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婚約破棄は既に決定事項
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貴族学園で開かれている卒業パーティーがそろそろ終了となる八時前。
「婚約破棄だけはどうか、考え直しを!」
声を上げたのは私、公爵令嬢ユリアナ。ではなく、婚約者のマルサス王太子殿下。
マルサス殿下のよく通る声と、盛大な御辞儀のせいで、同級生全員の視線がこちらに向けられている。
私は目立たないよう、声を潜めてお伝えしたのに……。
人目を避ける為、ススッと数歩下がって、背後にある柱の影に身を隠した。私だけ。
そして、小声で続ける。
「それは、お決めになったお父様に仰って下さい。私はただ、お伝えするように言われただけですから。」
「分かっている。だが、先ずは謝罪させて欲しい。」
「謝罪、ですか……」
マルサス殿下の左隣へ視線をずらす。
男爵令嬢のアリア様が、木に掴まるコアラのように、マルサス殿下の左腕に掴まっている。
先程からずっと。当然のように。
私の視線に気づいたマルサス殿下が、慌ててアリア様の手を振りほどき、コホンと咳払いをした。
「確かに私は学園に不慣れだと言う彼女を気にかけて、ユリアナよりアリアと過ごす時間が長くなってしまったり、頼られて気持ちが動いたのも事実だ。だが、ユリアナを蔑ろにするつもりはなかった。本当にすまない。」
片膝を床に突き、私の手を取って見上げるマルサス殿下を、感情の無い碧眼で見下ろす。
「蔑ろにするつもりが無いと言う割りには、私がアリア様を虐めたと疑ったり、あろうことか、アリア様と男女の仲になっていたようですね。私の父が知らないとでも?」
王家が当てにするほど、我が公爵家に仕えている諜報員は優秀だ。
父がその気になれば、マルサス殿下の情報が筒抜けになる事くらい理解出来るでしょうに。
恋は盲目ってやつかしら。
「っ!すまない。本当に反省している。だから、考え直してくれ。」
マルサス殿下が私に対して下手に出るのは、王家を上回る潤沢なお金と、優秀な人材との繋がりで、代々王家を支持している我が公爵家の大きな後ろ楯を失いたくないから。
決して、私への愛情からではない。
それは構わない。
私達王公貴族の結婚は、基本的に政略なのだから。
ただ、マルサス殿下に形振り構わず縋られているのに、私の心は冷めたまま。父に口利きしようとさえ思えない。
まだ婚約者のマルサス殿下に執着の無い自分に対して、罪悪感を覚えてしまう。
傍にいるアリア様が嫉妬したらしく、私の手に触れている殿下の手を強引に奪った。
「マルサス殿下、私と結婚してくださるって言いましたよね!このまま卒業して会えないなんて嫌です!」
アリア様が、ピンク色の丸い瞳を潤ませながら、困った表情をしたマルサス殿下の手を握りしめて見つめれば、一瞬で存在しない筈の花弁が舞い、キラキラふわふわした、二人だけの世界が出来上がっている……。
要件は済んだし、後は二人の問題なので、もう帰りたいのだけど、帰れない。
礼儀として、まだ婚約者で王太子のマルサス殿下に、お暇の挨拶をしなければならないから。
仕方なく、マルサス殿下に挨拶するタイミングを窺う。
今、ではなさそう。
「っ、私もアリアと結婚したい。だが、正室は無理だ。側室としてなら迎えられる。」
「側室は嫌!マルサス殿下の唯一になりたいの!」
イヤイヤと頭を振って独占欲丸出しのアリア様。
その頭を困った表情をしつつも、愛おしそうに撫でるマルサス殿下。
なるほど。私に謝罪はしても、手放せない程アリア様が好きなのね。
それで良い。
「マルサス殿下、謝罪は受け取りましたが、父の考えは変わりません。アリア様とお幸せに。では、失礼致します。」
「待ってくれ!ユリアナ!」
マルサス殿下に構わず出口へ向かおうとしたら、力強く肩を抱き寄せられた。
「ハリオ殿下!?」
マルサス殿下の弟で第二王子。と言っても二人は双子なので同学年になる。
「ハリオ、何のつもりだ。ユリアナから手を離せ。」
「嫌だね。兄さんは、非常識な行動と不貞で、公爵家の信用を失ってしまった。だから、僕が兄さんの代わりになると決まったんだよ。」
「な!お前、まさか。初めから仕組んでいたな!」
「何の事?婚約者を裏切って、兄さんが勝手に自爆しただけだよ。自覚あるだろう?」
「っ…」
「さあ、ユリアナ嬢、送るよ。」
言葉に詰まるマルサス殿下を尻目に、ハリオ殿下は私を会場の外に待機させてある王家の馬車へとエスコートした。
席は向かいにもあるのに、ハリオ殿下は私の隣に座った。
何だか近い。
御者によって扉が外から閉められ、馬車が公爵家へ向けて出発すると、ハリオ殿下の手が私の手に重ねられた。
この手は何?
