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第三部 最終話
47 収拾
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背を丸めて帰っていくリカルドの後ろ姿を見つめながら、ディーノとイレーネは顔を見合わせ、そっと身体を離した。イレーネが頬を染めている。振り返ってみて人前でなんてことしたのだろうと、今更ながら顔が熱くなってきた。
おかみさんが店に戻った姿を見たイレーネは、おかみさんの後を追いかけていった。
ディーノはロマーリオと視線を交わし、どちらからともなく近寄った。
顔の前まで上げた手をぱしっと合わせ、「やったな」と健闘を称え合う。
それからピエールに向かい、
「ピエールさん、ありがとう」
ぴょこんと頭を下げた。
「事情がわからないのに首を突っ込んじゃったけど、大丈夫だった?」
「びっくりしたけど、助かった。オレが公爵の名前を出すなんて恐れ多くて、思い浮かびもしなかったよ。こんな遠いところでお名前を出すのもって思ってさ」
「遠いところって、ここも公爵の御領地なんだよ」
「ええっ!? 知らなかった」
公爵の屋敷からここまで馬車で何日かかったっけ? と思い返して、その広大さに驚いた。
「ディーノ!」
ゆさゆさと走ってきた人影が、ディーノをがしっと抱き寄せた。
「あんた正気を取り戻したんだね。良かった、良かったよ」
ぎりぎりと締め付けてくるロゼッタの熱い抱擁。
わあ、久しぶりだ。
この抱擁は愛情の重さに比例する。だから、ディーノは黙ってハグされた。ロゼッタが看病をしてくれていたことも、うっすらと覚えている。
「どうなってるか心配してたんだよ」
「心配かけてごめんなさい。ロマーリオがオレを正気に戻してくれたんだよ」
「ロマーリオのおかげなのかい? そうかいそうかい」
ロゼッタはディーノの身体を離すと、ロマーリオに向いた。
「ロマーリオ、ありがとうね、ありがとう」
云いながら、ロマーリオを包み込んだ。
「いいえええ・・・・・・ちょっ・・・・・・ぐええ」
こちらに助けを求めてくるロマーリオの顔がおもしろくて、ディーノは心の底からけらけらと笑った。
仕事を終えたイレーネを拾い、一堂は馬車を走らせて、近くの食堂に向かった。話をしたくても、六人という大所帯でイレーネの居候先に押し掛けるわけにはいかないからだった。
席に着き、注文を済ませると、口火を切ったのはロゼッタだった。
「とにもかくにも、ディーノが戻って良かったよ。身体はまだ細いけど、目が生き生きしてさ」
「ご心配をおかけして、すみませんでした」
ディーノは一同に向けて頭を下げた。
目前にはロゼッタ、リノ、ピエールが座り、ディーノの隣にはイレーネ、ロマーリオの順に腰掛けている。
「もう大丈夫なのかい? 身体もだけど、落ち着いたかい?」
「落ち着いたのかどうかはわからないけど、イレーネのピンチなのにいつまでも閉じこもってたらダメだって思ったら力が湧いたんだ。イレーネは困っただろうけど、オレにはいい薬になった」
「それで、しばらくはここにいられるのかい?」
「それは・・・・・・オレは留まるつもりをしているけど、仕事のこともあるし、ピエールさんと相談しないと」
ちらっとピエールに視線を向けると、ピエールが頷いた。
「そうだね。僕も今後のことを話し合うために来たんだよ」
「あたしらは、ピエールさんから大体の事情は聞いた。ディーノつらかったね」
ロゼッタから優しい眼差しを向けられ、ディーノは泣きそうになった。
「悲しいことがあったんだから、呆けちまうのも仕方がないと思ったよ。足の怪我も、もういいのかい?」
「無理をすると痛むけど、怪我自体は治ってる。生活に支障はないよ」
「そうかい」
ロゼッタがにこりと微笑んだ。
卓に注文した料理が運ばれてきて、香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。
