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翌日、ハンナが学園へ向かうとすぐにエリオットが笑顔で迎えてくれた。
「おはよう」
そして、ハンナをエスコートしながら席へと案内も。
ただし、席に座り次第、ハンナが「エリオット様、昨日は妹が申し訳ありませんでした……」そう言って昨日の件を謝ると笑顔から困った表情に変わり、更には首を横に振ってきたが。
エリオットなりの考えを言ってきてながら。
「ああ、大丈夫だよ。それより、君と結婚するまで僕はあの家にはなるべく近づかない方が良いかも知れないね」と、フィナ以外にとっては良い案を。
何しろ、タウンハウスにエリオットが来るとフィナがまた言い寄り、場合によっては自分達だけじゃなく、フィナ達の婚約まで破談になるかもしれないので。
フィナの婚約者ルーカスは学院でトップレベルに頭が良く、人間的にも高い人ので。
つまりはいつかはバレてしまうだろうと。
いや、もしかしたら——と、ハンナは思っていると二人の前に当のルーカスが銀髪を靡かせながらやってくる。
困り顔で「やあ、エリオットにハンナ嬢。すまないがフィナ嬢を見なかったかな?」と。
「申し訳ありません。朝、別々に来たものですから……」
ハンナがそう答えるなり小さく息を吐き、気持ちを切り替えるように笑顔で「そうか。では、フィナ嬢にそろそろ私が作った商会の方に顔を出して欲しいと言伝を頼みたいんだけど良いかな?」と。
今度はハンナが驚いてしまうことを言ってきて。
「ルーカス様、商会を作ると言っていましたが、もうご自分の商会を作られたのですか?」
何しろ、学生のうちに自分の商会を作るなんて相当の腕前がないとできないはずなので。
「ああ、私は侯爵家と言っても四男だから卒業と同時にさっさと家を出ないといけないからね。だから、学生のうちに勉強して商会を作ったんだよ。フィナ嬢は君達に言ってなかったのかな?」
たとえ、そういう理由だったとしても——と、ルーカスが相当に努力をしたことにハンナは尊敬の念を抱く。それと間違いなくキリオス伯爵家の誰もが知らないことに申し訳なさを感じも。
「……はい」
帰ったら急いでフィナの両親に伝えておいてあげなければならないと。
何しろトラブルが大きくなればハンナ達の婚約にも影響が出てくるので。
最悪は両方とも婚約解消に……
そう考えながらハンナはエリオットだけのことでなく実はフィナはまだ色々問題を抱えているのでは? そう疑心暗鬼にもなってしまっていたが。
それはこちらの態度を見たルーカスも。
「ふうっ。そうか、とりあえずはわかったよ。それじゃあ、二人とも邪魔して悪かったね。では、私は戻るよ」
そう言うなり少しだけ考えるような表情を見せ、自分の教室へと戻っていったので。確実にフィナとの将来のことを考えながら——と、二人の関係を心配しているとエリオットも心配そうな表情を向けてくる。
「ちょっとまずいんじゃないかな」
「エリオット様もそう思いますか……」
「うん、だから今日は早めに帰ってキリオス伯爵に言いに行った方が良いと思う。僕も一緒に行ってあげるから」
そう言って頷いてきて。
ハンナにとって心強い言葉を。
「ありがとうございます」
何しろ、エドモンドがハンナの説明だけで状況を理解できるか不安だったから。それは話を聞く聞かない以前の問題で。
もちろん義母のドナも。
だから、ハンナは本当にエリオットが婚約者で良かったと心底安堵したのだ。放課後、キリオス伯爵家のタウンハウスに到着した際、隣にエリオットの存在を感じれば感じるほど。
これならエドモンドも多少、耳に入れるだろうから。貴族のプライドが優って雑な態度は取れないだろうし。
そう考えながら執務室に向かう。
キリオス伯爵家の将来のこともあるし、少しは強く言っておかなければと思いながら。
ただし、執務室の前に着いた直後、中から亡き母の妹でハンナの叔母でもあるソニアと執事のゼバスが一緒に出てきたので驚いてしまったが。
