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8. 初めての客
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正式に『アインスロッド洋菓子店』の住み込み従業員となってから、あっという間に十日が経過した。
毎日朝晩の仕込みの合間に飾り付けを中心にお菓子作りのノウハウを教わり、手が空いている時間に練習を繰り返している。
アインスロッド様はお菓子作りだけでなく、料理もお上手。毎食美味しいご飯を作ってくれるおかげで、わたしも国を出た頃と比べるとかなり肉付きがよくなってきたと思う。お腹と心が満たされて、活力も漲ってくる。
アインスロッド様は、わたしがいつか一人で生きていかねばならなくなった時のために、料理や洗濯、市井のことなど、たくさんのことを教えてくださる。
アインスロッド様に早く恩返しがしたくて、一生懸命お菓子作りに励んでいるけれど、肝心のお客様は今日まで一人も訪れていない。
「はあ……とっても美味しいのになあ」
ケーキが飾られたショーケースを磨きながら、深いため息を吐く。きっと、いや間違いなく、アインスロッド様のお菓子を一口食べれば魅了されてしまうに違いないのに。お客様が来なければ何も始まらない。
「何かいい手はないかしら……呼び込みでもしてみる?」
チラッと窓から外の通りの様子を眺める。
人通りはまばらなものの、決して少ないわけではない。
人の流れを見ていると、どうしても花を売っていた頃のことを思い出してしまう。
懸命に訴えても哀れなものを見る目を向けられて、ただ去っていく人々。日銭を稼げないとご飯にもありつけない日々。
刺すような冷たい視線を思い出し、ブルリと身震いした。
――ダメよ。ここはサミュリア王国ではないし、わたしを目の敵にするトロメアだっていない。いつまでも過去に囚われては幸せになんてなれない。
「――よし!」
ムンッと拳を握って気合いを入れたわたしは、パンパンッとわたしサイズに手配してくれたピンクの愛らしいエプロン(すっかり着慣れてしまった)の皺を伸ばす。そして、深呼吸を数度繰り返してから店の扉に手を伸ばした。
「わっ!」
「きゃっ!」
カランコロン、と可愛いドアベルの音と共に耳に入ったのは、少し高めの男の子の声。
慌てて視線を下げると、尻餅をついた十歳ぐらいの男の子が目をまんまるにしてわたしを見上げていた。
「あっ、ごめんなさい! もしかして、お店に入ろうとしていたの?」
そのタイミングでわたしが飛び出してきたものだから、驚いてしまったのね。
謝りつつ手を差し出すと、男の子は唇を尖らせながら不服そうに手を取った。
「ま、まあ。ちょっと覗いてみようかと思っただけだ」
「まあっ! 是非! どうぞ入って」
お客様! 初めてのお客様だわ!
わたしは満面の笑みを浮かべると、男の子を店内に案内した。「お、おう……」と強がりつつも、興味深そうに店内を見回しながら男の子が入店した。
「ん? どうかしたか、ミラベ――きゃ、客か!?」
「あ、アインスロッド様!」
その時、厨房からひょっこり顔を出したアインスロッド様が、男の子を視界に捉えて叫んだ。
いけない! アインスロッド様は声が元々大きいから萎縮してしまうわ!
わたしは反射的に両手を広げて扉の前に立ち塞がった。
案の定、身の危険を察知した男の子は扉に向かって走り出すところだった。
わたしの様子にたたらを踏んで、所在なさげに瞳を揺らしている。
「大丈夫。彼はこの店の店主のアインスロッド様。わたしは従業員のミラベル。せっかく来てくれたのだもの、うちのお菓子を見ていって欲しいわ」
「う……分かった」
男の子は少しホッとした表情を見せて、恐る恐るショーケースに歩み寄った。
「わあ……綺麗だな」
「本当? 嬉しいわ。ケーキを作ったのはアインスロッド様で、わたしはクリームを絞ったり果物を乗せたり、飾り付けを担当しているの」
「ふうん……やるじゃん」
男の子はショーケースの中を食い入るように見つめ、チラッと視線を流してニヤリと笑った。
毎日たくさん練習している成果が出たと実感することができて、じんわり嬉しさが込み上げてくる。
キラキラした目でケーキを中心に眺めていた男の子だけれど、視線が値札に向いた途端、表情が翳った。
「……すげー美味そうだけど、これじゃ足りないよな」