「まずは食べよう」
ロゼッタが雰囲気を変えるようにパンパンと手を打つのを合図に、夕餉がスタートした。
おかみさんが店に戻った姿を見たイレーネは、おかみさんの後を追いかけていった。
ディーノはロマーリオと視線を交わし、どちらからともなく近寄った。
顔の前まで上げた手をぱしっと合わせ、「やったな」と健闘を称え合う。
それからピエールに向かい、
「ピエールさん、ありがとう」
ぴょこんと頭を下げた。
「事情がわからないのに首を突っ込んじゃったけど、大丈夫だった?」
「びっくりしたけど、助かった。オレが公爵の名前を出すなんて恐れ多くて、思い浮かびもしなかったよ。こんな遠いところでお名前を出すのもって思ってさ」
「遠いところって、ここも公爵の御領地なんだよ」
「ええっ!? 知らなかった」
公爵の屋敷からここまで馬車で何日かかったっけ? と思い返して、その広大さに驚いた。
「ディーノ!」
ゆさゆさと走ってきた人影が、ディーノをがしっと抱き寄せた。
「あんた正気を取り戻したんだね。良かった、良かったよ」
ぎりぎりと締め付けてくるロゼッタの熱い抱擁。
わあ、久しぶりだ。
この抱擁は愛情の重さに比例する。だから、ディーノは黙ってハグされた。ロゼッタが看病をしてくれていたことも、うっすらと覚えている。
「どうなってるか心配してたんだよ」
「心配かけてごめんなさい。ロマーリオがオレを正気に戻してくれたんだよ」
「ロマーリオのおかげなのかい? そうかいそうかい」
ロゼッタはディーノの身体を離すと、ロマーリオに向いた。
「ロマーリオ、ありがとうね、ありがとう」
云いながら、ロマーリオを包み込んだ。
「いいえええ・・・・・・ちょっ・・・・・・ぐええ」
こちらに助けを求めてくるロマーリオの顔がおもしろくて、ディーノは心の底からけらけらと笑った。
仕事を終えたイレーネを拾い、一堂は馬車を走らせて、近くの食堂に向かった。話をしたくても、六人という大所帯でイレーネの居候先に押し掛けるわけにはいかないからだった。
席に着き、注文を済ませると、口火を切ったのはロゼッタだった。
「とにもかくにも、ディーノが戻って良かったよ。身体はまだ細いけど、目が生き生きしてさ」
「ご心配をおかけして、すみませんでした」
ディーノは一同に向けて頭を下げた。
目前にはロゼッタ、リノ、ピエールが座り、ディーノの隣にはイレーネ、ロマーリオの順に腰掛けている。
「もう大丈夫なのかい? 身体もだけど、落ち着いたかい?」
「落ち着いたのかどうかはわからないけど、イレーネのピンチなのにいつまでも閉じこもってたらダメだって思ったら力が湧いたんだ。イレーネは困っただろうけど、オレにはいい薬になった」
「それで、しばらくはここにいられるのかい?」
「それは・・・・・・オレは留まるつもりをしているけど、仕事のこともあるし、ピエールさんと相談しないと」
ちらっとピエールに視線を向けると、ピエールが頷いた。
「そうだね。僕も今後のことを話し合うために来たんだよ」
「あたしらは、ピエールさんから大体の事情は聞いた。ディーノつらかったね」
ロゼッタから優しい眼差しを向けられ、ディーノは泣きそうになった。
「悲しいことがあったんだから、呆けちまうのも仕方がないと思ったよ。足の怪我も、もういいのかい?」
「無理をすると痛むけど、怪我自体は治ってる。生活に支障はないよ」
「そうかい」
ロゼッタがにこりと微笑んだ。
卓に注文した料理が運ばれてきて、香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。
「まずは食べよう」
ロゼッタが雰囲気を変えるようにパンパンと手を打つのを合図に、夕餉がスタートした。
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