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Day 30:さよなら、「誰かの好き」に合わせていた私
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30日目の朝。
物語が始まった、あの日と同じ、朝の光。カーテンの隙間から差し込む光は、もう私を責めることはない。
でも、その色は、もう金色でも、白でもなかった。
ただ、透明な、ありのままの光だった。
私は、ゆっくりとベッドから出て、キッチンへ向かった。
そして、冷蔵庫を開ける。
奥の方に、まだ、あの日のままのクラフトビールが1本だけ残っていた。賞味期限は、とうに過ぎている。
私はそれを手に取り、ためらうことなく、中身をシンクに流した。
泡と共に、彼との最後の名残が、ゴボゴボと音を立てて消えていく。
空になった缶を、ゴミ箱に捨てる。
カラン、という軽い音が、私の30日間の旅の終わりを告げた。
コンビニへ向かう。
目的のものは、一つだけ。
冷凍庫の扉を開け、それを手に取った。ストロベリーアイス。
家に帰り、スプーンですくって、一口、口に入れる。
甘酸っぱい、懐かしい味。
でも、もう、そこに彼の面影はなかった。吐き気もしない。
ただ、美味しい。
純粋に、そう感じた。
食べながら、ふと、思う。
もしかしたら、私はチョコミントも、ストロベリーも、両方好きだったのかもしれない。
誰かに合わせる必要なんて、なかったんだ。好きなものは、好きだと言っていい。
これからは、チョコミントが食べたい日はチョコミントを、ストロベリーが食べたい日はストロベリーを、自由に選んで生きていこう。
最後の一口を食べ終え、空になったカップをゴミ箱に捨てる。
窓を開けると、新しい一日を告げる、街の音が聞こえてきた。
子供たちの笑い声、車の走る音、遠くで鳴る教会の鐘の音。
かつて、私を置き去りにした世界の音。
でも今は、そのすべてが、私を祝福する音楽のように聞こえる。
さよならは、終わりじゃなかった。
新しい私に出会うための、始まりの合図だった。
この30日間で、私は私を取り戻した。いや、それ以上の、新しい私に生まれ変わったのだ。
朝日が、部屋いっぱいに差し込んでくる。
私はその光を全身に浴びながら、深く、深く、息を吸い込んだ。
そして、最高の笑顔で、呟いた。
「おはよう、私。新しい一日が、始まるよ」
(最終話/了)
『さようならから30日 – A Journey Through Heartbreak and Healing』完結
30日間、お付き合いいただき、ありがとうございました。
【エピローグ】
別れは、終わりではなく、始まりだった。
失ったものを数えるのではなく、手に入れたものを慈しむ。
誰かのためではなく、自分のために生きる。
その当たり前の真実に、私はようやくたどり着いた。
これから先、また辛いことがあるかもしれない。
また誰かを好きになって、傷つくこともあるかもしれない。
でも、もう大丈夫。
私には、この30日間の記憶がある。
自分自身の力を知っている。
だから、何度でも立ち上がれる。
さようなら、優也。
そして、おはよう、私。
新しい物語が、今日から始まる。
物語が始まった、あの日と同じ、朝の光。カーテンの隙間から差し込む光は、もう私を責めることはない。
でも、その色は、もう金色でも、白でもなかった。
ただ、透明な、ありのままの光だった。
私は、ゆっくりとベッドから出て、キッチンへ向かった。
そして、冷蔵庫を開ける。
奥の方に、まだ、あの日のままのクラフトビールが1本だけ残っていた。賞味期限は、とうに過ぎている。
私はそれを手に取り、ためらうことなく、中身をシンクに流した。
泡と共に、彼との最後の名残が、ゴボゴボと音を立てて消えていく。
空になった缶を、ゴミ箱に捨てる。
カラン、という軽い音が、私の30日間の旅の終わりを告げた。
コンビニへ向かう。
目的のものは、一つだけ。
冷凍庫の扉を開け、それを手に取った。ストロベリーアイス。
家に帰り、スプーンですくって、一口、口に入れる。
甘酸っぱい、懐かしい味。
でも、もう、そこに彼の面影はなかった。吐き気もしない。
ただ、美味しい。
純粋に、そう感じた。
食べながら、ふと、思う。
もしかしたら、私はチョコミントも、ストロベリーも、両方好きだったのかもしれない。
誰かに合わせる必要なんて、なかったんだ。好きなものは、好きだと言っていい。
これからは、チョコミントが食べたい日はチョコミントを、ストロベリーが食べたい日はストロベリーを、自由に選んで生きていこう。
最後の一口を食べ終え、空になったカップをゴミ箱に捨てる。
窓を開けると、新しい一日を告げる、街の音が聞こえてきた。
子供たちの笑い声、車の走る音、遠くで鳴る教会の鐘の音。
かつて、私を置き去りにした世界の音。
でも今は、そのすべてが、私を祝福する音楽のように聞こえる。
さよならは、終わりじゃなかった。
新しい私に出会うための、始まりの合図だった。
この30日間で、私は私を取り戻した。いや、それ以上の、新しい私に生まれ変わったのだ。
朝日が、部屋いっぱいに差し込んでくる。
私はその光を全身に浴びながら、深く、深く、息を吸い込んだ。
そして、最高の笑顔で、呟いた。
「おはよう、私。新しい一日が、始まるよ」
(最終話/了)
『さようならから30日 – A Journey Through Heartbreak and Healing』完結
30日間、お付き合いいただき、ありがとうございました。
【エピローグ】
別れは、終わりではなく、始まりだった。
失ったものを数えるのではなく、手に入れたものを慈しむ。
誰かのためではなく、自分のために生きる。
その当たり前の真実に、私はようやくたどり着いた。
これから先、また辛いことがあるかもしれない。
また誰かを好きになって、傷つくこともあるかもしれない。
でも、もう大丈夫。
私には、この30日間の記憶がある。
自分自身の力を知っている。
だから、何度でも立ち上がれる。
さようなら、優也。
そして、おはよう、私。
新しい物語が、今日から始まる。
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