【完結】僕らの関係─好きな人がいるのに、学園の問題児に目をつけられて─

亜依流.@.@

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「·····はぁ·····っ」


唇が離れ、翔の腕に抱きかかえられる。


「はぁ、は·····」 


「ごめんね、苦しかった?」


優介は優しい声に安堵して、首を振った。
確かに少し苦しかったけれど、強く求められるような口付けは、嬉しかった。


「キス、ありがとうございます」


「え?」


翔は、軽く目を見開く。
口元に弧を描いて、長い指は優介の髪を梳いた。


「じゃあ、もっとしてもいいの?」


甘やかすような囁き声が、敏感になった身体に変な刺激を与える。
優介は、悩ましげに吐息をこぼした。


「放課後、なにか予定ある?」


休み時間は、間もなく終わってしまう。残り十分弱を惜しんでいた頃、翔が、不意にそう聞いてきた。


「会おうよ」 


「俺·····」


頭の中は、翔と過ごしたい思いでいっぱいだ。けれど今日は、数学の補習がある。
優介は心で涙を流しながら、誘いを断った。  


「そっか、残念」


残念なのはこっちの方だ。
優介はしゅんと項垂れる。
それなら、と、翔が優介のこめかみにキスを落とした。


「我慢できそうにないや」

「あっ」


耳たぶに噛みつかれ、優介は気の抜けた声を漏らした。
頭の先から足先までを、微電流が駆けてゆく。


「あっ、噛んじゃ·····っ」


「可愛い」


「····っ·····」


大きな手が、内腿をまさぐる。


「だ、駄目!」


優介は、慌てて声を上げた。
公然わいせつ罪という文字が頭に浮かび、ハラハラしながら両手をにぎりしめる。


「終わるまで待ってるから、会いたいな」


翔が優介をのぞきこみ、悪戯っぽく笑った。
優介は喜びに飛び上がりそうだった。


「俺も、会いたいです」

「終わったら連絡して」


今日の補習は、なんとしてでも終わらせる。優介は、過去一番のやる気に満ちていた。












どうやら、優介は中篠翔が好きらしい。


(あいつの、何が良いんだ?)


顔も、性格も、何一ついけ好かない。
司の眉は、不機嫌そうにひそめられる。元々目付きが悪い分もあいまって、かなりの悪人面だった。

とても気分が悪い。司は勢い良く立ち上がった。

五限目が始まるという時間帯、屋上に生徒は一人もいなかった。

司はゴム製の地面に寝転がり、青い空を眺めた。


また、泣かせてしまった。
瞼を閉じると、自分を拒絶した優介の声が、脳裏に再現される。 

優介は、中篠翔が好きだ。そして自分を恐れている。

遠くから見た笑顔は、翔に向けられたものだった。

自分が正面から見ることは、叶わない。
その事実が、どうしようもなく苛立たしかった。

当たり前のように5、6限の授業時間を屋上で過ごし、日が傾く頃、司は気だるげに起き上がった。

スマートフォンの電源を入れ、連絡先から優介を探す。
連絡をしてみようか。司は、らしくもなく逡巡した後、端末をしまった。

優介の怯える表情が、安易に思い浮かんだ。


「··········くそ」


落ちるような速さで、階段を駆け下りる。二階まで降り、司はふと足を止めた。

廊下を挟んで向かい側の教室に、柔らかそうな寝癖頭を見つけた。

















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