4 / 6
第1章「日常が変わる感じ」
第4話 ふたり頑張るよ。
しおりを挟む
リメニアさんとゴニアータさんは蒼空のお母さんを護衛する。
蒼空を護衛するのはうちの両親。
僕も蒼空を守りたい。ただ、力なんてまだまだだ。
とにかく僕と蒼空は、お父さんたちに教わって、殻態になることと殻理技を使うことの練習をすることにした。
まだそんな色々を知った初日。
マンション『サマーテント』の204号室。我が家のテーブルを前にしてみんなで座っている。一緒にいた方がいいからっていう意味もあるんだろう。
作戦会議からまだ数十分しか経っていない。
そんな時、リメニアさんがこんなことを。
「殻則に縛られるのは週の半分、水曜日の昼十二時から土曜日の二十四時までになります」
学校で聞いたことがあった。殻人界については授業で学んでいる。
それにしても水曜日の昼から? 土曜日の二十四時まで? 水曜日なんてもうすぐだ。変な殻則に縛られなければいいけど。
なんとか殻態になることはできた。
だいたい首から下がほぼ全体的に甲殻に覆われる。
頬は少しだけ。
靴や服にそこまで影響はない。甲殻と言っても皮膚が硬く頑丈になったくらいの感じだ、そのおかげかも。ズボンが破けたりしなくてよかった。
でもまあ、こんな心配、する程でもないようなもんだ。だって、僕は蒼空を守るんだから。今後気にしちゃあいられない。
「一日でここまでおできになるとは。中々のものですよ、おふたりとも」
リメニアさんに言われて、僕は蒼空の顔を見た、蒼空も僕の顔を。お互いの顔がまあまあ明るくなる。
そこでお父さんの声が。
「ふたりともよく聞いてくれ。殻理技についてだが――殻理技は人によって様々だ、『これができるようになった』と思ったことが、実は普通のことじゃなく殻理技だったというケースもある、そのくらいに気付かないこともある、気を付けろ、何か新しいことができたと思ったら知らせろよ」
「うん、わかった」
だったらと、今は殻態の練習に時間を使うことにした。
殻態の維持には殻理力を使う。
だからかその消耗からの回復を切っ掛けにして、殻理力は底上げされていく。筋肉のように使えば使う程いいはず。
そして、それから数分が経った時。
「ちょ、え! 維都くんが! アンモナイトみたいになっちゃった!」
どうやら僕の姿が変わったらしい。まだ殻則で縛られてはいないはずだから――どういうことだ? 学校でも習ってない範疇かも。
というか僕、今どこに? ソファーの真ん中には蒼空、その左隣に僕は……いるけど、目線が下がってるのか。
おーい。おーい。あれ? やっぱり僕、喋れてないよね。
ねえ! 誰か!
そう思ったタイミングで、お母さんの声が聞こえてきた。
「それはアンモノイジアって言うのよ。力を使い過ぎた時の回復期間の姿。殻則から一旦解放されるけど、これの回復は約二時間」
「二時間!? 二時間このまま!?」
って、慌てる蒼空の声が聞こえた。聴覚は人間並みにあるらしい。
僕も声を出したかったけど、出ない。やっぱりこの状態じゃ無理みたいだ。
「ええ。でも大丈夫でしょ、だからこそ私たちがいるのよ」
と、お母さんが慰めるけど――蒼空は驚きを抑えられなかったみたい。その『嘘でしょ感』のある顔を僕の方に向けるのは、この目からでも見えた。
そんな蒼空は、傾けるくらいの強さで僕を抱き締めた。
「こんな姿です」
少し傾いた僕の前に、リメニアさんがスマホを。それの鏡機能がオンになっていて――
そこには、ぐるぐると巻いた殻、十本ほどの触手、その根元に口、そんな生物がいた。
こ、これが今の僕……!
口にはギザギザが。捕食の時にいいんだろう。
タコのような目を持っていて、その目の表面には膜があるようだった、それで守られている。
殻は虹色。これは僕の殻色がそのまま出ているんだな。
そうか。じゃあ、殻理力を使い過ぎないようにしないと。
……ん? 背中が温かい。さっきよりも。
あ、そうか。蒼空が僕に手で触れてる。今、後ろの方の殻を撫でられてる?
