34 / 59
第三部 仲良し姉妹
34 個性
しおりを挟む
「食中毒予防の三原則は」
「つけない・増やさない・やっつける」
「小学生の回答。麻帆は高校何年生?」
「はいはい。三年ですよ。洗浄・清潔、温度管理、加熱・殺菌」
「よろしい。熱湯消毒は何℃の熱湯で時間は」
「80℃以上を10秒以上かける」
「煮沸消毒は」
「80℃以上で10分以上煮沸」
「正解。食中毒菌が増殖する条件は」
「栄養、水分、温度」
「菌が増殖する温度は」
「35℃」
「菌が数を減らし始める温度は」
「えーと、55℃から60℃」
「食肉類の保存基準は5℃。〇か×か」
「ええっと、〇?」
「不正解。4℃」
「ああ。間違えた」
「1℃ぐらいって思うけど、試験では落ちるから、ちゃんと覚えていようね」
「はーい」
テストに備えてお姉ちゃんと復習。お姉ちゃんが問題を出して、あたしが答える。
お姉ちゃんは、やっぱりすごい。あたしより覚えてる。
高校を卒業すれば国家資格である調理師免許は取得できるけど、そのためには1単位も落とせない。
もちろんお姉ちゃんに答えを教えてもらえれば落とすはずはないけど、カンニングはできない。お姉ちゃんが答えを教えてあげる、なんて絶対に言わないし、あたしもお姉ちゃんに頼ろうなんて思ってない。
自分の力でちゃんと取ろうと思っている。
ただ勉強には付き合ってくれるので、助けてもらっているけど。
「実習は得意なんだけどなあ」
「そうだね。よく頑張ってる」
お姉ちゃんに褒めてもらえると、自信に繋がる。
一年次に料理の基本を学べなかったあたしは、補講と二年の授業を並行して受けながら、基本を覚えた。切り方、下ごしらえ、出汁だしの取り方、火加減、調理方法などを。
二年次には和食や海外の料理とコース、スイーツ作り。テーブルコーディネートと、サービス、テーブルマナーも学んだ。
三年からはこれまでに勉強をしたことをさらに深く学び、実際の店舗での実習もある。
卒業制作には創作料理を作る。文化祭での調理披露もあって、とても楽しみにしている。
一年生から調理科に入学すれば良かったと、今は思っている。
喪った姉の代わりになることで、姉やパパとママのためになると思っていた。実際、看護科の受験を決めた時、パパとママは応援してくれたし、合格をとても喜んでくれた。
自分のしたいことを犠牲にすることで、罪を償ったつもりになっていた。
ただ深い悲しみから逃げただけに過ぎなかったのに。
14歳だったあたしは気づかなかった。
あたしでは、姉になることはできない。
姉になる必要もなかった。
姉は姉で、あたしあたし。どれだけ大好きで仲の良い姉妹でも、個人だから得意は違う。
姉の得意は座学。あたしの得意は手先が器用だったこと。
個性の違いがわからず、勝手に自信を喪失しておいて、自棄になってバカなことをした。
ママの深い悲しみと、怯えた顔。二度と見たくないと思っていたのに、またあの顔をさせてしまった。
機会があったら謝らなきゃって思っているのに、今のところ我が家は平穏で。突然謝るのもなんだかなあ、っていう感じだから、謝罪はできていない。
だから、今は調理科の勉強を頑張ることで、返せるかなと思っている。
座学は、思っていたよりは大変。最初はうわあとなった。
栄養学はまた人体からだったし、計算もある。
衛生学はさまざまな細菌について学び、予防や、温度管理、殺菌などについて勉強している。
人の口に入る物だから、ちゃんと覚えないといけない。だから頑張ろうと思った。
覚えきれていないから、もっとちゃんと覚えなきゃね。
「つけない・増やさない・やっつける」
「小学生の回答。麻帆は高校何年生?」
「はいはい。三年ですよ。洗浄・清潔、温度管理、加熱・殺菌」
「よろしい。熱湯消毒は何℃の熱湯で時間は」
「80℃以上を10秒以上かける」
「煮沸消毒は」
「80℃以上で10分以上煮沸」
「正解。食中毒菌が増殖する条件は」
「栄養、水分、温度」
「菌が増殖する温度は」
「35℃」
「菌が数を減らし始める温度は」
「えーと、55℃から60℃」
「食肉類の保存基準は5℃。〇か×か」
「ええっと、〇?」
「不正解。4℃」
「ああ。間違えた」
「1℃ぐらいって思うけど、試験では落ちるから、ちゃんと覚えていようね」