何しろソニアは滅多にこのタウンハウスに来ないので。
もちろん、エドモンドとドナ、それとフィナが嫌いなので——と、ハンナは挨拶もそこそこに質問する。
「ソニア叔母様、ごきげんよう。あの、どうされたのですか?」
「あなたの父親が私の商会にもっと資金援助してくれって言ってきたのよ。だから、半年後にハンナが学院を卒業すると同時に爵位を貴女に譲るならしてあげるって言ったの」
「……そうなるとお父様は断ったのではないですか?」
「もう、うちの商会しか経営難なキリオス伯爵家には資金援助をしないんだから頷かせたわよ」
そして、ソニアの答えにハンナは思わず目を見開いてしまいも。
「えっ……」
まさか、エドモンドが頷くとは思わなかったから。
仕事は誰よりもできないのに、貴族のプライドだけは誰よりも高いので。
それこそ、世界で一番と言ってもいいくらいに。
すると、ハンナの気持ちがわかっているのかソニアが口角を上げながら説明してくる。
「あの無能に理解はさせたから大丈夫よ。契約書も次回までに用意して書かせるから。だから、貴女は安心して後を継いで頑張れば良いの。もちろんあの三人には領地の離れの小さな屋敷に住ませて本邸には近づかせないから邪魔もさせないわ」
「でも、あの三人が耐えられますかね?」
「今回は、親戚の上位貴族や私の兄であるレフティア公爵が睨みを利かせてるから耐えるしかないわよ」
ソニアがそう言うと執事のゼバスが嬉しそうに頷く。
「これで、再びキリオス伯爵家に平穏が戻ってきますね」
「ゼバス……。あなた方には本当に辛い思いをさせたわね」
「いいえ、私達よりむしろハンナお嬢様が辛い目にあっていましたので……」
そう言うなり申し訳なさそうな表情にも。
エリオットが勢いよくハンナに向き直り「大丈夫です。これからはどんな事があっても僕が必ず彼女を守ってみせますから」と、宣言してくると笑顔に変わったが。
それは、ハンナも。
「エリオット様……」と、呟き、二人でキリオス伯爵家を経営していく事を夢見ながら。
「おはよう」
そして、ハンナをエスコートしながら席へと案内も。
ただし、席に座り次第、ハンナが「エリオット様、昨日は妹が申し訳ありませんでした……」そう言って昨日の件を謝ると笑顔から困った表情に変わり、更には首を横に振ってきたが。
エリオットなりの考えを言ってきてながら。
「ああ、大丈夫だよ。それより、君と結婚するまで僕はあの家にはなるべく近づかない方が良いかも知れないね」と、フィナ以外にとっては良い案を。
何しろ、タウンハウスにエリオットが来るとフィナがまた言い寄り、場合によっては自分達だけじゃなく、フィナ達の婚約まで破談になるかもしれないので。
フィナの婚約者ルーカスは学院でトップレベルに頭が良く、人間的にも高い人ので。
つまりはいつかはバレてしまうだろうと。
いや、もしかしたら——と、ハンナは思っていると二人の前に当のルーカスが銀髪を靡かせながらやってくる。
困り顔で「やあ、エリオットにハンナ嬢。すまないがフィナ嬢を見なかったかな?」と。
「申し訳ありません。朝、別々に来たものですから……」
ハンナがそう答えるなり小さく息を吐き、気持ちを切り替えるように笑顔で「そうか。では、フィナ嬢にそろそろ私が作った商会の方に顔を出して欲しいと言伝を頼みたいんだけど良いかな?」と。
今度はハンナが驚いてしまうことを言ってきて。
「ルーカス様、商会を作ると言っていましたが、もうご自分の商会を作られたのですか?」
何しろ、学生のうちに自分の商会を作るなんて相当の腕前がないとできないはずなので。
「ああ、私は侯爵家と言っても四男だから卒業と同時にさっさと家を出ないといけないからね。だから、学生のうちに勉強して商会を作ったんだよ。フィナ嬢は君達に言ってなかったのかな?」
たとえ、そういう理由だったとしても——と、ルーカスが相当に努力をしたことにハンナは尊敬の念を抱く。それと間違いなくキリオス伯爵家の誰もが知らないことに申し訳なさを感じも。
