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第91話 セントラルダンジョン報告会です #2
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王都の某魔道具店――
マリアベルへの報告に訪れたモリスは思わぬ光景に軽く目を見張った。そこにはチームカルアが全員集合していたからだ。女子会の決定に従ったロベリーの暗躍によって。
こうしてモリスにとっては思わぬ形ではあったが、この一連の出来事に関するチームカルアへの報告が始まった。
「ほぅ、セカンケイブじゃあそんな事になっちょったんか」
「むぅ、まさかカルア君達の冒険でダンジョンの謎が解き明かされる事になろうとは……」
「それもそうですが、『主に愛の戦士ルピノス』ですか……一体何者でしょうか。クーラさんのお知り合いとの事ですが」
セカンケイブから戻ったモリスは、ルピノスの正体についてロベリーから強く口止めされていた。薄々『きっと言っちゃダメなんだろうなぁ』と思っていたモリスだったがこれにより口外無用が確定、なのでこの報告会でも当然話していない。
「まあ彼女の知り合いならば悪い人間ではないのだろう。ただ気になるのは、同じ日の夕方、うちのギルドでそれらしき人物の目撃情報があった事だが……」
そう、ブラックが思い出したのは例のアレ。
ヒトツメギルドに巻き起こった謎の「はぐれたメタル」の目撃談である。
「ピノ君、君はあの目撃談について――」
「イイエミテイマセンガ」
「む……ああそうか、君はあの日急用で出ていたのだったな。ちょうどルピノス氏らしき人物と入れ違いで戻ってきたのだから、その時の様子は見ていないか。……では街中ではどうだったかな? それらしき人物を見てはいないかね?」
「イイエミテイマセンガ」
「ふむ、まあヒトツメに現れた人物が『主に愛の戦士ルピノス』であったと決まった訳でもないしな。むしろ時間的に別人である可能性の方が高いか」
「いやあ、何とも謎の人物だねえ。あははははは」
ピノの大根っぷりに内心冷や汗を流すモリス。
だが幸いにも誰からも不審に思われる事は無かったようだ。
「まあカルア達を助けてくれた人物なんだ、特に詮索する必要は無いだろうさ。それよりモリス、あんた今日はセントラルダンジョンに行ってきたんだろう? どうだったんだい?」
参加していたミレアとロベリーが誰にも気付かれぬようそっと溜め息を漏らす中、そのまま話題はセントラルダンジョンへと移っていった。
「……ああ、カルア君のダンジョンね。うん、中々のものだったよ」
「カルデシのダンジョンじゃと? それっちゅうのは一体どういう意味じゃ?」
わざわざ食い付きやすい言い回しを選ぶモリス。予想通りの反応にニヤリと笑みを浮かべると、勿体を付けて説明を始める。
「ああ、まずはそこから説明しないとね。実はさ、セカンケイブの精霊からカルア君が頼まれ事をしてね……」
思いもよらぬ展開にその場の誰もが息をのむ中、モリスはセントラルダンジョン構築の一部始終を話して聞かせた。戻ったセカンケイブから聞いたその話を、あたかも自分がその場に居合わせたかのように。
「ほっほぉーー、ダンジョンの構築ときたか! カルデシのやつ、随分と面白い事をやっちょるのお!」
「はは……大き過ぎる魔力で生まれたてのダンジョンが30階層にですか……」
「しかもダンジョンの管理者権限を精霊ちゃんから奪い取っちゃったの!? 全く本当に弟弟子くんってば……」
モリスの想定通りダンジョンの構築について食い付いた面々、だが一部は別の部分に食い付く者も……
「……カルア君に妹……これは一度ご挨拶に行かなきゃ」
「ピノ様……」
喜び? 嫉妬? 同調? 嫌悪?
相反する様々な感情の卵。それらがうっすらと斑模様となったかのようなその瞳の色に、ロベリーは危機感を覚える。このままの彼女を精霊に会わせて大丈夫か、と。
そしてその結果――
「相手は精霊だからね? いい、話も聞かずにいきなり威圧とかしちゃダメよ? もし妹以上の関係を望ん――」
「妹以上のっ!?」
「……あ」
――余計な一言を口走ってしまった。
「そんな事あるのかな。ねえロベリー、そんな可能性あるのかな?」
反応は劇的だった。両の瞳が斑からグルグルへと変化したピノは、親友にして恋愛師匠であるロベリーの肩を掴んで詰め寄る。その発言の真意を!
