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第二章 馬鹿王子、巻き込まれる
第10話 馬鹿王子、巻き込まれる その四
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「鎌蜥蜴」というのは、長い尾で均衡を取りながら後脚で二足歩行し、前脚は爪が長く伸びて鋭利な鎌状になった蜥蜴の魔物だ。
最下等の竜種に分類する人もいれば、竜の範疇には含めない人もいる。
いずれにしても、獰猛な肉食の魔物なので、村の近くに巣を作って繁殖しているのなら、放置するわけにはいかない。
――それが本当の話ならば、だが。
「それはギルドに正式な依頼が出ているものですか?」
僕は男に尋ねた。
「ああ、もちろんだ。俺の名はジャック。まだまだ駆け出しの身でね。引き受けてはみたものの、思ったより巣の規模が大きそうで、助っ人を探していたんだ」
ジャック氏は冒険者の登録証を提示してみせた。
白銅製のそれは、確かに王都の冒険者ギルド発行の、第六等級登録証に間違いない。
登録日時は割りと最近で、駆け出しだという申告とも符合してはいるが――。
「でも、あなたが受けた依頼を僕たちが手伝うとなると、ギルドの承認を得る必要がありますよね?」
僕が首を傾げながらそう言うと、ジャック氏は慌てた様子で弁明した。
「そ、それはそうだが、王都まで往復してギルドに話をつけるのは時間が掛かり過ぎる。黙っていればバレやしないさ」
なるほどね。よくわかったよ。
僕が納得して頷いていると、そこへレニーが割り込んで来た。
「うんうん。そうだよね。村の人たちが困っているのに、余計な時間は掛けていられないよね。じゃあ早速、案内してくれるかい?」
え? ちょ、ちょっと待ってくれよ!
「駄目だよ、レニー。僕たちにはまだ早い。すみません、ジャックさん。僕たちじゃあ足手まといになるだけだと思いますので、せっかくのお誘いですが失礼します」
レニーを抱きかかえるようにして、僕はその場を離れた。
「マグ、そろそろ離してくれるかな?」
「ご、ごめん」
僕は慌ててレニーから手を放した。
「ねえマグ。気を悪くしないでほしいんだけど……」
少し顔を赤らめたレニーが、躊躇いがちに言う。
「何だい?」
「他の冒険者が受けた依頼を手伝うのにギルドの承認が要る、っていうのは、もちろん鎌掛けだよね?」
嫌だなぁ。本気で言っていると思ったのかい?
「ああ、もちろんだよ。そんな規則なんて存在しない。自分の手に余ると判断したら、報酬の中から分け前を用意して、手伝ってもらえばいいだけの話――っていうのは、君から聞かせてもらったから知っているさ」
つまり、そんなことも知らないあのジャックという男は、登録証自体は本物だとしても、まともに冒険者として活動してなどいない似非冒険者だということだ。
「で、君も当然あいつが偽冒険者だっていうのは見抜いてたんだろ? 何だって口車に乗ろうとしたんだよ」
そう、レニーだってあんなやつに騙されるほど愚かではない。にもかかわらず、何故あいつの話に乗ろうとしたのだろう。
「父さんたちから聞いてた話なんだけどさ。少なくないらしいんだよね、ああいう手合い。まだ慣れてなさそうな駆け出し冒険者を騙して、金目の物を奪ったり、奴隷として売り飛ばしたりする輩だよ。マグの育ちが良いのを見抜いたのか、それともあたしの体に目を付けたのか……」
自分で口にして嫌な気分になったのか、レニーはその豊かな胸を両手で抱えるようにして、身をよじった。
あー、なるほど。レニーはあの男の正体をそう解釈したのか。
「ひょっとして、わざと騙されたふりをして退治するつもりだったのかい?」
「そういうこと。あんな輩を根絶やしにするのは無理っていうのはわかってるけど、目の前にいるやつを野放しにして、犠牲者が出たら寝覚めが悪いからね。あんたとあたしなら、他に何人か待ち伏せしていたとしても、遅れを取ることはないだろうしさ」