チャリン、と小銭がぶつかる音を鳴らしながらポケットから取り出したつぎはぎだらけの巾着袋。口を緩めて中を見せてくれた。
一、ニ、三……全部で銀貨が二枚と銅貨が十二枚。一番小ぶりなケーキでも、銀貨五枚は必要だ。なるべく値がはらないように設定しているが、材料費を鑑みるとこれ以上安くすることはできない。
「悪い、マリア……兄ちゃんケーキ買って帰れそうにないや」
明らかに落胆し、ボソリと懺悔の言葉を口にする男の子。
「姉ちゃん、ありがと。俺、帰るよ」
ヘラッと力なく笑った男の子は、足取り重く扉に向かっていく。
きっと、お小遣いを一生懸命貯めて、大切な妹のために一人でケーキを買いに来たんだ。
初めての店に入るのは勇気が入っただろう。他の店に行っても、きっと男の子の所持金ではケーキは買えない。
「……っ! 待って! このケーキ、ちょうど銀貨ニ枚と銅貨十二枚のケーキなの」
「え?」
気が付けば、わたしは男の子の寂しげな背中に声をかけていた。
訝しげに振り向く男の子が立ち止まっている隙に、急いでショーケースから今朝飾り付けたケーキを一つ取り出して丁寧に箱に詰めた。
「このケーキね、わたしが飾り付けしたってさっき言ったよね。まだまだ練習中だから、定価より安く販売しているのよ」
「え、でも……値札には銀貨五枚って……」
「ごめんなさい。うっかり間違えてしまったのよ。従業員失格よね」
ニコッと笑って見せるが、明らかに取ってつけたような言い訳に男の子には戸惑いの色が見える。けれど、手持ちで買えることに心が大きく揺れ動いているらしい。
「本当に、いいのか……?」
「ええ! このケーキもあなたたちに食べて欲しいって言っているわ」
「ふっ、なんだよそれ…………これ、ください」
「はい。お買い上げありがとうございます」
男の子はクシャッと泣き笑いのような顔をして、巾着袋をわたしに差し出した。銀貨と銅貨を改めて数え、ありがたく頂戴する。空っぽになった巾着袋を男の子に返し、ケーキが入った箱を差し出す。
「崩れやすいから、気をつけてね」
「ん、ありがと」
男の子は素直にケーキを受け取ると、店の扉に向かって行った。
「あ、ちょっと待って」
「ん?」
わたしは気がついたら男の子を呼び止めて駆け寄っていた。
「おまじない。――元気になりますように」
ケーキの箱を抱える男の子の手を包み込むのように手を重ねて目を閉じる。どうか、このケーキで幸せな気持ちになれますように。そう願いを込める。
「え……今、光っ…………いや、なんでもない。……どうして、マリアは身体が弱いって分かったんだ?」
「さあ、なんでだろう。そんな気がしたの。はい、どうぞ」
パッと手を離して扉を開けてあげる。
男の子はジッと自分の手を見つめた後、私の顔を見上げた。
「俺、ケビン。また来る」
ケビンは最後にそう言うと、ケーキの箱を大事に抱えながら弾みそうな足を懸命に落ち着かせて人混みの中に消えていった。
ケビンの姿が見えなくなると、わたしは喜びを噛み締めながら店内に戻った。カランコロン、とドアベルの可愛い音色がいつもよりも随分と明るく聞こえた。
「ミラベル」
厨房の入り口で一部始終を見ていたらしいアインスロッド様が、わたしの前までやって来た。
わたしはギュッとエプロンを握りしめて深く頭を下げる。
「すみません、勝手に値引きしたりして……わたしのお給金から引いておいてください」
「その必要はない。ミラベル、ありがとうな」
「え?」
お叱りを受ける覚悟でギュッと目を閉じていたけれど、予想外に感謝の言葉を贈られて、思わず身体を起こしてしまう。
勝手に売値の半分ほどの値段でケーキを売ってしまったのだ。怒られはすれど、褒められる謂れはない。
「俺も値引きしてでも少年にケーキを売りたかったが、ここにあるケーキたちはみんなミラベルが可愛らしく彩ってくれた大切な商品だ。それをミラベルの承諾なしに値引きするわけにはいかなかったからな。少し躊躇っているうちに、ミラベルが動いてくれた」
「あ……」
アインスロッド様は本当に嬉しそうに微笑んでいて、目元を柔らかく和ませている。
「初めて、俺のケーキが売れた。これほど嬉しく思うとは……なんだか胸がむず痒い。ミラベル、君のおかげだ、本当にありがとう」
アインスロッド様は興奮冷めやらぬといった様子でわたしに歩み寄り、腰を屈めた。
ん? と思った時には額にフニッと柔らかな感触が広がっていた。
「さーて、もっと頑張らないとな!」
固まるわたしを置いて、アインスロッド様は鼻歌混じりで厨房へと消えていった。
