メルドルフ医師団の結論はそうなっておりますなぁ」
「え? ってことは、どういうことなんですか?」
テオバルドが忙しく目線を動かしながら、よくわからないと首を捻る。
ユリウスは素直な反応を見せる侍従を唇の端で笑って、
「言葉の通り、わからないんだよ」
と告げた。
「メルドルフでも治療の一環で、催眠療法なるものがあると聞きました。医師が患者に催眠をかける際は必ず、解く際ももちろん、それを行うための条件付けをするのだそうです」
たとえば檸檬が甘い、と錯覚させるとき。
十数えて指を鳴らしたら檸檬が甘くなります、と相手に告げる。
さらに解除する際は同じく指を鳴らす音を合図とする。
そういう条件付けをまず初めに行うのだという。
「けれどリヒトの場合はそれがありません。薬物で強制的に催眠状態にさせられ、解除条件も設けられることなく暗示を施されたのです」
だから、リヒトの五感を奪った催眠術の解き方がわからない。
解けるかどうかもわからない。
「……俺はとても不思議なのだが」
マリウスが渋面を作り、顎を撫でながら言葉を挟んできた。
「脳が錯覚すればひとは水を掛けられても火傷する、というのはよくわかったが、ユーリ、五感を奪われるというのは、一過性の火傷とは違う。そんなにも長く催眠状態のままで過ごすことができるものなのか?」
マリウスの呈した疑問はそのまま、ユリウスの疑問だった。
しかしメルドルフの医師団でもこれに回答できる者は居なかった。
脳や精神というのはそれほどに複雑で、まだまだ解明されていない神秘の分野だ。
「これは医師の仮定ですが、人間の自我というのは三歳頃に完全にできあがると考えられているそうです。リヒトが秘術を施されたのはそれよりも前。その時期に脳が錯覚してしまったので、通常では考えられぬほど長期間、催眠状態に陥っているのではないか、と」
「ふむ。わからなくもないが……しかしユーリ、おまえのオメガは、見えるようになりたいとは思わなかったのだろうか? 見たい、聞きたい、触りたい、味わいたい、そういう欲求が催眠術を解くきっかけにはならないものなのか?」
重ねて放たれたマリウスの問いに、ユリウスは思わず笑ってしまった。
見たい、聞きたい、と。
触りたい、味わいたい、と。
リヒトが思わなかったはずがない。
僕の目を治すお薬はありますか。
かつてユリウスへとそう訴えてきたリヒト。
彼が。リヒトが、あの華奢な体の内側で、どれほどの我慢と、どれほどの困難を抱えていることか。
ユリウスはひたと国王を見据え、口を開いた。
「これもまた、メルドルフの医師の仮定ですが……シモンも聞いてくれ」
「はいな」
「リヒトの脳は、おのれの五感が働いていないという錯覚状態にある。しかし実際は、目も見えているし耳も聞こえている。その感覚を強制的に遮断している状態が、いまのリヒトです」
マリウスが瞑目し、ユリウスの言葉を想像しながら頷いた。
「見えているのに、見えていない。聞こえているのに、聞こえていない。脳がそう思い込んでいるということだな」
「そうです。医師は僕にこう言いました。常人には想像も及ばないことですが、ひとつ言えることは、脳には相当の負担がかかっていることでしょう、と」
「脳に負担?」
「はい。現実の世界と、脳が思い込もうとしている錯覚の世界。その二つの世界は当然まったく違うものです。お互いがぶつかり合えば、歪みが生じる。その歪みが脳に負担をかけるのです。見えている世界を、見えなかったことにする。リヒトの脳は錯覚の世界を維持するために常に最大馬力で稼働し続けている。だからリヒトはよく眠っているのです」
あっ、とテオバルドが短く叫んだ。
エミールもハッとしたように目を見開いている。
ユリウスが不在の間、リヒトの世話をしていくれてた二人にも、思い当たることなのだ。
リヒトはよく眠る。
起きている間彼は、一生懸命ユリウスの声に耳を傾け、ユリウスの表情を見ようとし、自分ができることをしようと頑張って動いている。
常に気を張っているから、その眠りが深いのだと思っていた。
しかし事情がわかったいま、改めて想像してみると、リヒトがユリウスの顔を見ようとするたび、声を聞こうとするたび、目が見えたらよかったのにと思うたび、もっとはっきり聞こえたらいいのにと考えるたび、本当は異常などない五感を制御している脳が、悲鳴を上げていたのだろう。
その負荷に耐え切れないからだろうか、それとも制御できなくなる前に考えることをやめさせるためだろうか、脳は、錯覚の世界を保つため、強制的にリヒトを眠らせるのだ。
「ちょっと待て。さすがに信じがたい」