自信満々にレニーは言うが、敵は君が思っているよりずっと危険な連中だよ。
「いや、残念ながらそう簡単にはいかないよ。あのジャックって男の身ごなし、騎士団の教練を受けたことがある人間のものだった。それも、骨身に染み込むくらいにね。そういう人物が身を持ち崩したっていう線も皆無とは言わないけれど、十中八九、あれは僕の命を狙った刺客の一人だ」
「えっ!?」
「可能性としては、父上の追っ手か、義母上の実家・ボルト伯爵家の手の者かだけど、前者ならさすがにいきなり謀殺しようとはしないだろうし、後者の線が濃厚だろうね。――僕の力量も、おそらくは同行者が“天魔の再来”であることも、十分に承知している連中だ。罠に飛び込むのは危険すぎる」
「げっ、マジか。そんなヤバいやつだったんだ」
「おそらく、ね。ごめん、君を巻き込んでしまって」
「いやいや、それは気にしないでよ。マグの敵はあたしにとっても敵さ」
「ありがとう」
しかし、それにしてもあまりに手回しが早すぎるな。
パーティーの一件が三日前で、父上に廃嫡されたのが一昨日。その日のうちに王宮を抜け出して、夜は城下の宿屋に泊まり、翌日には王都を発った。それなのに、もう捕捉されてしまうとはね。
異母弟のロジャーを王位に就けるため、僕が隙を見せるのを虎視眈々と待ち構えていた、ということなのだろうか。
僕としたことが、迂闊だったな。
とにかく、さっさとこの村を発つとしよう。
レニーとも話し合った上で、僕たちは予定通りシャロ―フォードを目指すことにした。
追っ手を撒いてしまうのはおそらく不可能だろうから、それなら変に遠回りしても意味は無い。
村を出る前に、近くにいた男性に話を聞いてみた。魔物の被害が出ていると聞いたが本当か、と。
彼が答えて言うには、魔物はしばしば出没するが、最近は大きな被害が出るような状況は起きていない、とのことだった。
やはり鎌蜥蜴うんぬんの話は出まかせだったようだ。
ラークヒルの村を出て、昼過ぎにはタンベリーの町に着いた。
まだ時間は早いけれど、今夜はこの町に宿を取ろう。
「油断は禁物だけれど、連中、宿を襲撃して騒ぎを大きくするつもりはなさそうだ。問題は、野宿しているところを襲われる可能性だな」
「タンベリーを出たら、次のウィンザーの町に行くにはヒースリー山地を越えないといけないんだよね。まあ、朝早めに発てば夜までにはウィンザーに着けるけど」
「山越えの時も、襲撃に気を付けた方がいいだろうな」
「そうだね」
今夜は早めに休んで英気を養っておきたいところだけれど、宿に泊まっているからといって完全に警戒を解くことも出来ないからなぁ。
「マドラに番をしてもらった方がいいかな」
僕は荷物の中から、50cm四方ほどの布を取り出し、宿屋の床に広げた。
キラキラと光る糸で刺繍されているのは、召喚魔方陣。そしてその刺繍糸は、レニーの使い魔である魔道蜘蛛・プリコピーナの糸を紡いだ特製の魔道糸だ。
「――我との盟約に従い、疾く来たれ。召喚魔法」
召喚魔方陣が淡い光を放ち、一頭の黒犬が姿を現した。
言うまでもなく、普通の犬ではない。僕の使い魔、黒妖犬のマドラだ。
「わー、マドラ久しぶりー」
「わぅん!」
レニーにモフられて尻尾を振っている姿は、完全にただの犬にしか見えないが、一流どころの魔道騎士に引けを取らない程度には強い。十分戦力になってくれるだろう。
「じゃ、早速だけど部屋の番を頼むよ」
例によってプリコピーナに結界を張らせた上で、マドラに留守番を任せ、僕たちは町に出た。
タンベリーは宿場町としてそれなりに栄えており、小規模ながら冒険者ギルドも存在する。
「まあ、タンベリーで冒険者をしているのって、ヒースリー越えの旅人の護衛を専門にしている人たちが多いんだけどね」