「おっ……落ち着いてピノ様! 大丈夫、『もしも』の話だから! 妹だから!」
深淵に覗き込まれるような不安定な気持ちを抱きながらも必死で親友を宥めるロベリー。そんな微笑ましい一幕も挟みつつ、モリスの報告は進んでいった。
「まあそんな訳で、今日カルア君達は朝からセントラルダンジョンに行っているんだけど――」
一通り話し終えて締めに入ろうとしたモリスだったが、その時通信機からの呼び出しに気付いた。
「丁度そのカルア君から通信が入ったみたいだ……はいはーい、カルア君どうしたんだい? ……ふんふん、ああそうか、ごめんごめん。でもそれだったらちょうどいいや。今校長のとこに来てるからさ、このまま君もおいでよ。今みんなにこれまでの事を話し終えたところだからさ、ここで今日の事を聞かせてくれるかい? ……うんそう、奥の部屋だよ」
通信を終え、一同に向かって満面の笑みを浮かべたモリス。そして――
満を持して、報告を待つ彼らの前にカルアが現れた。
「こんにちはー。本当に皆さん来てたんですね」
「本当にって、いやだなあカルア君、僕が嘘つくわけないじゃないか」
「あ、すみませんそう言うんじゃなくって。ほら、皆さんいつも忙しいから」
ギルマスやピノさんまで来てるし……ギルドの業務は大丈夫? 受付もパルムさんひとり――あ、パピさん達が入ったんだった。じゃあ大丈夫、なのかな?
オートカさんやミレアさんは研究所の所長だし――
「ダンジョンには何と精霊が住んでいて、しかも王都にも新しいダンジョンが出来るという事ですからね。もちろんカルア殿が心配でというのもありますが、情報収集は当然私の仕事のうちです」
「はいはーい、私もー」
成程、言われてみればオートカさんの言う通りかも。ミレアさんはともかく。
「うむ。それでそのダンジョンについてだが……カルア君、今日君が見て体験して来たセントラルダンジョンについて、これから聞かせてくれるかな?」
そうギルマスに促され、今日見たラルのダンジョンの様子を――
マリアベルへの報告に訪れたモリスは思わぬ光景に軽く目を見張った。そこにはチームカルアが全員集合していたからだ。女子会の決定に従ったロベリーの暗躍によって。
こうしてモリスにとっては思わぬ形ではあったが、この一連の出来事に関するチームカルアへの報告が始まった。
「ほぅ、セカンケイブじゃあそんな事になっちょったんか」
「むぅ、まさかカルア君達の冒険でダンジョンの謎が解き明かされる事になろうとは……」
「それもそうですが、『主に愛の戦士ルピノス』ですか……一体何者でしょうか。クーラさんのお知り合いとの事ですが」
セカンケイブから戻ったモリスは、ルピノスの正体についてロベリーから強く口止めされていた。薄々『きっと言っちゃダメなんだろうなぁ』と思っていたモリスだったがこれにより口外無用が確定、なのでこの報告会でも当然話していない。
「まあ彼女の知り合いならば悪い人間ではないのだろう。ただ気になるのは、同じ日の夕方、うちのギルドでそれらしき人物の目撃情報があった事だが……」
そう、ブラックが思い出したのは例のアレ。
ヒトツメギルドに巻き起こった謎の「はぐれたメタル」の目撃談である。
「ピノ君、君はあの目撃談について――」
「イイエミテイマセンガ」
「む……ああそうか、君はあの日急用で出ていたのだったな。ちょうどルピノス氏らしき人物と入れ違いで戻ってきたのだから、その時の様子は見ていないか。……では街中ではどうだったかな? それらしき人物を見てはいないかね?」
「イイエミテイマセンガ」
「ふむ、まあヒトツメに現れた人物が『主に愛の戦士ルピノス』であったと決まった訳でもないしな。むしろ時間的に別人である可能性の方が高いか」
「いやあ、何とも謎の人物だねえ。あははははは」
ピノの大根っぷりに内心冷や汗を流すモリス。
だが幸いにも誰からも不審に思われる事は無かったようだ。
「まあカルア達を助けてくれた人物なんだ、特に詮索する必要は無いだろうさ。それよりモリス、あんた今日はセントラルダンジョンに行ってきたんだろう? どうだったんだい?」
