【完結】桜吹雪レコード

山咲莉亜

文字の大きさ
36 / 116
桜吹雪レコード ~失った日々をもう一度~

36 祭りの始まり、桜と共に

しおりを挟む
 ◇

 今日は日曜日。ついに体育祭の当日がやってきた。藍那と仲直りした日から数日経過し、その間に団のみんなの意識が大きく変わったように思う。その理由が、誰かに期待するような声をほとんど聞かなくなって、代わりに様々なところで工夫を見るようになった。きっと藍那と話をしていた彼らが伝えて回ってくれたのでしょうね。

「咲良、もう家を出るの?」
「うん。今日は準備があって早めに登校しないといけないから」
「そっか、頑張って。咲良が出場するのは学年別競技、選択種目の綱引き、推薦型競技のリレーで合ってるよね?」
「そうだよ。あー……それと、結城家のご令息も全部私と同じ種目。彼は応援団長だから演舞にも出るよ」

 あの結城家の息子が通っている学園の体育祭なんだから、蓮くんの姿を一目見てみたいと考える人も少なくない。実際、今までの二年間は外部から見に来た人の注目を一身に浴びていた。
 お父さん達はそういうの興味なさそうだけど、体育祭を見に来たのは今年が初めてだから一応伝えておく。

「その子、いつも咲良と仲良くしてくれている子よね? それならご両親にご挨拶しなきゃ……!」
「やめて。結城家は私達のことを何も知らないのだから」
「……まあ、麗奈のストッパー役は僕がするから安心して。変装もちゃんとさせる」
「助かるよ。じゃあいってきます。毎年すごく盛り上がるから楽しみにしててね!」

 お母さんのストッパー役になると言った時のお父さん、何か含みを感じたのだけど気のせいかな? まあいいや。お母さんの暴走を止める役として、お父さんはすごく信頼できるから大丈夫でしょう。
 お母さんは自分が目立つことを理解しきれていない。……やっぱり、お父さんが付いていても心配かも。なんかよく分からないところでボロが出そう……

「あら、あすちゃん」
「瑠衣先輩。この時間に合うのは久しぶりですね。おはようございます」
「うん、おはよう。体調はどう?」
「快調です。今日の体育祭、楽しみですね……!」

 珍しくテンションの高いあすちゃんに頷き、『一緒に頑張ろうね』と声を掛けると嬉しそうに返事をしてくれた。下級生の知り合いで同じ団なのは、あすちゃんの他にも何人かいる。少し前の学園見学で一緒だった日向くん達も同じ青団。競技中は彼らの姿も探してみようと思う。

 とりあえず、体育祭までに色々あったんだから今日は何も起こらないことを祈る。当日くらい全力で楽しみたいからね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

白衣の下 スピンオフ 18歳 町田柊士の若き日の過ち

高野マキ
キャラ文芸
高校三年生の町田柊士は、その鋭く研ぎ澄まされた様子とはうらはらにさびれた画材店の二階で時を忘れたかのようにデッサンに没頭していた。そこに現れた真面目な15歳の女の子。二人の未熟な恋の行方。 苦く苦しい青春のあの時 …

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活

まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳 様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。 子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開? 第二巻は、ホラー風味です。 【ご注意ください】 ※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます ※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります ※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます 第二巻「夏は、夜」の改定版が完結いたしました。 この後、第三巻へ続くかはわかりませんが、万が一開始したときのために、「お気に入り」登録すると忘れたころに始まって、通知が意外とウザいと思われます。 表紙イラストはAI作成です。 (セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ) 題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております

処理中です...