レニーが教えてくれた。
ヒースリー山地を越える峠道は、街道として整備されてはいるものの、山中に潜む魔物たちが出没する危険性は高い。
それで、タンベリー~ウィンザー間の護衛を専門に請け負う人たちがいるのだ。
「でも、護衛を無条件に信用できるものなのかな?」
僕たちは護衛を雇うつもりもないのだけれど、仮に雇ったとして、いきなり山中で追い剥ぎに早変わりされたら堪ったものじゃないだろう。
「ここのに限らず、護衛を専らにしているギルドの結束は固くってね。相互に助け合う反面、面汚しはとことん追い詰めて制裁するんだよ。自分たちの信用を守るために。それでも、質の悪いのを引いてしまうリスクが全く無いわけじゃないけど、そこは自分たちだけで峠越えをするリスクと天秤だね」
「なるほど。勉強になるな」
などと話をしつつ、冒険者ギルドを見学する。
雇うつもりも雇われるつもりも無いのにこんなところに来たのは、見聞を広めるためというのもあるのだけれど、昨日から試してみている、魔力の波動を感知する練習でもあった。
ギルドの建物の中には数人の冒険者がおり、それなりの使い手も混じっているようだ。目を閉じて、それらの人たちと、レニーの魔力を識別する。
「あのー、護衛のご用命ですか? それとも、ご登録ですか?」
受付の女性が躊躇いがちに声を掛けてきた。
うん、ちょっと怪しく見えるかもしれないな。
「すみません。検討中なんです」
そう言い訳して、もうしばらく魔力感知の練習を続ける。
「おっ、新人かい? よかったらうちのパーティーに入らないか?」
「馬鹿、そんな気軽に誘ったら胡散臭く思われるでしょ」
「まったくだ」
僕たちに――というかレニーに、声を掛けてきたのは、中々に強力な魔力を有する三人だった。
声からして、男二人に女一人。おそらくはタンベリーを拠点にしている冒険者パーティーだろう。
最下等の竜種に分類する人もいれば、竜の範疇には含めない人もいる。
いずれにしても、獰猛な肉食の魔物なので、村の近くに巣を作って繁殖しているのなら、放置するわけにはいかない。
――それが本当の話ならば、だが。
「それはギルドに正式な依頼が出ているものですか?」
僕は男に尋ねた。
「ああ、もちろんだ。俺の名はジャック。まだまだ駆け出しの身でね。引き受けてはみたものの、思ったより巣の規模が大きそうで、助っ人を探していたんだ」
ジャック氏は冒険者の登録証を提示してみせた。
白銅製のそれは、確かに王都の冒険者ギルド発行の、第六等級登録証に間違いない。
登録日時は割りと最近で、駆け出しだという申告とも符合してはいるが――。
「でも、あなたが受けた依頼を僕たちが手伝うとなると、ギルドの承認を得る必要がありますよね?」
僕が首を傾げながらそう言うと、ジャック氏は慌てた様子で弁明した。
「そ、それはそうだが、王都まで往復してギルドに話をつけるのは時間が掛かり過ぎる。黙っていればバレやしないさ」
なるほどね。よくわかったよ。
僕が納得して頷いていると、そこへレニーが割り込んで来た。
「うんうん。そうだよね。村の人たちが困っているのに、余計な時間は掛けていられないよね。じゃあ早速、案内してくれるかい?」
え? ちょ、ちょっと待ってくれよ!
「駄目だよ、レニー。僕たちにはまだ早い。すみません、ジャックさん。僕たちじゃあ足手まといになるだけだと思いますので、せっかくのお誘いですが失礼します」
レニーを抱きかかえるようにして、僕はその場を離れた。
「マグ、そろそろ離してくれるかな?」
「ご、ごめん」
僕は慌ててレニーから手を放した。
「ねえマグ。気を悪くしないでほしいんだけど……」
少し顔を赤らめたレニーが、躊躇いがちに言う。
「何だい?」
「他の冒険者が受けた依頼を手伝うのにギルドの承認が要る、っていうのは、もちろん鎌掛けだよね?」
嫌だなぁ。本気で言っていると思ったのかい?