「~~っ! だから……近いんですってば……!」
遅れて真っ赤に染まった顔を隠すように、わたしはその場に蹲ってしまった。
毎日朝晩の仕込みの合間に飾り付けを中心にお菓子作りのノウハウを教わり、手が空いている時間に練習を繰り返している。
アインスロッド様はお菓子作りだけでなく、料理もお上手。毎食美味しいご飯を作ってくれるおかげで、わたしも国を出た頃と比べるとかなり肉付きがよくなってきたと思う。お腹と心が満たされて、活力も漲ってくる。
アインスロッド様は、わたしがいつか一人で生きていかねばならなくなった時のために、料理や洗濯、市井のことなど、たくさんのことを教えてくださる。
アインスロッド様に早く恩返しがしたくて、一生懸命お菓子作りに励んでいるけれど、肝心のお客様は今日まで一人も訪れていない。
「はあ……とっても美味しいのになあ」
ケーキが飾られたショーケースを磨きながら、深いため息を吐く。きっと、いや間違いなく、アインスロッド様のお菓子を一口食べれば魅了されてしまうに違いないのに。お客様が来なければ何も始まらない。
「何かいい手はないかしら……呼び込みでもしてみる?」
チラッと窓から外の通りの様子を眺める。
人通りはまばらなものの、決して少ないわけではない。
人の流れを見ていると、どうしても花を売っていた頃のことを思い出してしまう。
懸命に訴えても哀れなものを見る目を向けられて、ただ去っていく人々。日銭を稼げないとご飯にもありつけない日々。
刺すような冷たい視線を思い出し、ブルリと身震いした。
――ダメよ。ここはサミュリア王国ではないし、わたしを目の敵にするトロメアだっていない。いつまでも過去に囚われては幸せになんてなれない。
「――よし!」
ムンッと拳を握って気合いを入れたわたしは、パンパンッとわたしサイズに手配してくれたピンクの愛らしいエプロン(すっかり着慣れてしまった)の皺を伸ばす。そして、深呼吸を数度繰り返してから店の扉に手を伸ばした。
「わっ!」
「きゃっ!」
カランコロン、と可愛いドアベルの音と共に耳に入ったのは、少し高めの男の子の声。
慌てて視線を下げると、尻餅をついた十歳ぐらいの男の子が目をまんまるにしてわたしを見上げていた。
「あっ、ごめんなさい! もしかして、お店に入ろうとしていたの?」
そのタイミングでわたしが飛び出してきたものだから、驚いてしまったのね。
謝りつつ手を差し出すと、男の子は唇を尖らせながら不服そうに手を取った。
「ま、まあ。ちょっと覗いてみようかと思っただけだ」
「まあっ! 是非! どうぞ入って」
お客様! 初めてのお客様だわ!
わたしは満面の笑みを浮かべると、男の子を店内に案内した。「お、おう……」と強がりつつも、興味深そうに店内を見回しながら男の子が入店した。
「ん? どうかしたか、ミラベ――きゃ、客か!?」
「あ、アインスロッド様!」
その時、厨房からひょっこり顔を出したアインスロッド様が、男の子を視界に捉えて叫んだ。
いけない! アインスロッド様は声が元々大きいから萎縮してしまうわ!
わたしは反射的に両手を広げて扉の前に立ち塞がった。
案の定、身の危険を察知した男の子は扉に向かって走り出すところだった。
わたしの様子にたたらを踏んで、所在なさげに瞳を揺らしている。
「大丈夫。彼はこの店の店主のアインスロッド様。わたしは従業員のミラベル。せっかく来てくれたのだもの、うちのお菓子を見ていって欲しいわ」
「う……分かった」
男の子は少しホッとした表情を見せて、恐る恐るショーケースに歩み寄った。
「わあ……綺麗だな」
「本当? 嬉しいわ。ケーキを作ったのはアインスロッド様で、わたしはクリームを絞ったり果物を乗せたり、飾り付けを担当しているの」
「ふうん……やるじゃん」
男の子はショーケースの中を食い入るように見つめ、チラッと視線を流してニヤリと笑った。
毎日たくさん練習している成果が出たと実感することができて、じんわり嬉しさが込み上げてくる。
キラキラした目でケーキを中心に眺めていた男の子だけれど、視線が値札に向いた途端、表情が翳った。
「……すげー美味そうだけど、これじゃ足りないよな」
チャリン、と小銭がぶつかる音を鳴らしながらポケットから取り出したつぎはぎだらけの巾着袋。口を緩めて中を見せてくれた。
一、ニ、三……全部で銀貨が二枚と銅貨が十二枚。一番小ぶりなケーキでも、銀貨五枚は必要だ。なるべく値がはらないように設定しているが、材料費を鑑みるとこれ以上安くすることはできない。