参加していたミレアとロベリーが誰にも気付かれぬようそっと溜め息を漏らす中、そのまま話題はセントラルダンジョンへと移っていった。
「……ああ、カルア君のダンジョンね。うん、中々のものだったよ」
「カルデシのダンジョンじゃと? それっちゅうのは一体どういう意味じゃ?」
わざわざ食い付きやすい言い回しを選ぶモリス。予想通りの反応にニヤリと笑みを浮かべると、勿体を付けて説明を始める。
「ああ、まずはそこから説明しないとね。実はさ、セカンケイブの精霊からカルア君が頼まれ事をしてね……」
思いもよらぬ展開にその場の誰もが息をのむ中、モリスはセントラルダンジョン構築の一部始終を話して聞かせた。戻ったセカンケイブから聞いたその話を、あたかも自分がその場に居合わせたかのように。
「ほっほぉーー、ダンジョンの構築ときたか! カルデシのやつ、随分と面白い事をやっちょるのお!」
「はは……大き過ぎる魔力で生まれたてのダンジョンが30階層にですか……」
「しかもダンジョンの管理者権限を精霊ちゃんから奪い取っちゃったの!? 全く本当に弟弟子くんってば……」
モリスの想定通りダンジョンの構築について食い付いた面々、だが一部は別の部分に食い付く者も……
「……カルア君に妹……これは一度ご挨拶に行かなきゃ」
「ピノ様……」
喜び? 嫉妬? 同調? 嫌悪?
相反する様々な感情の卵。それらがうっすらと斑模様となったかのようなその瞳の色に、ロベリーは危機感を覚える。このままの彼女を精霊に会わせて大丈夫か、と。
そしてその結果――
「相手は精霊だからね? いい、話も聞かずにいきなり威圧とかしちゃダメよ? もし妹以上の関係を望ん――」
「妹以上のっ!?」
「……あ」
――余計な一言を口走ってしまった。
「そんな事あるのかな。ねえロベリー、そんな可能性あるのかな?」
反応は劇的だった。両の瞳が斑からグルグルへと変化したピノは、親友にして恋愛師匠であるロベリーの肩を掴んで詰め寄る。その発言の真意を!
「おっ……落ち着いてピノ様! 大丈夫、『もしも』の話だから! 妹だから!」
深淵に覗き込まれるような不安定な気持ちを抱きながらも必死で親友を宥めるロベリー。そんな微笑ましい一幕も挟みつつ、モリスの報告は進んでいった。
「まあそんな訳で、今日カルア君達は朝からセントラルダンジョンに行っているんだけど――」
一通り話し終えて締めに入ろうとしたモリスだったが、その時通信機からの呼び出しに気付いた。
「丁度そのカルア君から通信が入ったみたいだ……はいはーい、カルア君どうしたんだい? ……ふんふん、ああそうか、ごめんごめん。でもそれだったらちょうどいいや。今校長のとこに来てるからさ、このまま君もおいでよ。今みんなにこれまでの事を話し終えたところだからさ、ここで今日の事を聞かせてくれるかい? ……うんそう、奥の部屋だよ」
通信を終え、一同に向かって満面の笑みを浮かべたモリス。そして――
満を持して、報告を待つ彼らの前にカルアが現れた。
「こんにちはー。本当に皆さん来てたんですね」
「本当にって、いやだなあカルア君、僕が嘘つくわけないじゃないか」
「あ、すみませんそう言うんじゃなくって。ほら、皆さんいつも忙しいから」
ギルマスやピノさんまで来てるし……ギルドの業務は大丈夫? 受付もパルムさんひとり――あ、パピさん達が入ったんだった。じゃあ大丈夫、なのかな?
オートカさんやミレアさんは研究所の所長だし――
「ダンジョンには何と精霊が住んでいて、しかも王都にも新しいダンジョンが出来るという事ですからね。もちろんカルア殿が心配でというのもありますが、情報収集は当然私の仕事のうちです」
「はいはーい、私もー」
成程、言われてみればオートカさんの言う通りかも。ミレアさんはともかく。
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