「ああ、もちろんだよ。そんな規則なんて存在しない。自分の手に余ると判断したら、報酬の中から分け前を用意して、手伝ってもらえばいいだけの話――っていうのは、君から聞かせてもらったから知っているさ」
つまり、そんなことも知らないあのジャックという男は、登録証自体は本物だとしても、まともに冒険者として活動してなどいない似非冒険者だということだ。
「で、君も当然あいつが偽冒険者だっていうのは見抜いてたんだろ? 何だって口車に乗ろうとしたんだよ」
そう、レニーだってあんなやつに騙されるほど愚かではない。にもかかわらず、何故あいつの話に乗ろうとしたのだろう。
「父さんたちから聞いてた話なんだけどさ。少なくないらしいんだよね、ああいう手合い。まだ慣れてなさそうな駆け出し冒険者を騙して、金目の物を奪ったり、奴隷として売り飛ばしたりする輩だよ。マグの育ちが良いのを見抜いたのか、それともあたしの体に目を付けたのか……」
自分で口にして嫌な気分になったのか、レニーはその豊かな胸を両手で抱えるようにして、身をよじった。
あー、なるほど。レニーはあの男の正体をそう解釈したのか。
「ひょっとして、わざと騙されたふりをして退治するつもりだったのかい?」
「そういうこと。あんな輩を根絶やしにするのは無理っていうのはわかってるけど、目の前にいるやつを野放しにして、犠牲者が出たら寝覚めが悪いからね。あんたとあたしなら、他に何人か待ち伏せしていたとしても、遅れを取ることはないだろうしさ」
自信満々にレニーは言うが、敵は君が思っているよりずっと危険な連中だよ。
「いや、残念ながらそう簡単にはいかないよ。あのジャックって男の身ごなし、騎士団の教練を受けたことがある人間のものだった。それも、骨身に染み込むくらいにね。そういう人物が身を持ち崩したっていう線も皆無とは言わないけれど、十中八九、あれは僕の命を狙った刺客の一人だ」
「えっ!?」
「可能性としては、父上の追っ手か、義母上の実家・ボルト伯爵家の手の者かだけど、前者ならさすがにいきなり謀殺しようとはしないだろうし、後者の線が濃厚だろうね。――僕の力量も、おそらくは同行者が“天魔の再来”であることも、十分に承知している連中だ。罠に飛び込むのは危険すぎる」
「げっ、マジか。そんなヤバいやつだったんだ」
「おそらく、ね。ごめん、君を巻き込んでしまって」
「いやいや、それは気にしないでよ。マグの敵はあたしにとっても敵さ」
「ありがとう」
しかし、それにしてもあまりに手回しが早すぎるな。
パーティーの一件が三日前で、父上に廃嫡されたのが一昨日。その日のうちに王宮を抜け出して、夜は城下の宿屋に泊まり、翌日には王都を発った。それなのに、もう捕捉されてしまうとはね。
異母弟のロジャーを王位に就けるため、僕が隙を見せるのを虎視眈々と待ち構えていた、ということなのだろうか。
僕としたことが、迂闊だったな。
とにかく、さっさとこの村を発つとしよう。
レニーとも話し合った上で、僕たちは予定通りシャロ―フォードを目指すことにした。
追っ手を撒いてしまうのはおそらく不可能だろうから、それなら変に遠回りしても意味は無い。
村を出る前に、近くにいた男性に話を聞いてみた。魔物の被害が出ていると聞いたが本当か、と。
彼が答えて言うには、魔物はしばしば出没するが、最近は大きな被害が出るような状況は起きていない、とのことだった。
やはり鎌蜥蜴うんぬんの話は出まかせだったようだ。
ラークヒルの村を出て、昼過ぎにはタンベリーの町に着いた。
まだ時間は早いけれど、今夜はこの町に宿を取ろう。
「油断は禁物だけれど、連中、宿を襲撃して騒ぎを大きくするつもりはなさそうだ。問題は、野宿しているところを襲われる可能性だな」
「タンベリーを出たら、次のウィンザーの町に行くにはヒースリー山地を越えないといけないんだよね。まあ、朝早めに発てば夜までにはウィンザーに着けるけど」
「山越えの時も、襲撃に気を付けた方がいいだろうな」
「そうだね」
今夜は早めに休んで英気を養っておきたいところだけれど、宿に泊まっているからといって完全に警戒を解くことも出来ないからなぁ。
「マドラに番をしてもらった方がいいかな」
僕は荷物の中から、50cm四方ほどの布を取り出し、宿屋の床に広げた。
キラキラと光る糸で刺繍されているのは、召喚魔方陣。そしてその刺繍糸は、レニーの使い魔である魔道蜘蛛・プリコピーナの糸を紡いだ特製の魔道糸だ。
「――我との盟約に従い、疾く来たれ。召喚魔法」
召喚魔方陣が淡い光を放ち、一頭の黒犬が姿を現した。
言うまでもなく、普通の犬ではない。僕の使い魔、黒妖犬のマドラだ。
「わー、マドラ久しぶりー」
「わぅん!」
レニーにモフられて尻尾を振っている姿は、完全にただの犬にしか見えないが、一流どころの魔道騎士に引けを取らない程度には強い。十分戦力になってくれるだろう。
「じゃ、早速だけど部屋の番を頼むよ」
例によってプリコピーナに結界を張らせた上で、マドラに留守番を任せ、僕たちは町に出た。
タンベリーは宿場町としてそれなりに栄えており、小規模ながら冒険者ギルドも存在する。
「まあ、タンベリーで冒険者をしているのって、ヒースリー越えの旅人の護衛を専門にしている人たちが多いんだけどね」
レニーが教えてくれた。
ヒースリー山地を越える峠道は、街道として整備されてはいるものの、山中に潜む魔物たちが出没する危険性は高い。
それで、タンベリー~ウィンザー間の護衛を専門に請け負う人たちがいるのだ。
「でも、護衛を無条件に信用できるものなのかな?」
僕たちは護衛を雇うつもりもないのだけれど、仮に雇ったとして、いきなり山中で追い剥ぎに早変わりされたら堪ったものじゃないだろう。
「ここのに限らず、護衛を専らにしているギルドの結束は固くってね。相互に助け合う反面、面汚しはとことん追い詰めて制裁するんだよ。自分たちの信用を守るために。それでも、質の悪いのを引いてしまうリスクが全く無いわけじゃないけど、そこは自分たちだけで峠越えをするリスクと天秤だね」
「なるほど。勉強になるな」
などと話をしつつ、冒険者ギルドを見学する。
雇うつもりも雇われるつもりも無いのにこんなところに来たのは、見聞を広めるためというのもあるのだけれど、昨日から試してみている、魔力の波動を感知する練習でもあった。
ギルドの建物の中には数人の冒険者がおり、それなりの使い手も混じっているようだ。目を閉じて、それらの人たちと、レニーの魔力を識別する。
「あのー、護衛のご用命ですか? それとも、ご登録ですか?」
受付の女性が躊躇いがちに声を掛けてきた。
うん、ちょっと怪しく見えるかもしれないな。
「すみません。検討中なんです」
そう言い訳して、もうしばらく魔力感知の練習を続ける。
「おっ、新人かい? よかったらうちのパーティーに入らないか?」
「馬鹿、そんな気軽に誘ったら胡散臭く思われるでしょ」
「まったくだ」
僕たちに――というかレニーに、声を掛けてきたのは、中々に強力な魔力を有する三人だった。
声からして、男二人に女一人。おそらくはタンベリーを拠点にしている冒険者パーティーだろう。
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