「ユリアナ嬢、大丈夫?」
「え?ええ、大丈夫です。」
顔を覗き込まれて、ただ心配してくれたハリオ殿下の優しさに気まずさを感じて、思わず視線を逸らして呟いた。
「……私は、酷い女です。」
三学期の冬休み。
お父様に言われた。
「学園の卒業を機に、マルサス殿下とは婚約破棄させる。男爵令嬢との不貞、婚約者としてあるまじき態度の数々。次期国王としても、男としても信用に値しない者の後ろ楯をする気はない。婚約破棄後は、ハリオ殿下と婚約させる。そのつもりで。」
王家が後ろ楯を失わない為と、公爵家が王家と繋がり続ける為で、互いに利害が一致し、ハリオ殿下も納得済みだとか。
話を聞いた直後、ギクリとした。
部屋の鏡台に映っていた私の口角が、無意識に上がっていたから……。
十二歳で婚約が決まって十七歳の今まで、マルサス殿下を支え、添い遂げる覚悟でいた筈なのに、内心では婚約破棄を喜んでいるなんて……。
罪悪感が押し寄せた。
「本当は婚約する前から、ハリオ殿下が好きでした。」
初めて王宮の庭園に招待されて、殿下達を紹介されたのは、十一歳の時。
二人は双子だけれど、容姿も性格も全く似ていない。
私は活発な金髪赤目のマルサス殿下より、優しく穏やかな金髪緑目のハリオ殿下を好きになった。
「マルサス殿下との婚約が決定して、好きになろうとしたけれど、ハリオ殿下以上には好きになれなかったのです。」
思わず言ってしまった。
ハリオ殿下は、親切で優しい。
だけど、私に好意は無いと思う。
だって、今まで私とマルサス殿下が仲良くなれるよう、ずっと応援してくれたから。
それなのに、マルサス殿下の代わりに私と婚約する羽目になって、更に好きでもない女から告白なんて、迷惑極まり無いのでは?
シン……とする車内で、馬車の車輪がゴトゴト鳴る音だけが、やたらと大きく聞こえる気がする。
ふーっ、とハリオ殿下の溜め息が聞こえた。
何を言われるのか不安で、床を見つめるしか出来ない。
「どうしよう、嬉しい。実は僕もユリアナ嬢の事が好きだった。出会った時からずっと。」
まさかの両想い!?
思わぬ言葉に驚いて、ハリオ殿下の顔を見ると、何だか甘い眼差しを向けられている。
気恥ずかしい!
再び視線を床に向けてしまう。
「初めて会った日、兄も君を気に入って婚約を父に望んだから、王太子に選ばれなかった僕は、何も言えなかった。何度も諦めようと思ったけれど、気付いたらユリアナ嬢を目で追っていた。兄の不貞に気付いた時、ユリアナ嬢を手に入れるチャンスだと思った。公爵に情報を流したのは僕だよ。」
まさか、お父様とハリオ殿下が繋がっていたとは思わなかった。
「ユリアナ嬢が酷い女なら、僕も酷い男だよ。だけど、後悔はしていない。酷い男の兄よりも、僕の方がユリアナ嬢を好きだし、ずっとこうして隣を独占出来る権利が欲しかった。」
ずっと好きだったハリオ殿下から、今までに無い熱を帯びた視線を向けられて、泣きそうな程嬉しい。
「私も。ずっとハリオ殿下の傍にいたいと思っていました。」
指を絡めて、手を握り合った。
互いの存在を確かめるように……。
後日。
マルサス殿下と私の婚約は破棄され、そのままハリオ殿下との婚約が成立した。
「自らを律する事が出来ない者を次期国王として認められない。それに、男爵令嬢を王子妃にしたいなら、最低限の妃教育を受けさせてからだ。」
陛下によって王太子はハリオ殿下に変更され、マルサス殿下は想い人のアリア様と婚約した。
マルサス殿下の唯一となったアリア様は、厳しい妃教育に打ちのめされて、毎日泣いているとか。
うんうん、妃教育は経験したから、気持ちはとてもよく分かる。
でも、マルサス殿下を虜にした愛の力で乗り越えて欲しい。
「好きな人の唯一になれるなんて、幸せですものね。」
「そうだね。兄がユリアナを手放してくれて、本当に良かった。明日の結婚式が楽しみだよ。」
ハリオ殿下に腰を抱き寄せられて、甘く微笑まれる。
私も頬を染めつつ、微笑み返す。
きっと私達の周りには存在しない筈の花弁が舞って、キラキラふわふわと、甘い二人だけの世界が出来上がっているのでしょう。
いつかのマルサス殿下とアリア様のように。
「婚約破棄だけはどうか、考え直しを!」
声を上げたのは私、公爵令嬢ユリアナ。ではなく、婚約者のマルサス王太子殿下。
