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3.
しおりを挟む「お前の"助けて"、"大変だ"は聞き飽きた。週に何回言えば気が済むんだ?」
「うう·····でも本当に今回は一大事で·····」
「もう分かったよ。どの課題だ?」
全部は無しだぞ、あと飲んでる時には勉強の話題を出すなよと、毎回お馴染みのセリフを聞かされる。
高瀬ケイ。
小・中・高、大学を共にしている腐れ縁。
この幼馴染は、こっちのことを課題乞食か何かだと思ってるらしい。
「違うってば!今回は違う話だよ、全くもう·····とりあえず課題は、物理と化学と、法学のレポートだけ、後で教えて」
「··········。」
沈黙の後、2度目のため息が聞こえてきた。
そういえば今日は土曜日だっけ。家庭教師のバイトで、土曜の生徒は生意気だって言ってた気がする。
「バイトがストレスだからって僕に当たるのはやめてよね」
「お前、よくそんなことが言えるな」
すっきりした目元が細められる。
なんだその眼は。美形な分、侮蔑の表情が妙に憎たらしい。
でも今は、こいつ以外話せるやつがいない。
「まじで深刻な状況というか悩みなんだ」
「たしかに深刻な状況だ」
「?」
大きな手が酒を押し付けてくる。
「俺とお前、これで1ヶ月毎日顔を合わせてる事になる。頭がおかしくなりそうだ」
「そんなこといちいち覚えてるのか。気持ち悪い」
「クソが」
「いてっ」
硬い爪が額を弾く。
無駄話ばかりで全く話が進まない。
「蓮のこと、覚えてる?」
運ばれてきた肉を網に乗せ、トングの隙間から相手を覗く。
関わったことは少ないだろうが、全く面識がないことは無い。
順調に減っていた酒がピタリと止まる。
ジョッキを机に置いたケイは、どこか硬い表情だった。
「あの、変わったヤツか」
「変わったヤツって····」
「そんなことより、他、何頼む?」
メニュー表に水滴が滴る。
話を遮られた気がする。親友の悩みよりも食欲が勝っているのだろうか。
「ホルモンとナムルがいい」
意外とぶっきらぼうな言い方になってしまった。
「分かってるよ。他のを聞いてんの」
「うーん·····ポテトサラダ·····あとは適当に選んで」
結局いつもの流れだ。
長いこと一緒にいるが、ケイは無欲な男だ。
特にこういう時はそう思う。
遠慮しているという感じはない。けど、こっちの提案や我儘を拒否したことも無い。
だから毎回、メニューはこっち好みになる。
「蓮がこっちに帰ってきたんだ」
「··········」
後ろのテーブルから、どっと笑いが起こる。
「へえ·····どこで知ったんだ?」
ハズレの座席を引いたらしい。
よく聞こえなかった。「なんて?」と聞き返すと、ケイは机上のスマホを指先で叩いた。
「繋がってなかったよな?」
「母さんから、連絡が来て」
「ああ····なるほど」
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