電脳戦隊ネットレンジャー

古河さかえ

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Act.1

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 人間の住む世界とはまた異った世界が地球上に存在した。それも、今人々が必要としているネットの中に。ネットの中に造られた世界を人は『ネットシティ』と呼ぶ。通常の人間がネットシティに存在することなどありえない。しかし建物も何もかもは現実世界そのもので、現実世界と連動して、全てが存在している。しかしただ一つ違うのは、ネットシティに住む『物』は、現実世界が見えるし、触れることができるが、現実世界に住む『者』はネットシティを見ることもできないし、触れることもできない。それ故、ネットシティに住む『物』は現実世界に住む『者』の精神、つまり幽体を引き抜き、私欲のままに食らっていた。幽体を抜かれた人間は、眠ったままの状態となり、幽体が本体に戻らない限り、二度と目覚めることはない。
 ネットシティに住む者を一般的に『魔物』という。その魔物の事をネットシティでは『ゴーヌ』と呼ぶ。そのゴーヌを退治させる為、彼らに電子メールが届く。

『親愛なるネットレンジャーの諸君。おめでとう君達は選ばれたんだ。コンピューターの世界を知りつくしている君達にしかきっとできないだろう。最近、世間を騒がせている原因不明の病の事はもうご承知の事だとは思うが、その病を引き起こしている原因がネットシティに住むゴーヌの仕業だという事はご存知だったかな。そこで諸君にゴースを倒してもらいたい。今宵ネットシティでお会いしましょう。』

 意味不明なこの怪文書。このメールを受け取った竜也、沙弥、健太、淳、想の五人。深夜、眠りについた五人の幽体は、何者かに引っ張られ、本体を抜け出す。
 次に目が覚めた時、五人は町の中にいた。そして周りには見知らぬ人間が――いや、知らないわけではない。十数年前、よくテレビにかじりついて見ていた戦隊モノの番組。それに出てきた人間とそっくり同じ格好をした人間が四人、自分の前に立っている。 
 青、緑……黃、黒――そして自分は赤。なぜ、今自分はこんな所にいるのか。そしてこの格好は何なのか……。電也にはそれがさっぱり分からなかった。

「何なんだよこれは……っ」

 口火を切ったのは、自分より幾分が背の低い、青いコスチュームをまとった、話し方からして多分男だろう。

「俺は、家を勉強していたはずなんだけどな」
「オレだってよ! 今日は試合で疲れてて、早く寝たんだぜ?」

 黒い男と緑の男。この分だと自分自身は『赤の男』になるだろう。などと考えている時、突然頭上から何者かの声がした。

『やあ、集まったね。ネットレンジャーの諸君。突然だけど、この世界に入ったからには、諸君はもうゴーヌに狙われているよ。殺されないように気をつけてね。別に幽体が傷ついても、本体には何ら影響はないんだけど。じゃあ後は頼んだよ。リーダーのネットレッド』

 それきり頭上からは何の声も聞こえなくなった。ネットレッドという色からリーダーとなる事が決まってしまった竜也。
 とりあえず、頼まれてしまったので、互いに自己紹介をすることにした。

「え……と。僕、は……ネットレッド……って事らしくて……それで、本名は……」
「聞こえねェよ。もっとハッキリしゃべれよ」

 初対面の人間に対して厳しい言葉の青。確かに竜也の話し方は、こんな状況ではムカついてしまうのもわからなくはないが。

「す、すいません……えっと、本名は竜也です。……高一です」 

 次は誰が言い出すのかと思いきや、元気よく言い出したのは黃の――明らかに『少年』なのだ。

「では、 ぼくがネットイエローになるわけですね。ぼくは健太。小学校五年生です」

 あまりにもハキハキとしゃべる自分より年下の少年に、一同はあっけにとられる。

「ネットグリーンさんは?」
「……淳。中三だ」

 声を聞いているだけで明らかに機嫌が悪いと分かる口調。そんな淳にも健太はひるまなかった。

「ネットブルーさんは?」
「望月。高校一年」
「ネットブラックさんは?」
「想……高二」

 いつの間にか、しきる役は竜也から健太に代わっていた。

「なぁ、ブルーさんよ。望月、って名字だろ? 下の名前は?」

 淳に指摘された沙弥はギクリとした。そう、『彼女』だけはこのネットレンジャーの中で一人だけ女だったのだ。
 しかし、普段から男言葉を使っていた沙弥は、違和感なく男としてなしていたのだ。しかし自分以外に女がいないと知った今、いまさら女だという事を言うのにも気がひける沙弥は、このまま男として通すことにした。
 幸いお互いにフルフェイㇲのマスクをかぶっているので、顔を見られない限り、女とバレるべ配はない。 

「っせーな。望月っつったら望月なんだよ。俺は自分の名前が嫌いなんだよ」
「ま、まあまあ落ち着いて望月さん。自分の名前が嫌いという事はよくありますよね。いいじゃないですか望月さんで」
「とりあえず僕達は狙われている様ですから、戦わなくてはいけないという事になってるんですよね。今は力を合わせて――」

「ふざけるな」

 せっかくここまでまとまりかけていた話をブチ壊した頂本人、この中では最年長の想。

「俺は自分の意志でここに来たんじゃない。何故好きでもない世界で好きでもない争いをしなくてはいけないんだ」
「でも現にここに来ちゃってんだからしょうがねーだろ。俺らは『選ばれ』ちまったんだから!」
「それだ。何が『選ばれた』だ。ガキの時見ていた戦隊モノじゃあるまいし。お前も高校生ならバカらしいと思わないのか?」

 想も口達者だが、それに負けず劣らず沙弥も口達者であった。おそらく、この二人が口喧嘩を始めたら誰も止める事はできないだろう。しかし今の時点では、想の力が正論をのべている。それを、五人がこの世界に入った瞬間から物陰で様子を見ていたゴーヌは待っていた。
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