柔軟な思考を持ち、ここに居る誰よりも広い視野を持っているマリウスだったが、催眠術で五感を奪ったとする医師の仮定には懐疑的な目を向けた。
「催眠術ごときで、ひとの五感が奪えるものか」
断言する長兄の気持ちも、ユリウスにはよく理解できた。
メルドルフの医師団からそれを告げられたときの自分も、まったく同じ反応を返したからだ。
五感に乏しいがゆえにあんなに苦しんでいたリヒトの、その原因が催眠術と言われても、そうだったのかとは頷けない。
しかし。
「兄上。僕はメルドルフでとある実験の報告書を見せてもらいました。ひとの脳についての研究の一環で行われたものです。その研究では被験者にまず最初に、熱した油を見せていました。ぐつぐつと煮えたぎった油です。それをしっかり自身の目で確認させたあと、被験者に目隠しをし、あたかも油がこぼれてしまったかのような演技をして、その腕に水をかける。……そうすると、どうなると思いますか?」
「ただの水だろう。冷たいと叫ぶ以外になにかあるのか」
「はい。その被験者の腕には、熱傷ができたと記されていました」
「火傷しただと?」
マリウスの目が丸くなった。
ユリウスと行動をともにしていたクラウス、ロンバードは既知のことで特に反応を見せなかったが、エミールとテオバルドはマリウスと同じく、ぎょっとしたような表情を浮かべていた。
ユリウスの話を受けて、シモンが「はいな」と頷く。
「我々の間でもよくあることですなぁ。薬効のないただの丸いデンプンの粒を、頭痛によく効くと言って患者に飲ませると、本当に痛みがなくなることがある。偽薬、といいます。要は脳に錯覚させるんですなぁ。脳が思い込めば、偽の薬でも病はなくなる。逆に、まったく健康な人間であっても思い込みで病気になることもある」
頷きながら、シモンはそう語った。
彼の言葉を引き継いで、今度はユリウスが口を開いた。
「檸檬は甘い、と脳に錯覚させるのが催眠術です。洗脳と言い換えてもいい。檸檬は甘い。真実そう思い込ませることができれば、檸檬は甘くなるのです。それと同じことが、リヒトにも行われた」
リヒトが教皇ヨハネスにより『秘術』を施されたのは、たった二歳のときだ。
自我ですら、確立しきっていない、そんな年頃である。
声のかけ方ひとつ、教え方ひとつ、褒め方ひとつ、叱り方ひとつでどのようにでも転がってゆく可能性のある、ほんの幼児の時期に。
リヒトは『妙薬』を飲んで意識を混濁させられ、強制的な催眠状態に陥れられた。
教皇は朦朧となった子どもに、言い聞かせ続けたことだろう。
リヒトの目が、くっきりと風景を映せないように。
リヒトの耳が、音をよく拾えないように。
リヒトの鼻が、匂いを嗅ぎ分けられないように。
リヒトの舌が、味を感じられないように。
リヒトの肌が、感触を伝えないように。
教皇は強烈な暗示を掛けたのだ。
「大人でも、催眠術にかかる者はかかります。要は脳にどう錯覚させるかなのです。薬物の力を得て行われる秘術は、煮えたぎった油を見せ、あたかもそれが皮膚に降りかかったかのように思わせるよりもより容易で、確実だったことでしょう。ましてや相手は二歳の子ども。暗示にかからないほうが難しい」
ユリウスは無意識に手を固く握りしめていた。
関節が白く浮いている。制御のできない怒りが震えとなって、こぶしに宿っていた。
ユリウスの怒気に気おされて、テオバルドが身を引いた。
アルファの発する匂いに敏感なオメガのエミールは、なおひどかった。彼は蒼白になり、反射的に立ち上がっていた。すかさずクラウスの腕がエミールを抱きとめ、おのれの背に隠してユリウスに注意を促してくる。
「ユーリ。落ち着きなさい。感情が制御できないならエミールを下がらせなければならない」
次兄に窘められたユリウスは、両手で顔を覆い、深く息を吸った。
「……すみません。大丈夫です」
「クラウス様、オレも大丈夫です。ここに居させてください」
つがいの腕に縋り付きながらもエミールはそう言って、ユリウスを真っ直ぐに見つめてきた。
「ユーリ様。お話はわかりました。催眠術でリヒトの五感が奪われたというのは、知識のないオレにとっては信じられない話ですが、あなたがそう仰るのでしたらそうなのでしょう。ですが、病気や生まれつきのものでないのなら、治りますよね?」
エミールの声音は祈るようでもあり、そう信じ切っているようでもあった。
ユリウスは唇を軽く引き結んだ。
視線を医師へ向けると、シモンは片眼鏡のつるを指先でもてあそびながら、ふむ、と頷いた。
「ユリウス殿下が最初に仰られた通りですなぁ」
曖昧な物言いに、エミールが首を傾げる。
彼に手を貸して再び椅子に座らせながら、クラウスが口を開いた。
「わからない、ということがわかった」