マルサス殿下のよく通る声と、盛大な御辞儀のせいで、同級生全員の視線がこちらに向けられている。
私は目立たないよう、声を潜めてお伝えしたのに……。
人目を避ける為、ススッと数歩下がって、背後にある柱の影に身を隠した。私だけ。
そして、小声で続ける。
「それは、お決めになったお父様に仰って下さい。私はただ、お伝えするように言われただけですから。」
「分かっている。だが、先ずは謝罪させて欲しい。」
「謝罪、ですか……」
マルサス殿下の左隣へ視線をずらす。
男爵令嬢のアリア様が、木に掴まるコアラのように、マルサス殿下の左腕に掴まっている。
先程からずっと。当然のように。
私の視線に気づいたマルサス殿下が、慌ててアリア様の手を振りほどき、コホンと咳払いをした。
「確かに私は学園に不慣れだと言う彼女を気にかけて、ユリアナよりアリアと過ごす時間が長くなってしまったり、頼られて気持ちが動いたのも事実だ。だが、ユリアナを蔑ろにするつもりはなかった。本当にすまない。」
片膝を床に突き、私の手を取って見上げるマルサス殿下を、感情の無い碧眼で見下ろす。
「蔑ろにするつもりが無いと言う割りには、私がアリア様を虐めたと疑ったり、あろうことか、アリア様と男女の仲になっていたようですね。私の父が知らないとでも?」
王家が当てにするほど、我が公爵家に仕えている諜報員は優秀だ。
父がその気になれば、マルサス殿下の情報が筒抜けになる事くらい理解出来るでしょうに。
恋は盲目ってやつかしら。
「っ!すまない。本当に反省している。だから、考え直してくれ。」
マルサス殿下が私に対して下手に出るのは、王家を上回る潤沢なお金と、優秀な人材との繋がりで、代々王家を支持している我が公爵家の大きな後ろ楯を失いたくないから。
決して、私への愛情からではない。
それは構わない。
私達王公貴族の結婚は、基本的に政略なのだから。
ただ、マルサス殿下に形振り構わず縋られているのに、私の心は冷めたまま。父に口利きしようとさえ思えない。
まだ婚約者のマルサス殿下に執着の無い自分に対して、罪悪感を覚えてしまう。
傍にいるアリア様が嫉妬したらしく、私の手に触れている殿下の手を強引に奪った。
「マルサス殿下、私と結婚してくださるって言いましたよね!このまま卒業して会えないなんて嫌です!」
アリア様が、ピンク色の丸い瞳を潤ませながら、困った表情をしたマルサス殿下の手を握りしめて見つめれば、一瞬で存在しない筈の花弁が舞い、キラキラふわふわした、二人だけの世界が出来上がっている……。
要件は済んだし、後は二人の問題なので、もう帰りたいのだけど、帰れない。
礼儀として、まだ婚約者で王太子のマルサス殿下に、お暇の挨拶をしなければならないから。
仕方なく、マルサス殿下に挨拶するタイミングを窺う。
今、ではなさそう。
「っ、私もアリアと結婚したい。だが、正室は無理だ。側室としてなら迎えられる。」
「側室は嫌!マルサス殿下の唯一になりたいの!」
イヤイヤと頭を振って独占欲丸出しのアリア様。
その頭を困った表情をしつつも、愛おしそうに撫でるマルサス殿下。
なるほど。私に謝罪はしても、手放せない程アリア様が好きなのね。
それで良い。
「マルサス殿下、謝罪は受け取りましたが、父の考えは変わりません。アリア様とお幸せに。では、失礼致します。」
「待ってくれ!ユリアナ!」
マルサス殿下に構わず出口へ向かおうとしたら、力強く肩を抱き寄せられた。
「ハリオ殿下!?」
マルサス殿下の弟で第二王子。と言っても二人は双子なので同学年になる。
「ハリオ、何のつもりだ。ユリアナから手を離せ。」
「嫌だね。兄さんは、非常識な行動と不貞で、公爵家の信用を失ってしまった。だから、僕が兄さんの代わりになると決まったんだよ。」
「な!お前、まさか。初めから仕組んでいたな!」
「何の事?婚約者を裏切って、兄さんが勝手に自爆しただけだよ。自覚あるだろう?」
「っ…」
「さあ、ユリアナ嬢、送るよ。」
言葉に詰まるマルサス殿下を尻目に、ハリオ殿下は私を会場の外に待機させてある王家の馬車へとエスコートした。
席は向かいにもあるのに、ハリオ殿下は私の隣に座った。
何だか近い。
御者によって扉が外から閉められ、馬車が公爵家へ向けて出発すると、ハリオ殿下の手が私の手に重ねられた。
この手は何?