……見てて、蒼空。僕はどんな姿になっても、蒼空を守るよ。何度こんな姿になっても。きっと。
そんな風に想う僕の前で、蒼空も、頑張っている。その様子がずっと見えている。その手が紫の甲殻に包まれ続けている。維持している。
で、ある時。
蒼空もポンッとアンモノイジアになった。お揃いだ。最初はありがちなのかも。
お父さんやリメニアさんが窓の外に視線をやることが増えた。蒼空と僕を守ろうとしているからだろう。
そんな中、高貴な紫色の蒼空と虹色の僕は、傾き合っていた。ソファーの上で、ただ静かに。
こんな姿に何度なってもいい、蒼空のためなら。
思いながら触手で手を繋いだ。
蒼空を護衛するのはうちの両親。
僕も蒼空を守りたい。ただ、力なんてまだまだだ。
とにかく僕と蒼空は、お父さんたちに教わって、殻態になることと殻理技を使うことの練習をすることにした。
まだそんな色々を知った初日。
マンション『サマーテント』の204号室。我が家のテーブルを前にしてみんなで座っている。一緒にいた方がいいからっていう意味もあるんだろう。
作戦会議からまだ数十分しか経っていない。
そんな時、リメニアさんがこんなことを。
「殻則に縛られるのは週の半分、水曜日の昼十二時から土曜日の二十四時までになります」
学校で聞いたことがあった。殻人界については授業で学んでいる。
それにしても水曜日の昼から? 土曜日の二十四時まで? 水曜日なんてもうすぐだ。変な殻則に縛られなければいいけど。
なんとか殻態になることはできた。
だいたい首から下がほぼ全体的に甲殻に覆われる。
頬は少しだけ。
靴や服にそこまで影響はない。甲殻と言っても皮膚が硬く頑丈になったくらいの感じだ、そのおかげかも。ズボンが破けたりしなくてよかった。
でもまあ、こんな心配、する程でもないようなもんだ。だって、僕は蒼空を守るんだから。今後気にしちゃあいられない。
「一日でここまでおできになるとは。中々のものですよ、おふたりとも」
リメニアさんに言われて、僕は蒼空の顔を見た、蒼空も僕の顔を。お互いの顔がまあまあ明るくなる。
そこでお父さんの声が。
「ふたりともよく聞いてくれ。殻理技についてだが――殻理技は人によって様々だ、『これができるようになった』と思ったことが、実は普通のことじゃなく殻理技だったというケースもある、そのくらいに気付かないこともある、気を付けろ、何か新しいことができたと思ったら知らせろよ」
「うん、わかった」
だったらと、今は殻態の練習に時間を使うことにした。
殻態の維持には殻理力を使う。
だからかその消耗からの回復を切っ掛けにして、殻理力は底上げされていく。筋肉のように使えば使う程いいはず。
そして、それから数分が経った時。
「ちょ、え! 維都くんが! アンモナイトみたいになっちゃった!」
どうやら僕の姿が変わったらしい。まだ殻則で縛られてはいないはずだから――どういうことだ? 学校でも習ってない範疇かも。
というか僕、今どこに? ソファーの真ん中には蒼空、その左隣に僕は……いるけど、目線が下がってるのか。
おーい。おーい。あれ? やっぱり僕、喋れてないよね。
ねえ! 誰か!
そう思ったタイミングで、お母さんの声が聞こえてきた。
「それはアンモノイジアって言うのよ。力を使い過ぎた時の回復期間の姿。殻則から一旦解放されるけど、これの回復は約二時間」
「二時間!? 二時間このまま!?」
って、慌てる蒼空の声が聞こえた。聴覚は人間並みにあるらしい。
僕も声を出したかったけど、出ない。やっぱりこの状態じゃ無理みたいだ。
「ええ。でも大丈夫でしょ、だからこそ私たちがいるのよ」
と、お母さんが慰めるけど――蒼空は驚きを抑えられなかったみたい。その『嘘でしょ感』のある顔を僕の方に向けるのは、この目からでも見えた。
そんな蒼空は、傾けるくらいの強さで僕を抱き締めた。
「こんな姿です」
少し傾いた僕の前に、リメニアさんがスマホを。それの鏡機能がオンになっていて――
そこには、ぐるぐると巻いた殻、十本ほどの触手、その根元に口、そんな生物がいた。
こ、これが今の僕……!
口にはギザギザが。捕食の時にいいんだろう。
タコのような目を持っていて、その目の表面には膜があるようだった、それで守られている。
殻は虹色。これは僕の殻色がそのまま出ているんだな。
そうか。じゃあ、殻理力を使い過ぎないようにしないと。
……ん? 背中が温かい。さっきよりも。
あ、そうか。蒼空が僕に手で触れてる。今、後ろの方の殻を撫でられてる?
……見てて、蒼空。僕はどんな姿になっても、蒼空を守るよ。何度こんな姿になっても。きっと。
そんな風に想う僕の前で、蒼空も、頑張っている。その様子がずっと見えている。その手が紫の甲殻に包まれ続けている。維持している。
で、ある時。
蒼空もポンッとアンモノイジアになった。お揃いだ。最初はありがちなのかも。
お父さんやリメニアさんが窓の外に視線をやることが増えた。蒼空と僕を守ろうとしているからだろう。
そんな中、高貴な紫色の蒼空と虹色の僕は、傾き合っていた。ソファーの上で、ただ静かに。
こんな姿に何度なってもいい、蒼空のためなら。
思いながら触手で手を繋いだ。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる