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フィナside.
「お父様ぁ、私新しいドレスと宝石が欲しいのぉ」
フィナはいつもの様に食事中におねだりをするとエドモンドは苦笑しながら答えた。
「こらこら、この前もドレスは買っただろう。流石にクローゼットの中は一杯じゃないか」
「大丈夫よぉ。お姉様の部屋をクローゼットにすれば良いんだものぉ」
「ああ、なるほど。フィナは頭が良いじゃないか」
「えへへぇ」
フィナは嬉しそうに笑うと今度はドナに声をかける。
「お父様の許可はもらったからお母様もお揃いのドレスを買いましょう」
「うふふ、良いわよと言いたいけど、フィナはそろそろお腹の子の事も考えないといけないわよ」
「うん、そうよねぇ。じゃあ、お姉様の部屋をクローゼットじゃなくて赤ちゃん部屋にしましょうか」
「まあ、いい考えね。ねえ、あなた」
「そうだな。生意気なハンナの部屋はもういらないだろう。はははっ」
エドモンドが笑い出すとフィナもドナも笑いだす。その時、ドンという音が聞こえ三人は驚き音がする方を見ると執事のゼバスが壁に手を当てていた。
しかも、侍女達も凄い形相で三人を睨んでいたのである。そんな姿を見てフィナは顔を歪ませた。
「ねえ、何か文句あるの?」
フィナがそう聞くとゼバスが冷めた口調で答えた。
「ハンナお嬢様の部屋を弄らせるわけにはいきません」
「なんでよ! お姉様はどうせもう起きないんだし、私が有効的に使ってあげるわよ!」
「そうよ、フィナはこれから子供ができるの。だから、部屋が必要なのよ!」
「他の空き部屋があります」
「そんなの駄目よ。あの部屋が良いんだもの」
「本気で言っているのですか? 旦那様はどう思われているのです?」
「ふん、当然、フィナの意見を尊重するに決まっているだろう」
エドモンドがそう答えるとゼバスは心底呆れた表情を浮かべた。
「やはり、ハンナお嬢様の事は心配されていないのですね……」
「当たり前だ。あいつは私にいつも生意気に意見するんだぞ! 全く、母親にどんどん似てきよって!」
「失礼ながらそれは貴方様が領地経営を上手く回せていないからではありませんか?」
「なんだと! 使用人のくせに生意気だな!」
「我々は貴方達の使用人ではないのですがね……」
ゼバスがそう答えるとエドモンドは真っ赤な顔をして怒鳴った。
「うるさいぞ! 伯爵である私に意見するな! お前らはクビだ! 出ていけ!」
「……よろしいのですか?」
「構わん。資金援助はするってあの商人の女が言ってたから、金はある。お前らの代わりに新しい使用人を雇えば良いんだからな」
エドモンドはニヤつきながらそう答えると、ドナも何度も頷く。
「そうよそうよ。いつもこうるさくしていたから、あなた達がいなくなるのは清正するわ」
「お父様ぁ、お母様ぁ、私格好良い従者っていうのが欲しいなぁ」
「おお、良いぞ良いぞ」
「私は新しいネックレスが欲しいわね」
「金ならいくらでもあるから大丈夫だ」
「何言ってるのよ。あなた達にあげるお金はもうないわよ」
「はっ?」
突然、誰かがそう言ってきたため三人は声がする方向を見る。そこには三人を蔑んだ表情で見るソニアが立っていた。
そして固まっている三人の方に行くと睨みつける。
「あなた達に渡すお金はもうないわよ」
「なっ、ふざけるな! 貴様はキリオス伯爵家に資金援助をすると言ったろう!」
「ええ、キリオス伯爵家にはね」
「なら、その金はキリオス伯爵である私の金だろうが!」
「違うわよ。もうあなたはキリオス伯爵じゃないから」
ソニアは封がされた手紙を見せる。するとエドモンドは蜜蝋に押された印璽を見て驚く。
「国王陛下からの手紙……」
「あら、さすがにこの印璽はわかるみたいね。読みなさい」
ソニアは手紙をエドモンドに渡す。恐る恐る封を開け中に入っている手紙を見た瞬間、エドモンドは驚愕の表情を浮かべ更には全身から大量の汗を流し出したのだ。
そんなエドモンドの異変にドナとフィナは不安そうな表情になる。
「……あなた、何が書いてあるの?」
いつまでも手紙を見て固まっているエドモンドに、痺れを切らしたドナがそう聞くがエドモンドは答える事はなかった。
そんなエドモンドの代わりにソニアが不敵な笑みを浮かべ答える。
「不正に横領、そして不当な税の値上げをして民を苦しめた事により、そこの男は逮捕されてキリオス伯爵の爵位はハンナに移すって書いてあるのよ」
「はっ、なぜハンナなのよ? フィナでしょう!」
「なぜ、その小娘がなれるのよ?」
「フィナは私とエドモンドの娘だからよ!」
「あら、違うでしょう。あなたと酒場で働いている男との間にできた娘でしょう」
ソニアがそう答えると同時に一人の男が騎士に挟まれて来た。男を見た瞬間エドモンドが絶望する。
「そっくりだ……」
「えっ……」
エドモンドが男と自分を交互に見てきた事でフィナははっとする。そして、ゆっくりとドナを見てその表情で理解したのだ。
すると、ソニアがフィナに哀れんだ表情を向け言ってくる。
「あなたはそもそもキリオス伯爵家とは関係ない存在なのよ。なのに随分とハンナにふざけた事をしてくれたわね。だから覚悟しておくのね。あなたもそこの二人も……」
そう言ってソニアは怒りを隠す事なく、三人を激しく睨みつけるのだった。
「お父様ぁ、私新しいドレスと宝石が欲しいのぉ」
フィナはいつもの様に食事中におねだりをするとエドモンドは苦笑しながら答えた。
「こらこら、この前もドレスは買っただろう。流石にクローゼットの中は一杯じゃないか」
「大丈夫よぉ。お姉様の部屋をクローゼットにすれば良いんだものぉ」
「ああ、なるほど。フィナは頭が良いじゃないか」
「えへへぇ」
フィナは嬉しそうに笑うと今度はドナに声をかける。
「お父様の許可はもらったからお母様もお揃いのドレスを買いましょう」
「うふふ、良いわよと言いたいけど、フィナはそろそろお腹の子の事も考えないといけないわよ」
「うん、そうよねぇ。じゃあ、お姉様の部屋をクローゼットじゃなくて赤ちゃん部屋にしましょうか」
「まあ、いい考えね。ねえ、あなた」
「そうだな。生意気なハンナの部屋はもういらないだろう。はははっ」
エドモンドが笑い出すとフィナもドナも笑いだす。その時、ドンという音が聞こえ三人は驚き音がする方を見ると執事のゼバスが壁に手を当てていた。
しかも、侍女達も凄い形相で三人を睨んでいたのである。そんな姿を見てフィナは顔を歪ませた。
「ねえ、何か文句あるの?」
フィナがそう聞くとゼバスが冷めた口調で答えた。
「ハンナお嬢様の部屋を弄らせるわけにはいきません」
「なんでよ! お姉様はどうせもう起きないんだし、私が有効的に使ってあげるわよ!」
「そうよ、フィナはこれから子供ができるの。だから、部屋が必要なのよ!」
「他の空き部屋があります」
「そんなの駄目よ。あの部屋が良いんだもの」
「本気で言っているのですか? 旦那様はどう思われているのです?」
「ふん、当然、フィナの意見を尊重するに決まっているだろう」
エドモンドがそう答えるとゼバスは心底呆れた表情を浮かべた。
「やはり、ハンナお嬢様の事は心配されていないのですね……」
「当たり前だ。あいつは私にいつも生意気に意見するんだぞ! 全く、母親にどんどん似てきよって!」
「失礼ながらそれは貴方様が領地経営を上手く回せていないからではありませんか?」
「なんだと! 使用人のくせに生意気だな!」
「我々は貴方達の使用人ではないのですがね……」
ゼバスがそう答えるとエドモンドは真っ赤な顔をして怒鳴った。
「うるさいぞ! 伯爵である私に意見するな! お前らはクビだ! 出ていけ!」
「……よろしいのですか?」
「構わん。資金援助はするってあの商人の女が言ってたから、金はある。お前らの代わりに新しい使用人を雇えば良いんだからな」
エドモンドはニヤつきながらそう答えると、ドナも何度も頷く。
「そうよそうよ。いつもこうるさくしていたから、あなた達がいなくなるのは清正するわ」
「お父様ぁ、お母様ぁ、私格好良い従者っていうのが欲しいなぁ」
「おお、良いぞ良いぞ」
「私は新しいネックレスが欲しいわね」
「金ならいくらでもあるから大丈夫だ」
「何言ってるのよ。あなた達にあげるお金はもうないわよ」
「はっ?」
突然、誰かがそう言ってきたため三人は声がする方向を見る。そこには三人を蔑んだ表情で見るソニアが立っていた。
そして固まっている三人の方に行くと睨みつける。
「あなた達に渡すお金はもうないわよ」
「なっ、ふざけるな! 貴様はキリオス伯爵家に資金援助をすると言ったろう!」
「ええ、キリオス伯爵家にはね」
「なら、その金はキリオス伯爵である私の金だろうが!」
「違うわよ。もうあなたはキリオス伯爵じゃないから」
ソニアは封がされた手紙を見せる。するとエドモンドは蜜蝋に押された印璽を見て驚く。
「国王陛下からの手紙……」
「あら、さすがにこの印璽はわかるみたいね。読みなさい」
ソニアは手紙をエドモンドに渡す。恐る恐る封を開け中に入っている手紙を見た瞬間、エドモンドは驚愕の表情を浮かべ更には全身から大量の汗を流し出したのだ。
そんなエドモンドの異変にドナとフィナは不安そうな表情になる。
「……あなた、何が書いてあるの?」
いつまでも手紙を見て固まっているエドモンドに、痺れを切らしたドナがそう聞くがエドモンドは答える事はなかった。
そんなエドモンドの代わりにソニアが不敵な笑みを浮かべ答える。
「不正に横領、そして不当な税の値上げをして民を苦しめた事により、そこの男は逮捕されてキリオス伯爵の爵位はハンナに移すって書いてあるのよ」
「はっ、なぜハンナなのよ? フィナでしょう!」
「なぜ、その小娘がなれるのよ?」
「フィナは私とエドモンドの娘だからよ!」
「あら、違うでしょう。あなたと酒場で働いている男との間にできた娘でしょう」
ソニアがそう答えると同時に一人の男が騎士に挟まれて来た。男を見た瞬間エドモンドが絶望する。
「そっくりだ……」
「えっ……」
エドモンドが男と自分を交互に見てきた事でフィナははっとする。そして、ゆっくりとドナを見てその表情で理解したのだ。
すると、ソニアがフィナに哀れんだ表情を向け言ってくる。
「あなたはそもそもキリオス伯爵家とは関係ない存在なのよ。なのに随分とハンナにふざけた事をしてくれたわね。だから覚悟しておくのね。あなたもそこの二人も……」
そう言ってソニアは怒りを隠す事なく、三人を激しく睨みつけるのだった。
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