「ユリアナ嬢、大丈夫?」
「え?ええ、大丈夫です。」
顔を覗き込まれて、ただ心配してくれたハリオ殿下の優しさに気まずさを感じて、思わず視線を逸らして呟いた。
「……私は、酷い女です。」
三学期の冬休み。
お父様に言われた。
「学園の卒業を機に、マルサス殿下とは婚約破棄させる。男爵令嬢との不貞、婚約者としてあるまじき態度の数々。次期国王としても、男としても信用に値しない者の後ろ楯をする気はない。婚約破棄後は、ハリオ殿下と婚約させる。そのつもりで。」
王家が後ろ楯を失わない為と、公爵家が王家と繋がり続ける為で、互いに利害が一致し、ハリオ殿下も納得済みだとか。
話を聞いた直後、ギクリとした。
部屋の鏡台に映っていた私の口角が、無意識に上がっていたから……。
十二歳で婚約が決まって十七歳の今まで、マルサス殿下を支え、添い遂げる覚悟でいた筈なのに、内心では婚約破棄を喜んでいるなんて……。
罪悪感が押し寄せた。
「本当は婚約する前から、ハリオ殿下が好きでした。」
初めて王宮の庭園に招待されて、殿下達を紹介されたのは、十一歳の時。
二人は双子だけれど、容姿も性格も全く似ていない。
私は活発な金髪赤目のマルサス殿下より、優しく穏やかな金髪緑目のハリオ殿下を好きになった。
「マルサス殿下との婚約が決定して、好きになろうとしたけれど、ハリオ殿下以上には好きになれなかったのです。」
思わず言ってしまった。
ハリオ殿下は、親切で優しい。
だけど、私に好意は無いと思う。
だって、今まで私とマルサス殿下が仲良くなれるよう、ずっと応援してくれたから。
それなのに、マルサス殿下の代わりに私と婚約する羽目になって、更に好きでもない女から告白なんて、迷惑極まり無いのでは?
シン……とする車内で、馬車の車輪がゴトゴト鳴る音だけが、やたらと大きく聞こえる気がする。
ふーっ、とハリオ殿下の溜め息が聞こえた。
何を言われるのか不安で、床を見つめるしか出来ない。
「どうしよう、嬉しい。実は僕もユリアナ嬢の事が好きだった。出会った時からずっと。」
まさかの両想い!?
思わぬ言葉に驚いて、ハリオ殿下の顔を見ると、何だか甘い眼差しを向けられている。
気恥ずかしい!
再び視線を床に向けてしまう。
「初めて会った日、兄も君を気に入って婚約を父に望んだから、王太子に選ばれなかった僕は、何も言えなかった。何度も諦めようと思ったけれど、気付いたらユリアナ嬢を目で追っていた。兄の不貞に気付いた時、ユリアナ嬢を手に入れるチャンスだと思った。公爵に情報を流したのは僕だよ。」
まさか、お父様とハリオ殿下が繋がっていたとは思わなかった。
「ユリアナ嬢が酷い女なら、僕も酷い男だよ。だけど、後悔はしていない。酷い男の兄よりも、僕の方がユリアナ嬢を好きだし、ずっとこうして隣を独占出来る権利が欲しかった。」
ずっと好きだったハリオ殿下から、今までに無い熱を帯びた視線を向けられて、泣きそうな程嬉しい。
「私も。ずっとハリオ殿下の傍にいたいと思っていました。」
指を絡めて、手を握り合った。
互いの存在を確かめるように……。
後日。
マルサス殿下と私の婚約は破棄され、そのままハリオ殿下との婚約が成立した。
「自らを律する事が出来ない者を次期国王として認められない。それに、男爵令嬢を王子妃にしたいなら、最低限の妃教育を受けさせてからだ。」
陛下によって王太子はハリオ殿下に変更され、マルサス殿下は想い人のアリア様と婚約した。
マルサス殿下の唯一となったアリア様は、厳しい妃教育に打ちのめされて、毎日泣いているとか。
うんうん、妃教育は経験したから、気持ちはとてもよく分かる。
でも、マルサス殿下を虜にした愛の力で乗り越えて欲しい。
「好きな人の唯一になれるなんて、幸せですものね。」
「そうだね。兄がユリアナを手放してくれて、本当に良かった。明日の結婚式が楽しみだよ。」
ハリオ殿下に腰を抱き寄せられて、甘く微笑まれる。
私も頬を染めつつ、微笑み返す。
きっと私達の周りには存在しない筈の花弁が舞って、キラキラふわふわと、甘い二人だけの世界が出来上がっているのでしょう。
いつかのマルサス殿下とアリア様のように。
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