「……はい」
帰ったら急いでフィナの両親に伝えておいてあげなければならないと。
何しろトラブルが大きくなればハンナ達の婚約にも影響が出てくるので。
最悪は両方とも婚約解消に……
そう考えながらハンナはエリオットだけのことでなく実はフィナはまだ色々問題を抱えているのでは? そう疑心暗鬼にもなってしまっていたが。
それはこちらの態度を見たルーカスも。
「ふうっ。そうか、とりあえずはわかったよ。それじゃあ、二人とも邪魔して悪かったね。では、私は戻るよ」
そう言うなり少しだけ考えるような表情を見せ、自分の教室へと戻っていったので。確実にフィナとの将来のことを考えながら——と、二人の関係を心配しているとエリオットも心配そうな表情を向けてくる。
「ちょっとまずいんじゃないかな」
「エリオット様もそう思いますか……」
「うん、だから今日は早めに帰ってキリオス伯爵に言いに行った方が良いと思う。僕も一緒に行ってあげるから」
そう言って頷いてきて。
ハンナにとって心強い言葉を。
「ありがとうございます」
何しろ、エドモンドがハンナの説明だけで状況を理解できるか不安だったから。それは話を聞く聞かない以前の問題で。
もちろん義母のドナも。
だから、ハンナは本当にエリオットが婚約者で良かったと心底安堵したのだ。放課後、キリオス伯爵家のタウンハウスに到着した際、隣にエリオットの存在を感じれば感じるほど。
これならエドモンドも多少、耳に入れるだろうから。貴族のプライドが優って雑な態度は取れないだろうし。
そう考えながら執務室に向かう。
キリオス伯爵家の将来のこともあるし、少しは強く言っておかなければと思いながら。
ただし、執務室の前に着いた直後、中から亡き母の妹でハンナの叔母でもあるソニアと執事のゼバスが一緒に出てきたので驚いてしまったが。
何しろソニアは滅多にこのタウンハウスに来ないので。
もちろん、エドモンドとドナ、それとフィナが嫌いなので——と、ハンナは挨拶もそこそこに質問する。
「ソニア叔母様、ごきげんよう。あの、どうされたのですか?」
「あなたの父親が私の商会にもっと資金援助してくれって言ってきたのよ。だから、半年後にハンナが学院を卒業すると同時に爵位を貴女に譲るならしてあげるって言ったの」
「……そうなるとお父様は断ったのではないですか?」
「もう、うちの商会しか経営難なキリオス伯爵家には資金援助をしないんだから頷かせたわよ」
そして、ソニアの答えにハンナは思わず目を見開いてしまいも。
「えっ……」
まさか、エドモンドが頷くとは思わなかったから。
仕事は誰よりもできないのに、貴族のプライドだけは誰よりも高いので。
それこそ、世界で一番と言ってもいいくらいに。
すると、ハンナの気持ちがわかっているのかソニアが口角を上げながら説明してくる。
「あの無能に理解はさせたから大丈夫よ。契約書も次回までに用意して書かせるから。だから、貴女は安心して後を継いで頑張れば良いの。もちろんあの三人には領地の離れの小さな屋敷に住ませて本邸には近づかせないから邪魔もさせないわ」
「でも、あの三人が耐えられますかね?」
「今回は、親戚の上位貴族や私の兄であるレフティア公爵が睨みを利かせてるから耐えるしかないわよ」
ソニアがそう言うと執事のゼバスが嬉しそうに頷く。
「これで、再びキリオス伯爵家に平穏が戻ってきますね」
「ゼバス……。あなた方には本当に辛い思いをさせたわね」
「いいえ、私達よりむしろハンナお嬢様が辛い目にあっていましたので……」
そう言うなり申し訳なさそうな表情にも。
エリオットが勢いよくハンナに向き直り「大丈夫です。これからはどんな事があっても僕が必ず彼女を守ってみせますから」と、宣言してくると笑顔に変わったが。
それは、ハンナも。
「エリオット様……」と、呟き、二人でキリオス伯爵家を経営していく事を夢見ながら。
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