「はーい」
テストに備えてお姉ちゃんと復習。お姉ちゃんが問題を出して、あたしが答える。
お姉ちゃんは、やっぱりすごい。あたしより覚えてる。
高校を卒業すれば国家資格である調理師免許は取得できるけど、そのためには1単位も落とせない。
もちろんお姉ちゃんに答えを教えてもらえれば落とすはずはないけど、カンニングはできない。お姉ちゃんが答えを教えてあげる、なんて絶対に言わないし、あたしもお姉ちゃんに頼ろうなんて思ってない。
自分の力でちゃんと取ろうと思っている。
ただ勉強には付き合ってくれるので、助けてもらっているけど。
「実習は得意なんだけどなあ」
「そうだね。よく頑張ってる」
お姉ちゃんに褒めてもらえると、自信に繋がる。
一年次に料理の基本を学べなかったあたしは、補講と二年の授業を並行して受けながら、基本を覚えた。切り方、下ごしらえ、出汁だしの取り方、火加減、調理方法などを。
二年次には和食や海外の料理とコース、スイーツ作り。テーブルコーディネートと、サービス、テーブルマナーも学んだ。
三年からはこれまでに勉強をしたことをさらに深く学び、実際の店舗での実習もある。
卒業制作には創作料理を作る。文化祭での調理披露もあって、とても楽しみにしている。
一年生から調理科に入学すれば良かったと、今は思っている。
喪った姉の代わりになることで、姉やパパとママのためになると思っていた。実際、看護科の受験を決めた時、パパとママは応援してくれたし、合格をとても喜んでくれた。
自分のしたいことを犠牲にすることで、罪を償ったつもりになっていた。
ただ深い悲しみから逃げただけに過ぎなかったのに。
14歳だったあたしは気づかなかった。
あたしでは、姉になることはできない。
姉になる必要もなかった。
姉は姉で、あたしあたし。どれだけ大好きで仲の良い姉妹でも、個人だから得意は違う。
姉の得意は座学。あたしの得意は手先が器用だったこと。
個性の違いがわからず、勝手に自信を喪失しておいて、自棄になってバカなことをした。
ママの深い悲しみと、怯えた顔。二度と見たくないと思っていたのに、またあの顔をさせてしまった。
機会があったら謝らなきゃって思っているのに、今のところ我が家は平穏で。突然謝るのもなんだかなあ、っていう感じだから、謝罪はできていない。
だから、今は調理科の勉強を頑張ることで、返せるかなと思っている。
座学は、思っていたよりは大変。最初はうわあとなった。
栄養学はまた人体からだったし、計算もある。
衛生学はさまざまな細菌について学び、予防や、温度管理、殺菌などについて勉強している。
人の口に入る物だから、ちゃんと覚えないといけない。だから頑張ろうと思った。
覚えきれていないから、もっとちゃんと覚えなきゃね。
0
あなたにおすすめの小説
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます
天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。
王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。
影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。
私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。
理想の『女の子』を演じ尽くしましたが、不倫した子は育てられないのでさようなら
赤羽夕夜
恋愛
親友と不倫した挙句に、黙って不倫相手の子供を生ませて育てさせようとした夫、サイレーンにほとほとあきれ果てたリリエル。
問い詰めるも、開き直り復縁を迫り、同情を誘おうとした夫には千年の恋も冷めてしまった。ショックを通りこして吹っ切れたリリエルはサイレーンと親友のユエルを追い出した。
もう男には懲り懲りだと夫に黙っていたホテル事業に没頭し、好きな物を我慢しない生活を送ろうと決めた。しかし、その矢先に距離を取っていた学生時代の友人たちが急にアピールし始めて……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる