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エキシビションマッチ開始!
しおりを挟むこれは特に中国のエンロイとソンさんがものすごい食いつき。
エギュンも「いい! そういうの好き!」とのこと。
食ってよし、料理してよし、育ててよしという超激レアアイテム。
それのために新大陸からわざわざ『龍玉』を持ち帰り、龍水龍牙の滝に来るプレイヤーもいるのだから。
「くう~~~、SBO、絶対プレイしたいですよ! カードデュエリストの魂が震えました! テイム! 魔物をテイムできるのですか!」
「はい。テイマーは中級職ですね。ダンジョンボス、フィールドボスのテイムにはそれぞれ特殊条件があるので、全種類集めるのは至難の業だと思いますよ。特にダンジョンボスはレベル100にならないと渡ることのできない新大陸に行くのが必須らしいです」
「レベル100! ……そこまでいくの大変そう」
「そうですね。でもなにが怖いって日本代表チームにSBOでレベル100超えてる人が三人いるんですよね」
「「「そうなの!?」」」
「そ、そうなのか!?」
「晶穂さんはなんで知らないんですか」
少なくともエイランは結構SBOをチームメイトにお勧めしていた模様。
目を背けながら「興味がなくて」と素直な答えを言ってくる。
それでは仕方ない……のか?
「誰? レベル100の人」
「エイランさん、鏡音くん、鶉くんですね」
「エイラン納得! あの人本当に強いね」
「カガネ! あの若い子か! ほほう! すげぇな! FPSプレイヤーだったと思ったが、格ゲーも得意な子だよな。あの子もこのゲームやっていたのか」
「俺の通っている学校はアイドルを育成している学校なのですが、学校でSBOにアカウントを作るのを推奨しているんですよ。人前で歌う練習になるのです。本サーバーのファーストソングには舞台が設置してあり、レイド戦の時にステージで歌うとサーバー全体にステージで歌った歌のバフがかかるので」
「「ほーーー」」
「素敵……! ステージで歌えるんですか!?」
「はい。事前申請すればライブも催すことができます」
あまりエキシビジョンマッチには関係のないはなしなのだが、エキシビジョンとはショーてして“魅せる”という意味。
この場合はゲームの良さをプレゼンする意味もある。
このように宣伝込みでゲームの面白さを紹介するのは、悪いことではないはず。
事実、配信モニターからはなにも反応がない。
まあ、しかしこの辺りが潮時だろう。
それでなくとも歌手待ちで結構時間が長引いている。
いや、歌手が来ない件は淳たちなにも悪くないけれど。
「中国でも遊べるようになるんですか? 私、ライブまだしたことないです。したい! ライブしたい!」
「来年から海外でもサービス展開が始まると聞いています。今回のエキシビジョンマッチで海外のかたにSBOが面白いゲームということが伝われば幸いです。というわけで、早速エキシビジョンマッチ、始めませんか?」
「おっと! そうだったな!」
「確か、ダンジョンに入って五分間は隠れるなり作戦を練るなりしてから、ダンジョン内を探し回って接敵したら戦う――というルールだったな」
「はい。ですが時間も押していますし、五分間の間に低レベルサーモンに遭遇するのも厄介なので一分間にしませんか?」
「賛成」
「そうだね。[鈍足]や[凍え]にかかると厄介だ」
「俺も賛成だ! 早く戦ってみたい……!」
淳の提案が変な方向に盛り上がっている。
チラリと選手側を見ると、さっき武具屋で買った武器を既に装備していた。
しかも、その眼差しは先程とは違う。
プロゲーマーの顔だ。
『それでは! 開始の合図はこちらからやらせていただきます!』
「ああ、じゃあ、頼む」
『れでぃーーーーーーー……ゴー!』
配信モニターから視界の声。
それを合図にして全員がダンジョンに侵入開始。
「~~~♪」
「「!」」
淳が歌うと、[鈍足耐性LV2]が付与。
続けてもう一曲。
それで付与されたのは[凍え耐性LV3]。
「えええ!? おまっ、ええ!? これ、レベルが足りなくてできないんじゃないのかよ!?」
「え? レベル不足なのでできませんよ? 『歌バフは“プレイヤーが歌った歌”をゲームシステムが自動で採点・分析することで該当のバフがかかるようになっています』って言ったじゃないですか。俺は龍水龍牙の滝で一ヶ月ほどレベリングしていたことがありますから、歌自体は覚えているんですよね~」
晶穂とバイソンに目をひん剥かれたまま凝視される。
そんな顔で見られるなんて心外だ。
「大丈夫ですよ。ソンさんにも[異常状態耐性]の歌を教えましたから。彼女もプロなのできっと完璧に歌っていることでしょう」
「お前本当にいい性格してるなぁ」
「ファンにはできる限り誠実に対応させていただいていますよ?」
「いや、うん、そうだよな」
「既プレイヤー舐めてたわ」
「お褒めいただき光栄です!」
淳の初期装備、弓を引く。放つ。
バイソンの真後ろの滝から飛び出したサーモンの額を射抜いた。
驚いて振り返るバイソン。
額に一撃喰らったサーモンは、滝壺に落ちてじたばたする。
やはりレベル1では仕留めきれなかった。
もう一度弓を引く。
「~~~♪」
[貫通上昇LV2][追加付与5]。
やはり滝の音でバフの係が弱い。
しかし、敵の位置がわかればプロの方が動きが速かった。
バンバンバン、と連続で銃弾がサーモンを撃ち抜く。
『クマ、ユルサナイーーー!』
「……なんだあの断末」
「ものすごい呪いの言葉だったな」
「レベルが一気に上がりましたね」
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