「悪い、マリア……兄ちゃんケーキ買って帰れそうにないや」
明らかに落胆し、ボソリと懺悔の言葉を口にする男の子。
「姉ちゃん、ありがと。俺、帰るよ」
ヘラッと力なく笑った男の子は、足取り重く扉に向かっていく。
きっと、お小遣いを一生懸命貯めて、大切な妹のために一人でケーキを買いに来たんだ。
初めての店に入るのは勇気が入っただろう。他の店に行っても、きっと男の子の所持金ではケーキは買えない。
「……っ! 待って! このケーキ、ちょうど銀貨ニ枚と銅貨十二枚のケーキなの」
「え?」
気が付けば、わたしは男の子の寂しげな背中に声をかけていた。
訝しげに振り向く男の子が立ち止まっている隙に、急いでショーケースから今朝飾り付けたケーキを一つ取り出して丁寧に箱に詰めた。
「このケーキね、わたしが飾り付けしたってさっき言ったよね。まだまだ練習中だから、定価より安く販売しているのよ」
「え、でも……値札には銀貨五枚って……」
「ごめんなさい。うっかり間違えてしまったのよ。従業員失格よね」
ニコッと笑って見せるが、明らかに取ってつけたような言い訳に男の子には戸惑いの色が見える。けれど、手持ちで買えることに心が大きく揺れ動いているらしい。
「本当に、いいのか……?」
「ええ! このケーキもあなたたちに食べて欲しいって言っているわ」
「ふっ、なんだよそれ…………これ、ください」
「はい。お買い上げありがとうございます」
男の子はクシャッと泣き笑いのような顔をして、巾着袋をわたしに差し出した。銀貨と銅貨を改めて数え、ありがたく頂戴する。空っぽになった巾着袋を男の子に返し、ケーキが入った箱を差し出す。
「崩れやすいから、気をつけてね」
「ん、ありがと」
男の子は素直にケーキを受け取ると、店の扉に向かって行った。
「あ、ちょっと待って」
「ん?」
わたしは気がついたら男の子を呼び止めて駆け寄っていた。
「おまじない。――元気になりますように」
ケーキの箱を抱える男の子の手を包み込むのように手を重ねて目を閉じる。どうか、このケーキで幸せな気持ちになれますように。そう願いを込める。
「え……今、光っ…………いや、なんでもない。……どうして、マリアは身体が弱いって分かったんだ?」
「さあ、なんでだろう。そんな気がしたの。はい、どうぞ」
パッと手を離して扉を開けてあげる。
男の子はジッと自分の手を見つめた後、私の顔を見上げた。
「俺、ケビン。また来る」
ケビンは最後にそう言うと、ケーキの箱を大事に抱えながら弾みそうな足を懸命に落ち着かせて人混みの中に消えていった。
ケビンの姿が見えなくなると、わたしは喜びを噛み締めながら店内に戻った。カランコロン、とドアベルの可愛い音色がいつもよりも随分と明るく聞こえた。
「ミラベル」
厨房の入り口で一部始終を見ていたらしいアインスロッド様が、わたしの前までやって来た。
わたしはギュッとエプロンを握りしめて深く頭を下げる。
「すみません、勝手に値引きしたりして……わたしのお給金から引いておいてください」
「その必要はない。ミラベル、ありがとうな」
「え?」
お叱りを受ける覚悟でギュッと目を閉じていたけれど、予想外に感謝の言葉を贈られて、思わず身体を起こしてしまう。
勝手に売値の半分ほどの値段でケーキを売ってしまったのだ。怒られはすれど、褒められる謂れはない。
「俺も値引きしてでも少年にケーキを売りたかったが、ここにあるケーキたちはみんなミラベルが可愛らしく彩ってくれた大切な商品だ。それをミラベルの承諾なしに値引きするわけにはいかなかったからな。少し躊躇っているうちに、ミラベルが動いてくれた」
「あ……」
アインスロッド様は本当に嬉しそうに微笑んでいて、目元を柔らかく和ませている。
「初めて、俺のケーキが売れた。これほど嬉しく思うとは……なんだか胸がむず痒い。ミラベル、君のおかげだ、本当にありがとう」
アインスロッド様は興奮冷めやらぬといった様子でわたしに歩み寄り、腰を屈めた。
ん? と思った時には額にフニッと柔らかな感触が広がっていた。
「さーて、もっと頑張らないとな!」
固まるわたしを置いて、アインスロッド様は鼻歌混じりで厨房へと消えていった。
「~~っ! だから……近いんですってば……!」
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