「はいな。メルドルフ医師団の結論はそうなっておりますなぁ」
「え? ってことは、どういうことなんですか?」
テオバルドが忙しく目線を動かしながら、よくわからないと首を捻る。
ユリウスは素直な反応を見せる侍従を唇の端で笑って、
「言葉の通り、わからないんだよ」
と告げた。
「メルドルフでも治療の一環で、催眠療法なるものがあると聞きました。医師が患者に催眠をかける際は必ず、解く際ももちろん、それを行うための条件付けをするのだそうです」
たとえば檸檬が甘い、と錯覚させるとき。
十数えて指を鳴らしたら檸檬が甘くなります、と相手に告げる。
さらに解除する際は同じく指を鳴らす音を合図とする。
そういう条件付けをまず初めに行うのだという。
「けれどリヒトの場合はそれがありません。薬物で強制的に催眠状態にさせられ、解除条件も設けられることなく暗示を施されたのです」
だから、リヒトの五感を奪った催眠術の解き方がわからない。
解けるかどうかもわからない。
「……俺はとても不思議なのだが」
マリウスが渋面を作り、顎を撫でながら言葉を挟んできた。
「脳が錯覚すればひとは水を掛けられても火傷する、というのはよくわかったが、ユーリ、五感を奪われるというのは、一過性の火傷とは違う。そんなにも長く催眠状態のままで過ごすことができるものなのか?」
マリウスの呈した疑問はそのまま、ユリウスの疑問だった。
しかしメルドルフの医師団でもこれに回答できる者は居なかった。
脳や精神というのはそれほどに複雑で、まだまだ解明されていない神秘の分野だ。
「これは医師の仮定ですが、人間の自我というのは三歳頃に完全にできあがると考えられているそうです。リヒトが秘術を施されたのはそれよりも前。その時期に脳が錯覚してしまったので、通常では考えられぬほど長期間、催眠状態に陥っているのではないか、と」
「ふむ。わからなくもないが……しかしユーリ、おまえのオメガは、見えるようになりたいとは思わなかったのだろうか? 見たい、聞きたい、触りたい、味わいたい、そういう欲求が催眠術を解くきっかけにはならないものなのか?」
重ねて放たれたマリウスの問いに、ユリウスは思わず笑ってしまった。
見たい、聞きたい、と。
触りたい、味わいたい、と。
リヒトが思わなかったはずがない。
僕の目を治すお薬はありますか。
かつてユリウスへとそう訴えてきたリヒト。
彼が。リヒトが、あの華奢な体の内側で、どれほどの我慢と、どれほどの困難を抱えていることか。
ユリウスはひたと国王を見据え、口を開いた。
「これもまた、メルドルフの医師の仮定ですが……シモンも聞いてくれ」
「はいな」
「リヒトの脳は、おのれの五感が働いていないという錯覚状態にある。しかし実際は、目も見えているし耳も聞こえている。その感覚を強制的に遮断している状態が、いまのリヒトです」
マリウスが瞑目し、ユリウスの言葉を想像しながら頷いた。
「見えているのに、見えていない。聞こえているのに、聞こえていない。脳がそう思い込んでいるということだな」
「そうです。医師は僕にこう言いました。常人には想像も及ばないことですが、ひとつ言えることは、脳には相当の負担がかかっていることでしょう、と」
「脳に負担?」
「はい。現実の世界と、脳が思い込もうとしている錯覚の世界。その二つの世界は当然まったく違うものです。お互いがぶつかり合えば、歪みが生じる。その歪みが脳に負担をかけるのです。見えている世界を、見えなかったことにする。リヒトの脳は錯覚の世界を維持するために常に最大馬力で稼働し続けている。だからリヒトはよく眠っているのです」
あっ、とテオバルドが短く叫んだ。
エミールもハッとしたように目を見開いている。
ユリウスが不在の間、リヒトの世話をしていくれてた二人にも、思い当たることなのだ。
リヒトはよく眠る。
起きている間彼は、一生懸命ユリウスの声に耳を傾け、ユリウスの表情を見ようとし、自分ができることをしようと頑張って動いている。
常に気を張っているから、その眠りが深いのだと思っていた。
しかし事情がわかったいま、改めて想像してみると、リヒトがユリウスの顔を見ようとするたび、声を聞こうとするたび、目が見えたらよかったのにと思うたび、もっとはっきり聞こえたらいいのにと考えるたび、本当は異常などない五感を制御している脳が、悲鳴を上げていたのだろう。
その負荷に耐え切れないからだろうか、それとも制御できなくなる前に考えることをやめさせるためだろうか、脳は、錯覚の世界を保つため、強制的にリヒトを眠らせるのだ。
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